第270回(2月16日)政権の隠蔽体質追及 政界再編加速
 裏日本を襲った26年ぶりの豪雪。厳冬の東日本被災地で遅々として進まない復興・放射能汚染・雇用不安の3重苦。野田政権の体たらくを天はあざ笑い、国民は政権の無策と相次ぐ天災に怒り心頭です。衆参の代表質問で早くも火花を散らした国会は、衆参の外交・防衛集中審議でも与野党が激突、12年度予算の年度内成立は怪しくなってきました。首相は消費増税を2度も国際公約しながら、積算根拠となる年金制度抜本改革の試算を「当面公表しない」と表明、3・11直後の大震災関連議事録も作成されておらず、政府の隠蔽体質が濃厚になり、自公両党は徹底追及しました。消費増税の与野党協議は拒否を継続し、民主党内の反発も強く、3月中の増税関連法案の国会提出は困難な情勢になりました。国会の停滞を尻目に橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」の国政進出やこれに接近する渡辺喜美みんなの党代表と河村たかし名古屋市長率いる同じ地域政党の「減税日本」、さらに橋下氏にエールを送る石原慎太郎都知事や亀井静香国民新党代表らが連携を模索し新党結成が蠢き始めました。今夏にも予想される解散・総選挙の前後に政界再編は加速しそうです。衆院の定数是正論議も活発化しています。一層のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

公約総崩れに自民は解散要求
 「首相が好んで使う『君子豹変す』の言葉の意味は正しい道に戻るということだ。国民に嘘をついたとマニフェスト(政権公約)違反を詫び、国民に信を問い直すしか道はない」――自民党の谷垣禎一総裁は1月26日の代表質問で早期衆院解散・総選挙を迫りました。嘘は@無駄削減で16・8兆円の財源を捻出A子ども手当は2万6千円支給B高速料金は無料化しガソリン暫定税率は廃止C最低保障年金は月7万円保障D国家公務員の総収入は2割削減――などです。民主党は国民へのバラ色サービスのマニフェストを掲げて政権を奪取しながら、政権公約の基本構造は全く実現せず総崩れ、間違いを謝罪していません。12年度予算案は国債を44兆円に抑えたものの3年連続で税収42兆円を超えて国債比率49%と過去最悪。しかも、年金の交付国債2・6兆円を別勘定で先送りし、粉飾まがいの予算です。自民党内では「公約のルールを守らなければ、マニフェストを語る資格がない」、「国民との信頼を守らなければ、増税を語る資格はない」と政府与党批判が高まっています。公明党も「民主党が従来から主張してきた年金一元化や最低保障年金の創設と社会保障・税の一体改革の将来性や全体像、一体改革素案との整合性を示すべきだ」と要求しました。だが、年金制度の抜本改革を実現するには消費税を5%引き上げるだけでは済まず、さらに5%以上の大幅なアップが必要で、この方針を打ち出せば世論の袋叩きに遭います。

看板政策実現に大幅アップ必要
 民主党は野党時代から、すべての職業の人が加入する所得比例年金と、消費税を財源とする月額7万円の最低保障年金を組み合わせた改革案を掲げ、これを看板政策としてきました。政府・民主党は当初、公明党幹部が「試算を公表すれば一体改革の与野党協議に応じる」との考えを示唆したため、与野党協議の誘い水とする方針でした。しかし、民主党の指示で厚生労働省が昨春に行った試算では、全額税の最低保障年金だと、10%への引き上げに加えて75年度時点で7・1%の税率が必要だと分かりました。そこで野田首相は30日、参院代表質問の答弁で、「今国会で引き上げを含む社会保障・税の一体改革と、将来の年金抜本改革は別物で、現時点では公表する必要はない」と強調しました。30日の党役員会では「試算は50年先のもので、消費税しか使わないという言い方は公約していない」として、試算の不公表を了承しました。また、政府の東日本大震災関連の10組織で、議事録や議事概要の全部もしくは一部が作成されていないことが27日に発覚しています。

背信の年金試算・議事録不公表
 自民党の大島理森副総裁は30日、「都合の悪い試算や議事録を出さないなら、真摯な与野党協議の場を作る環境ではない」と記者会見で述べ、公明党の山口那津男代表も同日の参院本会議で「(年金試算不公表なら)首相が言う不退転の決意が泣く。議事録作成義務違反は重大な違法行為であり、国民や国際社会に対する深刻な背信行為だ」と批判。自公両党は年金改革試算と議事録問題の不公表では消費増税の事前協議には応じず、政権与党の政策決定過程の不透明化を徹底的に追及しました。このため、民主党は10日、「高齢化がピークの水準となる2075年度に必要な税財源は年25・6兆円増え、消費税に換算すると、野田政権が目指している消費税率10%に加え、最大7・1%の引き上げが必要」と、正直に年金試算を公表。岡田副総理は同日の衆院予算委で、与野党協議が始まるなら選挙公約の目玉に掲げた最低保障年金創設の年金抜本改革案を撤回する可能性を示唆しました。

復興庁始動、第4次補正も成立
 政府は10日の復興庁設置法施行に合わせ、平野達男復興相の復興相専任と中川正春前文部科学相を防災相として再入閣させる人事を発表。復興庁は大震災の発生から11ヶ月も遅れてようやく動き出しました。復興政策の統括と企画立案、復興特別区域の設定、復興交付金の配分などを行うもので、平野復興相は「相談を1箇所で受けるワンストップ対応」を強調しています。だが、常勤職員250人のうち現地勤務は90人足らず。各省庁の許認可権を巡る縄張り争いや、除染の責任押し付け合いなど、早くも縦割り行政の弊害が目立ち始めており、「屋上屋」との批判が出ています。総額2兆5345億円の11年度第4次補正予算は、3日の衆院、8日の参院本会議で可決成立しました。東日本大震災の復興に支障が生じないよう共産党を除く与野党が協力、賛成多数で成立させたものです。4次補正は強い農業作り交付金、エコカー補助金など、大半は12年度予算に使うものを潜り込ませて前倒しする「本予算の圧縮」方法を採用、ここでも姑息な粉飾の手段を取っています。

公務員給与削減案は2転3転
 前号で述べた通り、岡田克也副総理兼行政改革相は就任直後のNHK番組で、「自ら身を切る改革」として、公務員給与削減に加え、国会議員歳費・議員定数・政党交付金の「削減3点セット」を提示しましたが、国家公務員給与削減の対応では、1月25日の自公民3党の実務者協議で、民主党が譲歩して自公両党の要求を受け入れ、人事院勧告の実施(平均0・23%引き下げ)と、平均7・8%の2年間削減で合意しました。ところが、民主党の樽床伸二幹事長代理は29日、自公両党幹部に「労働基本権付与で合意できなければ削減の合意もなかったことになる」と伝えました。樽床氏は支持母体・連合の顔を立て、国家公務員制度改革法案の今国会成立へ協力を求めたものです。自公両党がこれに強く反発したため、慌てた前原誠司民主党政調会長は30日、公明党の石井啓一政調会長と会談「給与削減の正式合意を急ぎ、その後に労働基本権付与に関して協議する」方針で一致しました。

削減と基本権のセット提出反対
 「家計(財政)が苦しいから父親(国家公務員)は2日間ダイエットするから、家族(国民)もずっと節約してほしい。しかし、3日目から父親は食べたいものを好きなだけ食べる――こんなことで家族を説得できるか」――。自民党の茂木敏充政調会長は国家公務員給与を2年間7・8%削減する法案と労働基本権を付与する「国家公務員制度改革法案」のセット提出について、「3年目(上記の3日目)に協約締結権が手に入れば、給与を好き勝手放題に改定できるようになる」と記者会見で民主党の狙いを解説、セット提出に反対しました。このように、民主党は一旦、譲歩姿勢を打ち出しながら、朝令暮改的に方針を変える意思決定方法が常套手段になっており、与野党協議を混迷させています。それに加え、内閣改造直後にも関わらず、田中直紀防衛相の国会での無理解・事実誤認の答弁や不見識発言など閣僚の資質を問われる言動と、真部朗沖縄防衛局長が沖縄・宜野湾市長選への投票を講話で呼び掛けた問題が飛び出し首相の閣僚任命責任追及や田中氏の問責決議案提出が当面の焦点に浮上してきました。25日までに与野党がまとめようとする衆院選挙制度の抜本改革も難航しています。防衛省関連は別項のHP[北村の政治活動]をお読み下さい。