第338回(12月16日) 自公326議席で圧勝 予算編成急ピッチ
 12月14日の総選挙で自民・公明両党は定数の3分の2を上回る326議席を獲得して圧勝、絶対安定政権を確立しました。民主党は海江田万里代表が落選して代表を辞任。維新の党など「第3極」も苦戦しました。首相は24日召集の特別国会で首相指名を受け、同日中にも第3次安倍内閣を発足させ、直ちに2015年度予算案の編成に着手します。アベノミクスの是非で国民の信を得た首相は、衆院選公約(マニフェスト)に掲げた第3の矢「民間活力を引き出す成長戦略」の諸施策と、消費税率10%への引き上げを1年半先送りするための税制改正案を早急にまとめ、15年ぶりのデフレ脱却を一層確実なものとし、経済の好循環を達成します。予算案と関連法案は1月の通常国会に提出し年度内成立を目指しますが、経済政策のほかに集団的自衛権行使を限定的に容認する新たな安全保障法制を一括して整備する法案を提出するため国会は冒頭から激しい与野党の攻防が展開されそうです。お陰様で私は6万1533票を頂き、連続6回当選を果たすことができました。  皆様のご厚情に深く感謝申し上げるとともに、国家の安全保障・離島防衛、地方創生、農業振興などの政策遂行に全力を打ち込む所存です。 さらなるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

海江田代表落選、野党再編は必至
 「強い経済を取り戻し、日本が世界の真ん中で輝く国にしていく」、「雇用は100万人増え、有効求人倍率は過去22年で最高。賃金は15年ぶりに2%上がった」――衆院選で首相は全国津々浦々まで経済の好循環を持続させる「アベノミクス」の継続を唱えて圧勝。公明党も「消費税率の10%への引き上げ時には、生活必需品を軽い税率に抑える軽減税率を実行する」と確約、4議席伸ばしました。これに対し、「アベノミクスの失敗隠し」と断じた民主党は子育て支援の拡充や正規雇用の拡大など「人への投資」で「厚く、豊かな中間層」を復活させると訴え、11増の73議席となりました。だが、これは解散直後に小選挙区の候補者調整をし、解党直前のみんなの党や生活の党などから計7人を公示前に入党させた結果によるもので、全体は伸び悩みました。同党は政権奪取に必要な過半数の候補者を擁立できず、党首落選のほか元首相や幹事長ら党幹部が苦戦しており、後継代表を選ぶ党大会まで一波乱ありそうです。前回同様に「第3極」の結集を目指した維新の党は衆院選後に民主党の1部を含めた野党再編を目指すと公言、国会議員の歳費と定数の3割削減、公務員給与削減など「身を切る改革、実のある改革」を公約に掲げましたが、振るわず横這いで、大阪の議席死守が精一杯。19議席あった次世代の党(平沼赳夫代表)、5議席の生活の党(小沢一郎代表)は両党首が生還したものの、維新の石原慎太郎最高顧問は落選し各党2議席に没落。社民党は辛うじて現2議席を維持。新党改革はゼロ。「自共対決」を唱えた共産党だけが13増の21議席に躍進しました。今後の野党再編は必至の情勢です。

年内に地方創生が柱の経済政策
 特別国会は24日から3日間。初日の首相指名選挙で指名される首相は、同日中にも第3次安倍内閣の組閣を完了、直ちに15年度予算案の編成に入ります。首相は15日の自民党役員会で、全閣僚の再任と幹事長ら党幹部の続投を決めました。新たな民意を得た首相は景気の下支えとなる看板政策の「地方創生」を柱とした経済政策を30日にもまとめ、早期成立に全力を挙げる構えです。予算案の越年編成は止むを得ませんが、税収見込み額を算出するのに必要な15年度税制改正大綱を取りまとめる時期は、自公両党が合意した1月9日から12月30日に前倒しし、経済政策の財源裏付けとなる14年度補正予算案を1月8日にも閣議決定、15年度本予算案は1月14日に閣議決定し、1月下旬召集予定の通常国会に提出して補正予算は早期成立、本予算も3月末までの年度内成立を目指します。総選挙で自民党は公明党と合わせ過半数(238議席)を軽く突破、17ある全委員会で与党が委員長ポストを独占する「絶対安定多数」(266議席)も超えて、衆院で可決された法案が、参院で否決又は60日以内に議決しない場合、衆院で再可決・成立できる3分の2(317議席)を9議席上回りました。「1強他弱」はさらに強まり、国会運営は楽になります。

揺らぎかけた政権基盤立て直す
 読売の橋本五郎特別編集委員は13日朝刊に、首相の解散の狙いを@消費増税先延ばしに対する政府・自民党内の強い反対論を封じるため、「国民の信」を背景に先延ばしを確かなものにするA同時に野党の選挙準備が整っていない今が、女性閣僚の相次ぐ辞任、予想外の景気の落ち込みなどで揺らぎそうな政権基盤を立て直す好機――と判断したと解説しました。確かに首相は経済指標の悪化を懸念し、景気の好循環路線をさらに補強したことに間違いありません。アベノミクス第1の矢「異次元の積極的な金融緩和」と第2の矢「機動的な財政出動」で円安・株高となり、自動車、電機など大規模な輸出産業は収益を拡大し雇用と賃上げが実現、首相が誇る「雇用は100万人増大、賃金は上昇、15年続いたデフレは脱却に向かった」という好景気の局面に入りました。しかし、国内消費は4月消費増税の駆け込み需要の反動減と夏場の天候不順、円高で輸入原材料が高騰して下請け中小企業は賃上げどころか経営圧迫で低迷。庶民も輸入食料品の高騰で家計負担が増大しました。

国民に信問い長期政権基盤固まる
 「経済の好循環維持」を経済界では「トリクルダウン」と呼ぶそうです。アベノミクス効果で@先ず高収益を得た大企業がベースアップ・雇用・設備投資を拡充Aその成果を下請けや地方の中小小業が受け継ぐBさらに好景気を全国津々浦々まで拡大する――といった好景気を満遍なく「滴り落とす(循環)」ことを意味します。ところが8日発表の7〜9月期の国内総生産(GDP)改定値は、実質成長率が年率換算で1・9%減と下方修正され,2四半期連続のマイナスで景気の失速が鮮明になり、実質賃金は低下しました。野党は「大義なき解散」と一斉に批判しましたが、2%アップ再増税を1年半先送りするに当たって国民に信を問うのは当然です。幸い円安で高騰した原油が半年で4割も下落して悪影響が少なく、小泉首相が「郵政選挙」のワン・ポリティック・イシューで勝利したのに肖り「アベノミクス選挙」で圧勝。首相は来年秋の総裁選を待たず長期政権の基盤が固まりました。

賃上げと仕入れ価格へコスト転換
 今後の課題は第3の矢「成長戦略」をどう構築するかです。その手始めに政府は財界・労組代表との「政労使会議」を16日にも開き、「経済界は、賃金の引き上げに向けて最大限の努力を図り、取引企業の仕入れ価格の上昇などを踏まえた価格転換や支援協力について総合的に取り組む」との合意文書を発表する方針です。これは昨年末の政労使会議が賃上げを打ち出し、14年春闘でのベアが広がる契機となったのを踏まえ、円安に伴う原材料価格の高騰に苦しむ中小企業に配慮し、大企業が仕入れ価格へのコストの転換を容認することを経済界に要請したものです。アベノミクスの成否は、高水準の賃上げがデフレ脱却の鍵を握っていることから労組は勇み立ち、政府の旗振りではなく、強気の要求で主導権を握ろうと、金属労協、自動車総連,電機連合などは6000円以上のベアを要求する構えです。成長戦略の実現に向けて、榊原定征経団連会長は「国民にとって大きな痛みを伴う改革も必要だ」と規制緩和などの構造改革の必要性を強調。三村明夫日商会頭は「円安は地方の企業や中小企業に費用増の影響を及ぼしている」と中小企業の救済を訴えています。

女性社会進出に配偶者控除見直し
 第3の矢の成長戦略では、子育て支援や社会保障費の充実などに加え、税制改革で@専業主婦やパートの妻がいる世帯の所得税と個人住民税を軽くする「配偶者控除」の見直しA親や祖父母から住宅購入資金を受け取った際にかかる贈与税の非課税枠を1500万円に拡大B法人税の実効税率を数年内に20%台に引き下げ――など、女性の社会進出支援と管理職拡大や消費増税で停滞した住宅市場活性化、産業空洞化の防止に繋がる政策を打ち出し、好景気を持続させる方針です。約1400万人に適用されている配偶者控除(38万円)は「年収103万円以下」の規定があり、女性が103万円以下に働き方を抑える傾向があるため、この規定を撤廃、妻の収入に関わらず一定額を夫の所得から差し引く「夫婦控除」に切り替えようとしています。女性がフルタイムで働いても不利にならず結婚退職しなくても済むことから、政府は将来の人口減対策や女性の社会進出に利点があると見ています。

新補助金で減反促進と規模拡大
 農業分野では農業戦略特区を設け、大規模経営の推進や遊休農地の活用を促します。農業就業者数は226万人で15年前に比べ4割も減少した一方、農業生産法人は1月の時点で1万4333法人となり10年間で倍増。環太平洋経済連携協定(TPP)参加には海外で負けない強い農業の構築が不可欠で、その担い手として農業生産法人への期待が高まっています。安倍政権は今年から、民主党政権が実施した「戸別所得補償制度」に比べ、補助金を半分に引き下げましたが、今年の新米は,コメ余りで店頭の小売価格が1〜2割も下落し農家収入が減りました。政府は18年に生産調整(減反)を辞める方針ですが、米価急落に歯止めをかけるため、新たな補助金を導入する方針を決めました。また目標の達成を目指し15年産コメの生産数量目標を今年より14万トン減の751万トンと決めました。このように、安倍政権はアベノミクスの完成に向け、全力を挙げて取り組んでいます。