第366回(2月16日)予算案の年度内成立へ 安倍政権正念場
 2016年度予算案は激しい与野党攻防の末、今月内に衆院を通過する見通しです。安倍政権は「1億総活躍社会」 など成長戦略を盛り込んだ史上最大 96.7兆円の予算案を 3月末の年度内に成立させ、5月の伊勢志摩サミットも成功させて夏の参院選勝利に弾みをつける構えです。野党は10日、甘利明前経済再生相に絡む 「政治とカネ」 疑惑を厳しく追及。アベノミクス 「新 3本の矢」 の成長政策や日銀のマイナス金利、消費税の軽減税率を巡っても激しく反発しています。しかし、北朝鮮の弾道ミサイル発射で日米同盟深化による抑止力強化の安保法制が如何に重要であり、野党が唱える 「戦争法の改廃」 が無謀であることが立証されました。野党の再編、参院選の統一戦線構想も頓挫しています。経済環境は中国の経済減速や原油安などが影響し、2%の物価目標達成は容易ではなく、首相の言う 「成長と分配の好循環」 を実現するには、今春闘で大企業の内部留保を賃上げや設備投資に回すなど政官財界挙げての協力が必要です。それに京都 3区の自民党衆院議員が不祥事を週刊誌に取り上げられて引責辞職。4月 24日に北海道 5区とともにダブル補選の実施が確定しました。安倍内閣には痛手で、正念場に立たされています。なお一層のご支援お願い申し上げます。

首相ペースで憲法論争仕掛ける
 「 7割の憲法学者が憲法違反の疑いを持っている状態をなくすべきだという考え方がある」 ―― 首相は 3日の衆院予算委員会で稲田朋美自民党政調会長の質問に対し、自衛隊や国防軍の保有を明記した自民党の 2012年の憲法改正草案に触れてこう答え、第 9条改正の必要性を強調しました。これは民主党の岡田克也代表が 「安倍内閣の間は憲法改正論議には応じない」 と日ごろ述べているのに対し、憲法論争を仕掛けたもので、同日の予算委でも 「憲法に指 1本触れてはならないというのは思考停止だ」 と反撃。 「(民主党が)具体的な憲法改正草案を出していなければ、弱々しい言い訳に過ぎない。党がまとまるなら出して欲しい」 と民主党を挑発しました。参院選で改憲発議に必要な 3分の 2勢力を確保して圧勝したい首相は、自ら憲法 9条改正の論戦を展開、安保法制審議の段階で起きた集団的自衛権の限定容認を巡る野党の 「解釈改憲」 批判や 「戦争法の改廃」 要求に終止符を打とうとしたと見られます。だだし、首相はいきなり 9条改正を目指さず、当面は大災害時の国会議員の任期延長などを認める 「緊急事態条項」 などの追加から各党に呼びかける方針です。でも、予算委では 「質問通告がなかったから答えられなかった。ここはクイズの場ではなく通告するのは当然だ」 といなすなど身振り手振りを交えて首相ペースで答弁、野党追及を退けました。

法人実効税率と軽減税率に野党反発
 政府は 5日、16年度税制改正関連法案を閣議決定して国会に提出。16日の衆院本会議で審議入りし、年度内成立を目指します。関連法案は消費税の軽減税率と法人実効税率を 29.97%の 20%台に引き下げる企業減税の 2本立てです。軽減税率は生活必需品の税負担を増やさない 「痛税感の緩和」 が最大目的で、 @消費税率を 10%に引き上げる 17年 4月から、酒類 ・ 外食を除く飲食料品と週 2回以上発行する新聞の定期購読料を 8%の税率に据え置く A 21年 4月から事業者の経理に的確請求書等保存方式 (インボイス制度) を導入 B経過措置として現行の請求書を利用した簡易な経理方式を認める C 16年度末までに安定的な財源約 1兆円を確保する ―― という内容。政府 ・ 与党は社会保障全体の重点化や効率化で 「総合合算制度」 の 4000億円を軽減税率に回しても社会保障との一体改革を損なわないとして圧縮、残り 6000億円は 16年度末までに探す方針。総合合算制度は低所得者の医療や介護などの自己負担額に上限を設ける仕組みなので、財源の不透明さを理由に野党は同制度の圧縮に強く反発、低所得者に対する給付を軸とした対案を今国会に提出する方向で調整中です。

マイナス金利で黒田日銀総裁追及
 8%の軽減税率を適用する飲食料品は、精米、野菜、肉、魚などの生鮮食品からうどん、ハム、調味料、カップ麺といった加工食品全般ですが、外食の線引きはハンバーガーや牛丼の店からの持ち帰り (テークアウト) や、すし店の土産、宅配ピザなどは外食に当たらず 8%の適用で、事業者が顧客に対し椅子やテーブルを置いて飲食させるサービスは外食として 10%の適用となります。公明党は高所得者よりも消費税負担の割合が重い 「逆進性」 を緩和するため軽減税率を推進してきましたが、野党は外食の線引きについても 「複雑すぎて判断が困難だ。国民生活が混乱する」 と反発。法人実効税率引き下げは大企業優遇税制だと反対しています。日銀が実施するマイナス金利はゼロまでしか下げられないと考えていた名目金利を、マイナスまで下げて銀行に企業貸出しを迫る政策。自民党内では異次元でなく 「3次元」 の金融緩和と呼んでいます。だが、実施した米国は早々と中止、欧州 ( EU ) は継続していますが、マスメディアは一時高騰した日経平均株価が急落したことから、「サプライズで一時的に市場を動かしても長続きしない。どんな副作用が起きるか分からない “劇薬” だ」 と批判的で、野党も市場が混乱するとして黒田東彦日銀総裁を追及しました。

前閣僚が消費増税前の年内解散煽る
 野党は共産党を含め参院選の統一候補擁立を目指し、衆院の院内会派を結成した民主、維新の両党は 3月をメドに新党結成を画策しています。しかし、岡田民主党、松野頼久維新の党の両代表が数回にわたり会談したにもかかわらず、合流問題は迷走気味。松野氏が民主党の解党と改名を要求しているのに対し、岡田氏は 「地方組織を含め解党には消極的意見が大勢だ」 と答え、民主党による維新の党吸収が望ましいとの考えを示し平行線。これが幸いし自民党の 「 1強他弱」 は当面安泰と見られました。ところが、「イクメン」 で名を売った宮崎謙介衆院議員 (京都 3区) が妻の出産直前に女性タレントとの交際を週刊誌に報道されて引責辞職。4月に北海道 5区とダブル補選が確定したため、野党を勢いづかせています。こうした中で、首相特別補佐官の下村博文前文科相が 7日朝のフジTV番組で 「衆参ダブル選はともかく、10%の消費増税の前に年内解散の可能性がある」 と述べ、年内の衆院解散を示唆したことから、4月のダブル選を予測する者も現れ、解散風は益々強まっています。北朝鮮のミサイル発射はHP 「政治活動」 欄に掲載しました。ぜひご一読下さい。