北村からのメッセージ

 公選法改正 第5回(11月1日) 

 長崎くんちを境に秋は一段と深まりました。皆さんお元気ですか。富山国体の少年男子決勝ではサッカー(国見高)、ラグビー(全長崎)ともに長崎勢が優勝。渡哲也、吉永小百合熱演の「長崎ぶらぶら節」も全国で好評を博すなど、長崎が今注目されています。

 私は皆さんの温いご支援を賜り国会に議席を得て早四カ月が経ちました。波乱に富んだ二十世紀を彩る政治家に名を連ねたことを誇りに思い、二十一世紀の新生日本を切り拓くべく、衆院内閣、安保対策、災害特別の三委員会を舞台に活躍しております。

 しかし、総選挙後は「ぶらりぶらりというたもんだいちう」ような呑気な場面は一度もなく、臨時国会では景気浮揚の補正予算案を初め、公職選挙法改正案、あっせん利得処罰法案、少年法改正案、永住外国人地方選挙権付与法案、健康保険法・医療法改正案、IT基本法案など重要法案が目白押し。与野党が激しい攻防を続け、混迷を深めています。
 臨時国会の折り返し点でようやく最大懸案の公職選挙法改正案が10月26日に成立しました。その過程では約20日にわたる審議拒否など徹底抗戦した野党。「議会ルールに従い粛々と処理した」と、数を頼りに形式的な立法手続きを押し進めた与党。そこには「言論の府」としての論理、論争はほとんど見られず、力で対決する物理的攻防だけが展開されました。今世紀の掉尾を飾る歴史的な国会が議会制民主主義の危機を露呈する結果になってしまったことは、国政に初参加したものとして極めて残念至極。新世紀は何とかして我々新人の手で国会を改革し、本来の政治を取り戻したいと決意に燃えています。
 参院比例代表選に非拘束名簿式を導入する公選法改正案は、先の総選挙で敗北した自民党が来年夏の参院選に危機感を強め、急浮上したものです。その後、久世公尭前金融再生委員長(参院議員)が比例代表名簿のランクを上げるため、資金提供を受けていた問題が表面化し、法改正の動きに拍車が掛かりました。今後の与野党攻防の一つであるKSD中小企業経営者福祉事業団の背任容疑も会員集めが事件の根底にあるようです。
 現行拘束名簿式では、候補者が名簿の上位ランクを獲得したい一心で、党員・党友拡大に無理な努力をする。だが、その論功行賞で当選順位がいったん名簿に確定(拘束)すれば上位ランク者は当選確実となる。そうなると支持団体の動きが止まる。選挙期間中も運動が盛り上がらないーなどの悩みがありました。そこで個人名か政党名のいずれかで投票、その集計で各政党の総得票数を算出しドント方式で配分するのが非拘束名簿式です。
 自民党はこれで緩みかけた支持母体を引き締め、関係団体の票を掘り起こそうと期待したわけです。しかし、非拘束式は旧全国区選挙の復活を意味します。全国区は広すぎて一巡もできず、膨大な選挙費用を伴うことから金権選挙の弊害を招いたり、タレント候補の急増で参院が“芸能院”に様変わりしたとの批判を浴びて廃止されたものです。
 野党側は候補者個人の票が政党の票として合算されることが「大量得票者の票横流し」であると全国区の復活に猛反発し、民主党は広域ブロック式の改正案で対抗しました。確かに長嶋茂雄や若の花、和ちゃんを担ぎ出せば数百万票の大量得票に結び付くでしょう。しかし、芸能界、スポーツ界の人気タレントばかりが票を集め「良識の府」を占拠するようでは二院制度の根幹を揺るがしかねません。オウム真理教のようなエセ宗教集団が再び大量に立候補する恐れもあります。少子高齢化社会の福祉、環境、都市再生、教育など各種改革の専門家、見識・良識のある候補者をどう見つけ出し政党の活性化をはかるか。
 二十一世紀クラブとしても真剣に検討しているところです。私は香川県豊島の産廃処分場訴訟や住専問題で力を発揮し、衆望を集めた中坊公平・元日弁連会長のような候補者を理想とします。中坊氏は故・小渕恵三前首相が惚れ込んだ人柄ですが、恐らくどの党の推薦があっても辞退されるでしょう。出たい人より出したい人。“電脳選挙”の時代です。健全な政党の育成と、人材発掘でよいご意見があれば是非、Eメールをお寄せ下さい。


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 北村発=政治の課題  民主政治の危機(第4回=11月1日) 電脳選挙時代の到来

 公選法改正案を審議中の長野知事選で作家の田中康夫氏が、衆院東京21区補選では薬害エイズで闘った川田悦子さんが政党候補に競り勝った。いずれも無党派市民の支援を得た勝利である。各政党の衰退現象は目を覆うばかりだ。自民党はもとより総選挙で躍進した民主党も国民の政党離れにショックを受け、来年の参院選挙に危機感を深めている。
 法改正を急ぐあまり野党要求を退けて参院本会議での趣旨説明を省略、多数決の原理を押し通して参院選挙制度特委で問答無用の単独強行採決をした与党。審議拒否一点張りで国会審議を20日間も空転させ、世論喚起の徹底抗戦に失敗すれば、掌を返すように衆院3日の審議で成立を許した野党。自民ペースの攻防ではあったが、衆参合わせて実質7日の超特急審議は過去に例がない。こうした異常づくめ、説明抜きの抗争に有権者がますます白け長野知事選、東京21区補選のように草の根民主主義に走るのは当然の帰結だろう。
 五五年体制が続いた一昔前、私は議員秘書として議運、国会対策を垣間見たが、国会審議がストップすれば水面下で局面打開の折衝を精力的に進めるなど、絶えず自民党は少数意見尊重の姿勢を取っていた。今回は与野党の根回しを怠ったとして参院議長を越権行為と責め立てあっせん案を拒否、トカゲの尻尾切りならぬ頭切りで行司役・議長の首まで飛ばしてしまった。前代未聞の事態だ。私は何も足して二で割る国対政治、密室談合政治を懐かしんでいるわけではない。国民参政の場である選挙という民主主義の土俵を作る以上、国民の納得がいく形で法改正に取り組むべきだったと、与党の一員として残念に思う。
 鈴木善幸内閣が全国区制を廃止し拘束名簿式に改めた公選法改正では廃案、継続審議などで1年3カ月を要した。参政権者・国民の意思を尊重すれば慎重審議は当然である。
 「党利党略による与党の横暴」と、野党は無責任にも審議拒否の物理的抵抗を続けた。だが、古来から為政者が権力を背景に党利党略に基づき選挙制度改正を強行してきたのが世界の政治の歴史。1812年、米マサチュセッツ州知事・ゲリーがギリシャ神話に出てくるサラマンダー(火の蛇)に似た選挙区割りを作り、自分の所属する共和党に貢献した。それ以来選挙制度改正は党利党略が主体である。有利な選挙区割り策定をゲリマンダーと呼ぶ。
 しかし、鳩山一郎内閣のハトマンダーも、数と力を誇った田中角栄内閣がカクマンダーを企図した時ですら、野党の激しい抵抗に遭い公選法改正を断念してきた。それほど参政の土俵作りは難しい。それを一年に二回、しかも、参政権者・国民の声を十分聞かず、衆参両院の選挙制度を改正したとあっては、国民の政党不信を高め政治不信は募るばかりだ。最近のゲリマンダーに、細川護煕内閣が与野党の妥協点を取り入れてまとめた小選挙区比例代表並立制がある。だが、自民党が都市部で大敗北を喫し、社民党が没落するなど実施2回目にして早くも中選挙区制の復活が叫ばれるように、多くの問題点を孕んでいる。
 『国会バッジには金・銀・銅のランクがある』と当時の中山正暉自民党選挙制度調査会長(前建設相)が皮肉ったように、同制度の第一回選挙では小選挙区で落ちても比例名簿で復活する銀組が84人、法定得票数にも満たず比例で救済された銅組が8人もいた。
 こうした弊害を除去するため、総選挙に先立つ1月の通常国会では、金・銀・銅が生じる制度の不合理をなくし、衆院比例定数を20削減する公選法の改正を行った。ここでも与野党が対立、政治改革の理念より党利党略が先行したとして、有権者の批判を浴びた。
 我々二十一世紀クラブの同志は、二回目の選挙にいずれも小選挙区だけで堂々と戦った金組であり、選挙区の皆さんの強い支持を受けたことを誇りに思っている。仮に中選挙区制が復活したとしても、皆さんの変わらぬご支援さえあれば怖いものはありません。
 長野知事選も衆院東京21区補選もこれといった支援組織のない両候補を支えたのはインターネットなどを通じ全国から集まった大勢のボランティアだった。日本は確実に“電脳選挙”の時代を迎えています。ネットを通じての皆さんのさらなるご活動と、ネット仲間に呼び掛けて、私の政治信条をご理解頂けるよう、一層のご支援をお願い申し上げます。