北村からのメッセージ

 

 第38回(4月1日) 地球温暖化対策 森林体験学習議連

全国の桜が半月も早く満開、飼育中の鈴虫が半年も早く泣き出したそうです。米航空宇宙局の撮影によると、南極では埼玉県ほどの大きさの棚氷が崩壊したといいます。急激な地球温暖化が進んでいる証拠でしょう。南極半島付近の「ラーセンB」と呼ばれる棚氷は5年前から崩壊が進んでいましたが、調査に当たった米コロラド大などの国際研究チームは「今回は海に浮かぶ棚氷が崩壊したため、海面上昇は起きないが、陸地で同様の崩壊が起きれば海面上昇の可能性があり、十分な監視が必要だ」と警告しています。

 下町・離島など水没
地球温暖化は急速に進展、予想もしなかった新エルニーヨ現象で洪水と干ばつが限定された地域を交互に襲うなど、異常気象が近年目立ってきています。バングラデシュの洪水、中国黄土地帯の干ばつと崩落が代表例で、世界のエコシステム(生態系)に変化が生じつつあります。氷山の融解で海面が1~2メートルも上昇すれば、東京・深川などの下町、イタリア・ベニスの市街地、太平洋・マーシャル群島などの一部が水没します。もちろん、わが出身地の小値賀など全国の離島も大被害を受けます。異常気象の原因は、南極周辺に集まるフロンガスによるオゾン層の破壊や、CO2など温室効果ガスの堆積によるものです。

 京都議定書の批准
日本の温室効果ガス排出量の9割は、石油、石炭など化石燃料からエネルギーを取る時に生じる二酸化炭素(CO2)です。このように化石燃料消費大国の日本は、産業界が規制に反発するなどの厳しい立場にありながら、地球温暖化防止のための京都議定書作りでは主役を演じました。「一国主義」の傾向を強めるブッシュ米政権は今もCO2規制が米産業を圧迫するとして議定書に反対しています。しかし、議定書は、8月末から南アフリカのヨハネスブルクで開催の環境開発サミットで発効させる段取り。それにはまず国会で批准を承認したうえ、サミット90日前の6月6日までに閣議決定しなければなりません。

3段階で仕上げ
議定書が予定通り発効されれば、参加国は06年末までに温室効果ガスの排出量や吸収量の算定システムなど、国内制度の整備が求められます。さらに、08~12年の第1約束期間の平均値で温室効果ガスの削減目標を達成することを迫られます。日本は02~04年を第1ステップとして各種の国内対策に着手、05~07年の第2ステップで施策の評価と見直しをし、議定書の第1約束期間を仕上げの第3ステップと位置づけています。

 5年間で6%削減達成
「美しい環境を未来に引き継ぐには、一人ひとりの取り組みが重要だ。どうか国民の理解と協力を求めたい」――。小泉首相は3月19日夕、首相官邸で開かれた地球温暖化対策推進本部会議でこう訴えました。同推進本部は同日、日本がどうやって温室効果ガスを減らすかの「仕様書」をまとめ発表しました。それによると、京都議定書で定められた温室効果ガスの削減目標(08~12年に90年比6%削減)を達成するには、産業分野だけでなく、職場や家庭まで国民が総力を挙げざるを得ないとして具体策を列挙しています。

 トップランナー方式
カッコ内はCO2換算の数値ですが、まず産業部門では、経団連の自主行動計画実施と省エネ法の工場対策(6050万トン)、高性能ボイラー、レーザーの普及(150万トン)など。民生部門では、家電製品などのトップランナー(最高のエネルギー効果を生む)方式の実施(3040万トン)、ビル新増築時の省エネ措置の届け出義務制(3560万トン)など。運輸部門では、自動車のトップランナー方式(1390万トン)、クリーンエネルギー自動車の普及(220万トン)、税軽減による低公害車普及(260万トン)、ノンストップ料金支払いシステム整備(370万トン)など、きめ細かく挙げています。

燃料電池など新エネ開発
 新エネルギーの開発では、10年度までに太陽光・風力発電などで電力会社に新エネ発電枠を義務づけ(3400万トン)や、自動車業界が開発中の酸素と水素を結合させて動力を回す燃料電池などの新エネルギーを石油換算で1910万キロリットル分導入することを計画しています。このほか追加策として、老朽化した石炭火力発電を天然ガスに転換(1800万トン)したり、10年度までに発電量の3割増を目指した原子力発電の増設を掲げています。実際の排出部門別では、産業と民政の減少分で運輸の増加分を相殺する仕組みになっており、10年度の産業は90年度比7%減の4億6200万トン、民生が2%減の2億6千万トン、運輸が逆に17%増の2億5千万トンになっています。

 戦時顔負けの節約令
注目されるのは、国民の暮らしでも多くの節減を求めていることです。現行の対策では「冷房は28度に上げ、暖房は20度以下に下げ、駐停車時はエンジンを切る」といった国民運動的な努力目標でしたが、追加策では@白熱灯を電球形蛍光灯に取り替え(74~141万トン)A食器洗い機でお湯消費削減(118~160万トン)B家族が同じ部屋で団らん、暖房や照明利用2割減(341~467万トン)Cテレビ視聴時間を1日1時間削減(19~35万トン)Dシャワーを1日1分間家族全員短縮(93万トン)E冷蔵庫に詰め込まず、効率的な開閉(15~28万トン)F風呂の残り湯を洗濯に使う(24~46万トン)G買い物袋を持ち、包装の少ない野菜を買う(83万トン)――など、何を根拠に試算したのかと思うほど、戦時中の軍事政権顔負けの節約令を延々と列記しています。

 有効な「森林吸収」
こうした暮らしの節約を奨励することで、削減目標を6%と義務づけられたCO2を家庭でも最大1・8%削減する計画です。新大綱では「人々の価値観、社会経済システムやライフスタイルが温室効果ガスの排出に大きく関わる」と大まじめに説いています。「国民の努力」を達成するため、市町村などに地域温暖化対策協議会を設置し、省エネ製品の情報提供や、建物の断熱性、照明・冷暖房の効率性調査などでアドバイスすることも検討しています。しかし、CO2の吸収源として最も有効なのは「森林吸収」であり、議定書でも森林に3・9%の吸収枠が認められています。日本は01年の森林・林業基本計画で、森林総面積2510万ヘクタールを整備して木々の総量を増やすことにしています。

 京都メカニズム
10年の目標を達成すれば、4767万トンのCO2を吸収し3・9%削減分は確保できる計算であり、これ以外にも都市緑化による28万トン吸収(0・02%削減)も見込んでいます。ところが、NHKが朝のテレビ小説「ほんまもん」で紀州・熊野の山林の危機を訴えたように、林業界は国産材需要の低迷によって、各地の山は荒れ放題で森林を管理する能力さえ失っています。京都議定書には、削減目標を達成できない場合@森林が多いために余っている他国の排出枠を買い取り、自国の削減分に換算する「排出量取引」A他国と一緒に取り組んだ排出削減事業で生じた余裕分を売買する「共同実施」B先進国が途上国の排出削減・植林事業に参加し、生じた排出削減量を獲得する「グリーン開発メカニズム」――の仕組みがあります。これは「人の褌で相撲を取る」ようなものです。

 緑資源の活性化目指す
 このようなカネで買い取る排出量取引などの京都メカニズムは邪道です。林業の再生には国を挙げて取り組む必要があります。まず植林から始め、剪定・枝打ちなど育林、伐採・製材まで木材生産の全行程を一貫処理してこそ、林業の復活と未来展望が開けます。それが水源の涵養、生態系の保持など自然環境の保全に繋がります。真下正樹・住友林業常務はこうした環境利用の仕組みについて「財政が逼迫しているなか、最も省資源的で低コストの温暖化防止対策になる」と朝日のコラムで述べましたが、私も同感です。衆院の農水委員として「緑資源の活性化」による健やかな国土整備に努力したいと念じております。

 森林体験学習・留学議連設立
 その一方策として、自民党内で設立準備を進めているのが「森林体験学習・山林留学推進議員連盟」(発起人代表=河村健夫、岩永峯一、若林正俊の3氏)です。私を含め発起人には衆院21人、参院19人の党所属議員が名を連ねています。同議連は、自然体験学習の機会が少ない子供たちに、自然活動を通じて自ら学びながら伝統、文化、共同生活を身につけてもらうものです。設立趣意書では、「平成14年度からの完全学校週5日制や教育課程の総合学習を本格的に実施する機会を捉え、教育改革の一環として自然体験、集団生活、奉仕などの充実を図っていくことが喫緊の課題。森林では、樹木や多様な動植物が相互にかかわりあう中で生命活動を繰り返しており、生態系の循環の中で、豊かな水や土、清浄な大気、木材をはじめ資源の循環利用が持続的に供給されている」と謳っています。

 循環型社会の構築
また、「山林は、地域住民が森林の管理や農林業の生産活動を通じて伝統・文化を守り、自然と共生する共同体を形成している」と述べ、「多様性、総合性のある森林・山村は他に代え難い最良の人間教育や環境教育の場といえる」と結んでいます。このように同議連は、「森林・山林を学校に」して、体験を通じて子供たちが思いやり、感謝の心、勤労の喜びを身につけるよう、21世紀を担う人材の育成と、循環型社会の構築に向けた森林と人との豊かな関係の回復・創出に資することを主眼に、近く設立される予定です。同議連が本格始動すれば、どうぞ、皆さんのご子弟を有意義な山村の共同生活に参加させて下さい。