第339回(1月元旦) 景気回復に全力投球 成長戦略で正念場
 ご健勝で新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。自民党の総選挙圧勝で、第3次安倍内閣は経済再生に向け再出発しました。アベノ ミクスで信を得た首相は「景気回復の暖かい風を全国津々浦々まで届ける」と強調、政府与党が一体となって14年度補正予算と15年度予算編成に全力を挙げています。政府はデフレ脱却を確実にするため3・5兆円規模の経済対策と15年度税制改正大綱を昨年末にまとめました。首相は今月中旬に中東4カ国を訪問、今年も月一回の「地球儀俯瞰」の経済外交を推進します。だが、消費増税の反動減や円高による輸入原材料・食料品の高騰で消費は伸び悩んでいます。外交も穏やかな未年とは違って、中国の海洋進出、北朝鮮の核・弾道ミサイル増強、国際テロの脅威拡散に加え、半世紀ぶりに米国とキューバの国交正常化、原油下落に伴うロシア通貨ルーブルの価値半減など国際情勢は激動。世界の安全保障環境は益々悪化しています。お陰さまで私は衆院安全保障委員長に再任され、国民を守る集団的安全保障行使の限定容認を目指す安全保障法制の整備と取り組んでいます。今年も倍旧のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

経済再生最優先の政策を遂行
  「慢心することなく、丁寧に国民に説明しながら政策を進めたい」――安倍首相は衆院選で圧勝した直後にこう語り、「経済再生最優先」の政策を遂行する決意を表明しました。特別国会は12月24日から3日間開かれ、衆院議長に自民党の町村信孝元官房長官、副議長に民主党の川端達夫国対委員長を選出した後、首相指名選挙を経て、第3次安倍政権が発足。本人の政治資金問題から交代を申し出ていた江渡聡徳防衛相の後任には中谷元・元防衛庁長官が起用されました。
自民党最大派閥の町村派の会長には細田博之会長代行が昇格しました。衆院定数の過半数の候補すら公認出来ず、自らも落選した民主党の海江田万里代表の後任を選ぶ代表選は7日告示、18日投票の段取りですが、国会議員・地方議員だけでなく党員・サポーターを含めた本格的な選挙となります。真っ先に野党再編派の細野豪志元幹事長が名乗り上げ、続いて自主再建派の岡田克也代表代行が出馬を表明、長妻昭衆院議員、蓮舫参院議員らも出馬を検討しています。だが、同党が昨年末の特別国会の首相指名選挙で投票した岡田氏が有力です。

政労使会議、今年も賃上げ合意
 衆院選で「この道しかない」とアベノミクス継続の信任を得た首相は、12月16日に早速、政労使会議を開き、春闘に向け「特に円安のメリットを受けている高収益企業に配慮を求めたい」と要請、「経済界が賃上げの最大限の努力を図る」との合意文書をまとめ、発表しました。予算編成作業は12月30日に経済対策と15年度税制改正案、1月8日に14年度補正予算案、14日に15年度本予算案を閣議決定。補正予算は2月中、本予算も3月末までの年度内成立を目指します。政府与党が12月末にまとめた15年度税制改正案は、法人減税、贈与税の非課税措置、消費再増税の際の軽減税率導入――などが柱。企業の儲けにかかる実質的な税負担割合に当たる法人実効税率(34・62%、東京都は35・64%)の引き下げ幅は、経産省が2・5%以上の引き下げを求めていたのに対し「2年をかけて2%台前半とする」ことに決めました。1兆円強の税収減は@企業の事業規模に応じた「外形標準課税」の拡大A過去の赤字を最大9年間繰り越して黒字と相殺し納税の額を減らせる、控除制度の縮小B企業が投資目的で保有する株式配当金への課税強化――などを挙げています。

住宅購入に贈与税非課税枠拡大
 親や祖父母から住宅購入資金を貰った際にかかる贈与税の非課税枠は、省エネ住宅などの購入に1000万円まで認められ、今年末が期限でしたが、15年1月に1500万円に拡大されることになり、住宅減税の最高50万円は17年4月に消費税率を10%に引き上げるまで存続させ、住宅需要の落ち込みを防ぎます。また、結婚や出産、育児の費用を親や祖父母から提供された際の贈与税が1000万円を上限に非課税になる制度を、15年4月から17年末までの時限措置として創設する方針です。学費などの教育資金は15年末まで1500万円を上限に非課税扱いですが、期限を3年間延長します。非課税枠はこれら減税を最大限活用すれば、1人につき4000万円までの資産が非課税となります。燃費の良い車について自動車重量税(国税)と自動車取得税(地方税)を減免する「エコカー減税」は来春以降も延長します。また株式市場活性化のため、個人投資家向け少額投資非課税制度(NISA)の上限を16年に100万円から120万円に拡大、「ジュニアNISA」も新設します。ビール系飲料にかかる酒税の見直しも検討されましたが、人気がある発泡酒や「第3のビール」の増税には消費者の強い反発が予想されるとして見送られました。

地方創生、災害復旧の経済対策
 これに先立つ12月27日に閣議決定した経済対策は3・5兆円規模で@地域の実情に配慮し消費を喚起A地方が直面する構造的課題に取り組む地方活性化B災害復旧の緊急対応・復興の加速化――の3点が基本。具体的施策では生活者・事業者支援に「自治体の生活支援策を交付金で助成」や「子育て支援の保育施設整備」、地方活性化に「産学官や金融の連携で創業支援」、「中小企業などの販路拡大支援」などを挙げています。経済対策の柱となる「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は@東京一極集中を是正するため、東京から地方に移転する人口を3万人増、地方から東京に移る人口を7万人減A農林水産業で新たに5万人の若者を就業B農林水産品・食品の輸出総額を1兆円に拡大C国の試験研究機関などを地方に移転D大都市から地方に移った企業の法人税優遇E農漁村に外国人観光客の誘致――などを掲げ、20年まで今後5年間の人口減少対策や地域活性化策をまとめています。

交付金など地方創生枠は1兆円
 交付金制度は個人消費を刺激するため商店街などが発効する商品券に特典を付けるのに充てる補助や、地方振興に取り組む自治体が自由に使える3000億〜4000億円規模の交付金を創設。寒さに向かう低所得者や社会福祉施設を対象としたガソリン代や灯油の燃料費補助も行います。自動車を生活の足とする地方では依然重い負担であるため補助することにしました。地方創生枠は1兆円になる見通しです。政府は14日にまとめる15年度予算案で、新たな国債発行(借金)額について、「14年度予算を下回るよう最大限の努力をする」と明記、財政再建の指標である、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を20年度までに黒字化する目標を堅持しました。同案は膨らむ社会保障費について、高齢化に伴う年金や医療費などの自然増も含め、「聖域なく見直す」と抑制を目指し、さらに、「高齢世代中心の給付から全世代型の社会保障への転換を進める」ことを盛り込んでいます。

農協法改正案の国会審議難航か
 財政健全化のため、首相は総選挙直後の記者会見で、農業やエネルギー分野などについて、「大胆な規制改革を断行する」と「岩盤規制の改革」に意欲を示しました。大詰めの環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を見据え、全国農協組中央会(JA全中)の地域農協に対する指導・監査権限を廃止する農協法改正案を26日召集の通常国会に提出する考えを示しました。 農業の生産や加工、流通・販売を一体的に手掛ける6次産業化を目指すものです。JA全中(万歳章会長)は監査権の維持を強く主張、総選挙で農協系政治団体の支援を受けた与党議員が多いことから、通常国会では農協法改正案の審議が難航すると見られます。

逆オイルショックの“神風”吹く
 政府与党はこのように正月返上で予算編成と取り組んでいます。幸い原油価格の急落により、急激な円安で一旦高騰したガソリン価格や漁船の燃費、電気代などは頭打ち状態。物価安定の“神風”が吹く「逆オイルショック」の現象とさえ言われています。首相は15〜22日の日程で、エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナを訪問する予定です。しかし、原油下落で米ドルに対するロシア通貨ルーブルの価値は、年初の33ルーブルから半分にまで暴落、エリツィン政権以来の経済危機に直面しています。日本も国内総生産(GDP)確定値などの経済指標で景気は低迷し、実質賃金は低下しています。経済の好循環を軌道に載せるには、アベノミクス第3の矢「成長戦略」である15年度予算を一刻も早く成立させ、着実に施行しなければなりません。安倍政権はまさに正念場です。一層ご支援下さい。