北村からのメッセージ

 第70回(8月1日) 波乱含み、秋の政局 11月総選挙へ            

 イラク復興支援特措法が無事成立して通常国会は7月28日に閉幕、政局の焦点は自民党総裁選と解散・総選挙へ移りました。9月20日の総裁選で小泉首相が再選されるのはほぼ確実で、首相は直ちに党役員人事・内閣改造を断行。同月中に臨時国会を召集して継続審議のテロ対策特措法を成立させた後、10月初旬に国会を解散する腹を固めたようです。しかし、総裁選や内閣改造をめぐる首相と党内非主流派の対立は日増しに強まっており、そのしこりが残れば国会運営にも響き、11月の初・中旬と予測されている総選挙の期日が遅れることも想定されます。さらに、イラク情勢や国内の景気動向が政局に影を落とし、政治日程全体が大幅に狂うことも予想されます。総裁選までの約50日間は波乱万丈の政局ですが、私は長崎県域の代表として、また国政を担う者として、いかなる局面に対応しても、地域振興と国家の安全・繁栄を目指し、全力投球したいと決意いたしております。


 与党党首会談で大筋合意

 10月解散、11月総選挙の流れは、7月3日の与党党首会談で一挙に加速しました。同会談では、総裁選の前倒しを前提に、9月中旬に臨時国会を召集して11月に期限切れとなるテロ特措法改正案を成立させることで合意しました。それまでには与党内の激しい抗争と駆け引きがありましたが、秋政局は小泉首相のペースで進展したといえましょう。その火ダネは、首相の盟友・山崎拓幹事長が点けたとマスコミは見ています。幹事長は、首相に秋政局のフリーハンドを持たせるため、通常国会を約50日間大幅延長し、イラク復興支援特措法案とテロ特措法改正案を強行採決に持ち込み、国会混乱が生じれば「7月末解散」で対決するシナリオを描きました。これに対し、法案成否のカギを握る青木幹雄参院幹事長は「改正案を通常国会で上げなければならないという理屈はない」と押し返し、延長幅を40日間に抑えて、テロ特措法改正案を継続審議に持ち込む方向を定めました。

 同時選挙に公明強く反対

 非主流派ながら、参院内に橋本派の半数近い勢力を擁し、国会運営に強い影響力を持つ青木氏は、議員内閣制を盾に竹中平蔵経済財政・金融相ら民間人閣僚の更迭と政策転換を条件に、首相への協力姿勢を示していますが、さらに、総裁選に向けて発言力を強めようと構えたわけです。この巻き返しを受けた山崎氏は、6月末の大手紙政治部長会との懇談で「これでは、テロ特措法改正案の臨時国会処理には時間がかかるし、予算編成など政治日程が立て込んできて秋や年明けの解散は難しくなる」とぼやき、総選挙は来年夏の衆参同時選挙になることを匂わせました。これを伝え聞き、驚いたのが同時選挙に強く反対していた公明党。同党の冬柴鉄三幹事長は、テロ特措法改正案の早期成立を図るため、臨時国会の早期召集を小泉首相に力説し、与党党首会談で9月中旬召集の合意が成立しました。同時選挙だと、4枚の投票用紙にそれぞれの選挙区、比例区を4回も書き込まなければならず、支持母体(創価学会)の選挙運動が分散され、組織力が効果的に機能しないし、自民党との選挙協力も効果が発揮できない――というのが公明の主張です。

 10月解散、11月総選挙

 現に5月の徳島、7月の青森両県知事選で公明党は、自民党が推す候補の勝利に貢献し、自公選挙協力の証を立てました。公明党は衆院選の各地方区に2万5千人程度の支持者を抱えていますが、「同日選だと自公協力まで手が及ばない」(神崎武法代表)と、自民党を牽制。自民党内でも、三木政権末期の衆院任期満了に伴う総選挙で大敗した経緯や、1年先の政治情勢が読めないことから、衆参同時選挙を嫌がる空気が強まっていました。一方、党内抗争回避のため、総裁派の森派が提唱した総裁選の前倒しには、非主流派は強く反発。繰り上げに必要な両院議員総会の開催には応じず、規定通り9月末に総裁選を実施するよう主張しました。実際に、非主流3派(橋本、江藤・亀井、堀内派)は計2百人を超えて党所属国会議員355人の過半数を占め、阻止できることから、総裁選は同月20日に決まり、その直後に内閣改造、同25、6日ごろ臨時国会召集、10月10日(大安)解散、11月9日(先勝)または16日(友引)総選挙――の政治日程がほぼ固まりました。

 10日なら話し合い解散

 解散・総選挙は10月のほかに、
@ 年明け通常国会の1月冒頭解散
A 04年度予算案成立後の4月初旬解散
B 来年7月の衆参同時選挙――の計4通り考えられますが、@のケースは予算成立が1ヶ月以上遅れるなど国政に空白が生じるし、Aの場合も参院選が接近し過ぎると、総選挙で大勝したとしても『振り子の理論』で参院選ではしっぺ返しを受ける恐れがあり、やはり秋口解散が望ましいとして、党内は総選挙に向け走り出しています。しかし、仮に9月26日に臨時国会を召集しても、所信表明演説に衆参両院での代表質問と予算委を1日ずつ開けば、翌月10日の解散までは1週間足らず。この間にテロ特措法改正案を成立させるのは至難の業です。早くも、「10日なら民主党との話し合い解散だ。そうでなければ、10月末解散で11月30日(大安)だろう」と囁かれています。

 首相は独裁者

 その場合、障害となるのが10月14日告示、26日投票の衆院統一補欠選挙です。補選の行われる衆院4選挙区のうち、神奈川9区と大分1区は総選挙から新しい区割りが適用されるため、有権者は補選と総選挙とで候補者の顔ぶれも変わるからです。混乱を避けるには、統一補選告示前の10月初旬解散が望ましく、首相は着々とその布石を打っています。

 『首相は独裁者だ』(野中広務元幹事長)、『まるでヒットラーだ』(江藤隆美元運輸相)、

 「嫌だったら総裁を代えりゃいい」(小泉首相)――。この応酬は、首相が7月発売の中央公論のインタビューで「総裁選で私が勝ったら、私の方針に従ってもらう」と語り、総裁選での公約を、再選された場合は次期総選挙の党の公約と位置づけたことが発端です。首相の公約は
@ 郵政民営化を新総裁任期の3年間で必ず実現
A 地方への補助金の4兆円削減と税源移譲など大胆な地方分権の推進
B 道路公団改革の徹底――などを柱としています。

 踏み絵発言に激高

 首相はこの公約を、保岡興治・党国家戦略本部事務総長らに示した際、「改革に賛成する人、しない人をはっきりさせる」と強調、内閣改造の判断材料とする“踏み絵”的な考えを示唆したといいます。この“踏み絵”発言は後に否定したものの、首相が党部会などで議論を積み上げ政策を調整する制度を無視し、トップダウン型で党の公約を立案・決定する姿勢を示したものとして、非主流派はひどく激高しました。マスコミは、首相が反小泉勢力を再び「抵抗勢力」と印象づけ、総裁再選に有利な世論を形成しようと“挑発的行為”に出たと一斉に報じました。野中氏は「首相の思い上がりだ。我々も小泉さんに代わる総裁を考えている」と記者団に語り、統一候補の擁立を画策しています。マスコミは対抗馬に堀内光雄総務会長らベテラン、麻生太郎政調会長、平沼赳夫経済産業相、高村正彦元外相ら世代交代組の名を上げていますが、前回出馬の麻生氏は首相の支持率が高いことから断念、平沼氏も派閥先輩の亀井静香前政調会長を出し抜いて出馬する意欲はなく、小派閥を率いる高村氏はむしろ入閣を望んでいるといわれるなど、各氏の思惑はバラバラです。

 自民に有利な戦い

 今のところ、「誰も出ない時は私が立つ」と宣言した亀井氏のほか、藤井孝男元運輸相(橋本派)、渡辺喜美氏(無派閥)らが出馬を表明していますが、若手が推薦人を20人集めるのは容易でなく、対立候補の一本化は難航しています。親しい政治記者は「イラク情勢や景気の激変がなければ小泉首相の再選は95%間違いない。首相は内閣改造で、民間人の女性閣僚は更迭しても、竹中経済財政金融相、塩川正十郎財務相、福田康夫官房長官の骨格は残し、政策転換はしないとの姿勢を貫くのではないか」と予測しています。確かに首相が現在、政局の主導権を握っていることは、誰しも認めるところ。だが、一寸先は闇の政治の世界。この50日で何が起きるかは分かりません。幸い、選挙目当ての勢力結集で合体を目指す民主、自由両党、筆坂秀世氏の女性スキャンダルでイメージダウンの共産党、辻元清美氏の秘書給与詐欺事件で党崩壊の危機にある社民党など、野党陣営は弱体です。

 政策・理念なき野合

 引き伸ばし戦術とはいえ、野党自ら提出の外相問責決議案に牛歩戦術とは恐れ入りました。民主党による自由党の吸収合併は、「政策・理念なき野合」で企業合併よりお粗末。長崎1区など両党の競合区は30以上もあり、これをどう調整して合併出来るのか。泥縄の野党に対し、自民党は総選挙で有利な態勢にあります。その好機を捉え、私は懸案の法案を処理し、党を挙げて総選挙に大勝し、国民の期待する政治を実現したいと念じています。