第296回(3月16日)株価1万2千円台回復 中国軍拡に懸念
 国会は3月7日から13年度予算案の本格論戦に入りました。懸案の日銀総裁・副総裁人事は15日までに国会の同意を取り付けました。衆院議員定数削減の公選法改正案も近く国会に提出されます。政府与党は政権交代で約1ヶ月遅れた予算案の早急な衆院通過を目指し、公務員給与支給に必要な13年度暫定予算案と年度内成立が不可欠な日切れ法案を3月末に処理、5月連休前に本予算を成立させる方針です。首相が財界首脳に要請した賃上げにコンビニ業界がベア実施で応えるなど春闘は明るさを見せ、「アベノミスク」が理解されて株価も1万2千円台を回復、内閣支持率も70%台を維持しています。しかし、中国が5日に開いた全人代で国防費は3年連続2桁伸ばす10・7%増の11・1兆円と発表、海洋資源確保のための海・空軍強化を打ち出し、第3回核実験の制裁措置を受けた北朝鮮が猛反発するなど東アジアは不穏です。逆に「財政の崖」に直面した米国は3月末に暫定予算の期限が切れ、軍事費の13%削減などで在沖縄米海兵隊のグアム移転にも支障来たす恐れが出てきました。安倍政権は「順風満帆」の船出ですが、何が起きるか「寸前闇黒」が政治の世界。私は党組織運動本部長代理として緊張感を持ち、参院選対策に取り組んでいます。

首相「決められる政治」に自信
 「強い日本を創るのは私たち自身。『一身独立して一国独立する』の意思を持たない限り未来は開けない」――首相は施政方針演説の冒頭で,福沢諭吉が「苦楽をともにするにしかざるなり」と「一身の独立」を唱えた言葉を引用し、「災害復旧からの自立」、「経済成長を達成する意思と勇気」を訴えました。12年度補正予算は参院本会議でわずか1票差というきわどさで成立しましたが、首相はねじれ国会を無事に乗り切ったことで、「決められる政治」に自信を深め環太平洋経済連携協定(TPP)参加への意欲を表明。参院選前に公選法改正を実現させようと積極的に取り組んでいます。19日に任期満了の日銀副総裁人事に合わせて引退を表明した白川方明日銀総裁の後継人事は14,15両日の衆参両院本会議で承認を得ました。総裁は黒田東彦アジア開発銀行総裁(68)、副総裁は岩田規久男学習院大教授(70)と中曽宏日銀理事(59)。所信聴取でみんなの党は黒田氏に反対、民主党は岩田氏に難色を示しましたが、補正予算と同様に野党足並みの乱れに救われ国会了承されました。

民主首脳に3年間の失政を糺す
 7日から始まった衆院予算委員会で民主党は「民主党政権が削減した公共事業費が増加したのは先祖返りだ」(海江田万里代表)、「政権交代は(自民の)社会保障がボロボロになったからだ。衆院定数削減をやる覚悟があるか」(細野豪志幹事長)、「消費税を引き上げることで、余力を使って公共事業をやっている」(岡田克也前副総理)とエース級が散々攻撃したのに対し、首相は「デフレ脱却で税収を増やさないと財政再建はできない。公共投資の利益は次世代も享受できる。消えた年金問題は私の時に発生したんじゃない」と余裕たっぷりに答え、挑発的な質問には、「政治は結果。民主党政権は残念だが、3年間やって出来なかったではないか」と民主党3年間の失政を厳しく指摘し反論しました。むしろ、憲法改正(96条の緩和)やTPP参加問題では、日本維新の会、みんなの党から逆に激励的な質問を受けました。自民党はTPPの意見集約で大きく意見が分かれ農協(JA)も猛反対しましたが、13日夜のTPP対策委員会総会では、交渉に当たってコメ、牛肉など農業の5品目や国民皆保険制度で「聖域の確保を最優先し、できないと判断した場合は脱退も辞さない」ことを条件に、TPP交渉の参加を容認する決議を採択。決議は日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提でないことが文書で確認された」点に留意、「国家百年の計に基づく決断」を首相に求めました。首相は15日に記者会見し、TPP参加の決意を正式表明しました。

経済好転で強気だが物価上昇も
 首相を強気にさせているのは経済の好転です。「アベノミクス」を好感し、日経平均株価は4年5ヶ月ぶりに1万2千円台を回復。8日には08年9月のリーマン・ショック直前の1万2214円を上回りました。日銀の金融緩和で市場に大量のカネが流れ込んだのに加え、ニューヨーク株式市場でもダウ工業株平均が5年5ヶ月ぶりに史上最高値を塗り替えたため、投資家の円売りドル買いの流れが強まり、円相場も一時は96円50銭近くに下げる円安となりました。首相が財界に賃上げを要請したのに応え、セブン&アイ、ローソンなど小売大手や自動車業界など業績の上がった多くの企業はベアやボーナスを満額回答。デフレ脱却への期待から各紙の内閣支持率も70%台を維持しています。しかし、原発稼動の停止で火力発電切り替えによる燃料コストの上昇と円安が響いてガソリン、灯油の値上がりが続き電気料金にも跳ね返るなど庶民生活を圧迫しています。12年10〜12月期の国内総生産(GDP)は前期(7〜9月)比0・04%の伸び率でプラスに転じましたが、13年度予算案を早期成立させ復興などの公共事業費を執行しなければ、景気が失速する恐れがあります。

住宅再建・住民帰還の工程表作る
 「百の言葉より一つの実行。前政権で遅々として進まなかった復興を加速させる」――首相は7日に開いた復興推進会議と原子力災害対策本部の合同会議で檄を飛ばしました。3・11から2年間が経過しても、31万被災者の住宅再建、15万避難住民の帰還、セシウムの除染作業などは大幅に遅れています。民主党政権による復興作業の遅れを批判する首相は、大島理森前副総裁を党の東日本大震災復興加速化本部長に任命。被災地から遠いと不評だった復興庁の司令塔を東京・福島の双方に置く「2本社制」にし復興予算は1月末に「5年間で10兆円」から25兆円に増額しました。合同会議では、@15年度までに復興用災害公営住宅を約2万戸、民間住宅用宅地を8千5百戸分とする目標を掲げ、国が市町村や地区ごとの建設戸数を集約するA東電福島第一原発事故の避難者が早く帰還できるインフラの早期復旧や雇用確保に国は取り組む――など工程表作りの役割分担を明確にしました。

違憲判決受け公選法改正急ぐ
 今国会の大きな焦点は公職選挙法改正問題。東京高裁は6日、「1票の格差」が最大で2・43倍となった昨年末の衆院選について弁護士グループが選挙無効(やり直し)を求めた訴訟で、「投票価値の平等に反する」として違憲の判決、札幌高裁も7日、同様の判決を下しました。弁護士グループは今回の東京1区を含む計31選挙区を対象に全国の14高裁に提訴、27日までに他の12高裁の判決が出揃います。東京高裁は選挙無効を棄却したものの、最高裁が判断した従来の「違憲状態」から1歩進めた判決であり、立法府の公選法改正は待ったなしとなりました。国会は昨年11月の衆院解散当日、「0増5減」に定数是正の法改正を行い、区割り審で区割り案を検討中。改正の際、自公民3党で「身を切る改革」とし定数削減の抜本改革と区割りの定数是正を図る公選法改正案の今国会提出で合意しました。

60議席に「少数政党優遇枠」
 石破茂幹事長がNHK番組で「合意は重い。3月半ばに自民党案を決めたい」と明言した通り自民党は14日、衆院選改革案を決定しました。自民案は@0増5減が決まった小選挙区の定数295は削らず、180の比例定数を30減らし、全国ブロックは北海道と東北、北陸信越と東海、中国と四国を統合して11から8に再編するA残る150議席のうち60議席に「少数政党優遇枠」を設け、「得票率が2位以下の政党」に限り、ドント式で配分するB優遇措置の結果、得票率が1位の政党と2位の政党で比例選の獲得議席が逆転しない仕組みも設ける――など。5日にスタートした自公民3党実務者協議で細田博之幹事長代行が既に内示していました。80議席削減(0増5減後は75減を主張)を公約に掲げた民主党は「憲法違反」の疑いがあると自民案を批判して反発。公明党はこれまで比例区削減に反対し、小選挙区比例代表連用制か中選挙区制復活を主張してきましたが、党内で「少数政党優遇枠」を歓迎する声が広がり、北側一雄政治改革本部長は妥協・合意の姿勢を強めています。

参院選から選挙にネット解禁
  一方、夏の参院選からインターネットを使った選挙運動を解禁する動きも各党で高まっています。自民党は7日の総務会でネットによる選挙運動解禁の公選法改正案を了承。公明、日本維新の会と3党で13日に共同提案しました。改正案は@ホームページ(HP)やツイッター、フェイスブックなどウェブサイトを活用した選挙運動を解禁A選挙運動用の電子メールは候補者・政党に限り送信できるB送信先は送信に同意した者に限り、同意の事実を証する記録を保存C第3者が電子メールを送信した場合は禁固2年で公民権停止、50万円以下の罰金DHPには電子メールアドレスなど連絡先の明記を義務付け、別人をかたる「なりすまし」を防ぐ。違反者は禁固1年で公民権停止、30万円以下の罰金――などの内容。現行は選挙運動で頒布できる文書図画の種類や数を制限、コンピューターの画面上に表示された文字などもこれに該当するとして禁止されていましたが、実際には、各党は選挙期間中もHPを更新し、具体的な投票呼びかけをしない範囲で政策を訴えてきました。各党は2010年の参院選前、「政党と候補者に限定してネット利用を解禁する」改正案で合意しましたが鳩山元首相退陣の国会混乱で提出を断念しました。自・公・維新の3党は今回、3年前の合意案に沿った改正案を提出。民主、みんな両党は全面解禁の対案を出す構えです。このように4ヵ月後に迫った参院選へ向け、各党の動きも活発化してきました。