第337回(11月29日)アベノミクスの信問う 安定多数目指し一丸
 日本列島は12月2日公示・14日投開票の師走選挙に燃えています。首相は「再増税で景気が腰折れしては元も子もない。消費増税を1年半 延期することで国民に信を問う決心をした」と記者会見で決意を表明しました。野党は「アベノミクス失速の身勝手解散」(民主)、「疑惑隠し解散」(維新)など、「大義なき抜き打ち解散」と批判して対峙。政治評論家の1人は「1強(自民)が選挙の連携態勢が整う前に他弱(野党)を叩き潰す“逆桶狭間”の戦いだ」と解説しました。確かに路線の違いから、みんなの党は再分裂して解党、一部は民主党に移籍。野党間の候補1本化調整は進まず、1強と対決どころか野党再編は望み薄です。首相は2年間に最多の50カ国を歴訪、米・露・中・豪各国と首脳会談を開いて「積極的平和外交」を推進、中韓両国との関係改善も緒に就きました。総選挙で与党が過半数を維持できない場合は退陣すると明言、退路を絶ちました。安倍政権は一丸となって選挙に勝利しアベノミクス第3の矢「成長戦略」の総仕上げに入ります。一層のご支援をお願い申し上げます。

景気浮揚に消費増税1年半延期
 「10%への消費増税は18ヶ月延期する結論に至った。国民、経済にとって重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきだと決心した」――首相は11月18日の記者会見でこう述べ、年内の解散・総選挙を予告しました。野党が「大義なき解散」と批判したのに対し、首相は@7〜9月の国内総生産(GDP)速報は残念ながら成長軌道に戻っていないA消費増税で景気が腰折れすれば国民生活に大きな負担をかけ、税収が増えないでは元も子もないB40人超の有識者や経済政策ブレーンの意見を聞き、デフレからの脱却、アベノミクスの成功を確かなものとするため消費増税を1年半延期する結論に達した――と決意の背景を説明。来年の通常国会に消費増税の社会保障・税一体改革法改正案を提出する際には、増税の再延期をすることなく、景気次第で増税を見送る「景気条項」を撤廃する方針も示しました。また総選挙の結果については、「自公連立与党で過半数を維持できなければ、アベノミクスが否定されたことになり退陣する」と述べ、自ら退路を断ち背水の陣の構えです。

軽減税率の導入は自公共通公約
 自公両党は消費増税時に生活必需品などの税率を低くする軽減税率の導入を共通公約とすることに合意、「17年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源などについて早急に具体的な検討を進める」と明記しました。首相は20日、雇用や観光などの実績を政権公約(マニフェスト)に反映させるよう自民党の稲田朋美政調会長に指示、同党は25日、「景気回復、この道しかない」をキャッチフレーズに「地方の実感が届く景気回復を加速させる」と明記した政権公約を発表しました。公約は2部構成で第1部は「経済再生・復興加速」と「財政再建」の2本柱。消費税率10 % 引き上げ1年半先送りについては、「動き出した経済の好循環を止めないための決断」と理解をもとめました。第2部の政策集「政策BANK」には@経済再生・財政再建A地方創生・女性活躍推進B暮らしの安全・安心、教育再生C地球儀を俯瞰した積極的平和外交D政治・行政改革E憲法改正――の6分野、296項目を盛り込みました。

地方創生特区創設、岩盤規制打破
 アベノミクス第3の矢「成長戦略」では「あらゆる岩盤規制を打ち抜いていく」として、農協改革の推進や国家戦略特区の拡充に加え、地方創生特区の創設を挙げています。公約の具体策としては@雇用や賃金の増加を伴う経済好循環の更なる拡大をめざし、来年度から法人税実効税率の20%台へ引き下げA女性力の発揮による社会経済の発展を加速、大都市から地方に人材が還流するシステムを構築B国土強靭化を進め、持続可能な社会保障制度を確立C領土・領海・領空を断固守り、TPP(環太平洋経済連携協定)などの経済交渉は最善を追求D 安全保障法制を速やかに整備――などの推進を掲げています。これに民主党は「アベノミクスは期待外れ」と批判し、@国民生活に留意した金融政策A生活の不安を希望に変える人への投資B未来につながる成長戦略――を「経済政策の3本柱」とする衆院選公約を発表、子育て支援などで「厚く、豊かな中間層を復活させる」と強調しました。

地方創生関連2法も駆け込み成立
 臨時国会では労働者派遣法改正案、「女性活躍」関連法案の重要法案、カジノなど統合型リゾート(IR)推進法案 が審議未了・廃案になりましたが、21の法律・2条約が駆け込みで成立・承認(成立率は67・7%)。まち・ひと・しごと創生法案と地域再生法改正案の「地方創生関連2法案」は、民主党国対委員長が「この国会は(解散確定で)既にゲームセット」と言って野党が審議拒否を続ける中、最終日ギリギリに成立しました。地方創生関連法はアベノミクスを地方に普及させる必要不可欠な法律で、首相は「我々の経済政策で生まれた好循環を全国隅々に届け、地域社会を創って行かなければならない」と強調しています。成立法のうち、改正外国人漁業規制法・漁業主権法は「宝石サンゴ」密漁を重視、外国人が領海内で漁業をしたり排他的経済水域(EEZ)で無許可操業した場合の罰金額の上限を3千万円に引き上げ。改正薬事法は危険ドラッグについて販売停止命令の対象商品拡大など規制を強化。リベンジポルノ被害防止法は元交際相手の性的画像をインターネットに掲載するのを防ぐ。改正銃刀法は20年東京五輪に向け競技用空気銃を射撃できる年齢を引き上げ――などが内容です。ほかに改正土砂災害防止法、改正景品表示法なども成立しました。

アベノミクスの是非が最大争点
 総選挙は「大胆な金融対策」「機動的な財政出動」「民間活力を引き出す成長戦略」の3本の矢が看板の「アベノミクス」の是非が最大の争点。今年の春闘では昨年末の政労使会議を受け、大企業の約9割がベースアップに踏み切りましたが、中小企業は円安による輸入原材料の上昇で賃上げが出来ず、国民も消費増税と輸入食品などの物価上昇で実質賃金が目減りし家計の負担感が増大。特に地方には「アベノミクスの恩恵が届いていない」との不満が根強くあります。内閣府が11月17日に発表した7〜9月期のGDP速報値は、前期比0・4%減、年率では1・6%減と、2四半期連続のマイナス成長でした。首相は来年10月に予定された消費税率10%への引き上げを1年半延長すると直ちに決断、21日に解散の「伝家の宝刀」を抜きました。野党は「アベノミクス失速解散」と批判しましたが、首相は19日の政労使会議で、「来年、再来年の春に賃金が上昇していく環境を作ると国民に約束した」と述べ、1年半先の消費増税を確実に実施するため、来春闘でも賃上げに協力するよう要請しました。

絶対安定多数確保し山積課題処理
 1月の通常国会では@集団的自衛権行使を限定的に容認する新たな安全保障法制の一括整備A農業や正規・非正規労働者の格差是正など岩盤規制改革B国内産業の生産性向上C原発の再稼動――など多くの困難な課題が山積。政府はこれら課題を処理するため20日、緊急経済対策をまとめ前記の2本柱のマニフェストに掲げました。安倍政権は国民の審判を受けて総選挙に勝利し安定多数を確保、政策遂行の推進力を獲得しなければなりません。公選法改正で衆院定数は0増5減の475議席。自民党の公示前勢力は伊吹文明衆院議長を含め295議席。首相は「自公で過半数(238議席)」と控え目ですが最悪の場合でも与党の安定的な国会運営が可能になる絶対安定多数(266議席)を確保しないと首相が望む長期政権は幻影となります。幸いみんな、生活の両党は幹部級4人が離党し民主党に走るなど、「小沢一郎氏にはもはや政界再編を仕掛ける力は残っていない」と生活の党内からボヤキが出るほど求心力が低下。奇しくも投開票の14日は赤穂浪士討ち入りの日。国民の皆様のご支援を得て攻め込み、全候補の当選を目指して頑張りたいと自民党全員が決意しています。