第263回(11月1日)首相綱渡り国会 復興増税は月末成立か
 野田政権2度目の臨時国会が10月20日に開幕、首相の所信表明に対する代表質問が31日から衆院で始まりました。国会では復興対策12・1兆円の大型第3次補正予算案と財源策の11・2兆円の増税法案のほか、復興庁の設置法案、継続審議の郵政改革法案と総人件費を7・8%引き下げる国家公務員給与削減法案など重要法案が目白押し。さらに与野党の協議次第では、衆院の一票の格差を是正するための関連法案が控えていて、12月9日までの51日間の会期内では成立が難しく、早くも会期延長が叫ばれています。自民党は3次補正と増税法案を自公民3党協議よりも国会でじっくり審議したうえ成立させる方針ですが、補正の提出が28日にずれ込んだのに加えG20首脳会議など首相の外遊日程が多いことから3次補正の成立は11月下旬に遅れそうです。野党は一致して刑事裁判中の小沢一郎元民主党代表を証人喚問に呼び出し政治的説明責任を追及するとともに、失言の多い問題閣僚も徹底追及する構えです。首相は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉にどう結論を出すか。まさに正念場です。激動の中、変わらぬご支援をお願い申し上げます。

補正は復興費9兆含め12兆円
 政府は21日の閣議で本格的な大震災復興策を盛り込んだ12兆1025億円の第3次補正予算案を決定、28日に国会に提出しました。うち復興関係費は9兆2438億円で、@高台への集団移転や道路・農地整備など40事業への地方自治体に渡す「復興交付金」(1・56兆円)A被災自治体に負担がゼロの「地方交付税交付金」(1・66兆円)B道路・港湾・学校などの復旧費(1・47兆円)C中小企業や農林漁業者への融資(0・67兆円)D瓦礫処理費(0・38兆円)E立地補助金などその他の経費(2・46兆円)――が主な内容。災害復旧費は、第1、2次補正の6兆円と3次補正を合わせ約15兆2千億円。それに来年度予算の要求分3・5兆円を加えると、震災直後に政府が策定の19兆円にほぼ達します。これは被災した岩手、宮城、福島3県の年間総生産合計2 0兆円に匹敵する巨額。リーマン・ショック後に麻生政権が組んだ約15兆円に次ぐ大きさで、「復興バブル」が懸念されるほどです。第3次補正には復興費のほか、年金財源の穴埋め約2・5兆円、台風12号の災害対策費約3千2百億円、B型肝炎関連経費480億円が計上され、12兆円超に膨らみました。

国家戦略会議で自前の政権構築
 また、政府は18日、首相が国内外の重要政策の司令塔と位置づける「[国家戦略会議」について、首相を議長に、閣僚と政府外の議員数を各6人の計13人で構成することを決めました。構成は自公政権時代の「経済財政諮問会議」に似て、白川方明日銀総裁、米倉弘昌経団連会長、岩田一政日本経済研究センター理事長の3人は経済財政諮問会議と同じ分野から、これに長谷川閑史経済同友会代表幹事、古賀伸明連合会長と、経済外交を重視し国際経験豊かな緒方貞子JICA理事長を起用。閣僚は国家戦略、官房、財務、総務、経産、外務の6閣僚としました。また、国家戦略会議の新設に伴い、海外経済協力会議、新成長戦略実現会議や緊急雇用対策本部など18の会議を廃止、菅前首相が乱立させた会議のリストラに乗り出しました。このように、野田氏は「首相主導」、自前の政権構築に向けて着々と体制を整備しつつあります。しかし、今国会は第3次補正関連など内閣提出の新規16法案と郵政改革法案など継続審議22法案を抱えるほか、11月中旬までに与党内でTPP参加の結論を出さねばならず、首相は綱渡りの国会運営を迫られています。

3党枠組み維持だが公明へ接近
 そこで、野田政権は自公民3党協議の枠組みを維持し復興国会を乗り切る構えですが、とりわけ、「ねじれ国会」解消の早道である公明党への接近に力を注いでいます。野田内閣は当初、復興財源に充てる所得増税の実施期間を「10年を基本」とする案を提示しましたが、自民党はインフラ(社会資本)整備は将来の世代もその恩恵に浴するので、建設国債と同様60年償還を念頭に償還期間を長期に設定すべきだと主張、公明党も15〜20年間を3党協議で主張しました。これに対し、民主党の前原誠司政調会長は「我々は参院で多数を取っていないので、自公両党の理解を頂き、予算を早期に成立させたい」と述べ、15年の償還期間を再提案しました。公明の抱き込みは明白で、公明党もたばこ増税案や郵政改革法案には反対せず、たばこ産業や郵政株の全売却による税外収入確保に期待をかけています。民主党はほかにも、29年ぶりに人事院勧告(0・23%引き下げ)の実施を見送り、「大震災対処の臨時特例措置」と称し、継続審議の、平均7・8%引き下げる「国家公務員給与削減特例法案」の成立を目指しているため、人事院は「勧告無視は憲法違反」と反発。自民党は、労働条件を労使交渉で決める「協約締結権」を盛り込んだ「国家公務員制度改革関連法案」をセットで提案されたことから、労組の力が強まることを警戒、審議は難航しています。

復興・原発収束・経済再建に全力
 「大震災からの復興、原発事故の収束、欧州に嵐が吹き荒れる国際金融市場。今、政治家の覚悟と器量が問われている」ーーーーー。野田首相は28日午後、衆院本会議で就任後2度目の所信表明演説を行いました。演説では復興策を盛り込んだ第3次補正予算案と臨時増税の復興財源法案を一刻も早く成立させたいと野党に協力を呼び掛けたうえ、戦後最高値の円高是正と国内産業対策に政策を総動員し、日本経済の立て直しを大きく加速させる決意を表明しました。TPPの交渉参加は、9月の所信表明を踏襲し「しっかり議論し出来るだけ早期に結論を出す」と強調。国家公務員の給与削減法案の早期成立も呼び掛け、演説に先立つ閣僚懇では、首相と政務3役の給与を11月分から首相は3割、閣僚と副大臣が2割、政務官が1割それぞれ自主返納することを決定、「率先垂範」の姿勢を示しました。政府は11月中旬に第3次補正の成立を目指していますが、成立は月末に持ち越しそうです。