北村からのメッセージ

 第84回(平成16年4月1日) 連鎖テロを断ち切れ スペイン政権崩壊

 花見シーズンというのに、日本では花冷え。海外では、さらに血も凍るような国際テロが横行しています。スペインでは列車テロで政権が崩壊し、台湾総統選は腹部に弾丸を撃ち込まれた陳水扁・現総統が逆に同情票を得て再選しました。イスラエルではイスラム原理主義組織ハマスの創始者で精神的指導者のヤシン師の殺害を機に報復テロが起こり、緊迫した事態が続いています。湾岸戦争後の1998年に、サミュエル・ハンチントンは「文明の衝突」(集英社)を出し、冷戦崩壊後はキリスト教やユダヤ教とイスラム教の対立時代に入ったと分析しました。イスラエルの国防相は「ハマス幹部全員を殺害し、アラファト・パレスチナ自治政府議長も暗殺の対象に加える」との方針を言明しました。報復テロの連鎖は繰り返され、文明の衝突は深まるばかりです。先号のホームページで取り上げたように、私の所属する衆院武力攻撃対処特別委では有事関連7法案を審議しますが、一刻も早く成立させ、テロ組織の芽を摘み取ると同時に、テロの連鎖を断ち切らねばなりません。

 スペインの二の舞避ける

 イラク戦争は3月20日で開戦後丸1年が経過しました。だが、フセイン元大統領の拘束後も自爆テロが激しさを加え、米兵の死者は昨年5月1日の大規模戦闘終結宣言前の138人から、3月半ばには564人に達し、民間イラク人もモスクやホテル爆破の犠牲者を合わせて1万人以上が死亡しています。イラク国内ばかりか3月11日にはスペインの首都マドリードで3駅の列車が同時爆破テロに襲われ、約200人の市民が死亡。その影響で14日のスペイン総選挙では、イラク撤兵を公約に掲げていた野党が勝利し8年ぶりに政権が交代しました。爆破テロ事件の夜、英国のアラビア語紙に、アルカイダを名乗る犯行声明が届き、「我々は十字軍同盟の一翼。誰が我々からお前たちを守るのだ。英国よ、日本よ、ほかの(米国の)協力者たちよ」と警告しています。昨年11月に「自衛隊を派遣すれば日本を攻撃する」と脅してきた同じ発信者からの警告です。

 幻想のイスラム帝国

 東京財団の佐々木良昭・シニア・リサーチ・フェローは、最近の講演で「国際テロ組織は、インターネット時代に入って、今やバーチャル(幻想)のイスラム帝国建設に動いている。それは国を動かすシステムとは違って、インターネットで世界を動かす、国家元首が不在のイスラム帝国だ。かつてはモスクで集めた寄付金などを世界各地に送金するには、どうしても1ヶ月はかかったが、今はインターネットで瞬時に各組織に送れるようになった。キッシンジャー博士(元米国務長官)は、『イラク戦争から民族間戦争、つまり内戦に移った』というが,ブッシュ米大統領も100年戦争になると覚悟し、イラク派兵では自由陣営の各国にアウトソーシング(外部委託)を押し付け、圧力をかけるだろう」と述べています。このように “国際テロ戦争”はグローバルに拡大し,長期化つつあります。自衛隊の派遣も長引きそうです。スペインの二の舞だけは絶対に避けなければならず、国際テロへの備えは一刻も早く実現する必要があります。

 総選挙狙い列車爆破テロ

 日本は島国で単一民族だから、欧米と違った良さがあります。例えば@空路、海路とも出入国管理は他国より厳重A銃砲刀剣の携行も厳しく禁止Bアラブ諸国とは友好関係にあるCアラブ系など異邦人が不審な行動を起こせば目立つ――など、テロリストが行動しにくい環境にあります。警察も要所警備には万全の態勢を組んでいます。しかし、国民の「水と安全はただ」という良き時代の潜在意識は抜けきらず、最近も35億円相当の宝石強盗や建設重機によるATM(現金預払い機)破壊の連発、一家4人殺害・強盗、窃盗団の暗躍など、不法滞在外国人の犯行とおぼしき凶悪犯罪が多発し、国内の治安はここ数年、急速に悪化しています。こうした手口を見ると、国際テロリストがひそかに潜入しないとも限らないでしょう。スペインでは好調な経済に支えられ、与党・国民党の勝利が確実視されていました。それを転覆させようとアルカイダは、投票日を狙って国民が憎む列車爆破テロを仕掛けたわけです。

 テロ不満がスペイン政権倒す

 日本も景気に明るさが見え、04年度予算が3月内に成立するなど極めて順調で、自民党は7月参院選勝利も間違いない情勢にあります。しかし、参院選直前にスペインのように国際テロ組織が国内で暴発したら大変な事態になります。スペインでは、分離独立を求める武装勢力「バスク祖国と自由(ETA)」が繰り出すテロに国民は永年苦しみました。それだけに、多数の犠牲者が出た列車テロ事件直後は1千万人を超す反テロデモが街頭に溢れました。そのテロへの不満をアスナール首相にぶっつけ、与党政権を倒したわけです。列車爆破は自爆テロでなく、携帯電話を使って3ヶ所を同時爆破する高度なテクニックでした。「アルカイダの影」は8月のアテネ五輪にもつきまといます。テロリストの潜入を防ぎ、テロの惨禍を招かないためにも武力攻撃事態に対処する法制は早急に整備しなければなりません。テロ対策は有事関連7法案だけでなく、国土交通省の「国際航海船舶等保安法案」が提出され海事3法制が整いました。先のHPでも紹介した通り、議員提案の「特定船舶入港禁止法案(仮称)」も準備されています。