北村からのメッセージ


  第80回(2月1日) 順調にイラク派遣 現地雇用が障壁に 

 全国高校サッカー選手権で長崎・国見高が6度目の優勝を達成。真におめでとうございます。190センチの長身で今大会に9得点をキック、得点王に輝いたFWの平山相太君は、高校生で唯1人、8月のアテネ五輪代表候補に選ばれました。ご活躍を期待します。
さて、先月19日に召集された第159通常国会は、アテネより早い6月16日がゴール。その直後に参院選の決戦が控えているだけに、開会冒頭から与野党の激しい攻防が続いています。小泉首相は施政方針演説で、イラク復興支援の意義と構造改革が着実な景気回復をもたらした成果を強調。自衛隊イラク派遣の承認、04年度予算の早期成立に向け、正面突破の決意を固めています。150日の会期中に処理する法案・条約は約150本あり、1日に1本を成立させる計算です。衆院安全保障委、農水委、武力攻撃対処特別委を担当する私の守備範囲は広く、終日国会を駆け回っています。一層のご支援をお願いします。

 “国家の名誉”説く

航空自衛隊小牧基地にて(平成15年12月24日撮影)


 「義を為すは、毀(そしり)を避け誉(ほまれ)に就くに非ず」――。首相は施政方針演説で、中国古代の思想家・墨子の言葉を引いて「国の名誉」を説きました。就任早々の所信表明演説では、痛みに耐える長岡藩の「米百票の精神」を引用しましたが、今回の難しい言葉は、「道義を行うのは、他人の悪口を恐れたり名誉を得るのではなく、人間として当然のことをする」という意味です。首相は自衛隊イラク派遣の基本計画を決定した際の記者会見で、「われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと務めている国際社会において、“名誉ある地位”を占めたいと思う。<略>いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない。<略>日本国民は“国家の名誉”にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成する」との憲法前文を引用しました。この“名誉”の言葉にこだわり、秘書官に墨子の言葉を懸命に探させたといいます。

 憲法前文引用し野党に逆襲

 首相は「世界平和のため、苦しんでいる人々や国々のため、国難を乗り越えて行動するのは国家として当然。その姿勢こそが、憲法前文の“国際社会の名誉ある地位”実現に繋がる」と訴えました。これは、今国会で野党が一致して、自衛隊のイラク派遣を憲法違反と抗議したのに対し、「憲法前文の遵守であって、対米追随ではない」との姿勢を示すことで、野党攻勢に逆襲したものです。民主党が論憲から創憲へ、公明党が加憲へと姿勢を転換して改憲勢力が既に3分の2に達し、数年中に憲法改正論議が高まると予想されることから、首相は平和憲法の理念を尊重することで、国民の支持を得ようとしたのでしょう。自衛隊派遣を支持する読売・産経VS派遣反対の朝日などマスコミが割れ、国論も2分しています。菅直人民主党代表は衆院本会議の代表質問で、「色々理屈を付けようが自衛隊を戦地に送ることは憲法の原則を大きく破るものだ。憲法改正を提起するのが筋ではないか」と批判しましたが、首相の方が遙かに説得力があり反対の世論は盛り上がりに欠けました。

 陸海空の派遣本格化

 お陰で自衛隊派遣は順調に進んでいます。私は昨年のクリスマスイブに、愛知の小牧基地で行われた、航空輸送部隊編成完結(結団)式に総理とともに出席、隊員を激励しましたが、空自本隊要員150人のうち、110人が1月22日に同基地を政府専用機でクエートへ出発。間もなくC130輸送機を使って現地での物資輸送に当たります。空自に次いで陸上、海上両自衛隊にも同月26日には、本隊要員の派遣命令が下され、陸自はサマワに宿営地を設営する施設部隊約80人がまず、2月3日に政府専用機で出発し、同月下旬から3月末にかけて、残りの本隊約440人を3回に分けて派遣し、4月以降には浄水・給水が主たる任務の人道復興支援を本格化させます。海自は、陸自の装備や物資を現地に運ぶため「おおすみ」型輸送艦を広島・呉から、同伴する護衛艦を神奈川・横須賀から2月中旬に派遣します。ご苦労ですが、いずれ佐世保基地の海自にも出番が回ってくるでしょう。

 強運の小泉首相だが

 国会の手続きも同29日までに、衆院イラク復興支援特別委での参考人質疑や予算委での復興関連03年度補正予算案が審議され、いずれも31日未明に本会議で可決。派遣承認案件は衆院を通過しました。イラクでは至る所で過激な自爆テロが無差別攻撃を仕掛け、一時は自衛隊派遣が困難視されましたが、フセイン元大統領の拘束で日本国内の世論も風向きが変わり、経済も明るい兆しとなりました。小泉首相はやはり強運の持ち主です。陸自先遣隊の報告では、@サマワでは治安を維持するオランダ軍への襲撃がほとんどなく、治安は安定しているA浄水・給水活動や医療支援などには現地のニーズが高いB宿営地を借りる地権者との交渉にめどが付いたC州をあげて派遣を歓迎している――などを挙げ、「派遣に支障はない」と太鼓判を押してしています。

 正当防衛だけはダメ

 しかし、自己完結型であまり人手の要らない給水業務などに、住民の7割を占める失業者が自衛隊雇用の期待をかけています。僅かな雇用を11部族に公平に配分できるか。これが満たされない場合は、歓迎ムードが突如反感に急変することも予想されます。また、安全とされるサマワで、爆弾を所持したテロ計画の容疑者5人が現地の警察に逮捕されたそうです。テロリストに対して自衛隊は、初めて海外での部隊行動基準(ROE)を決めました。身に危険が迫った場合、@口頭で警告A威嚇射撃B急所を外した危害射撃――の手順で武器を使用するとし、あくまでも正当防衛を貫く内容です。海上保安庁は先の東シナ海の不審船との交戦で危ない苦い経験をしましたが、プロのテロリスト相手の悠長な応戦では命が幾つあっても足りません。誤射は避けなければなりませんが、果敢な武器使用も時には必要でしょう。私は党の国防・内閣部会副部会長として、派遣隊員の安全を第一に考え、危険任務の遂行手順や現地の雇用問題などについて、色々献策していくつもりです。