第287回〈11月1日〉補選勝利し政権奪還へ 影の内閣で多忙
 10月29日召集の臨時国会は冒頭から波乱含み。野田首相は各党との党首会談で衆院解散の環境整備に、@赤字国債発行の特例公債法案の早期成立A衆参両院の「1票の格差是正」による選挙制度改革B社会保障制度改革国民会議の早期設置――の3点セットを挙げ、「近いうちに国民の信を問う」解散時期には「ゼロ回答」で、自・公両党首を憤激させました。自民党は次期総選挙の前哨戦となる28日の衆院鹿児島3区補選と岡山、富山両県知事選で勝利し政権奪還を確信したことから、衆院での審議拒否戦術を改め、田中慶秋前法相の任命責任を厳しく追及し、参院では首相所信表明演説を拒否。頃合いを見て衆院に内閣不信任案を提出、衆院解散か内閣総辞職に追い込む方針です。国民の政治不信は高まり、求心力を失った首相はまさにレームダック(死に体)で、次期総選挙の民主党議席は100を切り、3分の1に落ち込むと予想されています。これを憂慮する前原誠司国家戦略相は「近いうちとは年内だ」と発言、波紋を描きました。自公民3党政調会長レベルでも話し合い解散の模索が進行中です。首相は平成25年度予算編成で国民受けする政策を掲げ、12月メドの日露首脳会談で北方領土交渉に進展を図るなど、総選挙の落ち込みを減らす態勢の構築に懸命です。そうした中、石原慎太郎都知事が知事を辞任し「石原新党」を設立、第3極保守の大連合を模索し、政局秋の陣は緊迫しています。私は党の国土交通部会長を拝命、シャドーキャビネット(影の内閣〉の1員として、政権奪還後の政策に取り組んでいます。

自公は首相の詐欺的言動に立腹
 「失望した」〈安倍晋三総裁〉、「恥を知れ」(石破茂幹事長)、「非常に国民をバカにした」〈山口那津男代表〉――。自公民の3党首会談が決裂した19日夕、自公両党首脳は怒りを顕わにこう語りました。15日の3党幹事長会談で輿石東民主党幹事長が「“近いうちに”は生きている。首相は真摯に受け止め、新提案をするつもりだ」と期待感を持たせておきながら、首相がゼロ回答したからです。党首会談で首相は「大変重たい確認事項であり、責任は十分自覚している。ダラダラと延命を図るつもりはない。条件(3点セット)が整えば、きちっと自分の判断を示したい。自分を信じてほしい」と鳩山元首相十八番の「トラストミー」を強調しながら、解散時期については「首相の専権事項」を盾に回答を拒否。しかも、新提案なるものは「特例公債法案は最長で2020年度まで、毎年度の予算案と一体処理する改革」案を示しただけで、人を小バカにした我田引水の内容。つまり、毎年難航する特例公債法案など予算関連法案は予算と同時成立を図る制度を与野党協議で作れば、ねじれ国会でも混乱なく予算が成立し、自民党が政権奪還した時もプラスになるとの恩着せがましい提案で、野党が怒るのは当然です。しかも、安倍氏が党首会談で「8月の谷垣禎一総裁との電話会談で『25年度の予算編成は考えていない』といったのではないか」と詰め寄ったのに、首相は平然と否定しました。安倍氏はこの密談を「首相が年内解散に応じる姿勢を示唆した」と受け止めていただけに裏切られ、首相の詐欺的言動に腹を立てました。

暴力団交際発覚で事実上更迭
 政府与党は3党首会談後の政府・民主三役会議で、会期を11月末日までとする臨時国会を29日に召集することを決めました。谷垣氏を欺いた来年度の予算編成作業も着々と進めています。一方、外国人が経営する企業からの54万円献金や暴力団関係者との交際が発覚した田中法相は体調不良を理由に入院していましたが23日に辞表を提出、更迭されました。これで野田内閣の閣僚辞任は鉢呂吉雄元経産相に次ぐ2人目、問責決議を受け改造内閣で交代した田中直紀元防衛相ら事実上の更迭を合わせると6人目。自民党は@法の番人が暴力団関係者の仲人を務めていたA公務と称し憲法で義務付けた委員会出席要求に応じなかったB法相をかばった藤村修官房長官も憲法違反――などとし、首相の任命責任を国会で徹底的に追及する考えです。石破幹事長は「何が政治主導か。憲法や内閣の責務に対する自覚も、政権担当能力も、(人事の)学習能力もない」と厳しく批判しました。大震災復興予算19兆円の無駄遣いを質すため、民主党の欠席で10月11日に流会した衆院決算行政監理委小委の閉会中審査を同23日に開き、予算が被災地と関係薄い事業に流用されている実態をキメ細かく追及。城島光力財務相が25年度予算編成で厳しく査定すると答えました。

復興予算19兆円の無駄遣い追及
 11月18日に開いた参院決算委の閉会中審査でも復興予算の使途を検証。両院の閉会中審査では@反捕鯨団体シーシェパードの妨害活動への対策強化で監視船派遣23億円〈農水〉A岐阜県のコンタクトレンズ工場などへの補助2950億円〈経産〉B税務署の耐震改修工事12億円(財務)C埼玉・北海道の刑務所で訓練用の小型建設機械整備3千万円〈法務〉D三陸海岸のカキ料理などの食文化を紹介するイベントや青少年交流など国際交流基金72億円〈外務〉――などを槍玉に上げ、民主党の蓮舫前行政刷新相が「反捕鯨団体対策費は復興予算として適切でない。被災地に限定すべきだ」と追及。自民党の森雅子議員も「国際交流基金は復興予算でゾンビのように蘇った」と批判しました。野党は臨時国会でも追及を継続します。首相は22日、共産、社民など野党5党とも党首会談を開き協力を要請しましたが、5党は早期解散を迫り対決姿勢を示しました。全野党は前国会の首相問責決議が生きているとし、参院本会議で史上初めて所信表明演説を拒否。参院自民党は特例公債法案など3点セットの審議でも厳しく対応する構えです。このため、国会は冒頭から荒れ模様となり、野党が衆院に内閣不信任案を提出し、民主党の一部が造反すれば可決されます。

内閣不信任案可決なら総辞職か
 民主党は「国民の生活第一」の小沢新党が大量脱藩したうえ、国会召集日にも水野智彦、熊田篤嗣の両衆院議員が離党して単独過半数割れまで後3人。国民新党と両院で統一会派を作り衆院245人となりましたが、野党が衆院に内閣不信任案を提出し7人以上が欠席など造反すれば否決できず、総辞職か衆院解散に追い込まれます。そこで首相は「離党予備軍」を引き止めるため論功行賞人事を行いましたが、法相辞任などで裏目に出ました。マスコミの調査などでは総選挙を断行すれば、現有勢力は3分の1の80議席台に落ち込むと予想されています。新党「日本維新の会」を下回る結果になれば離党者が相次ぎ、壊滅状態に陥ると見られます。仙谷由人副代表はテレビ番組で「任命責任の話には当然行く。なぜこういう人事をしたのか分からない」と述べ、首相と党首選を争った鹿野道彦前農水相グループの幹部も「一体誰と相談して決めたのか。党の支持率は急落し危機的状況だ」と批判しました。このように内閣改造後わずか3週間で法相が辞任したことは、党内でも人事の失敗を問う声が起こり首相の求心力は低下し、解散権を行使できず総辞職も予想されます。

解散5ケース、通常国会冒頭か
 前原国家戦略相は21日のフジテレビ番組で、「年明けに解散したら“近いうち”ではない」と述べ、首相が3点セットを解散の「条件」と位置づけている以上、条件が満たされれば年内解散に踏み切るとの見方を示し,窮地の首相に“助け舟”を出しました。藤村官房長官や安住淳幹事長代行ら政府与党幹部は「個人的見解」と火消しに躍起ですが、安倍総裁ら自民党首脳は歓迎しました。政局は、「解散時期を明示しない限り審議拒否も辞さず」の自民党と、「3点セットを人質に国民に犠牲を強いる自公両党」と世論に訴える政府与党の激突が流れですが、基本的には末期的症状の民主党が、いかに延命できるか「解散先送り戦略」の持久戦にあります。自公民3党は政調会長会談などを接点に事実上の「話し合い解散」に持ち込めるか。激突のまま会期末の内閣不信任案で決着を図るか。小幅会期延長で3点セットを仕上げて首相が解散の約束を果たすか。それによって、解散は11月、年内、通常国会冒頭の1月、25年度予算成立後の5月、7月の衆参ダブル選と5つのケースが想定されます。不信任案の可決で内閣総辞職の場合でも5ケースの解散は必至です。

政界再編狙い「石原新党」結成
 首相が危惧する新党「日本維新の会」は鹿児島から全国遊説を始めましたが、橋下大阪市長が週刊朝日連載の「ルーツ暴露」記事に抗議して親会社の朝日新聞の取材を一時拒否したり、同党有力候補の東国原英夫前宮崎県知事が週刊文春の「女性醜聞」記事で訴訟を起こしたりして、同党のイメージはダウン。世論調査の支持率も低下の一途で、解散先送りの兵糧攻めが効果を発揮しそうです。ところが、石原都知事が25日、都議会議長に辞表を提出、たちあがれ日本の平沼赳夫代表らと新党を結成、自らも衆院比例選(東京ブロック)に出馬し国政に復帰すると宣言。新党「日本維新の会」との連携を視野に政界再編を目指しています。政界再編は、石原新党を軸とする第3極保守大連合と「国民の生活が第一」の小沢一郎代表が画策する「オリーブの木」連帯の2眼レフになり、その準備状況が解散時期と微妙に絡んできました。鍵を握るのが都議選も含めたトリプル選を嫌う公明党です。

解散時期のカギ握る公明党
 山口那津男代表は12月9日の総選挙を期待していますが、野田政権は国会対策面で自公協力を分断し、公明党の要望に極力近づけて解散するなら1月解散が至近距離となりそうです。11月6日に米国、12月は韓国で大統領選があり、中国も11月8日の党大会で国家主席が交代するなど激動の年末を迎えます。私はシャドーキャビネットで衆院選公約(マニフェスト)作りに参画していますが、国交部会長は間口が広く、尖閣諸島防衛の海保庁、港湾・道路・住宅の建設整備、観光振興など長崎県に関わる行政にも立ち向かい、多忙な日を送っています。政局秋の陣、さらなるご支援、ご教唆をお願い申し上げます。