第288回〈11月16日〉12月16日総選挙 政権奪還のチャンス
 野田首相は16日に衆院を解散、次期総選挙は12月4日公示、18日に投開票の短期決戦となりました。首相は@特例公債法成立など解散条件の3点セットで自公民3党が合意A世論対策に「うそつき内閣」の汚名返上が不可欠B第3極新党の選挙準備が未成熟C民主党内で野田降ろしが高まった――などを睨んで先手必勝の解散を断行したものです。確かに雨後の筍のように生まれた新党の中で太陽の党(石原党)、日本維新の会、みんなの党が「3本の矢」になり、第3極の大連合を目指していますが、政策の合致が困難なうえ候補者の調整が出来ず、単なる野合に過ぎません。ダブル選挙となった16日の都知事選も候補者難が続いています。しかし、6日の米大統領選は大接戦の末、オバマ氏が共和党のロムニー氏を破り再選を果たしたのに、野田内閣は逆に各紙世論調査で10%台の危険水域に陥ったレームダック〈死に体〉の様相。首相が所信表明演説で「夕日の美しさ」に感動したように落日寸前・風前の灯です。総選挙では消費増税と社会保障、経済再生、TPP,脱原発、大震災復興対策などが争点。自民党の支持率も低迷していますが、政権奪回のチャンス到来。党国交部会長として早急に選挙公約(マニフェスト)をまとめ上げ、天下分け目の総選挙を勝ち抜きたいと決意しています。残念ながら、公選法の規定に触れるため、HPは選挙が終わるまで更新できません。何卒ご諒承ください。
 なお、私が11月8日の衆院農水委で質問した諫早開門と9日の国土交通部会質問した6項目にわたる質疑内容の要約は次回12月1日のHPに掲載いたしますので、ぜひお読みください。

覇気なく「落日の宰相」の印象
 「覇気も、未来に約束を果たす強い意思もなく、首相が言うように内閣自体が夕日を迎えた。水平線に沈んでいく状況だ。審議を逃げる姿勢で予算委にも応じない」――自民党の安倍晋三総裁は10月31日、代表質問後の記者会見で内閣自滅を予言しました。29日の首相所信表明演説骨子は@経済再生は現下の最大課題A被災地が必要な予算以外は厳しく限定B早急に社会保障制度改革国民会議を発足C1票の格差是正と定数削減の衆参選挙制度改革は必ず今国会中に結論D特例公債法案の結論が出せるかどうかが最大の試金石E政治空白を作って政策に停滞をもたらしてはならない――など「近いうち」解散約束の「環境整備」に挙げた3点セットの協力を呼びかけただけ。民主党内で反対の強い「脱原発の工程表」や「環太平洋経済連携協定(TPP)」などには触れず仕舞いで、安倍総裁の質問の方が堂々たる所信表明でした。しかも「明日への責任」を20回も強調した挙句、「夕暮れ時。1日の仕事を終えて仰ぐ夕日の美しさに感動し明日を生きていく力が再び満ちていく瞬間だ。100年先も夕日の美しさに感動できる勤勉な日本人でありたい」――と感傷的な言辞を並べ“落日の宰相”を印象付けました。

解散確約求め太陽路線に転換
 自民党は今国会で3点セット処理に協力する太陽路線を採る代わりに、年内に衆院選実施を確約せよと迫りました。中曽根康弘内閣が83年12月18日に衆院選の投開票を行った際、予算編成は翌年1月に持ち越されたため、我が党が政権を奪還し2013年度予算を編成するには遅くとも12月16日を投開票日にすべきだと要求。それには4日の告示に間に合うよう11月22日の衆院解散が限界です。首相が応じない場合、野党は「嘘つき内閣」に対し内閣不信任案を提出せざるを得ず、民主党の離党予備軍が造反すれば可決されます。民主党の中堅は求心力を失った首相に代えて細野豪志政調会長を「選挙の顔」にせよと唱えており、首相は「伝家の宝刀」が抜けず総辞職に追い込まれる可能性が多分にありました。首相は「解散先送り」の輿石幹事長と「一蓮托生」で補正予算に代わる経済再生策や来年度予算編成作業を進めつつ、同床異夢で混迷を深める第3極連合の推移を慎重に見守り、民主党が壊滅的な打撃を受けない時期を見計らい解散に踏み切る戦術を取りました。だが解散風が強まり解散に追い込まれました。

TPP争点に年内解散の決意
 「予算編成はしない」との谷垣・野田両党首の”電話密約”を反故にした首相に対し、安倍総裁は6日の役員会で、「自衛隊の最高指導者として『至誠に悖(もと)るなかりしか。言行に恥ずるなかりしか』と訓示したことを肝に銘ずるべきだ」と述べて嘘つき首相を糾弾、11月中の解散に追い込む決意を表明。しかし、太陽路線に沿って8日から審議入りした特例公債法案は国民年金法改正案、年金生活者支援給付金法案とともに15日に衆院を通過させました。14日の党首討論で安倍(自民)、山口那津男(公明)、小沢一郎(国民の生活)各代表が鋭く解散を迫ったのに対し、首相は次期通常国会で衆院定数の削減に応じることを前提に16日の解散を約束。その後の3党協議で、特例公債法と「0増5減」の衆院選挙制度改革法の両法案を16日に成立させることで合意。社会保障制度改革国民会議の設置、次期国会での衆院定数削減でも協力することを確約しました。3点セットがクリア出来ることから、首相は20日にカンボジアで開く東アジアサミット(EAS)に出席し、再選したオバマ大統領との日米首脳会談の席上、財界が期待するTPPの交渉参加を表明、これを争点に年内解散を断行する決意を固め、TPP参加をマニフェスト〈衆院選公約〉に盛り込む意向を既に示しています。TPPの争点化は賛否両論の多い自民党分断化の狙いもありますが、民主党内の離党予備軍約30人にはTPP反対派が多く、6人が離党するだけで過半数を割り、政権維持は困難になります。

輿石氏は解散先送り作戦推進
 自公をはじめ野党は12、13日の衆院予算委で、@経済再生策A復興予算の流用B脱原発CTPP参加D沖縄のオスプレイ配備と婦女暴行事件――など山積する課題のほか、首相が事実上更迭した田中慶秋前法務相と3大学の不許可発言が波紋を描いた田中真紀子文科相の任命責任を徹底的に追及しました。田中文科相は来年度開校予定の札幌保健医療大など3大学の不許可を発言しながら、衆院文科委で野党の反対に遭うと一転、認可して迷走。自民党は「行政府の長の自覚が全くなければ説明責任も果たしていない」(石破幹事長)と責め、文科相を罷免しない限り問責決議案を提出する構えでした。しかし、解散先送りの国会対策を推進する民主党の輿石幹事長は、野党が参院での所信表明演説を拒否したことを理由に参院予算委の開会に応じず、自民党が先行実施を目指し公明党も賛同した継続審議中の衆院選挙制度改革法案に対しては、小選挙区の「0増5減」だけでなく「国民に身を切る姿勢を示すため」と称し前国会で廃案になった比例定数40削減をセットで盛り込む従来方針堅持の法案を提出。会期延長も認めず、年内解散の決意を固めた首相の足を散々引っ張り、党内の野田降ろしも強まりました。首相の解散表明で、山田正彦元農水相(長崎3区)ら9人が離党を表明、小沢鋭仁元環境相は日本維新の会へ移籍を検討、鳩山元首相、原口一博元総務相ら離党予備軍の動きも活発です。

薩長同盟で幕藩体制打破目指す
 「硬直的な官僚制度の幕藩体制を打ち破る関が原の戦いだ」――10月末に都知事を辞任した石原慎太郎氏は13日、たちあがれ日本を改名した「太陽の党」(石原新党)を立ち上げました。都知事を辞めた日、衆院選東京比例区に出馬すると宣言したのに対し、「暴走老人」(田中真紀子文科相)、「トウー・レイト(遅すぎる)」(亀井静香元国民新党代表)と揶揄されたのも何のその。京都に飛び、「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長、幹事長の松井一郎大阪府知事と2時間も協議するなど活発に動いています。ところが、協議には「たちあがれ日本」代表の平沼赳夫代表、園田博之幹事長も参加したというのに、橋下氏は「たちあがれ日本とはカラーが違う。感覚が、世代が合わないのかなという気がする。石原さんとは一緒にやりたい」と肩透かしの発言。平沼氏らは、石原氏を党首に迎え党名も変更、維新の会と合流して石原・橋下両氏を共同代表とする考えでしたが、体よく断られました。平沼氏らは維新の会が掲げる脱原発や消費税の地方税化などに否定的で、政策的に合致ができず連携が困難なのは事実。石原氏は「小異を残して大道に就く」と述べ、時間をかけて連携策を根気よく協議する姿勢です。石原氏はテレビ番組で「橋下君は弁護士だけに論理的で几帳面だ」とこぼしつつも「薩長同盟も蛤ご門の戦いまでは敵・味方だった」と述べ連携を進めています。その一方で大同団結の相手は河村たかし名古屋市長率いる「減税日本」にシフトしつつあり、石原―河村会談が開かれています。石原氏は自らの賞味期限が切れる前に落選中の三男・宏高氏を勝たせる狙いもあるようです。

小沢氏が復権、弱小7会派乱立
 何しろ新党は、自・公・民・共・社・みんな・国民新の既成7党以外に、「国民の生活第一」(小沢代表)をトップに同一会派の「きずな」(内山晃代表)や「太陽の党」、「改革」〈舛添要一代表〉の弱小勢力、それに、地域政党でありながら国会議員5人以上の政党要件を満たした「新党大地・新民主」(鈴木宗男代表)、「日本維新の会」(橋下代表)、「減税日本」(河村代表)など国政政党に衣替えした少数党まで7党派が乱立。短命に終わった細川護煕政権が8会派をまとめて日本新党を結成した姿に似ています。だが、減税日本は、民主党から同党に移り副代表に内定した小林興起氏が早くも「太陽の党」との統合を模索するなど新党はいずれも暗礁に乗り上げ、カオスの状態。弱小政党が石原新党中心の「日本維新大連合」として連携するか。12日の「陸山会」裁判控訴審の無罪判決で政界の表舞台に復帰した小沢氏が提唱する「オリーブの木」に参加するか。それとも「日本維新の会」や「減税日本」、「新党大地・新民主」など北海道、関東、中京、近畿の地域政党母体の新党だけが連帯するか――皆目検討がつきません。石原氏は自民党に在籍していた当時、橋本龍太郎(元首相)、河野洋平(前衆院議長)両氏と組んでサンフレッチエ〈3本の矢〉と称し、政局を動かそうとしましたが、今回は橋下大阪市長、渡辺喜美みんなの党代表との3本の矢で第3極の政界再編を進めようとしています。

政策不一致の呉越同舟で野合
 しかし、渡辺氏は7日、BS11の番組で、「たちあがれ日本は参院で自民党と一緒〈同会派〉にやっている。幕藩体制の中にいて、維新をやるのはおかしい」と皮肉たっぷり。また、350人の立候補を目標とする維新の会は「都道府県の中心である1区に候補を立てれば比例票を掘り起こせる」とし、47都道府県の1区と比例区を合わせ、最低でも160人の候補を擁立する方針。これに対し、みんなの党も11人を全国の1区に立てる予定であるため競合します。加えて両党間では、みんなの党に離党届を提出し、維新の会に移った小熊慎司氏ら参院議員3人の会派離脱問題が未決着で調整は難航しています。一方。たちあがれ日本の園田幹事長は、「石原氏が維新の会に合流した場合、所属国会議員の多数決で政策を決める」ことで合意したとする橋下氏の説明に対し、「多数決でやろうと決めた事実はない」と不快感を示し、石原新党の主導権争いが続いています。マスコミは相変わらず第3極新党の動きを賑々しく報道していますが、連携の実態は掛け声倒れで新党は呉越同舟のまま。野合の域を出ていません。

都知事の後任候補選びも難航
 12月16日に決まった都知事選も石原氏の辞任が突然だっただけに、各党の後継者選びが難航しています。石原氏は退任の記者会見で猪瀬直樹副知事を後継に推薦、みんなの党が支援を決めましたが、都議会与党の自・公両党との折り合いが悪く、各党候補もなかなか決まらず大混乱。一時は前回169万票を取った2位の東国原英夫前宮崎県知事、3位の渡邊美樹ワタミ会長のほか、民主党の菅直人前首相、蓮舫元行政担当相、自民党の小池百合子元環境相、「新党改革」の舛添元厚労相まで出馬を噂され、各紙を賑わしました。結局15日現在、松沢成文前神奈川県知事、宇都宮健児前日弁連会長の2人が立候補を表明しただけで、維新の会から立つ予定の東国原氏や渡辺氏は出馬を見送っており、混迷が深まっています。