北村からのメッセージ

 

 第29回(11月1日) 佐世保基地とテロ NBC兵器撲滅

 テロ関連3法が10月末に成立、政府は米英軍の軍事行動に対する支援策を定める基本計画を11月中旬までに閣議決定します。同計画が策定されると後方支援の自衛隊基地である佐世保市が脚光を浴びることになります。テロ組織が米軍施設に攻撃を仕掛けないか、炭疸菌の白い粉が市内に撒き散らされないか。“見えない敵”テロ集団の標的にされる危険性も強まるわけで、佐世保市民、長崎県民も重大な関心を寄せざるを得ません。私は地元選出の代議士として、県民はもとより国民全体の生命、財産を守るため、衆院厚生労働委などを舞台に生物・化学テロ防衛などの国会活動をより一層充実したいと念じています。

 スピード成立

 米同時多発テロ事件を受けて、米英軍の後方支援を可能にするテロ対策特別措置法、自衛隊法改正、海上保安庁法改正のテロ関連3法は、法案提出後1ヶ月足らずの10月29日に成立しました。集団自衛権など憲法を巡る“神学論争”も比較的少なく、スピード成立したことは、暴虐非道の多発テロに国民の関心が盛り上がっていたこと、テロ対応の2年間に限定した時限立法であったことなどが、審議促進にプラスになったと思われます。

 後方支援と国際協力

 周辺事態法に準拠して制定されたテロ対策特措法は、大まかにいうと自衛隊による米英軍などへの補給・輸送、捜索・救助、衛生部隊による負傷者の医療支援など「同盟国に対する後方支援」と、被災民(難民)救援などの「国際協力」の2本柱で、自衛隊の武器使用条件も大幅に緩和しました。自衛隊法改正は、テロに備えて佐世保など在日米軍の関連施設などを自衛隊が警備出来るようにし、海上保安庁法改正は、領海内に出没する外国の不審船を停泊させるための船体射撃の要件を緩和したのが主な内容になっています。

 食料、燃料を補給

 アフガニスタンへの軍事行動に対する支援策を定める基本計画は、米英軍のアフガン空爆、地上戦の推移を見守ったうえ米政府の要請を受けて、自衛隊が支援活動する種類と内容、区域と範囲、派遣自衛隊の規模と携行武器などを煮詰め、閣議決定する方針です。外務、防衛両省庁は幹部や調査団を米国や中東に近く派遣しますが、米側との非公式折衝では@輸送艦でインド洋のディエゴガルシア島の米軍基地などへ食料、燃料などを輸送A補給艦でインド洋上に展開する米艦船に水、燃料などを補給B自衛隊輸送機でパキスタン国内の難民に食料、テントなどの物資輸送――などが検討されています。輸送艦、補給艦の派遣は、まず計4隻程度、航空自衛隊輸送機はC130またはC1機を使用する予定です。

 佐世保のイージス艦派遣

 一方、政府は現行の防衛庁設置法に基づく「調査・研究」の一環として、補給艦にイージス護衛艦を随伴させ、情報収集や洋上の警戒・監視を実施することを検討しています。当初は同時テロ発生直後から、9月中の派遣を計画していましたが、「戦闘状態にある米艦艇に情報提供すると、武力行使との一体化になる可能性がある」との見方があり、テロ特措法審議への影響を懸念して派遣を先送りしていました。だが、自民党の山崎拓幹事長はイージス艦派遣の意向を述べており、政府は慎重に時期や派遣先を探っているところです。

 こんごう、ちょうかいの出番

 イージス護衛艦は佐世保を母港とする「こんごう」「ちょうかい」、横須賀の「きりしま」、舞鶴の「ちょうかい」と計4隻有りますが、いよいよ「こんごう」などの出番となりましょう。米第七艦隊がインド洋に展開したため、タンカーの銀座通り、マラッカ海峡などの警戒が手薄になっており、最大の石油輸入国、日本のエネルギー対策上からも、インド洋方面への護衛艦などの派遣が重要になっています。

 全知全能の護衛艦

 イージス(AEGIS)護衛艦は、全知全能の神「ゼウス」が娘の女神「アテネ」に与えた一切の邪悪を防ぐ盾の名から由来。冷戦時代の旧ソ連は、圧倒的に優勢な米海軍の空母機動部隊に対して潜水艦や長距離爆撃機、水上艦から多数の対艦ミサイルを撃ち込むことで対抗しようとしました。米海軍はこの攻撃から守るため、100マイル以上の射程距離を持つ空対空ミサイルのAIM−54を装備したF−14戦闘機を空母に艦載したほか、早期警戒機のE―2C機とイージスシステムを組み合わせて防御態勢を構築しました。

 同時多目標対処

 イージスシステムは巨大なレーダーのSPY−1を装備、対空、対水中の多数・多様な目標を探知・追跡して敵か味方かを即座に判定し、最適の防御兵器を割り出し、兵器の管制・誘導を行うものです。佐世保の第2護衛隊群が保有する護衛艦「こんごう」は、三菱長崎造船所が米海軍のこれら技術を導入して作った最新鋭艦で、不格好な艦橋に取り付けた八角形平面アンテナの「フェーズド・アレー・レーダー」により、全周360度3次元を睨んだ通常艦の数倍という探知機能を持つ同時多目標対処の優れたイージス護衛艦です。

 隠密行動に最適

 ステルス設計のV字型船体は、外部からのレーダー波を海面に反射する仕組みであり、艦上構造物にも電波吸収体が貼られていて隠密行動にも適しています。また、徹底したCBR(化学・生物・放射能)防御のため艦橋構造物は全て鋼鉄製になっています。レベルの高いソフトウエアの機器を搭載できるのは、佐世保がイージス艦の建造と運用面で実績を上げ、優れた造船能力や、電子機器整備の技術を保有しているからです。佐世保港は海上自衛隊(第2、第4護衛隊群)のロジスティック(兵站)を担当する中核的母港であると同時に、海上自衛隊と施設を共用している米海軍の武器、燃料などの補給基地でもあります。

 海上輸送に限定

 テロ特措法の審議や与野党協議では、武器・弾薬の輸送が「武力行使の一体化」に抵触する恐れがあるとして論議の焦点にされましたが、政府与党は「外国での武器・弾薬の陸上輸送は除外する」との修正案を提出し、武器類の輸送を海上に限定しました。また、民主党の「事前に国会承認」要求は退けたものの、「基本計画を決定した時は首相が国会に遅滞なく報告」するとともに「自衛隊が活動を始めた日から20日以内に国会に付議し、承認を求める」こととし、シビリアン・コントロール(文民統制)の建て前を堅持しました。

 佐世保に2隻の補給艦

 読売新聞によると、米軍はアフガン周辺に兵員約2万9千人、軍用機約450機、空母戦闘群4個を展開しており、テロとの戦争は「2年以上要するかもしれない」とのブッシュ大統領の言を引いて長期化の見方を示し、「平時よりはるかに消耗が激しい燃料の補給は米軍のニーズも高い」と予想しています。私も立地条件から見て、海上自衛隊佐世保基地の補給艦による米艦船への燃料、武器、食料などの補給・輸送が最優先されると考えています。海自の補給艦は佐世保に2隻、横須賀、呉の両基地に各1隻を保有していますが、当面はこの1、2隻をインド洋の英領ディエゴガルシア島など米軍の中継基地に派遣したり、好天の時には陸上よりも効率的に出来る洋上給油に従事させることになると思います。

 米軍共用施設の警備
改正自衛隊法では、首相が「警護出動」を命令すれば、自衛隊は自らの施設と在日米軍の施設を正式に警備できるようになります。旧法では「自衛隊が共用施設の自衛隊専用部分を警備することで、米軍の施設の安全に資する」という漠然とした在日米軍基地の警備でしたが、これで日米一体の万全な警備体制が整うことになり、佐世保のテロ対策はひとまず安心といえます。しかし、佐世保が同盟国の後方支援に力を注げば注ぐほど、世界に約60支部があるとされる国際テロ組織は、新たな標的として日本の兵站基地に牙をむく恐れが多分にあります。

 NBC、サイバーテロ

 イスラム過激派の「ジハード(聖戦)」は、自由・繁栄の先進国に対する貧困・抑圧民族の反撃という文明戦争の様相を帯びてきており、世界第2の経済大国日本は狙われやすい立場にあります。攻撃手段もNBC(核・生物・化学兵器)テロやコンピューターウイルスのサイバーテロとエスカレートしています。冷戦後、中東に拡散されたという小型核兵器はアタッシュケースに収まり、1人でも30分足らずで操作は完了するといわれています。平和を希求する原爆被爆地の長崎が、再びテロの災禍に遭遇することは断じて許せません。私は国会活動を通じ、基地とテロとの関わりを深く研究し、関係委員会ではNBC兵器テロの撲滅に奔走し、国民生活の安全に貢献したいと念じています。皆様もいたずらにテロの脅威に過剰な恐怖心を抱くことなく、冷静沈着に対処されるよう念願しています。