第268回(1月16日)3〜6月に総選挙必至か 内閣改造
 通常国会は1月24日に開幕、実質で過去最大規模の12年度予算案と消費増税案を巡り与野党が激突します。野田首相は「不退転の覚悟で実現する」と消費増税に政権の命運を懸けていますが、15年10月まで2段階で消費税率を倍の10%に引き上げる増税案に対し、野党よりも民主党内の反発が強く3月末の法案提出までには一ヤマありそうです。自民党は「民主党に政権公約を違反した消費税問題で発議する資格はない」(谷垣禎一総裁)と与野党協議に難色を示し、問責決議を受けた一川保夫防衛相、山岡賢次消費者相を更迭しない限り国会冒頭から審議を拒否、早期の解散・総選挙に追い込む構えでした。首相はやむなく13日、両閣僚を含む5閣僚の交代と岡田克也前幹事長を副総理兼一体改革・行政改革相に起用する内閣改造を断行、政局への態勢を強化しました。マスコミは「3月の話し合い解散か国会終盤の6月解散で民主党分裂選挙か」など色々取り沙汰していますが、9月は野田代表と谷垣総裁の任期が切れます。両党内の権力闘争も国会運営に絡んでくると見られ、政局は夏に向けて緊迫します。私は国民の閉塞感を吹き飛ばすべく政治の改革、経済の再生になお一層努力する決意です。倍旧のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

ネバー・ギブアップで退路遮断
 「ネバー、ネバー、ネバー、ネバー・ギブアップ」-――首相は4日の年頭記者会見で、消費増税を「大義」と位置づけ、第2次大戦中のチャーチル英首相の「決してあきらめない」との言葉を引用して増税実現の決意を表明、退路を遮断しました。政府・民主党は6日、社会保障改革本部の会合を開き、昨年末に政府与党がまとめた消費増税の原案を元に「社会保障・税の一体改革」の素案を決定、11日に与野党協議を申し入れました。素案は現在5%の消費税率を「2014年4月に8%、15年10月に10%まで引き上げる」とし、増税分のうち国税分は年金、医療、介護、少子化対策など社会保障分野に充当しています。増税5%のうち3%分は、基礎年金の国庫負担分や、@保育所と幼稚園を一体化させた「子ども・子育て新システム」創設A低所得者の基礎年金加算B年金の受給資格期間(現行25年)を10年間に短縮C医療・介護サービスの強化――など社会保障制度の強化策を盛り込んでいます。首相は消費増税を国際公約しており、与野党協議で大綱がまとまれば閣議決定し、関連法案を年度内(3月末)に国会に提出する方針です。

谷垣年頭所感で早期解散要求
しかし、谷垣総裁は元旦、「民主党はマニフェスト(政権公約)で消費増税を真っ向から否定しており、国民との契約違反のままに突き進むことは決して看過できない」と文書で年頭所感を発表、4日の記者会見でも「公約違反の民主党政権に消費増税を発議する資格はない」と述べ、早期の解散・総選挙を求めています。昨年末の民主党内論議では増税に反対する小沢一郎元代表グループらが国家公務員給与の削減や議員定数の削減など「自ら身を切る改革」を求めました。首相はこうした与野党の慎重論に配慮し税率引き上げ前に「国家公務員給与削減法案」の早期成立、衆院議員の定数削減と一票の格差を是正する「公職選挙法改正案」の提出など政治・行政改革に取り組むほか、経済成長率などの指標を踏まえて総合判断、増税を停止できる「景気弾力条項」も素案に明示。前記のように社会保障改革では低所得者への年金加算や受給資格期間短縮など最低保障機能を強化しました。

議員定数や郵政で公明党に秋波
政府は国家公務員給与を7・8%引き下げる法案と、国家公務員に労働基本権を付与する「国家公務員制度改革法案」を前国会にセットで提出し継続審議中ですが、これを成立させ、給与を平均0・23%引き下げる人事院勧告は実施しない方針です。だが、自公両党は「労働基本権に代わるのが人事院勧告だ」と真っ先に人勧の実施を要求、その差額を削減するよう求めて対立、5日の3党政調会長協議でも接点は見出せませんでした。民主党としては「給与削減法案」で譲歩を重ねても増税の協力を求める考えです。議員定数削減は、政権公約に明記していた「衆院比例定数80削減」では公明党の不満が高まるため、削減対象を比例に限定しない「定数の80削減」と表現を修正しました。また、公明党は国民新党が成立を切望する郵政改革法案でも、独自修正案を出し与党に歩み寄っていますが、政府与党は公明案を丸呑みしても、公明党さえ抱き込めば参院で与党少数の「ねじれ国会」を突破できるため、公明党対策に専念、同党懐柔に向け盛んに秋波を送っています。

民主政権の本質断罪と公明党首
「野党の皆さんには一層、政局よりも大局に立っての決断をお願いしたい。そうすれば必ずや困難を乗り越え、日本の政治は前進できる。谷垣総裁、山口代表、お見えでしょうか。来週には協議の呼びかけをさせていただきたい」――。首相は5日、経団連など経済3団体の新年祝賀パーティーでニコニコおどけて与野党協議に応じるよう訴えました。これには自民党の大島理森副総裁が「マニフェストをごまかしながら、茶化した態度で協力を呼び掛けるとは言語道断」とカンカン。石原伸晃幹事長も記者会見で、「離党者や民主党内に100人以上いるという消費増税反対者を除名してきたら応じるが、今は到底協議する状況にない」と拒否。公明党の山口那津男代表も、首相が党首会談を呼び掛けた場合の対応について「形式的に機会を作り、手続きを進める口実にするのでは、国民に納得してもらえない」と拒絶、年頭から都内で始めた街頭演説では「国民との約束を破る民主党政権の本質を断罪する。国民に信を問うべきだ」と早期解散を求めました。みんなの党の渡辺喜美代表は「談合政治は許せない」と与野党協議に反対しています。もっとも森喜朗元首相のように「反対して解散に追い込んで勝った後、自民党は消費増税法案なんて出せない」と指摘、「衆院任期一杯休戦し、大連立を組むべきだ」と主張するベテランもいます。

政権公約に違反せずと民主反論
これら意見に対し野田政権は、「消費増税案は現在の衆院議員の任期が切れる13年8月の半年後の14年4月からの実施であり、政権公約に違反しない」と反論。ほかにも@自公政権時代の税制改正では12年3月までに消費税を改正すると付則に明記しているA自民党は先の参院選で消費税を10%に引き上げると公約したB谷垣総裁は消費増税で与野党の円卓会議を開くよう提案している-――などを挙げ、野党が与野党協議を拒否する理由はないと主張しています。これには5日の3党協議で、自民党の茂木政調会長が「山岡消費者相と一川防衛相はどう扱うのか」と先制パンチを浴びせました。与野党協議のハードルは両閣僚の更迭問題。自公両党は両相が続投した場合、通常国会で2人が関連する国会審議に応じない方針でした。首相はこれまで「問責決議には法的根拠がない」として、4日の年頭会見でも、「全閣僚一丸となって課題実現のために力を尽くす」と拒否。輿石東幹事長も「問責可決で閣僚を交代させていたら、きりがない」と辞任ドミノに反発しました。

首相、国会前に中規模改造断行
だが、民主党内では野党の攻勢を軟化させるためにも、国会審議が本格化するまでに2閣僚の交代はやむをえないとの声が強まり、首相は5閣僚退任、12閣僚留任の中規模改造を決断しました。消費増税を柱とする社会保障・税一体改革の推進態勢を強化する狙いから、岡田前幹事長を副総理兼一体化改革・行政改革相に起用、公務員改革も担当させ、「身を切る改革」の姿勢をアピールしました。退任は問責決議を受けた一川防衛相と山岡国家公安委員長兼拉致問題・消費者相のほか、米海兵隊岩国基地への空母艦載機移駐に「反対」と述べ、「閣内不一致」と批判された平岡秀夫法相と昨年11月の参院予算委で「不適切な交際がある」と自民党に追及され、「不注意で反省している」と答弁した蓮舫行政刷新相の2人で野党の追及ターゲットにされてきた閣僚。それに中川正春文部科学相の5閣僚です。一川氏の後任には田中直紀(真紀子元外相の夫)元農水副大臣、山岡氏の後任には松原仁国交副大臣、平岡氏の後には小川敏夫参院幹事長(元法務副大臣)、中川氏の後には平野博文国対委員長、後任委員長には城島光力幹事長代理を充てました。復興庁の設置期間中、閣僚数の上限を現在の17から18に増やせることから、2段階人事で平野達男復興相が設立時の2月に選任閣僚として就任します。平野国対委員長の閣内横滑りは、先の臨時国会で内閣提出法案の成立率が34%と過去20年間で最低だったため党執行部も補強したわけです。内閣改造の次のハードルは民主党内の事情。小沢氏や鳩山元首相らグループの一部は「世論受けしない政策では選挙が勝てない」と公然と消費増税に反対、法案の「事前審査」をタテに抵抗することが予想され,消費増税法案の策定は難航する見通しです。


話し合い解散か、公明6月期待
さて、読売を始め各マスコミは、政局のヤマ場を3〜6月と想定しています。国会は開幕冒頭に第4次補正予算を成立させた後、12年度予算案の審議に入りますが、政府与党が2月末に衆院の多数で通過させて年度内に自然成立を図るとしても、3月の国会運営には、特例公債法案など予算関連法案の攻防が絡んできます。その際、早期解散を求める自公両党が衆院に内閣不信任決議案か、参院に首相問責決議案を提出すれば、民主党の増税反対派が同調・造反する可能性があります。その場合、首相は総辞職を選ばず、消費増税の是非を争点に破れかぶれの解散に打って出るのは確実視されます。それが3月の場合は、ねじれ国会での混乱を避けるために「話し合い解散」が与野党で取り沙汰されており、解散条件には消費税の関連法案と予算関連法案の双方の成立か、予算関連法案だけかの2通りが想定されています。公明党は来年の都議選に支障をきたさないよう年内の解散を望んでいますが、春先の解散では選挙準備が整わないことや、「政局優先の審議では国民の支持が得られない」など世論を懸念、重要法案成立後の会期末の6月に解散を望んでいます。

民主離脱派が第4勢力の新党
こうした中、民主党は昨年末に離党した10人を除籍(除名)しましたが、このうち内山晃元総務政務官(千葉7区)ら衆院議員9人は4日、「新党きづな」の設立を総務相に届け出、党代表に内山氏、幹事長に渡辺浩一郎氏(比例東京)、政調会長に斎藤恭紀氏(宮城2区)、国対委員長に豊田潤太郎氏(比例近畿)が就任して衆院では共産党と並ぶ第4勢力になりました。大阪ダブル選で圧勝した橋下徹大阪市長は「大阪都構想」で各党の協力が得られない場合、地域政党「大阪維新の会」候補を国政選挙に立てる考えを示唆しました。河村たかし名古屋市長が代表を務める地域政党「減税日本」も総選挙の候補を探しています。仮釈放中の鈴木宗男元衆院議員が代表を務める「大地・真民主党」も5日、政党名を「新党大地・真民主」とする名称変更を総務相に届け出、民主党除籍組の残り1人が参加しました。菅内閣不信任案に賛成票を投じ民主党を除籍された松木謙公衆院議員が代表代行兼幹事長に就任、格差是正や米軍普天間飛行場の沖縄県外移設などを唱える方針です。小沢氏と親しい鈴木氏は同夜、輿石幹事長に「与党の立場で協力する」と伝えました。

総選挙、再編、党首選びで緊迫
「新党きづな」は是々非々の政策を掲げ中立の立場を主張していますが、大半は選挙が苦しい当選1回の小沢チルドレンたちであったことから、民主党分裂の際には「新党大地・真民主」とともに、離党者の受け皿になると見られます。石原都知事をトップに新党結成を急ぐ国民新党の亀井静香代表は、年末の結成を断念したものの依然、石原氏やたちあがれ日本の平沼武夫代表、民主党小沢グループ幹部らと連絡を取り合い、政界再編を目指しています。石原都知事は5日、記者会見で新党構想について、「蜜密にやって、だんだん拡大して行ったらいい」と語り、自民、民主に対抗する「第三極」を亀井氏らとともに模索していく考えを示しました。「政界再編の起爆剤」を党是とするたちあがれの平沼代表も8日、NHKテレビで「自民、民主、国民新3党の新保守勢力を集め真保守党を結成したい」と述べました。自民党内では総裁選再出馬を目論む石破茂前政調会長が勉強会「さわらび会」を結成したのに次いで、石原幹事長も外遊先の米国で、谷垣総裁の不出馬を前提として、総裁選に立候補する意向を表明しました。今年は地域政党も参加する解散・総選挙、政界再編、自民・民主の党首選などで激動し、政局は国会冒頭からキナ臭くなりそうです。