第292回(1月16日)参院選勝利へ一丸 TPPが中心の日米会談
 危機突破内閣の安倍政権は正月休みを返上し、12年度補正と13年度本予算の切れ目ない15ヶ月予算案の編成に大童。幸い米議会が元日、「財政の崖」を防ぐ関連法案を可決。国際的に株高・円安が進行したため、脱デフレ・円安の経済再生を掲げる安倍丸には追い風が吹き、まずまずの船出です。半年先の参院選勝利に向けて政府自民党は一丸になって燃えています。首相は月内にインドネシア、タイ、ベトナムの東南ア(ASEAN)3カ国を訪問した後、2月に訪米しオバマ米大統領と日米同盟の修復・進化を協議し、安倍外交が開幕します。首脳会談では、環太平洋経済連携協定(TPP)の参加が中心課題ですが、国内の反対勢力を意識して安全運転。主に緊迫する北東アジアの安全保障が協議されます。私は党の政務調査会副会長に就任、農水政策を総括担当しますがTPPは日本の農業にとって最重要課題。皆様のお声を農政に反映できるよう、さらなるご鞭撻をお願い申し上げます。

蛇の脱皮倣いアベノミクス推進
 「今年は巳年。蛇は商売繁盛のシンボル。経済再生に向けてロケットスタートを切りたい」――首相は4日、伊勢神宮参拝後の記者会見で、大胆な金融緩和、機動的な財政、民間投資を喚起する成長戦略の“3本の矢”で、蛇が脱皮するように経済を再生する「アベノミクス」を推進すると改めて強調しました。首相は就任後、各省庁に対し民主党政権が導入した農家の戸別所得補償の減額や、高校無償化に所得制限導入など概算要求の再提出を命じ、マクロ経済政策の司令塔として「経済財政諮問会議」(議長・首相)を復活させる一方、民間の競争力強化などミクロの経済政策を話し合う「日本経済再生本部」(本部長・首相)を設置し、甘利明経済再生相に担当させるなど経済運営の両輪としました。安倍政権が消費税率を来年(14年)4月から8%に上げるには、10月頃の景気状況が判断材料になります。それにはデフレ脱却と景気浮揚の指標となる今年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)成長率が重要。13年度本予算の成立は5月連休明けと見込まれます。4月から成立までの約50日間は地方交付税、公務員給与などの経費を暫定予算でしのがねばならず、その間の景気落ち込みを防ぐには10兆円を上回る大型補正が必要になります。

10兆円超規模の大型補正予算
 自公民3党合意でも「成長戦略、事前防災・減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」との条文が追加されています。自公両党は、消費税率の5%から10%への引き上げで出来る財源は13・5兆円。新規事業に充てる2・7兆円を除く10・8兆円は現状の社会保障制度の維持に使う方針で、景気刺激策に流用するのは極力避けなければなりません。首相は民主党の経済運営を「縮小均衡の分配政策」と決めつけ「成長と富の創出の好循環」へ転換させるとし11日に閣議決定した緊急経済対策は@道路・橋の老朽化対策A小学校の耐震化B医療機器など成長分野の工場設備に補助金設定C中小企業再生のための「地域活性化支援機構」(仮称)設立――など全国の防災事業、企業支援策を決定。公共事業は国費だけで2兆円、自治体などを含めた総事業費は3兆〜5兆円を超え、補正予算の国の支払いペースは10・3兆円で、4〜6兆円の建設国債を発行する考えです。大規模補正予算案は月末召集の通常国会に、本予算案は2月中に提出し切れ目ない15か月予算となりますが、来年度の事業を含む緊急経済対策の総額は20兆円程度に膨らむと予想されます。   

日米・日韓改善で両首脳会談
 昨年は米・露の大統領が再選、日・中・韓のトップが交代するなど世界は激動しました。首相は予算案の編成や審議の合間を縫って、1月に東南ア、2月に訪米と訪韓、3月に訪中を計画。米・韓は大統領、中国は国家主席就任への表敬を兼ねてセットされます。北朝鮮が米本土に届く事実上の長距離弾道ミサイルを発射。中国も国家海洋局のプロペラ機が尖閣諸島の領空を侵犯するなど北東アジアの安全保障が緊迫化する中で、米国は12月21日、直ちに「尖閣諸島は米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約5条の適用範囲」との国防権限法案を可決してくれました。オバマ大統領との首脳会談では環太平洋経済連携協定(TPP)参加問題が中心課題となりますが、@ 公海で米海軍遠隔艦船と海上自衛艦が航行している際に米艦が攻撃を受けた時の防護A わが国領空で米国に向かう北朝鮮の弾道ミサイル迎撃――にどう対応するかなど、集団的自衛権の憲法解釈や日米防衛協力のガイドライン見直しなどを視野に率直な意見を交換、日米同盟の修復・深化に努めます。

「財政の崖」回避で経済再生に弾み
 米国は減税期限切れと政府支出の強制削減が同時に訪れる「財政の崖」を防ぐため、米議会が元日、関連法案をようやく可決、世界の金融市場の動揺は回避され、国際的に株高・円安が進行、安倍政権の経済再生に弾みをつけてくれました。安倍首相も自民党が総選挙の公約で「経験に裏付けされた外交力・交渉力で、断固として国益を守る」、「国防軍の名称が問題ではなく、自衛隊を憲法に軍として位置付けることが本質」――と掲げた以上、集団的自衛権の憲法解釈や国防軍への呼称変更、TPP参加などで踏み込んだ発言をしたいところです。自衛隊は国際的に「セルフデフェンス・ホース」と呼ばれているのに、発足時の警察予備隊の残像を引きずり“軍”ではなく“隊”と呼称されていることが自衛隊の士気に影響を与えているからです。しかし、野党ばかりか、国際社会も安部政権に右傾化のレッテルを張ろうとしており、7月参院選を考慮すれば、日米首脳会談では農業団体を重視してTPP参加にあまり踏み込まず、憲法論議も極力避けて「安全運転」をせざるを得ません。

森元首相を北方領土特使で派遣
 首相は4日、日韓議連幹事長の額賀福志郎元財務相を特使として韓国に派遣しましたが、日韓首脳会談でも竹島など領土問題、従軍慰安婦・靖国参拝など歴史問題には踏み込まず、経済交流の促進と、シャトル外交復活など未来志向の日韓関係を話し合う方針です。中国の習近平国家主席も対日修復を模索中ですが、首相は第1次安倍内閣発足時、真っ先に訪中し「戦略的互恵関係」を唱え、その後は日本の対中投資、技術援助、貿易などが飛躍的に拡大、中国は世界第2位の経済大国に躍進した経緯があります。従って、尖閣諸島など領土問題は棚上げし、日中経済協力を進展させる構えです。訪露の日程は未定ですが、プーチン露大統領と親しい森喜朗元首相を特使として近く派遣、膠着している北方領土問題の解決を図ります。このように安倍外交も始動しました。しかし、韓国の朴槿恵大統領は、日韓関係の重要性を強調する首相親書を手渡した額賀特使に対し、「多くの面で日韓の協力が必要だ。日本とは歴史を直視しつつ、融和と協力の未来を志向する。信頼関係を強めたい」と述べ、真っ先に歴史問題の存在を強調しました。

参院選勝利しねじれ国会解消
 韓国は同日、靖国神社に放火後、ソウルの日本大使館に火炎瓶を投げて韓国で服役した中国人の劉強・元受刑者を、犯罪人引渡し協定を無視して日本に渡さず、中国に送還しました。日韓、日中のしこりは依然大きいです。このように内政、外交とも大きな課題を抱えた安倍政権ですが、絶対に参院選に勝利しなければ、次のステップに進めません。第1次内閣の07年参院選で、自民党は改選64議席を27議席に減らし惨敗、ねじれ国会を招き、首相は2ヵ月後に退陣しました。7月参院選はそのとき当選した37議員が改選を迎えるため、首相は「政治の混乱に完全に終止符を打つ」との決意を固めています。しかし、総選挙での自民党の得票率は43%余に過ぎず、「勝ち過ぎ」に対する振り子現象が起きないとも限りません。惨敗した民主党の海江田万里代表は「小異を残し大同につく」と、小沢軍団「生活の党」など他の野党に“アンチ自公”の連携を呼びかけ、みんな、日本維新の会の両党も選挙協力を模索しています。自民党は景気回復と危機管理に万全を期し、国民生活を安定させるため、まっしぐらに参院選を戦い、ねじれ国会を解消する覚悟です。