北村からのメッセージ


  第75回(10月16日)秋の政局第6弾 マニフェスト選挙 

テロ対策特措法の2年間延長を実現した小泉首相は10月10日、予定通り国会解散を断行しました。11月9日の総選挙に向けて、自民、民主の2大政党が各選挙区で党の浮沈をかけて激突しています。お陰様で私は長崎4区の自民党公認を受け、元気いっぱい戦っております。臨時国会では公職選挙法も改正されました。同法142条第1項は、選挙運動に使用する文書図画について「規定のはがき、ビラのほかは頒布できない」とされていましたが、政党発表の政権公約(マニフェスト)冊子だけは解禁に改正されました。しかし、ホームページによる選挙運動は解禁されず、「公示後の選挙運動期間中、法定外の文書図画の頒布は禁止」(公選法146条)の対象に据え置かれています。このため、公示(28日)後は「北村からのメッセージ」、「北村の政治活動」ともに更新出来なくなり、選挙後までお休みさせて頂くことになりました。IT(情報技術)時代にインターネットが未解禁なのは真に残念ですがご了承下さい。そこで、公示前の段階の今回は、私個人の政治活動には一切触れず、政局シリーズ最終回として2大政党の政権公約に限って紹介しました。

 総裁選公約が下敷き

 今回の総選挙は「マニフェスト選挙」と呼ばれています。マニフェストは、政策の数値目標や期限、財源を明示するもので、イタリアが本家。日本ではこの春引退した北川正恭三重県知事らが提唱して以来、各種選挙でも争点に掲げることが定着してきました。小泉首相は総裁選の公約に@金融・税制・規制・歳出の改革を推進し、デフレ克服、経済活性化を実現A2010年代初頭にプライマリーバランス(財政の基礎的収支)を黒字化B06年度の名目経済成長率2%を達成C530万人雇用創出プログラムの推進D郵政事業を2007年4月から民営化、来年秋ごろまでに民営化案をまとめ2005年の通常国会に法案提出E道路関係4公団を2005年度から民営化する法案を来年の通常国会に提出F自民党を改革し国民に信頼される政治を実現――の7項目をA4版1枚にまとめ、戦いました。自民党のマニフェストは、首相の総裁選公約をスローガン化し、7つの「宣言」と10の重点項目に要約。別枠に期限、数値目標など具体的内容を併記しています。

 7宣言と重点10項目

 まず、「宣言」は、@日本の明るい未来を創る(04年度に年金制度を、次に介護・医療制度を改革。「待機児童ゼロ」作戦の推進など)A国民の安全を守る(5年以内に治安回復。3年で空き交番ゼロ。防衛庁を省に昇格)B行政のムダを省き、簡素で効率的な政府を目指す(05年に道路公団、07年に郵政公社の民営化など「官から民へ」の徹底。2年以内に公務員天下り制限、特殊法人改革の継続など小さな政府実現。06年度までに4兆円の国庫補助金改革。都市再生、観光立国など地方の再生)C思い切った経済活性化(04年度に不良債権の比率半減。「530万人雇用創出プログラム」の達成。06年度GDPの名目2%成長を実現など)D国の基本を見直し(05年に自民党の憲法改正草案をまとめる。教育基本法を改正)E国益に沿った外交展開(北朝鮮の日本人拉致問題を必ず解決。ODA、FTAなど国益に沿った経済外交推進など)F自民党が日本を変える(改革政党・自民党が改革の芽を大きく育て日本を再生)――の7つを国民に約束しています。

 結党50周年に改憲草案

 この7宣言をもとに、重点項目は「官から民へ」「デフレに勝ち抜く日本へ」「人間力を高める教育改革」などの10項目を設けて、官製市場の開放策やデフレ脱却・経済活性化策などをA4版21ページにわたって詳述しています。とくに、日米同盟と国連重視の主体的な外交・安全保障政策を推進するとともに、内政面では「教育改革」に重点を置き、教育基本法の改正ばかりでなく、ゆとり教育の見直しや、正しい食事の取り方・望ましい食習慣の定着を図る「食育」も重視しています。憲法改正は結党50周年の05年11月に党草案の策定する方針です。政策立案機能を強化し「改革推進政党」へ脱皮することも「党改革」に位置づけました。年金改革は総選挙の争点の1つになることから、急遽追加されました。

 郵政民営化は玉虫色

 総選挙では政権を争う2大政党が、国民に分かりやすく政策の対立軸を明示して戦っていますが、国民に掲げた政権公約が達成できなければ、政党の結果責任が厳しく問われます。それだけに責任政党の自民党は、政権公約の制定にじっくり時間をかけて取りまとめました。小泉首相が「総裁選の公約が総選挙の党公約になる」と明言してきたため、党内に異論がある郵政、道路公団民営化などの達成期限では、なおさら慎重にならざるを得ませんでした。結局、郵政民営化については「07年4月から民営化するとの政府の基本方針を踏まえ、日本郵政公社の経営改革の状況を見つつ国民的議論を行い、来年秋頃までに結論を得る」とし、首相の基本方針を明記する一方、党の方針決定が来年秋以降に先送りされてもよいような、”玉虫色“の表現に落ち着きました。いずれにしても、自民党のマニフェストはグランドデザインを明確にし、政権政党として国民の負託に応える内容です。

 民主は脱官僚宣言

 一方、民主党が5日の合併大会で打ち出した政権公約は【失業のない、つよい経済の再生】【税金の無駄遣いをやめ、公正で透明性のある政治を実現】【「自立力」をもった活力に輝く地域を創造】【子どもや高齢者、女性が安心して暮らせる社会をつくる】【国民の命と健康を守るつよい社会を実現】【国民合意の下で「論憲」から「創憲」へ】の6つをスローガンに、約50項目、19ページの膨大なものですが、小泉首相の簡潔な政権公約にあやかって、重点項目は「脱官僚宣言 5つの約束 2つの提言」に絞り込んでいます。5つの約束では@霞が関からの“ひも付き補助金”の全廃(4年以内)A政治資金の全面的公開B道路公団廃止と高速道路無料化(3年以内)C国会議員の定数と公務員の人件費を1割削減(4年以内)D川辺川ダム、諫早湾干拓、吉野川可動堰など無駄な公共事業の中止――を挙げ、2つの提言では@基礎年金の財源に消費税を充て、新しい年金制度を創設A小学校の30人学級を実現、学校週5日制を見直す――を骨子としています。

 “絵に描いた餅”の公約

 「2大政党が政策を競い合う小選挙区制という仏に魂を入れた」と菅直人代表は得意満面ですが、出来もしない高速道の無料化(道路公団の廃止)、4年以内の補助金全廃など“絵に描いた餅”みたいな公約が多く、無責任な政党ぶりを見せつけています。紙数の都合で共産、社民両党の政権公約は掲載しませんが、野党の無責任ぶりは大同小異です。総選挙で国民がどちらのマニフェストを信頼し、期待を寄せるか。両党の公約を熟読・比較すれば一目瞭然といえるでしょう。