第344回(3月16日)予算案が衆院通過 統一地方選の必勝へ
 2015年度予算案は3月13日に衆院を通過。 4月12日からの統一地方選直前に自然成立することが確実になりました。 政府与党はなおも3月末の年度内成立を目指し全力を挙げていますが月末まで2週間足らず。 参院でも一定の審議時間の確保が必要なため、 10日前後の暫定予算案編成は必至の情勢です。 西川公也前農水相の辞任で他閣僚への波及が懸念された政治資金問題 は、 国の補助金交付を受けた団体から寄付を受けた政治家には岡田克也民主党代表、 小沢一郎生活の党代表ら野党党首が含まれていたことが判明。 泥仕合を避けようと野党追及は急速に萎み、 4月にも与野党が政治資金規正法改正を協議する方向に風向きが変わりました。 こうした敵失で安倍政権は危機を脱し、 3月8日の自民党大会では統一地方選の公約を発表、 必勝態勢を固めました。 既に衆院当選1,2回議員を対象に 「選挙必勝塾」 を開き、 地方選を自分の選挙に向けたステップとして基礎固めを図るよう求めています。 安全保障法制を巡る与党協議は20日に基本方針を決定した後、 5月にかけて具体的法制準備を進めます。 色々と論議を呼ぶ法案ですが、 よろしくご支援、 ご鞭撻をお願い申し上げます。

野党は閣僚の 「辞任ドミノ」 を狙う
 政府与党は15年度予算案の自然成立 (衆院通過後1ヶ月) を目指し、 3月2日までに衆院通過を図りました。 だが、 野党は西川公也前農水相の辞任後も 「政治とカネ問題の審議が尽くされていない」 とし、 3〜7日間も首相出席を求めて集中審議を続行。 民主党は女性5議員を質問に立てて「政治とカネ」を追及、 閣僚の 「辞任ドミノ」 を狙いました。 西川氏は自らが代表を務める選挙区支部が2012年9月、 国の補助金交付が決まった栃木県内の木材加工会社から300万円の寄付を受け、 同社の顧問も務めていたことが発覚しました。 政治資金規正法は、 国の補助金を受けた企業が、 補助金交付決定通知を受けて1年以内に政治活動に関する寄付を行うのを禁じています。ただし、 国会議員側が違法性を問われるのは、 企業が国の補助金を受けている事実を知りながら寄付を受け取った場合に限られています。 このため、西川氏は 「補助金の受領は知らなかった。違法性はないが農水大臣の職責に鑑み、 いささかも疑問を持たれないよう返金した」 と答弁しましたが、 結局は 「農政改革をやる時に国会や内閣に大変迷惑をかける」 と述べ、 潔く辞表を提出したものです。

野党党首も寄付受け泥仕合回避
 しかし、週刊誌が数人の閣僚も西川氏と同様に補助金を受けた企業から寄付を受け、 下村博文文科相も支援者の任意団体 「博友会」 から別の形で寄付を受けたと報じたため、 野党は衆院予算委で 「ダミー会社を迂回させた脱法献金だ」と厳しく追及しました。 ところが前述した通り、岡田氏も国の補助金交付の決定を受けた2社から計92万円の寄付を受け、 小沢氏も民主党時代の12年、同様に企業から20万円の寄付を受けていたことが露呈。 野党は自分たちに矛先が向かないよう追及を急遽収束させました。 民主党は 「献金した側の罰則を強化すべきだ」 と政治資金規正法の曖昧さを指摘、 自民党との国対委員長会談で政治資金規正法の改正を提案するなど、 与野党双方から同法改正を求める声が起こりました。 維新の党は企業・団体献金の受け取りを禁じる同法改正案を議員立法で衆院に提出しました。 各紙の自民党・内閣の支持率は若干下がり、 谷垣禎一幹事長は 「政治とカネ問題がボデーブローとなってきた。 反省すべきは反省する」 と述べましたが、 政治資金法の改正については 「違法性のない献金まで減りかねない」 と懸念を表明、 石井啓一公明党政調会長も 「運用でやる方法もある。 改正が必要かどうかは今後の検討だ」 と与党は慎重姿勢です。

大震災から早4年経過、復興急ぐ
 「震災復興なくして日本の再生なし」 、 「原発の対応は政府が全責任を持つ」 ―― 第2次政権発足以来、 安倍首相は絶えずこう強調してきました。 だが、 3・11の東日本大震災から早くも4年が経過、 政府が決めた5年間の集中復興期間は1年を切りました。 政府は15年度予算成立のメドが立ったことから、 全体で26兆円を超す復興予算を重点配分し、 復興を軌道に乗せる構えです。 首相は1日、 常磐自動車道の常磐富岡―浪江IC間14・3`が開通した全線開通式に出席してテープカットし、復興の 「起爆剤」 と位置付けました。岩手県のJR山田線宮古―釜石間55・4`も、NHKテレビ小説 「あまちゃん」 で脚光を浴びた第3セクターの三陸鉄道が運営を引継ぎ、 7日に着工式を終えました。 このように公共インフラや街づくり、 商工業など数値上の復興は進んだものの、 建設資材や人件費の高騰で復興のテンポは遅く、 災害公営住宅の完成は15%。 避難者か今なお約23万人に上っています。

16年度以降支援は夏に新枠組み
 さらに福島第1原発の高濃度汚染水を貯めたタンク周辺の側溝に溜まった水に比較的濃度の高い放射性物質が検出され、 それが排水路を通じて港湾内の海に漏出。 漁業が回復の兆しにある中、 新たな風評被害が高まるなど現地では不満が高まっています。 8日のフジテレビ報道番組で後藤謙次コメメンテーター (元共同通信編集局長) は 「東北で必要なのは “衣・食・住” でなく “医・職・住” 。 政治とカネ問題は総務委員会などで討議すべきで、 衆院予算委では復興など重要な国政を審議すべきだ」 と訴えました。 首相は10日の復興推進会議と原子力災害対策本部会議の合同会合で、 16年度以降については @後期5年間の枠組みとする A被災地の自立につなげる B必要な支援は継続する―― の3点を指示。 その後の記者会見で、 「新たな枠組みは今夏までにまとめる」 と述べ、 全額国庫負担をやめて自治体に一部負担を求める考えや原発汚染水流出については、 「(負担は) 被災地の声に耳を傾けつつ丁寧に検討していく。 東電任せにせず、 国も全面に立って取り組む」 と語りました。

統一地方選必勝後に安保法制整備
 4年に1度の統一地方選は4月12、26の両日、 北海道、神奈川、福岡など10道県の知事選、41道府県議選が行われます。 総務省の調べだと、 統一地方選では233の首長選と745の議員選の978件が実施されます。 首相は8日に開催の結党60年自民党大会で 「統一地方選ではアベノミクスの成果を訴え、 経済再生と財政再建を実現していく」 と述べ、 戦後最大の改革を断行する決意を表明、 地方選必勝の態勢を固めました。 安保法制の与党協議は20日に基本方針を決めた後、統一地方選後に再開し最終案をまとめますが政府は4月から具体的な法案の条文作成を進め、5月にも一括法案を国会に提出します。 政府は6日の与党協議に安保法制整備の素案を提示しました。 それは自衛隊海外派遣の恒久法案と周辺事態法や国連平和維持活動 (PKO) 協力法、 武力攻撃事態法、 自衛隊法などの改正素案です。 昨年7月の閣議決定で打ち出した武力行使を認める 「自衛権行使の3要件」 の新事態を 「重要影響事態」 と呼び、 集団的自衛権の行使が限定容認される新事態を明記しています。 恒久法の派遣用件は @国連安保理などが活動を求める決議を出している A安保理などが各国の対応措置を求める決議を出している B国際機関などが活動を要請している ―― ことを規定。 戦闘中の多国籍軍に対する補給や輸送など 「後方支援」に内容を限定、弾薬の提供は認めますが、 武器の提供は除外しています。 しかし、 自公間には7分野で対立があります。

周辺に限らず重要影響事態を想定
 対立点では、 政府が朝鮮半島など日本周辺の有事で活動している米艦の防護はもとより、 中東などのシーレーン (海上交通路) の機雷掃海など周辺事態に限らず幅広い活動を想定しているのに対し、 公明党は 「存立危機事態」 について 「定義が曖昧だ」 と指摘、 同党がまとめた自衛隊海外派遣の 「一般的原則」 として @国連安保理の決議など国際法上の正当性 A国会承認など国民の理解と民主的な統制 B自衛隊員の安全確保 ―― の3原則を守るよう求めています。 このため、政府は当初、 存立危機事態と表現していたのを 「重要影響事態」 と呼び換え、 公明党の3原則に近づける案を示しました。 中国で開かれている全国人民代表大会 (全人代=国会) で李克勝首相は15年予算案を公表。 その中で国防費は 5年連続2桁増の、 前年実績費10.1%増となる約 9千億元 (約16兆9千億円=日本の防衛予算の約3倍) を計上、 ステルス戦闘機の開発、 国産空母の建造、 南沙諸島の空港整備など、 軍事拡大が鮮明になりました。 特に制海権・制空権の強化などによる海洋進出が目だっており、 日本の安保法制整備は一刻も猶予できない喫緊の課題です。 与党協議の内容は別稿の 「切れ目ない安保法制」 シリーズの次々回で詳しく取り上げます。 是非お読み下さい。