第291回(1月1日)危機突破内閣が船出 アベノミクス提唱
 政権を奪還した安倍首相は金融・財政・成長で経済を再生する3本の矢の「アベノミクス」を掲げ、重厚な布陣の自公連立内閣を組閣。日本再生の「危機突破内閣」が船出しました。強くしなやかな国土強靭化を目指す大震災復興など10兆円規模の12年度補正予算案と13年度予算案を切れ目なく編成して月末召集の通常国会に提出。政界再編が掛かる夏の参院選の決戦に向けて、総選挙で惨敗した民主党など野党と激突します。内政ではまずデフレ脱却、経済再生のため2%の消費者物価上昇率を目指し日銀と政策協定(アコード)を結ぶなど、日銀法改正と大幅な金融緩和策を求め、日銀は10兆円の追加金融緩和策を決めました。外交では、首相は20日前後に訪米、オバマ大統領との首脳会談で民主党の外交無策でギクシャクした日米同盟関係を修復。2月には訪韓し朴槿恵大統領との会談で未来志向の日韓関係を再興します。こうした内政・外交の刷新で国民の信頼を回復、自民党は「ねじれ国会」解消を目指す参院選の天王山を戦い抜く覚悟です。今回の党役員人事で私は政務調査会副会長を拝命し、農林水産関係を総括的に担当することになりました。環太平洋経済連携協定(TPP)の参加など岐路に立つ農水行政ですが、皆さんのご意見を党政策に反映致したく、お気付きの点があればどしどしお声をお寄せ下さるようお願い申し上げます。

経済・外交再生し日本取り戻す
 「間違った『政治主導』で失われた経済・外交・教育・暮らしを再生し、日本を取り戻す」(安倍総裁)「政権交代前の古い政治に戻していいのか」(野田首相)――自民、民主両党主が東奔西走して激しく訴えた総選挙は、自民党が過半数を超える294議席を獲得して圧勝。民主党は4分の1の57議席に激減、小沢一郎氏が同党を割った日本未来の党は、小沢ガールズの13人中11人が落選し61から9議席に落ち込み,党が分裂するなど壊滅状態。小沢氏の復権は絶望的と見られます。3年間の民主党の「決められない政治」に国民が怒り、失望した結果によるものです。しかし、自民党の得票率は43・01%で,05年、09年と比べ約4ポイント下がり、約1000万票減らしています。国民の政治不信から投票率が10%ほど低下し、自民党への批判票が民主党や日本維新、日本未来、みんなの党など乱立の「第3極」に分散。幸いにも自民に有利に働きました。「1かゼロ」の小選挙区比例代表制を続ける限り、参院選や次期衆院選でオセロゲームのような「振り子現象」が起きても不思議ではありません。それだけに慎重な国会運営が望まれます。

国会、政策遂行に重厚挙党体制
 12月26日に首相指名を受けた安倍首相は同日、組閣を電光石火完了。前日の党役員人事では高村正彦副総裁、石破茂幹事長、河村健夫選対局長が留任、河村氏は党3役級の選挙対策委員長に格上げされ、石破氏とコンビで参院選勝利の指揮に当たります。ハプニング人事では「党が変わったと理解して頂く」とし、総務会長に野田聖子元郵政相、政調会長に高市早苗広報本部長を抜擢、清新な党3役をアピール。また、細田博之総務会長を幹事長代行、鴨下一郎元環境相を国対委員長に起用しました。組閣では、腹心の菅義偉幹事長代行を官房長官に抜擢、麻生太郎元首相を副総理兼財務・金融相に、谷垣禎一前総裁を法相、大田昭宏公明党前代表を国交相、側近の甘利明政調会長を新設の経済再生相、石原伸晃前幹事長を環境・原発事故相、岸田文雄元沖縄相を外相に起用するなど失言の恐れがないベテランの閣僚経験者を多く重用し、国会運営と参院選を戦う挙党体制を固めました。女性2閣僚も起用し、彩りを添えています。伊吹文明元幹事長が衆院議長に選出され、予算案審議を仕切る衆院予算委員長には山本有二元金融相を充てました。第1次安倍内閣は側近ばかり集め「お友達内閣」と批判されました。それに懲りて今回は派閥領袖のほとんど全てが党・内閣の要職に就く「オール自民党」とし、適材適所の重厚な布陣。安倍、石破両氏とも無派閥であることから「派閥推薦(順送り)は100%無い」(菅氏)という陣容になりました。国会乗り切りを最優先に考え「参院で否決した法案は60日後に衆院の3分の2議席で再可決・成立できる」という憲法の規定による強硬手段は極力避けて、国民の支持が得られるよう慎重で忍耐強い国会運営を目指しており、石破幹事長は所得倍増を実現した池田勇人元首相に習い「寛容と忍耐で行く」と述べています。

10兆円国債発行、インフレ2%
 安倍首相は危機突破内閣を唱え「アベノミクス」を推進すると強調しました。これはかつてレーガン米大統領が唱えた「レーガノミクス」になぞらえ、デフレ脱却、経済活性化のため@大幅な金融緩和策A公共投資増大など財政政策B規制緩和など成長戦略――の3政策を推進するというものです。安倍氏は総選挙直後の記者会見で、@デフレ脱却の補正予算案は学校・病院の耐震化や老朽化したトンネル・橋・道路の改修などに10兆円規模の国債を追加発行するA休眠状態にある経済財政諮問会議をマクロ経済政策の司令塔とするB同会議には日銀総裁を必ず出席させ、日銀と連携の政策協定(アコード)を結ぶ――などと語り、白川方明総裁に大幅な金融緩和を要請しました。これを受けて白川総裁は12月20日、「1月の金融政策会議で、安倍氏が求める上昇率2%のインフレ目標の採用を検討する」との考えを示し、@追加緩和策として資産買い入れ資金を10兆円程度増額して101兆円程度にするA対象は買い入れ短期国債5兆円程度、長期国債5兆円程度B金融機関に低金利で貸し出す新たな融資制度を2014年3月末までに15ヶ月間実施――などを決めました。

金融・財政・成長に教育再生も
 自民党は小泉政権から第1次安倍政権の2001年にかけ“いざなぎ景気”を超える戦後最長の好景気を作りました。その後のリーマン・ショックも食い止め、IMF(国際通貨基金)に10兆円融資して世界経済を救ったと先進国からも評価されました。それを綱領さえ定められない民主党の経済無策で、政権交代後すぐに補正減額で経済対策の基金等を潰し、「コンクリートから人へ」と、必要な公共事業も停止してしまいました。リーマン後、世界各国が回復し成長軌道に乗る中で、回復を止めて名目GDP(国内総生産)もどんどん低下し、唯一足踏みしていたのが日本です。安倍政権は「金融緩和により、名目成長率だけではなく実質成長率も上げるのは当然」として、デフレ脱却の断固たる意志を示して国民の「マインド」を変えるべく立ち上がりました。公共事業と研究開発への支援の呼び水となる財政政策に加え、成長分野の規制緩和を大胆に行うことで民間投資と需要を喚起し、実質成長率も上昇させる方針です。首相は第1次安倍内閣で改正教育基本法をテコ入れしており「日教組におもねる民主党には、教育再生はできない」と決め付け、人間力と基礎学力の向上、高等教育の強化・国際化を促進、いじめ防止の徹底、教育委員会の見直し――など教育再生を実現する考えです。

民主も海江田、細野体制で再出発
 さて、民主党は総選挙の総括で大荒れの末、25日の代表選では、有力候補の細野豪志政調会長、前原誠司国家戦略相、岡田克也副総理が相次ぎ辞退、「敢えて火中の栗を拾う」と出馬した海江田万里元経済産業相が、対抗馬の馬渕澄夫元国交相を抑えて当選。細野氏を幹事長に指名し「2枚看板」で参院選を戦うことになりました。自公両党は3党合意に基づき、税・社会保障の一体改革では民主党とパーシャル(部分)連合を組みますが、自公
が「ねじれ国会」の克服策に描く日本維新の会、みんなの党との政策連合は、両党が「是々非々で臨む」との態度であるため、国会運営で安部政権は冒頭から正念場に立たされます。