第304回(7月16日)都議選余勢で圧勝か 3岐路で党首激論
 アベノミクスが国民の信頼を集め、ねじれ国会の壁を突き破れるか。決戦の参院選は7月21日に迫りました。自、公両与党は都議選圧勝の余勢を駆って参院選でも過半数を制し、15年続いたデフレから日本を取り戻そうと、全国会議員を地元に貼り付けて戦っています。6月の日銀短観は3月調査の流れを引き、大企業・製造業でプラス4に景況感が改善されました。しかし野党は物価上昇など「副作用」を取り上げ、対決姿勢を強め、尖閣諸島・竹島など領土、歴史認識問題で日本と摩擦を深める中韓両国は、北京で首脳会談を開き日本を牽制するなど急接近しています。首相は参院選後、フィリピン、マレーシアを訪問し共有する民主主義の「価値観外交」を展開、中国包囲網を形成するとともに直ちに成長戦略の具体化に着手。円安、株高による物価上昇と給与が改善される間にタイムラグが生じないよう万全の策を講じる方針です。安倍長期政権を確立するためにも参院選は必勝しなければなりません。世紀の決戦に是非、皆様の強力なご支援を賜るようお願い申し上げます。

ねじれに終止符、日本取り戻す
 「そもそも『ねじれ』を生み出したのはこの私。6年前の参院選敗北が全ての始まりだ。私も含めてコロコロ首相が変わり、国力が大きく失われた。日本を取り戻すため、ねじれに終止符を打たなければならない」――首相は6月26日、参院で首相問責決議が可決された後の記者会見で参院選に臨む決意をこう述べ、「アベノミクスの3本の矢でマイナス成長をプラス成長に反転させた」と自讃しました。自民、公明両党の非改選議員は59人。21日の参院選で与党が過半数(122)を確保し、ねじれを解消するには、63議席以上が必要です。4日の公示日に届け出たのは自民78(選挙区49、比例区29)、共産63(46,17)、民主55(35、20)、維新44(14,30)、みんな34(19,15)、公明21(4,17)、生活11(5.6)、社民9(5,4)、みどり8(5,3)、諸派83(62、21)、無所属27(27、0)――の計433人(271,162)です。某社の政治記者は「自民党は選挙区48、比例区23で計71人当選し単独過半数、自公与党で安定多数を確保できる」と嬉しい予測を立てています。しかし、各紙の世論調査では、アベノミクスには好感を示しつつも、物価上昇に不安を感じ、環太平洋経済連携協定(TPP)や改憲、原発再稼動では支持が3通りに分れています。

4党は改憲、原発、TPPに反対
 与野党9党は公示直前の3日、日本記者クラブ主催の党首討論会で、改憲、原発、TPPの「3つの岐路」や経済政策で激論を交わしました。首相は「15年間続いたデフレ脱却に、我々は次元の違う政策でチャレンジした」と大胆な金融緩和、積極的な財政出動などアベノミクスの正当性を訴えました。民主党の海江田万里代表は「自公政権は国民の期待を膨らませたが、副作用で諸物価が上がっている」と反論、生活、社民両党も電気代や小麦粉の値上げなどに触れて、「暮らしを破壊する」と物価上昇に集中砲火を浴びせました。生活、共産、社民、みどりの風の4党は改憲、原発再稼動、TPP参加でも反対を唱えました。これまで野党は「アベノミクスでなくアベノリスクだ」(民主)、「3本の矢はみな毒矢、アベコベミクスだ」(共産)、「動脈(経済)と静脈(生活・環境)のバランスが崩れて体が維持できない」(みどり)、「2本の矢の前菜はマアマアだが、メインディッシュの成長戦略が見えない」(維新)など、しきりに揶揄してきましたが、自民党の雇用、物価、規制緩和対策などに対決姿勢を強めています。

副作用の物価、消費増税に反対
 討論会での各党首の冒頭発言は「参院選に勝ってねじれを解消、政治を安定させる。政権を奪還してデフレ脱却、経済再建に挑んだ結果、政治,経済も変わり出した」(自民)、「与党が過半数を確保し成長戦略を実行できる力を得る。国民目線に立ち広く民意を受け、安心感を与える」(公明)、「安倍政権の経済政策の副作用で物価が上がった。生活破壊の政策から暮らしを守る」(民主)、「官僚統制や中央集権が戦後レジューム(体制)の根幹だが、この岩盤のような時代遅れのシステムに風穴を開ける」(みんな)、「物価高で国民生活は苦しく、原発再稼動で命も危うい。命・暮らし・地域を守る。TPP参加は農水産業の衰退や医療皆保険制度の崩壊を招く」(生活)、「大企業の内部留保を活用して賃上げ・雇用を増やす。消費増税には断固反対。原発再稼動や輸出、改憲、TPP、米軍辺野古移設に厳しく反対」(共産)、「安心して子どもを生み、働き続け、年を取る優しい社会を目指す。原発再稼動、改憲と対決する」(社民)、「アベノミスクで一番重要なことは徹底した構造改革。地方分権に霞ヶ関が抵抗したが、批判・反論・選挙を恐れず本当の改革を実行していく」(維新)、「資本主義社会で政治が再分配機能を果たせず、貧しい若者、女性たちを作り出した。原発、TPPは若者、女性を不安にするので反対。消費増税は凍結」(みどり)――と様々。

惨敗民主は信任回復に背水の陣
 野党の党首は4日からの遊説でもこのようにアベノミクス批判を繰り出し、舌戦を展開しています。安倍首相は衆院選と同様、福島市で第1声を上げ、各地では雇用統計数字を並べ、「我が党が政権を取ってからずっと改善している」と実績を強調。公明党の山口那津男代表は「経済成長の中で物価上昇率を上回る所得の増大を実現することが重要」と述べ、重要法案の生活保護法、電気事業法の両改正案を廃案に追い込んだ民主党の無責任を批判しています。民主党は衆院選、都議選惨敗から国民の信任を取り返そうと背水の陣で、「賃金が下がったのは(小泉内閣で)派遣労働を拡大させたからだ」と訴えています。首相は就任6ケ月余、側近に「月1回は必ず被災地視察、国内行脚、外遊、ゴルフを入れた日程を組むように」と指示、実行しているようです。日曜を返上した福島視察では株を手に持ち「株が上がります」と言ったり、作業着で田植え機を操縦して「私は右に寄りやすいと言われている」と軽口をたたいたり、歌手のコンサートにも飛び入りして歌を熱唱したり、長嶋茂雄、松井秀喜両氏の国民栄誉賞表彰式では96番をつけた巨人ユニホーム姿で「改憲発議の96条」をアピール。初のネット選挙ではフェースブックをフル活用しています。

参院選後は外遊、内閣改造も
 外遊はモンゴル、ミャンマー、ロシア、トルコ、アラブ首長国連邦、G8サミットに先立つワルシャワで開かれた中欧4カ国(V4)と日本との初の首脳会議にも出席、財界人多数が同行し寿司など日本食を振舞う、トップセールスの経済外交を展開しました。参院選後はフィリピン、マレーシアも訪問予定で、中国包囲網の価値観外交の総仕上げと、23日からマレーシアで開くTPP交渉の指揮も行います。夜の会合も1日に2回こなし周辺が首相の健康を気遣うほどタフな生活を送っています。「政高党低」の安倍政権は、麻生太郎副総理兼財務相、首相側近の菅義偉官房長官、甘利明TPP担当相らを中心に国会終了後、中央官庁の新次官など幹部人事を決め、官邸主導の布陣を固めました。党役員人事の任期が切れる9月には党人事に併せて内閣改造も断行、臨時国会を乗り切る態勢を整えると見られます。自民党への復党が出来ず今回の参院再出馬を断念した舛添要一改革の党代表は「民間枠として入閣するのではないか」と、マスメディアは早くも人事の予想を立てています。