第249回(4月1日)自民協力で国難克服 統一地方選開幕
 マグニチュード9という世界最大級の東日本大震災、謹んでお見舞い申し上げます。10メートル以上の大津波が渦巻き陸地に乗り上げる漁船、住宅や田畑を呑み込む濁流の速さ。倒れた重油タンクから出火し3日間も燃え続けた気仙沼市の火災。連日の息を呑むテレビ映像に、被災地はまさに水攻め・火攻め、阿鼻叫喚の地獄を体験されたであろうと、深く心を痛めております。加えて居座った冬将軍。燃料・水・食料・医療・衣類が不足し、折角、難を逃れたお年寄りが体調不良で約30人も亡くなったとか。痛ましい限りでお慰めの言葉もありません。自衛隊、警察官、消防官の諸君が災害と福島第1原発の復旧作業に命懸けで取り組んでいます。不安・不満も募るでしょうが、瓦礫の中から元気いっぱい立ち直って下さい。自民党は戦後最大の国難に対処し、「政治休戦」をして11年度予算と関連法案の年度内成立に協力しました。首相が唱える「危機管理内閣」への入閣は拒否しましたが、与党より早く総合的な震災対策を発表、災害復旧に全力を挙げています。解散・総選挙は遠のく感じですが、大混乱の中で24日から統一地方選が始まりました。民意は既に管政権を離れていますが、次期衆院選を占う大事な戦い。自民党県連会長として、私の責任も重大です。皆様の温かいご支援を得て、大勝利を挙げたいと念願しております。

首相、司令塔の役割果たせず
 世界4位、関東大震災の約45倍、阪神大震災の約1450倍という地震規模、死者・行方不明者約2万8千人を数える未曾有の大震災に福島原発の大事故が重なり、日本列島は戦後最大の危機に襲われました。首相は緊急災害対策本部を官邸に、福島原発事故対策統合本部を東電内に設置し、自らが2つの本部長を兼ねて頻繁に記者会見を開いています。だが、官邸、東電、原子力安全・保安院がばらばら会見を続けたほか、監督官庁の経産省、放射能モニタリングの文科省、厚労省などの縦割り行政の弊害が目立ち、首相は司令塔の役割を果たせず、情報の開示も遅れがちで、国民向け政治ポーズだけが目立っています。有効な手が打てないまま、冷却システムの故障で原子炉の核燃料とプール保存の4540本もの使用済み核燃料が発熱し、福島第1原発の1〜4号機が水素爆発や火災を起こしました。自衛隊、東京・大阪の消防隊諸君が放射能の危険も顧みず決死の作業で、海水の放水を続けましたが即効性は薄く、燃料棒を覆う被膜管が溶ける炉心溶融(メルとダウン)が発生。炉心の構造物を破壊、核分裂の臨界へと進み、大量の放射性物質をまき散らした旧ソ連・チエルノブイリ原発事故の二の舞の危機に見舞われました。これこそ人災です。

放射能汚染、節電で国民大混乱
 「止める」「冷やす」「封じ込める」が原発事故防止の鉄則ですが、1週間以上の放水でも原子炉を「冷や」せず、たち上る水蒸気や黒煙の中から放射性のヨウ素やセシウムが拡散。福島、茨城、栃木、群馬4県のほうれん草など野菜、原乳が汚染され、さらには東京都の水道水にまで汚染が広がり、都は乳幼児に48万本のペットボトルを配給しました。首相は「直ちに健康に影響を及ぼす数値ではないが、念のためだ」と「念のための安全策」を強調しつつ、「出荷停止」や「摂取制限」の措置を矢継ぎ早に指示していますが、数値上の根拠が不明確なため、かえって風評被害を招き、混乱しています。福島原発に3割の発電を頼っていた東電は関東地方を5地区に分けて、計画的節電の「輪番停電」を実施、交通機関が運休、間引き運転をしたため都会の足は大混乱。庶民の不安によるまとめ買いで品不足。それにガソリン高騰、節電も当分続くとあって、都民の不満も高まっています。

求心力失い危機管理内閣目指す
 首相は被災者対策や原発対応に万全を期すことで内閣の求心力を高め、身辺の違法献金疑惑や党内造反などのピンチをチャンスへ、「災い転じて福と為す」と考えていたたようです。ところが、政情不安を反映して、株価はリーマンショックに次ぐ大暴落、円は投機的思惑も手伝い戦後最高値を更新するほど急騰しました。首相はやむなく17日、政策通で官庁人脈に強い民主党の仙谷由人代表代行を官房副長官に起用、大震災や東電福島原発の対応を強化し、藤井裕久副長官は首相補佐官に差し替えました。被災者生活救済特別対策本部(事務局長・平野達男内閣府副大臣)も設置、野党を加えた「危機管理内閣」を作ろうと、閣僚を3人増員する案を野党に打診するよう岡田克也幹事長に指示しました。これは、連立与党の亀井静香国民新党代表の「救国内閣」提言や、輿石東民主党参院議員会長が17日、「野党の協力も頂いて日本の国難、ピンチを挙国一致、722人の国会議員全員で考えて行くべきだ」と記者会見で述べた「大連立構想」を受けたものです。

火事場泥棒延命策を自民批判
 首相は19日、自民党の谷垣禎一総裁に「副総理兼震災復興担当相」として入閣するよう電話で要請しました。しかし、谷垣氏は「唐突な話だ」と回答を留保。その後自民党本部で緊急役員会を開いた結果、出席者から「入閣すればこれまで反対してきた子ども手当法案など予算関連法案の成立に協力せざるを得ず、菅政権の延命に繋がる」などの意見が大勢を占め、「入閣要請の拒否」を全会一致で決めました。谷垣氏は「我が党は震災復興に手を緩めることも惜しむこともなく、引き続き閣外から全面協力する。総理は現体制をいじるときではなく、被災者の支援、原発対応に全力を尽くすべきだ」と首相に返答しました。谷垣氏が、与野党による各党・政府震災対策合同会議を提案、同会議の立ち上げに即刻応じたにもかかわらず、菅政権は子ども手当の「繋ぎ法案」など、震災対策に関係ない法案成立の協力を要請するばかり。自民党の参院幹部が「震災を利用した『火事場泥棒』だ」と批判したように、自民党内では菅政権の延命策批判が高まっています。

公明も共同責任負うのを嫌う
 被災地岩手県出身の小沢一郎元代表を擁する小沢軍団からは「小沢氏を震災担当相に」との待望論が続出していますが、首相が「脱小沢」路線を堅持し、野党党首を閣内に取り込もうとしたため、小沢氏に近い川内博史衆院議員は「震災の政治利用だ」と批判しました。公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は「閣僚の増員は認めるが、1人で十分。大臣が多くては指揮系統の混乱が起こる」と反対、山口那津男代表も復興には協力するが、震災対策の共同責任を負うことに否定的でした。それよりも重要なのは予算を全面組み替えるほどの補正予算案を編成することです。11年度予備費と新年度予算の予備費を合わせても1兆3千億円余で災害復興にはとても足りません。被害額約10兆円と言われた阪神大震災では対策費として総額3兆円の補正予算が組まれました。今回の被害額は道路や港湾、住宅、生産施設などの直接的被害額が16〜25兆円と見られ、10兆円以上の補正が必要です。

後藤新平まねて復興庁創設へ
 1923年9月1日の関東大震災の翌日、内相に就いた後藤新平は@遷都すべからずA復興費に30億円を要すべしB欧米最新の都市計画を採用して我国に相応しい新都を造営せざるべからずC新都市計画実施の為には地主に対し断固たる態度を取らざるべからず――という4つの基本方針を示し、内務、鉄道両省から人材を集めて官庁と同格の帝都復興院を設置、自ら総裁を兼務しました。これがいわゆる“後藤の大風呂敷”と言われ、東京の復興に大いに貢献しました。阪神大震災では村山富市首相が「阪神・淡路復興対策本部」を設置したほか、自民党の小里貞利氏を震災担当特命相に起用、権限を集中し一糸乱れぬ万全の復興体制を構築しました。政府内では復興政策を統括する「復興庁」を創設、増員の閣僚に担当させる案が浮上しています。谷垣総裁は「復興支援税」を提言、民主党の岡田幹事長も子ども手当や高速道路の無料化、農業の戸別所得補償などマニフェスト予算の全面的に見直しに言及しました。「コンクリートから人へ」の政策も当然変更すべきです。

地域政党が統一地方選で顕著 
 国会では18日、被災自治体の統一地方選を延期する臨時特例法が参院本会議で成立しました。総務相が政令で指定する岩手、宮城、福島3県などの被災自治体に限り、2カ月から6カ月の範囲内で投開票日を延期できるという内容です。統一地方選の前半戦は、岩手が延期されて東京都をはじめ12知事選と、大阪府を含む41都道府県議選などが4月10日に投開票されます。続いて後半戦は、各地の市区町村長、議員選が24日に行われます。市町村合併などで選挙日がずれ、統一率は過去最低の28%台。それでも、全国で1千を超す選挙があり、ほとんどの有権者に投票の機会が巡ってくるため、各党は総力を挙げて戦っています。前哨戦となった3月13日の名古屋市議会解散に伴う出直し市議選(定数75)は、河村たかし市長が代表の地域政党「減税日本」(解散前1)が第1党に躍進、自民党は(同23)は19議席で第2党を維持、民主党(同27)は11議席に激減し惨敗しました。河村市長と連携する橋下徹大阪府知事は、同じく地域政党の「大阪維新の会」を組織し「大阪都構想」を掲げ、府議会や大阪、堺両市議会で「大阪維新の会」勢力の拡大に懸命です。地域政党の躍進は統一地方選にも顕著に現れそうです。

石原知事4選出馬に松沢氏仰天
 名古屋市の出直し選挙は、河村市長が旗を振り36万人を超す署名を集め、自分の公約の「市民税10%恒久減税」を拒んだ議会を解散、自らも辞任して戦ったもの。同じく住民投票で解職させられた鹿児島県阿久根市長の出直し選挙があり、強引な前市長は敗れました。二元代表制の地方自治制度の下で「首長VS議会」の攻防が各地で頻繁に起きています。マスコミは「これまでは、首長の追認機関のような地方議会が当然視されたが、特権に胡座をかくだけで、民意を代弁出来ない議会に対する住民の不信感は強い」と指摘しており、統一地方選でも、河村市長のように、議員の定数や報酬の削減を公約する首長候補者が続出しそうです。注目されるのは、3月24日に告示された前半戦の東京、神奈川など12知事選。息子の石原伸晃自民党都連会長から何度も出馬を要請されながらも、「ケセラ、セラだ」と、とぼけていた石原慎太郎都知事は、11日の都議会最終日に4選出馬を宣言。既に都知事に出馬表明を済ませていた松沢成文神奈川県知事を仰天させました。

菅首相の地元で民主党立てず
 松沢氏は2月に石原氏から引退の意向を聞かされ、「君しかいない。やってもらいたい」と後継指名を受け、立候補を決意したそうです。出馬表明後の神奈川県知事選には、菅義偉自民党県連会長が擁立する元フジテレビ・ニュースキャスターの黒岩祐治・国際医療福祉大大学院教授と、元NHK記者の露木順一・前開成町長が立候補を表明しました。松沢氏は今さら神奈川県へ戻るわけにはいかず、やむを得ず東京への鞍替え出馬を撤回しました。石原、松沢両氏と上田清司埼玉県知事は「首都圏連合」を組んだ仲。激突回避へ一本化調整をした上田氏は14日夜、都庁で記者会見し、「2人が激突すれば首都圏連合が分裂になってしまう。信頼と友情を大事にしたいという思いだった」と調整の弁を述べました。会見には石原、松沢両氏も同席し、松沢氏は「本当に驚いた。何が起こっているのか信じられない思いだった」と悔しそうに述懐しました。24日の告示で開幕した都知事選には菅首相の地元であるのに民主党は立候補を取りやめ、石原氏のほか共産党の小池晃前参院議員、民主党都議会派が応援する外食産業の渡辺美樹・元ワタミ会長、東国原英夫・前宮崎県知事、発明家のドクター・中松氏ら11人が出馬、乱戦模様です。

各党候補は表向き自粛ムード
 自民党は次期総選挙に向けて支持層を広げるため、統一地方選の必勝を期していますが、公明党も全力を挙げ、候補者全員の当選を目指しています。みんなの党も積極的で、大都市部では人気首長との連携を狙い、大阪府の橋下徹知事が代表の地域政党「大阪維新の会」とは昨年9月に統一地方選での協力に合意。名古屋市の河村たかし市長とも「アジェンダ(政策課題)が重なる範囲で連携する」考えです。県議、市議選で約30人の公認や推薦候補を昨年秋に早々と決めたほか、500人を公募しました。渡辺代表は法案ごとに多党に協力を求める「クロス連合」を唱えていますが、公務員制度改革などで政権批判を強めており、政府・与党との連携には後ろ向きです。統一地方選は、東日本大震災の爪痕が各地に生々しく残っているため、「防災」、「エネルギー確保」などを争点に据えながらも、選挙カーやスピーカーが少なく、各党、各候補は表向き自粛ムードに包まれています。