北村からのメッセージ

 

 第41回(5月16日) 厳しい後半国会 郵政2法案は本丸               


風薫る青葉、若葉の季節。皆さんは充実した連休を過ごされたこととお慶び申し上げます。私も久しぶりに選挙区で10日間静養、地元行事への参加や国政報告会などで支持者の激励を受け、すっかり英気を養いました。小泉首相も連休中は豪州など東南ア・オセアニアを訪問して元気を回復、帰国後は新装なった官邸の主に収まり、国会運営に意欲を燃やしています。しかし、後半国会は、6月19日の閉幕まで残り約1ヶ月と短いうえ、有事関連3法案など重要法案が目白押し。首相はこれら法案の成立を目指し、衆院解散や内閣改造をちらつかせながら、政権運営の求心力を取り戻そうと懸命になっているようです。

 4大法案の道のり険し

 連休前に提出された重要法案は、武力攻撃事態法案など有事法制関連3法案、医療制度改革の健康保険法改正案、個人情報保護法案、郵政公社関連2法案の「4大(4系統)法案」のほか、あっせん利得処罰法案、道路関係4公団民営化推進委員会設置法案などです。5月7日の連休明けから予算委並みの大型委員会で審議が始まった有事法制3法案は、前号で詳報した通り国民の生命・財産に関わる最重要な法案であるため、与党が一丸となって慎重審議のうえ成立を目指します。だが、郵政関連2法案と健保法改正案、道路関係法案などは与党内に“抵抗勢力”を抱えていて、成立までの道のりは極めて厳しいようです。

 うかつに抜けぬ宝刀

 小泉首相は会期を大幅に延長してでも「4大法案」を成立させたい腹で、抵抗勢力が強ければこれを排除するため、衆院解散・総選挙も決意しているようです。また、「1内閣1閣僚」のこだわりを捨て、国会閉幕後には自民党内の要望を受け入れて、党役員人事・内閣改造の断行すら匂わせています。ところが、4月28日のトリプル選で、自民党は衆院和歌山補選で競り勝ったものの、参院新潟補選で敗北、徳島知事選でも自民県議団が支援した候補が敗れました。マスコミは「昨夏の参院選で圧勝した首相の“選挙神話”は崩れ、一時、自民支持に走った無党派層は、テンポの遅い小泉改革に素早く見切りを付け離反した」と報じています。これでは、首相もうかつには伝家の宝刀が抜けなくなりました。

 論調変えたマスコミ

 公選法の改正で衆参補選は期日が統一され、4月と10月の2回にまとめて実施されるようになりましたが、これは米大統領の中間選挙に似た形式です。小泉内閣は予想外に厳しい中間評価を受けたといえましょう。マスコミの論調も最近は変わってきました。この1年、「聖域なき構造改革」や「自民党政治の改革」を掲げて発足した小泉政権を盛んにもてはやしてきたマスコミは、1月の田中真紀子元外相の更迭以来、内閣支持率が急落、それが補選に影響を与えると、たちまち「分岐点に立つ小泉内閣」と報道し始めています。

 小泉パッシング

 政権1年の企画では「揺らぐ小泉政権」(読売)「民意・小泉・自民党」(朝日)などを連載、民意が急激に変化したと伝えました。その中見出しも「デフレ対策なおざり」「具体策なき理念に飽き」「実らぬ改革、期待薄れ」「足りないのは実行力」などと、手のひらを返したように手厳しく批判しています。郵政関連2法案を自民党の事前承認抜きで閣議決定した時にマスコミは、抵抗勢力があからさまに逆らわなかったことを取り上げ、「自民は『官(邸)高党低』から、小泉パッシング(無視)に変わった」とも報じています。

 執念の郵政改革

 「郵便への民間参入を潰すのなら、自民党が小泉内閣を潰すか、小泉内閣が自民党を潰すかの戦いになる」――。小泉首相は4月23日、総理番記者相手にこう啖呵を切りました。さらに、郵便関連2法案を党の事前承認抜きで閣議決定し国会提出した同26日、就任1年の記者会見でも「郵政関連2法案は小泉内閣の本丸だ」とし、「抵抗勢力との“戦い”になる」ことを繰り返し強調。同法案が成立しなかった時の対応を聞かれると、「その時点で考える。私はこれは譲れない」と述べ、解散・総選挙覚悟で郵政2法案を成立させる姿勢を示しました。このように首相は金看板の郵政改革に一層の執念を燃やしています。

 ヤマトが参入断念

 皮肉にも同時刻、首相官邸近くのホテルでは、ヤマト運輸の有富慶二社長が、「信書便法案が成立しても参入するつもりはない」と記者会見していました。断念の理由は「民間企業の一挙手一投足全てを総務省が許認可する、いわば“民間官業化法案”の下で参入する気はない」というものです。ヤマト運輸は、昨年末に首相と片山虎之助総務相が「条件付き全面開放案」で合意して以来、全国参入に強い意欲を示してきました。3月下旬、参入業者にポスト約10万本の設置を義務づける総務省方針が示されると、直ちに後ろ盾の首相に働きかけ、コンビニの窓口でも信書を引き受けられるように工作したといわれます。

 切磋琢磨出来ない

 しかし、首相が強く指示した「民間参入企業の許可は総務省以外の第3者が行う」「中央省庁等改革基本法で定めた民営化禁止条項の削除」などの条件は、郵政族が集まる自民党総務部会の反対で実現していません。ヤマト運輸はこれに対し「許可や参入基準の設定などの権限を郵政公社と一体の総務省が握る制度では(官民が)切磋琢磨することは出来ない」(有富社長)と反発して、結局、参入を断念したものです。佐川急便など他の宅配業者も「信書便法案は規制強化に繋がり、民間参入を阻害する」と反対しています。一方、党の総務部会では、信書便法案が首相の目指す郵政3事業民営化の出発点になると警戒、法案に猛反対しました。民間の参入が進めば郵政公社も対抗上、採算性の悪い過疎地などでリストラを検討しなければならず、これが都市と地方の格差を拡大する恐れがあるからです。全逓労組の支援を受ける民主党など野党にも反対勢力は多いようです。

 事前審査抜き決定

 首相は連休前に有事、個人情報関連法案などの審議入りを果たしましたが、肝心の郵政2法案が連休後に国会提出となれば成立の見通しは立たなくなります。そこで、首相は党3役に頼み「異例中の異例」として、事前審査抜きの閣議決定を実現しました。党側は「最終的には、採決段階に至って改めて党内手続きを取る」(山崎拓幹事長)、「総務会の事前審査権を放棄するものではない。今後きちんと議論する」(堀内光雄総務会長)との態度です。幹部の中には「法案提出で公約は守られ、首相のメンツは十分に立った」「衆参両院の補選を見ても解散できる状況にはない」と述べ、ヤマト運輸の撤退で民間参入が遠のくようなら、「信書便法案は慎重審議し、健保法改正案と共に継続審議に持ち込んでもよい」との冷ややかな意見すらあります。それだと仮に会期延長しても法案成立は難しいでしょう。

 困難さ増す国会対策

 「国家の安全」を図る有事法制3法案は、前号で予測した通り、50人規模の大型委員会で白熱した論議を呼んでいますが、民主党など1部野党と法案の妥協・修正点を探ろうとする矢先に、前半国会から持ち越した「政治とカネ」の問題が鈴木宗男代議士の議員辞職勧告決議案上程や証人喚問の再要求となって再浮上、野党が結束を強めるなど、国会運営は日増しに難しくなっています。このような政局の下で、私は自民党の国会対策委員として、また、健保法改正案を審議する衆院厚生労働委の委員として、元気いっぱい働いています。どうぞご支援下さい。