北村からのメッセージ

  秋の政局第5弾 総選挙勝利の布陣

 9月20日の自民党総裁選で圧勝した小泉首相は、党役員人事・内閣再改造を2日間で電光石火に断行、首相自慢の「改革推進内閣」を発足させました。10月解散・11月総選挙を勝ち抜くため、首相に次いで国民人気の高い安倍晋三官房副長官を幹事長に抜擢。新内閣には、郵政民営化など構造改革を推進するため、竹中平蔵経済財政・金融相を留任させ、石原伸晃行政改革相を道路公団民営化担当の国土交通相に横滑りさせたほか、若手新人を大幅に起用、総選挙勝利と小泉改革達成を睨んだ両面作戦の布陣を固めました。自民党内には、民主・自由両党の合体など野党勢力の結集で、総選挙に一種の危機感も漂っていましたが、首相、安倍氏の2枚看板と清新内閣の誕生で野党を蹴散らし、無党派層も引き寄せることが可能になると私は安堵しています。世代交代が進んだことで我々若手議員も活躍の場が広がりました。その節目となる総選挙に必勝を期したいと念じています。


 人事の天才・手品師

 「純ちゃん総理は人事の天才」(石原慎太郎都知事)「手品のようだ。安倍幹事長の花火をパーンと打ち上げた隙に、改造の方でコソコソやった感じだ」(森喜朗元首相)――。中曽根康弘、宮沢喜一両元首相も、鮮やかな小泉人事には感嘆したというか、舌を巻いたようです。確かに小泉マジックは相当なものでした。まず総裁選で見せたのが、派閥分断統治(ディバイド・アンド・ルール)です。青木幹雄参院幹事長を味方に引き込み、最大派閥の橋本派を分断、わが宏池会を自主投票に導き、小里、河野両グループの支持を取り付けるなど、党員票、議員票ともに過半数を大きく上回る大量得票で圧勝しました。青木、森氏らは、「スキャンダル騒ぎの幹事長では総選挙に勝てない」と、山崎拓幹事長の更迭を迫り、堀内光雄総務会長も青木氏とともに竹中財政・金融相の交代を条件に首相を支持してきました。これを野中広務元幹事長らは「人事の毒饅頭を食った」と批判しました。


 連獅子で選挙の顔

 首相は党3役人事で山崎幹事長を外し、青木氏らの条件を満たす姿勢を示しました。だが、盟友・山崎氏を切る代わりに格上の副総裁に祭り上げて同氏の面子を立て、総裁と幹事長の派閥を分ける“総・幹分離”の伝統を破って、出身派閥の森派から腹心の安倍氏を幹事長に大抜擢、経済閣僚の呼び声が高かった堀内会長は、“毒饅頭”批判を逆手にとって留任させ、首相を支援した橋本派の額賀副志郎幹事長代理だけを論功行賞で政調会長に起用して、森、堀内、橋本(青木グループ)派の新主流3派体制を固めました。閣僚経験もない当選3回の安倍氏が49歳の若さで抜擢されたことは、あっと驚く“タメゴロウ”人事でしたが、安倍氏は北朝鮮拉致問題の強硬姿勢で名を売り、首相にしたい候補のナンバー2と世間で評価されており、首相との連獅子で“選挙の顔”になれば、民主党の“双頭の鷲”(いや菅直人、小沢一郎両氏の頭文字を取れば、カン・コの閑古鳥か)を打倒することになりましょう。総裁選での首相の敵将・亀井氏も「君になってとてもうれしいよ。お父さん(安倍慎太郎元幹事長)には本当に世話になったから」と幹事長就任の夜、祝電をかけたといいます。選挙戦術としては、森氏に限らず党内でも異論のない“打ち上げ花火”でした。


 改革推進の顔ぶれ

 ところが、一夜明けると、マスコミがいう“サプライズ人事”はさらに発展しました。青木氏らが議院内閣制の建て前から民間人起用の削減を主張、とりわけ竹中氏の退任を強く求めていましたが、竹中氏は噂された財政相と金融相の分離もなくそのまま兼務で続投、川口順子外相も留任し、民間人起用は1人減、女性も1人減の3閣僚を維持しました。小泉改革を主導する看板閣僚を降ろさなかったことで、首相は「顔ぶれを見れば、小泉内閣の改革推進路線は微動だにしないことが分かる」と記者会見で胸を張りましたが、青木氏らの要求には「ゼロ回答」で押し通し党内にしこりを残しました。さらに17閣僚のうち6閣僚が留任し、石原氏が国交相、谷垣禎一国家公安委員長・産業再生相が財務相へと2人が横滑りしたため、ベテランでは麻生太郎政調会長が総務相に、中川昭一元農相が経済産業相で再入閣しただけ。新人も7人起用し平均年齢は59・3歳と若返りました。留任、横滑りを除けば9ポストの配分と少なく、ベテラン入閣期待組の不満は募るばかりです。

 徹底した秘密主義

 親しい政治部記者は「調整型の佐藤栄作元首相はじっくり派閥のバランスを考え“人事の佐藤”の名声を残した。小泉首相は新人抜擢と閣僚養育の手法を吉田茂元首相に学び、しかも、強敵の亀井派から1本釣りで3閣僚も採って同派を攪乱し、反旗を翻した高村派を完全に干し上げた。まさに“人事の手品師”だ。国民受けする外交は自らの親政とし、操り人形の川口外相を留任させたのだろう。しかし、政党を転々とした“渡り鳥”の元キャスターや元体操選手の女性議員を起用するあたりは、国民人気が頼りのポピュリズム(大衆迎合政治)信奉者としても行き過ぎだ」と批判しています。新閣僚の多くは、官邸に呼び出される途中、「俺のポストはどこかね」と役所から派遣されたSPにこっそり聞いて、初めて自分のポストが分かったといいます。また組閣名簿が漏れないよう、組閣本部で初めて名前を読み上げ、筆記させるなど有無を言わせぬ独断的手法。徹底した秘密主義にマスコミは泣きましたが、吉田ワンマン顔負けの小泉流人事は、やはり人事の天才といえましょう。


 選挙後は政策攻防

 政局は、臨時国会でのテロ対策特措法改正案を巡る与野党攻防のあと、10月中旬までに国会解散、11月9日または16日の総選挙が確実視され、緊迫して参りました。選挙後も年金改革など来年度予算編成のヤマ場が控えています。政策転換を否定し改革路線を突っ走る首相に対し、デフレ克服策を強く求める非主流派は、予算編成で再び激突すると予想されますが、経験不足、能力未知数の新人閣僚がこれをどう捌くか注目されます。とはいえ、多くの新人が起用されたことは、世代交代を促し、沈滞した政界に清新溌剌の気風を呼ぶものと我々若手は期待し、大きな励みになっています。3、4回当選で国政の重責を担うためには、まずは総選挙で大勝し、政策課題に刻苦勉励し、精進を重ねることが重要であると自覚しています。皆様のより一層のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。