北村からのメッセージ

 第79回(1月16日)通常国会開幕 焦点の道路公団民営化


 1月19日から通常国会か開かれます。7月に参院選が予定されているため、小泉内閣は04年度予算の早期成立を目指しますが、その前に2月から本格化するイラクへの自衛隊派遣の承認案件と派遣に必要な03年度補正予算案を処理しなければならず、国会は冒頭の首相施政方針演説を巡る各党代表質問から緊迫しそうです。とくに04年度予算案には、年金、地方財政、道路公団の3大構造改革が盛り込まれており、野党は一致して年金の財源など問題点を追求する構えです。また、陸上自衛隊の派遣予定地であるイラク南東部のサマワ地区の治安状況が悪化すれば、国会は紛糾が予想されます。私が所属する衆院武力攻撃対処特別委ではミサイル防衛(MD)システム導入に伴う武器輸出3原則の見直しなども緊急課題に浮上しました。米国のBSE(牛海綿状脳症)感染牛の禁輸対策では、衆院農水委理事として松の明けから「国会召集」が掛かりました。早くも多忙な毎日です。正月休みに皆さんとお会いし元気を取り戻しましたが、今年もよろしくご支援下さい。

 自己調達で新線建設

 通常国会は19日から6月16日までの会期150日間ですが、参院選(改選議員の任期満了は7月25日)があるため会期延長は難しく、参院選の日程は6月24日に告示、7月11日の投開票となる見通しです。民主党は「総選挙に次ぐ政権選択をかけた選挙」と参院選を位置づけ、小泉構造改革やイラク派遣、デフレ対策などで猛攻を加えようとしています。中でも道路改革では独自案を提示しているだけに、徹底追及する構えです。政府・与党協議会が昨年12月22日にまとめた道路関係4公団の民営化案は、新会社が通行料金を担保に建設資金を自己調達し、新線建設を進めるもので、現在の高速道路整備計画(9342キロ)の完成を可能にする案です。また、民営化後の新会社が受け持つ10兆円分の道路建設費を、規格の見直しなどで7・5兆円に削減しました。

 日本道路公団は3分割

 政府は関連法案を今国会に提出し、05年度中に民営化を実施します。同法案は@道路建設・管理などを行う「民営化会社」と、資産・債務を承継する「保有・債務返済機構」に上下分離A日本道路公団は東日本、中日本、西日本に3分割。本州四国連絡橋公団は経営安定時に西日本と合併。首都、阪神の両高速道路公団は単独で民営化B整備区間の残り約2千キロを造るのに20兆円以上かけるはずだった建設コストを、2・5兆円程度上乗せして計6・5兆円縮減し、13・5兆円に削減C不採算路線等5区間を「抜本的見直し区間」に設定し、整備手順の見直しを検討D民営化会社は自己調達資金で建設。債務は45年で返済。建設完了時に道路と債務は機構に移管E国土交通相は民営化会社と建設について協議。拒否されれば、他の地域の民営化会社と協議(複数協議制)。さらに拒否されれば、社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)で可否を判断F通行料金は平均1割程度引き下げ、夜間割引なども導入――を骨子としています。

 2推進委員が辞任し分裂

 これに対し、道路関係4公団民営化推進委員会の田中一昭委員長代理(拓殖大教授)と松田昌士委員(JR東日本会長)は「債務返済を最優先する推進委の意見書の基本部分を反映していない」として、委員を辞任。マスコミも「首相は建設継続を求める自民党道路族と妥協した」と批判しました。田中、松田両氏は「40兆円の債務を着実に返して、建設は新会社の採算の範囲内にすべきだ」と強調、田中氏は「これでは建設に歯止めが掛からず、小泉改革ではない」と首相に直訴し、辞表を提出しました。推進委は1昨年末、民営化後の新会社の道路建設を抑制し、4公団で40兆円にのぼる債務返済を優先する意見書を取りまとめた際にも、今井敬氏(日本経団連名誉会長)が委員長を辞任しており、これで2度目の分裂です。昨年10月末に解任処分を受けた日本道路公団の藤井治芳・前総裁は政府案決定の日に、石原伸晃国交相を相手に解任処分取り消しの行政訴訟を起こしており、道路公団の民営化は、最後までごたごたが続きました。

 猪瀬委員は一定の評価

 しかし、整備計画9342キロは、国土開発幹線自動車道建設審議会が、均衡ある国土の発展、地域格差解消の観点から決定したもので、多少時間が掛かっても「整備計画の実現は当然、大前提」(古賀誠・党道路調査会長)であるはずです。閑古鳥が鳴くような道路は困りますが、優先順位を入念に検討して着工路線を決めたうえ、未着工区間約2千キロの建設コストをさらに2・5兆円も上乗せして縮減する政府案は、無駄を省く姿勢の現れと高く評価でき、地域住民からも支持されるでしょう。小泉首相は「(推進委の意見は)ほとんど尊重された。よくやってくれた」と大満足。5日の年頭記者会見では、郵政民営化についても「官業分野の改革の本丸だ。今年秋ごろまでに結論を出し、来年の国会に法案を出す」と改革推進の決意を表明しました。民営化に最も熱心だった猪瀬直樹委員(作家)は「道路公団は3分割され、小さな茶碗になる。地元密着で建設歯止めにも繋がる。料金値下げの果実もある。建設費削減分は2・5兆円上積みされた。新会社には自主権が担保され、無駄な道路は造らずに済む」と政府・与党案に一定の評価を下しています。

 新会社の自主性尊重

 これまで国は、公団側に施行命令などで一方的に道路建設を命じてきました。だが、民営化ではこの枠組みを廃止し、事業中の区間は国交相が地域の会社と建設継続の協議をしたり、拒否されれば他の会社を打診する「複数協議制」を導入するなど、新会社の自主性が尊重されています。「抜本的見直し区間」では、採算性が極めて低く有料方式に適さない区間として、@北海道縦貫道の士別市―名寄市間24キロA北海道横断道の足寄市―北見市間79キロB中国横断道の鳥取県米子市内5キロ――の3区間を列挙。有料方式による整備続行が想定される第2名神(近畿自動車道)の大津市―京都府城陽市間25キロと、同じく京都府八幡市―大阪府高槻市間10キロの2区間は「必要性を見極める必要がある」と指摘しています。これら5つの「見直し区間」の計143キロは、当面、一般国道で代替するなど整備の先送りを検討、構造・規格を大幅に見直す区間としています。

 参院選目指し論戦白熱

 民主党は総選挙のマニフェスト(政権公約)に、「首都圏など一部を除き高速道料金の無料化、借金40兆円の返済と整備計画の高速道建設は道路特定財源で賄い、4公団は廃止する」ことを掲げました。従って、通行料金を借金返済に回すよりも、それを担保に資金を集めて新規路線建設に役立てるという、政府案には強く反発するでしょう。また、年間6兆円の道路財源を使って、採算の悪い幹線道路の建設費を国と地方自治体が負担する「新直轄方式」が、既に03年度予算から認められたことに対しても、「税金の無駄遣い」と批判すると見られます。このほか、野党は参院選を念頭に、年金改革、三位一体の地方財政改革、自衛隊のイラク派遣などを巡って、激しい論戦を挑んでくると思われます。これらの問題点は、昨年末のホームページで何回も取り上げたので重複を避けますが、私は緊迫する衆院の各委員会や党部会の持ち場を守り、今年も大いに活躍したいと念じています。