第303回(7月1日)G8で評価受ける 都議選勝利し参院選へ
 参院選の前哨戦・都議選に完勝した自民党は7月4日公示、21日の参院選勝利に向け、一丸となって戦っています。6月に英国で開いたG8サミットでアベノミクス推進の支持を得た安倍首相は、サミット前に開かれた中欧4カ国(V4)会議でも「原発輸出の後押しとなるエネルギー分野の協力」で合意するなど、着々とトップセールスの経済外交を推進しました。参院選ではインターネットを使った選挙運動が解禁され、首相自らがフェイスブック(FB)で民主党の細野豪志幹事長とやり合うなど国民に直接発信、ネット舌戦は激しくなっています。首相は参院選で成長戦略を国民に強く訴え、14年度予算の概算要求に盛り込み、10月後半に開く臨時国会に投資減税など関連法案を提出、好景気を持続させる方針です。6月26日に閉幕した国会は首相問責決議案が可決されたあおりで、電気事業法と生活保護法の両改正案が廃案になりましたが、懸案の衆院「0増5減」の区割り法案が成立。順風万帆の政局運営が続いています。政府与党は「ねじれ(国会)を解消すれば法案は簡単に通る」と参院選必勝に燃えています。だが、4月以降、青森、名古屋、さいたまの各市長選と静岡県知事選で自民の支援候補が敗れ油断は禁物です。ご支援下さい。

G8宣言にアベノミクス盛込む
 安倍首相は6月17,18日に英国・北アイルランドで開かれた主要国首脳会議(G8サミット)で、「金融、財政、成長戦略の『3本の矢』でしっかり日本経済を成長させ、世界経済にも貢献していく」とアベノミクスを説明。「日本の成長は短期的な財政刺激策、大胆な金融政策、民間投資を喚起する戦略に支えられている」との評価と「信頼できる中期の財政計画も必要」との勧告を入れた首脳宣言を発表しました。首脳宣言は他に@自由貿易促進のため環太平洋経済連携協定(TPP)など地域間通商の動きを歓迎Aタックスヘーブンなど多国籍企業の「課税逃れ」防止のルール作りに取り組むB内戦続きのシリアへの民主化に向けた政治的解決の達成に尽力C北朝鮮の核・弾道ミサイル計画を深く懸念し拉致問題を含む人権侵害の懸念に取り組むDイランの核計画は深刻な懸念で、度重なる国連安保理決議違反は容認しないEアフリカでのテロ対策を強化する――などを骨子としています。

改憲の発議要件に部分緩和言及
 G8に先立ち、ワルシャワで開かれたポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの中欧4カ国(V4)と日本との初の首脳会議では、原発輸出を後押しするエネルギー分野の協力を進める共同声明を発表しました。同声明では福島原発事故の教訓を踏まえ、日本が原子力の安全に貢献する必要性を強調。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉の加速も盛り込みました。首相は「V4との関係強化は成長戦略のインフラ輸出にも繋がる」とワルシャワで寿司、てんぷらなど日本食を振る舞い、トップセールスに勤めました。首相はワルシャワで憲法96条が定める改正の発議要件については「憲法(3原則)の平和主義、基本的人権、国民主権は3分の2に据え置くことも含めて議論していく」と記者団に表明、96条改正を過半数の発議とする持論にこだわらない姿勢を示しました。また、参院選で改憲案の発議に必要な3分の2の議席を確保できるかについては、改憲を目指す自民、維新、みんなの3党だけで参院の3分の2を超えるには、改選議席の101議席以上が必要であることを踏まえ、「1回の選挙では不可能。選挙を終えたうえで多数を得る努力をする」と強調。「民主党の中にも条文によっては賛成する人が居る」と述べました。

維新失速、存在感を高める公明
 96条改正への世論の支持が広がらず、改正を支持する日本維新の会は、橋下徹共同代表の「従軍慰安婦発言」で支持率が急速に失速。都議選、参院選での野党の選挙協力も不調に終わりました。こうした中で存在感を高めているのが公明党。同党は改憲でなく環境権などの「加憲」を主張、96条の先行改正は「連立合意の枠外」と難色を示しました。首相がワルシャワで憲法条文ごとに改正の発議要件に差をつける「部分緩和」論に言及したのは、96条の先行改正に慎重な公明党に配慮を示し、民主党保守系との連携をも狙う現実路線への変換です。253人が立候補し、42選挙区で127議席を争った7月23日の都議選は、自公両党の候補者全員が当選する完勝で与党が過半数を制し、自民が「都議会第1党の座」を奪回、参院選に弾みをつけました。公明は支持母体の創価学会婦人部が橋下発言に不快感を示したと見られ、維新も3から2議席に減少。前回トップの民主党は惨敗し共産を下回る第4党に没落しました。これにより安倍成長戦略の目玉である東京都、大阪府・市、名古屋市の「国家戦略特区」構想が実現に向かい、東京五輪誘致にも熱が入りそうです。

参院選後に政界再編の動き活発
 首相は参院選後に改憲勢力の結集を目指していますが、各党間でも政界再編の動きが強まってきました。読売は6月15日の朝刊に「次にらむ民主6人衆」を載せました。6人は小沢一郎元代表(現・生活の党代表)と距離を置いた野田佳彦元首相、岡田克彦元副総理・外相(元代表・幹事長)、前原誠司元外相・国交相(元代表)、枝野幸男元官房長官・経済産業相、玄葉光一郎元外相・国家戦略相、安住淳元財務相・国対委員長。読売によると、6人は2月の初会合以降、4回の会合を重ね、6月11日は政界を引退した渡部恒三元衆院議長を永田町の日本料理店に招き、ウナギ料理を食べながら党の立て直しを話し合い、渡部氏は「次の衆院選ではオセロゲームみたいに雰囲気が一変する可能性もある。頑張れ」と激励したといいます。同党内には、野田氏らを昨年の衆院選惨敗の「戦犯」と批判する声が根強くありますが、6人は保守系の改憲派で、「巨大与党」となった自公両党に対し、海江田万里執行部が存在感を示せないことに危機感を抱き、首相の向こうを張って、次期衆院選までに維新の会やみんなの党を吸引する野党再編を主導する構えを見せています。

中国の脅威に日米軍水陸戦演習
 自民党は同20日、4日に公示される参院選公約を発表。アベノミクスの推進や投資減税、法人税の大胆な引き下げなど産業競争力の強化と、憲法96条の発議要件見直し、米軍普天間飛行場の辺野古へ移設、原発再稼働――などを明確にし、首相は巻頭言で、「ねじれを解消してこそ政治の安定が実現できる。私たちは負けるわけにはいかない」と決意を述べました。昨今の動きで注目されるのは、7月17日の米軍水陸両用戦演習「ドーン・ブリッツ」(夜明けの電撃)に日本の陸海空自衛隊が初めて参加したことです。尖閣諸島をめぐる日中の対立が続く中、離島防衛の強化を急ぐ日本と、日本の役割拡大に期待する米国の思惑が一致したもので島嶼防衛に心を砕いてきた私に取っては大賛成です。合同訓練は米カリフォルニア州サンディエゴの約120キロ沖合にあるサンクレメンテ島で離島奪還を想定し、海上自衛隊の「エアクッション型揚陸艇」が海から島に上陸する訓練で自衛隊約千人が初参加しました。新型輸送機オスプレイ4機に分乗した米海兵隊員約80人が島に降り立ち、1時間かけて飛行場を奪還すると、日本の離島防衛を担う長崎県佐世保市の陸自西部方面普通科連隊の約60人が近海の護衛艦「ひゅうが」からヘリで上陸する演習でした。

防衛大綱改定で日本海兵隊創設
 自民党国防部会は年末の防衛大綱改定に当たり、日本の「海兵隊的機能の強化」を要求していますが、首相は5月の国会で、「島嶼防衛で海兵隊的機能を備える必要性を議論しなければならない」と答弁。小野寺五典防衛相も日米合同訓練に「実戦に近い訓練を通じ、自衛隊の統合能力を高める」と強調。講演では離島防衛専門である佐世保の西部方面普通科連隊を引き合いに、「装備、部隊編成を拡大しないといけない」と語っています。