北村からのメッセージ

 

 第33回(14年1月元旦) 年頭に思う 政治家の使命重大

 長崎県北・佐世保市の皆さん、全国の皆さん。明けましておめでとうございます。
そして、護衛艦「くらま」「さわぎり」、補給艦「はまな」など佐世保派遣の自衛艦に搭乗の皆さん。遙かなインド洋上で輝かしい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。米艦に対し早くも洋上で10数回の燃料補給をされたとか。わが国が輸入する石油の約8割は中東の産油。マラッカ海峡などシーレーンの安全確保も極めて重要です。戦闘区域外とはいえくれぐれも安全に任務を遂行され、国際平和に貢献されることをまず祈念します。

 おぢか国際音楽祭

 今年は佐世保市制百年の祈念すべき年。4―5月のゴールデンウイークには我が故郷・小値賀町の野崎島ワイルドパーク自然学塾村で、オーストリア・ザルツブルグの一流演奏家を集めた「おぢか国際音楽祭」が開かれます。佐世保市から洋上70キロに浮かぶ五島列島北端の小値賀町は大小17の島が点在、地質学的に東洋のガラパゴスと呼ばれるほど世界でも珍しい火山群島です。鹿の群れ遊ぶ野崎島には敬虔なカトリック教徒が建てた天主堂が聳え、ウミガメが産卵に訪れる純白な砂浜など、自然の美しさは西海国立公園の中でもピカイチ。5月連休の1週間は全国の皆さんが音楽祭の合宿に参加されるよう、地元の代表として心からお待ち申し上げます。参加ご希望の方は2月末までに「ながさき・島の自然学校」(TEL・FAX 0956−43−3170。メールアドレス n−school@abelia.ocn.ne.jp)へ申し込み、またはお問い合わせ下さい。さらに11月17日には、佐世保市で第22回「全国豊かな海づくり大会」が開かれます。

 やはり軍港の町

 このように市制百年関連行事は盛り沢山です。佐世保は広島の呉と並び明治35年に全国41番目の早さで市制が敷かれました。東郷平八郎元帥設計の軍港都市が重要視されたからです。明治22年に県都となった長崎市に次いで、県では2番目の市制でした。日露戦争で佐世保出港の東郷艦隊がバルチック艦隊を撃破したのは市制2年後のこと。それ以来、佐世保は軍港として栄えてきました。第二次大戦後は商港での発展を模索した時期もありましたが、今回再び脚光を浴びてみるとやはり佐世保は歴史的にも「軍港・漁港の町」であると実感しています。今後も日本の平和と安全を守るため、基地機能をさらに高め、同時に佐世保市が限りなく発展していくことを念願し、私も一層努力するする決意です。

 集団的自衛権も

 冷戦後は地域紛争や国際テロが急増、国際平和と安定に果たす日本の役割は大きく変わりました。政府は国民世論を背景にもっと踏み込んだ安保政策に転換を図るべきでしょう。昨年の臨時国会で成立した「同盟国への後方支援と難民対策などの国際貢献」を柱とするテロ対策特別措置法の審議過程では、かつての憲法を巡る「神学論争」は影を潜め、国際協調を謡った憲法前文と戦力不保持の同九条の「すき間」を巡った論争が起きました。「憲法は世の中の変化に応じて解釈するもの」との学説もあり、野党の一部からも集団的自衛権行使を禁じた憲法解釈を変えるべきだとの声が出ています。前向きな取り組が必要です。

 有事法制論議活発化

 日本は国際的な「有事」への対応が遅れ、国際批判を浴びる度に、湾岸戦争後は国連維持活動協力法、北朝鮮のテポドン発射実験後は周辺事態法、それに今回のテロ対策特措法と、遅ればせながら安保関連法を整備してきました。その都度、海上自衛隊の皆さんは“心の霧”が晴れていったと推察します。基地の町選出の私は文民統制を念頭に、自衛隊が誇りを持って世界の平和に貢献できるよう、集団自衛権の容認などで論陣を張りたいと念じています。昨年末には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船とおぼしき不審船が、奄美大島沖の日本漁業海域で海上保安庁の巡視船と銃撃戦の後、沈没しました。これには佐世保基地のイージス艦「こんごう」も駆けつけました。玄海灘や東シナ海にはこの種の不審船が多く出没しますが、日本漁船にロケット砲を撃ち込んだら大事件。1月末開会の通常国会では有事法制論議が活発化しますが、危機管理の在り方が厳しく問われそうです。

 日本の漁業量が急落

 不審船に限らず東シナ海、黄海の漁場では中国、韓国などの漁船が大量に出漁して乱獲を続け、鰺や鯖などの多獲性魚の資源が枯渇し、九州の底引き、巻き網漁業者に脅威を与えています。同海域での漁獲実績はここ20年来、日本が19%から3%の6分の1に急落したのに対し、中国は47%から86%に躍進、漁獲量は4千トンから1万トンと倍以上に増大しています。韓国も中国の影響で34%から11%と3分の1に落ち込んだものの、漁獲量は日本の4倍近くもあります。このため、日本の巻き網漁業者は約半分に激減、地域経済も半減するなど漁業衰退の現状は深刻です。

 育てる漁業の振興

 この情勢に対処し、昨年11月、自民党内に「東(シナ)海・黄海沖合漁業問題議員懇談会」(会長・久間章生元防衛庁長官)が発足、山崎拓幹事長以下の九州出身議員38人が参加し、私は事務局次長に就任しました。今後は漁業界の要望を受け、@経営安定の特別支援A操業の実績確保B日中韓の共同資源管理体制実現――などを推進する考えです。長崎は鰤、鯛、ヒラメ、トラフグなど養殖の盛んな県で、陸上養殖の研究も進んでいますが、近隣諸国の無謀操業による漁業資源の枯渇に対し、育てる漁業、加工業などを一層振興する必要があります。

 双方の顔立て決着

 中国の脅威は農業でも顕著です。日中両政府は昨年末、日本がネギ、生椎茸、い草の3品目を対象に2百日間、暫定発動したセーフガード(緊急輸入制限措置)の正式発動を回避し、中国は日本製の自動車や携帯電話への報復関税を取りやめることで合意しました。2月には、生産者や政府関係者による「日中農産物貿易協議会」を設置し、定期的に農産物の生産や流通、輸出入の在り方を話し合う予定です。正式発動すれば日本は「保護主義」との批判を受け、世界貿易機関(WTO)に加盟したばかりの中国も報復関税が「WTOのルール違反」と非難されることから、双方の顔を立てた政治決着が図られたわけです。

 農水行政に全力投入

 昨年の中国産3品目農産物の輸入額は237億円。これに対し中国から報復関税を掛けられた自動車など3品目の対中輸出額は昨年で666億円に上っていました。つまり、農産物以上に報復関税で打撃を受ける日本の産業界が、WTOに正式加盟した中国を魅力ある市場と見込み、セーフガードと報復関税の同時取り下げを強く要求していたからです。農業団体は12月21日の交渉期限の土壇場まで正式発動を主張し続けました。両国政府が「秩序ある貿易のために尽力する」といくら誓い合っても、日本農民の不安は消えません。安価な農産物の洪水輸入をどうすれば防げるか。一例を挙げれば日本商社の開発輸入に秩序を持たせ、泥付きのまま化粧箱にも入れず出荷するなど手間と流通コストを削減する道があります。衆院農水委員として農林水産行政には今年も大いに力を注ぐ覚悟です。

 世界共生の改革を

 ところで、昨年9月11日の同時多発テロで21世紀の世界は一変しました。小泉首相は今年を改革断行の年と意欲を燃やしていますが、構造改革だけで激変する世界についていけるのかと、いささか気になります。「貧困・不平等を敵とするイスラム原理主義が途上国の資源を収奪し、世界を覆う金融システムのマネー資本主義、市場原理主義に立って繁栄をむさぼる米国の一国至上主義に挑戦した文明戦争だ」と、評論家は同時多発テロを解説しています。確かに経済大国のエゴは世界に通用しない時代であり、資源の浪費を避け、コストを削減して地球に優しい世界共生の構造改革を同時に進める時代が到来しました。

 “痛み”をどう解消するか

 小泉改革の原点である、グローバル経済に勝ち抜く競争力強化の構造改革は極めて重要だし、特殊法人改革や医療制度改革も断行しなければなりません。景気浮揚もさりながら、02年度予算案に示された財政健全化の緊縮財政は当然だと確信します。しかし、改革に伴う国民の“痛み”は強烈であり、雇用、健康、老後の先行き不安をどう解消し、地方分権にふさわしい地域開発、離島振興策をどう確立するか。そして混迷する国際社会にどう貢献していくか。政治課題は山積し、政治家の使命は極めて重いと自覚しています。私は所属する衆院厚生労働、農水委員会などを舞台に、今年も力一杯活躍していきたいと念じています。年頭に当たり、倍旧のご支援とご鞭撻をお願い申しあげます。