北村からのメッセージ


  第78回(04年元旦) 内外多難な年明け 改革初年度の予算


 新年おめでとうございます。佐世保は年末に早くも初雪。まずは皆様のご健勝をお祈り申し上げます。政局も年明けから内外の課題が山積、厳しい寒波が訪れています。与党議員は昨年末、小泉改革の実現を目指し、三位一体の地方財政改革、年金改革など大幅な税制改正が絡む04年度予算編成で悪戦苦闘しましたが、諸改革初年度の予算としては立派な枝振りの中立型予算・施策が立案できたと安堵しています。とりわけ、長崎新幹線の07年度着工を目指す調査費を獲得したことは、皆様のご期待にそう成果であったと喜んでいます。月末に開幕の通常国会では、予算案と関連法案の早期成立に全力を挙げますが、野党は夏の参院選を意識して自衛隊のイラク派遣や年金改革案に強く反対しています。国会は冒頭から紛糾が予想されますが、私は衆院安全保障委、武力攻撃対処特別委でイラクの人道・復興支援、本土のミサイル防衛など外交・防衛に全力投球するとともに、農水委理事として、農作物輸入で厳しい局面に立つ近隣諸国とのAFT(自由貿易協定)締結に尽力。さらには党遊説局次長として参院選対策にも配慮し、国会を無事乗り切りたいと念じております。皆様の一層のご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。

 国民1人550万円の借金

 総選挙の政治空白を埋めようと、慌ただしい期間での04年度予算編成でしたが、一般会計総額は03年度当初予算比0・4%増の82兆1109億円。歳入のうち国債の新規発行額は同じ0・4%増の36兆5900億円に膨張、国の借金は過去最悪となりました。税収が41兆7470億円しか見込めず、歳入に占める国債依存度は戦後最悪だった03年度と同じ44・6%で、予算のほぼ半分を借金で賄う形です。国債残高は国内総生産(GDP)と同規模の500兆円に近く、地方負債の200兆円を合わせると700兆円の借金となり、国民1人当たりが約550万円の借金を背負う姿になりました。このため、歳出は、政策的経費の公共投資を3・5%減の8兆6100億円に削減、地方自治体の地方交付税交付金等を5・2%減の16兆4900億円と大幅に削減しましたが、借金返済と利払い費にあたる国債費は4・6%増の17兆5700億円に増え、社会保障関係費も高齢化の進展や基礎年金の国庫負担引き上げなどで前年度より3千億円膨らみました。

 7年着工視野に長崎新幹線

 こうした厳しい歳出状況のなかで、整備新幹線建設費は前年度同額の686億円を維持、さらに追加配分したのに加え、北海道、北陸、九州3路線の未着工区間(博多起点の長崎ルートは武雄温泉―長崎間)の07年度新規着工を視野に、駅整備など建設が前提の調査に充てる「整備新幹線建設推進高度化等事業費」を31億円から35億円に増額しました。自民党が参院選対策を考慮し強く要求したとはいえ、これは県民の皆様の熱意に応え県選出議員団が一丸となって行動した結果によるものです。税制改正では、公明党が基礎年金の国庫負担引き上げの財源として強く要求していた所得税と住民税の定率減税は、05〜06年度に縮小・廃止し、07年度をメドに消費税を含む税制改正をする方針を明記。「任期中は消費税を上げない」と公約してきた小泉首相の総裁任期が切れた後に、消費税引き上げを含む大型税制改正の意向を鮮明にしました。民主党が総選挙のマニフェスト(政権公約)に年金改革の財源に消費税の引き上げを掲げ、欧米でも2桁台の同税を採用していることを思えば、将来の最低限引き上げは、国民の理解が得られる、やむを得ない措置といえましょう。

 たばこに替え所得譲与税

 税制改正のもう一つの焦点だった三位一体の改革は、前回のホームページで詳しく述べたので重複を避けますが、たばこ税の移譲案には地方団体の反発が強かったため、財務省が同案を撤回、補助金1兆円削減の税源移譲策として、所得税の1部である4249億円を地方自治体に譲渡する「所得譲与税」を創設することなりました。教職員の給与を国が補助する義務教育費国庫補助金の退職手当など約2300億円は、前回説明した通り、「税源移譲予定交付金」に切り替えました。これらは私たち有志議員が設立した「地方自治を憂える会」が奔走した結果によるもので、地方自治体も次善の策と歓迎しており、短期間に成果を挙げたものと自負しております。しかし、補助金カットの半分以下に抑えられた所得譲与税は、地方交付税の形態に近く、地方が自ら税源を持ち、主体的に自治を運営することには繋がりません。地方が欲しいものは、政府が昨年6月に方針を決めた基幹税の移譲であり、「憂える会」では、同税を06年度までに国税の所得税から地方税の住民税に本格的な税源移譲を図り、消費税の地方配分を厚くするまでの“つなぎ措置”と判断しています。

 高齢者層に辛い増税

 04年度改正ではこのほか、最大500万円の減税が受けられる住宅ローン減税は1年延長、土地税制の固定資産税・都市計画税は自治体の判断で商業地の税負担軽減とするなど景気対策のうえから優遇していますが、65歳以上の老年者控除の廃止や年金収入を対象とした公的年金等控除の縮小など、高齢者層を中心に個人向けで総額5千億円の辛い増税案も盛り込まれています。年金改革の財源確保上やむを得ない措置ですが、国会では歳出削減や増税を巡って野党が反発、論戦が展開されそうです。

 将来1兆円のMDシステム

 予算編成で注目されるのは、防衛費が1・0%減の4兆9028億円と過去最大の削減率となったことと、逆に巨額のミサイル防衛(MD)システムを導入したことです。防衛庁は当面のMD導入費を5千億円と見込んでいますが、維持・管理費などを加えると将来は1兆円を超える見通しです。04年度予算では、MD関連経費として契約額で1068億円(07年度の初期配備を目指し初年度の04年度分は145億円を計上)を盛り込みました。ミサイル防衛は北朝鮮のミサイルの脅威などに対処するため、政府が昨年末の安全保障会議と閣議で導入を決定しました。その際、福田庚夫官房長官は「国民の生命・財産を守るため、ほかに代替手段のない唯一の手段として、専守防衛の理念に合致。周辺諸国に脅威を与えるものではない」との談話を発表。MDを効果的に運用する法制整備を検討すると表明しました。これは野党が「集団的自衛権」論争を挑むのを意識した発言です。

 2段階でミサイル迎撃

 MDの法制整備と国民保護法の制定は、私の属する衆院武力攻撃対処特別委の主たる任務です。北朝鮮の核開発抑止を討議する日米韓中露朝6カ国の6者協議は難航し、協議再開が年明けに持ち越されています。北東アジアが緊迫する情勢下にあっては、MDシステムの整備は一刻の猶予も許されません。MDについて政府は、これまで日米共同技術研究を進めてきましたが、緊急性が高まった他国からの弾道ミサイルの脅威に対処するため、研究とは別に米国が独自に開発したシステムを購入することに決めたものです。導入するのは、首都圏などに配備する陸上配備型のパトリオット「PAC3」と、佐世保基地などのイージス艦に搭載する海上配備型のスタンダードミサイル3「SM3」で、2段階に分けて弾道ミサイルを迎撃する構想です。北朝鮮がノドンなど射程千キロの弾道ミサイルを発射した場合、10分程度の短時間で到達するため、適切に対処できるよう@弾道ミサイル発射が予想される場合はあらかじめ防衛出動を命じるA前兆なく飛来したミサイルには、現場の指揮官の判断で迎撃できる――などを骨子に、自衛隊法を改正する方針です。

 国際テロ対策を万全に

 MD導入のために正面装備費は8010億円に膨らみますが、旧ソ連を仮想敵国として着上陸侵攻に備えてきた北海道の戦車などを縮小、MDを除く正面装備費は542億円減の7088億円に抑制。04年末に策定する新たな中期防衛力整備計画を先取りし、防衛政策の見直しを図る基本方針も決定しました。イラク派遣の陸海空3自衛隊の活動費は135億円が認められました。空自が昨年末に先遣隊を派遣したのに続き、陸自のイラク派遣も2月から本格化しますが、国際テロ組織が「自衛隊を派遣すれば東京を報復攻撃する」と警告しています。核弾頭ミサイルに限らず、サリン系など大量破壊の化学兵器が国際テロ組織によって公共施設や繁華街に撒かれては一大事です。テロの未然防止と緊急事態対処に51%増の338億円を04年度予算に計上しました。既に警察庁は、官庁、公共施設、基地、原発などの警備を厳重にしていますが、衆院武力攻撃対処特別委では、有事法制の国民保護法案の審議とともに、テロ対策にも万全な目配りをしなければなりません。松の内は英気を養い縦横に活躍したいと張り切っています。本年もよろしくお願いします。