北村からのメッセージ

 第88回(6月16日) 残忍手口と謎の動機 非行防止を質す


 長崎県佐世保市の小6女児同級生殺害事件は、残忍な手口と謎だらけの動機が全国に衝撃を与えました。まず、被害者・御手洗怜美さん(12)のご冥福をお祈り申し上げるとともに、父親で毎日新聞佐世保支局長の恭二さん(45)には心から哀悼の意を捧げます。マスコミは加害者の女子児童(11)の動機を解き明かしつつありますが、背景にはパソコン、携帯電話などネット社会に潜む児童の心の闇。暴力・殺人・戦争シーンに不感症となるゲームやDVDの氾濫。道徳教育の欠落などが子供の健やかな成長を蝕んでいます。
また最近は、痛ましい虐待によって多くの幼児が命を落としています。少子高齢化社会が進展する中で、まさに由々しき事態です。私は地元の政治家として、事件2日後の衆院厚生労働委員会で緊急質問に立ち、児童手当法改正案との関連で非行防止、子育て支援などについて質しました。今後も衆院法務委員会などで再発防止策を求めていく考えです。

 悲嘆と後悔、父親の疼き

 「さっちゃん。今どこにいるんだ。母さんには、もう会えたかい」――。事件の日、「ウソだろう」と絶句した恭二さんが、1週間後に発表した手記の書き出しです。怜美(さとみ)さんの最後の登校風景、一家5人で東京ディズニーランドに遊んだ思い出、妻の死に落ち込む父親を「ポジティブじゃなきゃ駄目よ」と慰めた怜美さん。わずかA4判の用紙一枚に綴られた手記は、さすが記者らしく簡潔ながら、最愛の娘を失った深い悲しみと、何もしてやれなかった後悔の疼きがにじみ出ています。それにしても、昨年7月に長崎市で起きた男児誘拐殺害事件から1年も経たないというのに、どうしてこうも凶悪な犯罪が続発するのでしょうか。長崎県教委などには「長崎県の教育が悪い」など、全く筋違いの抗議メールが届いたそうですが、私の所にも「バトルロワイアルのビデオを発禁処分にすべきだ」とのメールが届きました。無人島で中学生が最後の1人まで殺し合う映画がバトルロワイアルで、確かに青少年育成に悪影響を及ぼす問題作でした。

 チャットで心の闇拡大

 加害女児は、カッターナイフをかざして強引に怜美さんを椅子に座らせ、後ろから片手で目隠し、もう一方の手で首を深さ10センチも切り裂いた。そして15分間も見据えて死を確認したといいます。加害女児はバトルロワイアルのビデオを借り、ストーリーを真似て自作小説を書くなどすっかりビデオにはまっていたといいますが、その残虐非情な犯行手口、明白な殺意、計画性はバトルロワイアルと全く同じでした。しかし、わからないのは何故そのような強烈な殺意を抱いたかという動機です。怜美さんと加害女児はインターネットを通じたパソコンでの「チャット(おしゃべり)仲間」でした。それが加害女児を負ぶった怜美さんから「(体重が)重い」と容姿のことを言われ、チャットで「ぶりっこ」と中傷されたことで仲間外れにされたと感じ、親密な関係は突如憎悪に変化し、ホームページの書き込み内容も次第に荒れ、“心の闇”が拡大していったようです。

 情報化教育議連が決議

 このように佐世保の小6女児殺害事件は、犯行と動機に大きな落差のある特異な事件でしたが、学校教育の情報化をどのように進めるか。政治の中でも極めて重要な課題です。自民党の情報化教育促進議連は6月9日、学校教育の情報化に関する決議をまとめました。決議は「ミレニアムプロジェクト」(平成11年)や「e−Japan戦略」(同13年)を通じ、「情報活用能力の育成」と「わかる授業の実現」を目指した、学校のIT(情報技術)環境の整備が進み、学校からのインターネット接続はほぼ達成し今後はブロードバンド化が課題とされている現状をまず説明。そのうえで、米国や韓国など諸外国と比べ、日本の現状は到底満足できるものではないと指摘、@構内LANの整備など学校IT環境の整備促進A研修の充実など教員のIT活用指導力の向上B良質な教育用コンテンツの充実C国と地方の連携と政官民一体となった取り組み――の4点を内容としています。

 情報モラル、心の教育重視

 Aの研修では情報モラルやセキュリティを重点に指導方法も含め、情報化の“影”の部分へ対応する方針です。今回の事件で注目される点は、思春期特有の「キレる」現象が些細な刺激によっても引き金となって、衝動が抑えられなくなり「むかつく相手を殺す」結果になったことです。特に女児は精神的にも肉体的にも成長が男児よりも1,2年早く心身共に揺れ動く時期。「ネットに自分の考えを発信して批判を受けた場合は、それを吟味する訓練」を指導する情報ネットモラルのカウンセラーが必要でしょう。それに、神仏に対す畏敬の念と、他人の“痛み”を十分に知る「心の教育」が何よりも重要です。衆院厚労委での質疑内容は「北村の政治活動第80回」に掲載しました。引き続きお読み下さい。