北村からのメッセージ

 第81回(2月16日)有事関連7法案 大規模テロに対処

 3日に出発したイラク派遣の陸上自衛隊本隊90人は、クエートから大型車列25両で8日にイラク入りし、南部のサマワで先遣隊30人と合流、宿営地づくりなど本格的活動を開始しています。航空自衛隊もC130輸送機を使ってイラク国内の物資輸送を始めました。我々国会議員は、隊員の安全を祈る黄色いハンケチを胸に、隊員の崇高な任務遂行に期待をかけています。しかし、イラク各地では米英軍へのテロが絶えないばかりか、サマウで日本と連携して活動するオランダの在バクダッド大使館が攻撃を受けて閉鎖。モスクワではイスラム武装勢力のチェチェン独立派とみられる地下鉄爆破テロで39人の死者が出るなど、悲惨なテロが世界に拡大しています。先に過激派のアルカイダは「自衛隊を派遣すれば東京を報復攻撃する」と脅しました。これを防止するのが、私の所属する衆院武力攻撃対処特別委員会です。政府は「緊急事態」に対処する国民保護法など有事関連7法案を近く提案しますが、私は卑劣な無差別テロの対応に力を注ぎたいと思っています。

 今国会成立を目指す

 昨年6月に成立した有事法制3法のうち、武力攻撃事態対処法の関連では、「今後整備が必要な法制」として問題点が示されていましたが、政府はこれを7法案に整理、今月初旬に全国知事会などに提示しました。それによると、7法案は@国民の生命・財産を守る手続きを規定【国民保護法案】A武器などの海上輸送阻止のための臨検を可能にする【外国軍用品等海上輸送規制法案】B燃料などの物品・役務の相互提供などにより米軍の行動を円滑化【米軍行動円滑化法案】C米軍行動円滑化法案に基づく物品・役務の相互提供の手続きを規定【自衛隊法改正案】D港湾、空港、道路、電波などの優先利用方法を規定【交通・通信総合調整法案】E捕虜の拘束や抑留などの手続きを規定【捕虜等取り扱い法案】Fジュネーブ条約の違反行為への罰則を規定【非人道的行為処罰法案】――。私が副部会長を務める党国防部会などでさらに煮詰め、3月上旬に国会へ提出し成立を目指します。

 原発、航空機に大規模テロ

 政府が昨年11月に決定した「国民保護法制」の骨子は、大規模テロについて、「国民保護の措置に準じて必要な措置を講じることを検討する」という漠然とした規定でしたが、今回はテロ対応の枠組みについて具体的に明記しています。つまり、テロは「武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態」などと規定、@原子力発電所の破壊A生物・化学兵器によるテロB航空機による自爆テロ――など大規模テロの発生が予想される時に、政府は「緊急対処事態」の認定を閣議決定し、地方公共団体、指定公共機関などと連携しながら、武力攻撃事態の際に行う手続きを準用して、住民の避難、救援、武力攻撃災害への対処などの「緊急対処保護措置」を的確、迅速に実施します。財政措置、損失補償、罰則についても武力攻撃事態と同様の扱いにします。

 警告射撃、物資押収も

 「外国軍用品等海上輸送規制法案」は、日本が武力攻撃を受けた際に、第3国などによる相手(敵)国への武器・弾薬や兵員輸送などの海上輸送を阻止するため、海上自衛隊が日本の領海や公海上で外国船舶の臨検を行えるようにするものです。これまで正当防衛や緊急避難に限られていた不審船への射撃の要件を日本有事の際には緩和し、警告射撃が出来るほか、船舶の所属する旗国の同意なしに、書類や積み荷の検査を実施し、物資を一時的に押収出来るようにするなど、現行の船舶検査法よりも強制力が強い内容です。現検査法は、朝鮮半島有事など周辺事態に対処するもので、国連安保理事会の決議などに基づく経済制裁への協力が目的でした。規制法案は、鹿児島沖で銃撃戦の末沈没した北朝鮮の不審船騒動を省みて、不審船が警告を無視した場合は射撃が可能になるよう強化しました。

 米軍に武器・弾薬も提供

 自衛隊と米軍が物品や役務を融通し合う「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」は現在、@共同訓練A国連平和維持活動(PKO)や人道的国際救援活動B周辺事態――の3分野に限定され、日本有事の際の規定が欠落していました。そこで、有事の際にも使えるようACSAを改定するとともに、「米軍行動円滑化法案」では、自衛隊が米軍に物品と役務を提供するよう定め、「自衛隊法改正案」では提供の手続きを定めるなど、国内法を整備することにしました。現在は共同訓練や周辺事態の際には、食糧や水、燃料などを提供し、輸送や通信などを行うとされていますが、武器・弾薬の提供は含まれていません。
このため、円滑化法案には有事の際に武器・弾薬も含める方向で検討し、米軍の部隊が民間の土地を通る際に塀や小屋などを壊した場合、国が補償することも盛り込む方針です。

 北朝鮮に生物・化学兵器

 「交通・通信総合調整法案」は、有事の際の港湾、道路などの公共施設と電波などの利用法を規定しますが、首相は空港と港湾を、米軍と自衛隊が優先利用できるよう管理者に要請し、従わない場合は指示できるように定めます。「捕虜等取り扱い法案」は、紛争時の捕虜の扱いや保護などを定めた「ジュネーブ条約」に沿う形で捕虜の保護や待遇、抑留条件、収容所の設置手順などを定め、「非人道的行為処罰法案」は、重大なジュネーブ条約違反に対する罰則を定めることにしています。このように有事関連7法案は、多方面に渡りきめ細かな具体策を盛り込んでいます。なかでも国民保護法制は、国と地方自治体、指定公共機関、自衛官・警察官・消防署員が一体となって動かなければ効果は発揮できません。

 サリンはテポドン以上の脅威

 自衛隊イラク派遣の国会承認では、イラクが開戦時に大量破壊兵器を保有していたかどうかという「イラク戦の大義名分」をめぐり激しく論争しました。ブッシュ米大統領やブレア英首相も両国内の批判を受けて、独自に調査委員会を設けて事実解明に乗り出しています。生物・化学兵器などの大量破壊兵器は、ブッシュ大統領が「フセイン元大統領は対イラン戦争やクルド族弾圧にも使った。自ら潜んでいた小穴にも隠匿できるし、廃棄も簡単だ」というように、テロリストが持ち運ぶのに便利で、しかも大量殺戮に威力を発揮します。フジテレビは最近、「北朝鮮が麻原・オウム真理教のサリン事件を参考に、生物・化学兵器の開発を進め、政治犯を相手に生体実験を行った」と報道番組で取り上げましたが、事実とすれば、核弾道ミサイルのテポドン以上に脅威となります。私は7法案の内容をさらに充実させて国会に提出、有事法制を完璧な姿にしたいと考えているところです。