第346回(4月16日)統一地方選に勝利 70年談話の内容説明
 12日投開票の統一地方選前半戦は、 与野党対決の北海道、 大分を含め10道府県知事選で 自民党推薦 ・ 支持候補がすべて勝利、 41府県議選でも大阪を除き自民党が第1党を制しました。 後半戦 (26日)の 市区町村長 ・ 議員選も好結果が期待され、 来夏の参院選に向けて地方の基盤が固まります。 首相は4月中旬にインドネシアで開くバンドン会議で演説。 連休中は訪米し日米首脳会談を開き、 日米防衛協力の指針 (ガイドライン) の改定で合意するほか、 上下両院合同会議で歴代首相として初めて演説。 安全保障法制などを説明、 「積極的平和主義」 に立って日米同盟の深化を謳い上げます。 これらの演説は首相が夏に発表する 「70年談話」 の予告編となるもので、 首相の歴史認識を巡って関係が悪化した中韓両国は、 日米首脳会談と首相の議会演説を注視しています。 安保法制は5月中旬に国会へ提出しますが、 自衛隊の海外派遣拡大に野党は強く反発し、 審議は紛糾すると予想されます。 そこで政府は国会を8月10日ごろまで延長して安保法制と農協法、 労基法の改正など経済好循環の成長戦略法案の成立と、 地方創生策の遂行に全力を挙げる方針です。 国会は長丁場になりますが、 安倍政権の正念場です。 さらなるご支援、ご教唆をお願い申し上げます。

10知事選全勝、40県議選も堅調
 「アベノミクスの流れを全国津々浦々まで広げてほしいという期待の表れだ。政府・与党が連携し政策実現に全力を挙げていく」 ―― 自民党の谷垣禎一幹事長は統一選後の記者会見で、 安倍政権の看板政策であるアベノミクスや地方創生が信任を得たことを強調しました。 自民党は昨年以降, 滋賀、 沖縄、 佐賀の3知事選で敗れていましたが、 北海道は自公両党推薦の高橋はるみ氏が、 民主、 維新、 共産、 社民 の野党連合が支援した新顔のフリーキャスターを振り切り、 大分では 自公推薦の広瀬勝貞氏が 民主党支援の 前大分市長を破り、 両氏とも4選を果たし、10知事選のすべてで勝利しました。 5政令市長選では新人対決の札幌市で自民推薦の元総務省職員が民主、 維新両党支援の 元副市長 に敗れたものの、 4市長選では自民推薦の現職が新人を退けました。 「大阪都構想」 を目指す大阪維新の会が大阪の府議選と市議選 で第1党を維持しましたが、 41道府県議選で自民党は、 全国の改選議席総数 (2284) の過半数となる 1153議席を獲得, 40道府県で第1党の座を確保しました。 しかし、 10道県知事選の平均投票率は 47・14% で、戦後初めて5割を切りました。

政労使会議で中小の賃上げ要請
 「景気回復が全国に届くかは、中小、小規模事業者に賃上げに踏み込んで頂けるか否かに掛かっている」 ―― 首相は2日夜に開いた政労使会議で最大限の努力を図るよう要請、 財界も協力することに合意しました。 政労使会議を春闘中に開催するのは異例だし、 首相が中小企業に賃上げを要請するのも始めてのケース。 同会議では @ 中小、小規模事業者にも賃上げの好循環をもたらす A 原材料が大きく変動した場合の損益分担を大企業と中層で決めるよう企業に呼びかける B 下請取引の「ガイドライン」に原材料費や燃料代の転嫁で望ましい例を追加 ―― などを決め、 合意文書では、 中小企業が円安による原材料費の高騰分などを納入時の価格に反映できるよう事前の合意に努めることや、 生産性向上を支援することを柱に、 経団連が会員企業に呼びかけることも明記しました。 政府側も、 下請取引の 監視・取締り を強化し、 大企業約500社への追加立ち入り検査の実施などを決めました。 日銀が 「デフレ脱却」 を旗印に異次元・大胆な金融緩和を始めて4日で2年になりました。 日銀券をジャブジャブ刷ってお金の量を増やし、 お金の価値を下げればモノやサービスの値段が上がるとのシナリオを描き、 お金の量を290兆円まで倍増させました。 日銀は今後も毎年 80兆円ずつ緩和額を増やすと表明しています。 だが、 物価上昇率 2 %を目指す政策は達成できていません。 円安と 2 万円台の株高で自動車、 電機など輸出産業は潤ったものの、 地方や中小企業、 非正規社員にまで恩恵は届かず、 むしろ1年前の消費増税や円安などがもたらした物価上昇に賃上げが追いつかず消費が低迷、 格差社会が増大しています。

経済好循環目指し成長戦略に全力
 「改革断行国会と位置付けているが、安全保障法制、国民の命を守る法制にもしっかり取り組んでいく」 ―― 過去最大の総額96兆3420億円の 2016 年度予算が成立した9日、 首相は記者会見で、 経済の好循環を全国津々浦々まで浸透させる成長戦略の施策を実現する決意を表明しました。 政府は 3 日、 農協法や労働基準法と労働者派遣法改正案など岩盤規制改革法案を閣議決定し、 5 月 15 日頃決定する安保法制とともに後半国会で成立に全力を挙げる方針です。 農協法改正案は、 先のHP で詳報した通り農協の司令塔 ・ 全国農協組中央会 (JA 全中) を農協法上の組織から一般社団法人に転換、 地域農協への監査権を廃止するなどが主な内容。 政府は農業を大規模 ・ 集約化し 1 次の生産から 2,3 次の加工 ・ 販売、 さらには輸出に至るまで農業の6 次産業化を図り、農業の付加価値を高め農家所得を 10年間に 3 兆円から 6 兆円に倍増させ、
食料自給率 ・ 持久力の向上も図り地域の活性化を目指します。 1 区切りがついた万歳章 JA 全中 会長は9日、 任期 2 年を残し辞意を表明しました。

残業代ゼロ法案に野党強い抵抗
 労働者派遣法改正案は派遣社員の受け入れ期間見直しを柱とするもので前回廃案になった法案の再提出。 労働基準法改正案は、 年収 1075万円以上の高度な専門的知識を持つ働き手 (コンサルタント、 為替ディラーなど) を対象に残業 ・ 深夜・休日の割増賃金を払わない 「残業代 ゼロ」 の 「高度プロフェッショナル制度」 を設置、 年に 104日以上の休日を与えるなど働き過ぎ防止策なども盛り込みました。 その一方、 企業の基幹システムの提案営業といった 「課題解決型」の営業職などを対象に裁量労働制の範囲を拡大します。 裁量労働制は労働時間の 8 時間規定を外した雇用契約とし、 長く働いても追加の残業代が出ない仕組み。 年 5 日以上の有給休暇の取得を企業に義務付け、 働きすぎ防止策も盛り込んでいます。 しかし、 連合や全労連など労組や労基局監督官まででが 「労働者を保護する制度の根幹を崩す」 などと反対しており、 国会では野党の抵抗が強まると見られます。

合同会議演説は首相初のケース
 「日米同盟の重要性を共有し、 アジア太平洋地域の平和と繁栄のために日米同盟が主導することを発信したい」 ―― 首相は 26日から 5月 3日まで訪米する気持ちをこう表明しました。 28日にオバマ大統領と首脳会談、 翌 29日は米議会上下両院合同会議で演説します。 米議会での演説はこれまで岸信介、 池田勇人 両首相らが米上院か、 下院のいずれかで演説しましたが、 合同会議での演説は歴代日本の首相として初のケース。 合同会議での演説は元首や国賓として招かれた外国の指導者が選ばれるケースが多く、 レーガン大統領と 「ロン ・ ヤス」 関係にあった中曽根康弘、ブッシュ大統領と意気投合した小泉純一郎、 両元首相も米側に合同会議での演説を打診しましたが、 それぞれ貿易摩擦や靖国神社参拝などを理由に議会が難色を示し、 実現しませんでした。 それに比べると、 イスラエル首脳が最多で 8回、 英国首相が 7回、 韓国大統領も 6回演説しています。 安倍首相の訪米は 2012年に政権復帰して以来 4回目ですが、 今回は戦後 70年の節目にホワイトハウスから正式招待を受けた 「事実上の国賓待遇」 であり、 首相は戦後 70年談話を世界に発信する絶好の機会と捉え、 演説では戦後の平和国家としての歩みや 「積極的平和主義」 に基づき国際貢献に取り組む姿勢などを強調する方針です。 韓国系団体は米国で首相演説阻止の活動を展開しました。

バンドン会議で70年談話の予行
 演説に先立つ日米首脳会談では、 与党合意の安保法制の基本方針、 18年ぶりの日米ガイドラインの改定、 経済面では日米が主導する環太平洋経済連携協定 (TPP) 交渉のなどを確認し、共同文書を発表する方針です。 このため与党安保法制協議会座長の 高村正彦自民党副総裁が 3月26日に 訪米、 カーター 国務長官と会談するなど環境整備に努めました。 米政権 も 首相の 「戦後70年談話」 が極東の平和に与える影響には神経を尖らせており、 3月半ばに谷内正太郎 国家安全保障局長 (元駐米大使) が ホワイトハウス で ライス 大統領補佐官と会談。 歴史認識で首相がどのようなメッセージを出すか。 入念に意見交換した模様です。 しかし、 日米首脳会談を首尾よく進めようとする 菅 義偉官房長官が 5日に 翁長雄志沖縄県知事と会い、 米軍普天間基地の辺野古移設の協力を強く要請したところ、 翁長氏は 「絶対移設はできない」 と譲らず、 会談は平行線をたどりました。 首相は訪米直前の 4月21〜23日、 バンドン会議 ( アジア ・ アフリカ 会議) の 60周年記念首脳会議に出席、 海外では初めて 70年談話のリハーサルをします。 同会議は東西冷戦下の 1955年に当時の スカルノ ・ インドネシア大統領が 「植民地支配への反対」 を掲げて主宰、 東西双方に属さない非同盟勢力の結集を謳った宣言を採択しました。 50周年記念の2005年会議には当時の 小泉純一郎首相が出席、 「村山談話」 を引用して 「痛切な反省と心からのおわび」 を演説で表明しました。 今回は中韓朝など 100カ国以上の首脳が招待されており、「安倍談話」 が注目の的です。

首相は未来志向、国際貢献を強調
 首相は 2月末に設置した有識者の 「21世紀構想懇談会」(座長=西室泰三・日本郵政社長) に@ 20世紀の世界と日本の歩み ・ 教訓 A戦後日本の平和主義 ・ 経済発展 ・ 国際貢献 への評価 B米豪欧、 特に 中韓 をはじめ アジア諸国と歩んできた和解の道 C 21世紀のアジアと世界のビジョン、 日本の貢献のあり方 D戦後 70年の日本が取るべき具体的施策 ―― の 5つの論点でまとめるよう要請、 「未来の土台は過去と断絶したものであり得ない」 と語り、 国会答弁でも村山談話を 「全体として引き継ぐ」 と繰り返し述べてきました。 しかし、「植民地支配と侵略」 「心からのおわび」 の キーワードを使うとは一言も言っておらず、 「先の大戦への反省、 戦後の平和国家としての歩み、 アジア太平洋地域や世界のためにどう貢献していくか」 を国会で重ねて答弁。 小泉氏のように 「未来志向」 に軸足を置き、 「積極的平和主義」 と 「国際貢献」 を強調すると見られます。 民主党の岡田克也代表ら幹部は首相の歴史認識を攻撃するため、 「近現代史研究会」 (座長=藤井裕久顧問)を 1日に開き、 首相の 70年談話に対抗する見解をまとめようとしましたが、異論が多く結論は出ませんでした。 多大な関心を寄せているのは 中韓 両国で今後の関係修復は首相談話の内容如何に掛かっています。