第237回(10月1日)沖縄委員長に就任 波乱含み秋の陣
 「有言実行」を唱える菅改造内閣が船出しました。首相は1日召集の臨時国会で景気浮揚策を盛り込んだ10年度補正予算案を早期に成立させ、民主党代表選で生じた政治空白を埋めようと懸命ですが、「ねじれ国会」の乗り切りは容易ではありません。小沢一郎元幹事長の政治資金問題を巡る東京第5検察審査会の議決が10月中に見込まれ、24日には衆院北海道5区補欠選挙の投開票、11月28日には米軍普天間飛行場移設問題が深く関わる沖縄県知事選が控えており、「秋の陣」は波乱含みです。自民党など野党は国会で一致して「政治とカネ」問題、展望なき経済成長政策、尖閣諸島を巡る弱腰外交などを追求します。菅内閣は「熟議の国会」と称し、必死に野党との「パーシャル(部分)連合」を模索していますが、党役員・閣僚人事で「脱小沢」をより明確にしたため、代表選の亀裂が拡大しました。かつて大平内閣は自民党内の「40日抗争」に苦しみましたが、小沢氏らが「お手並み拝見」と党内野党に徹すれば、11年度予算案が成立できず、来春3月にも菅氏が政権を投げ出す事態が予想されます。混迷政局が続く中、私は衆院の沖縄・北方問題特別委員長を拝命。沖縄基地・尖閣諸島など、与野党攻防の的となる安保問題の議事進行で采配を振るうことになりました。さらなるご支援とご叱正をお願い申し上げます。

脱小沢、革新系改造内閣が船出
 9月17日に発足した菅改造内閣は、政権要の仙石由人官房長官、財政再建重視の野田佳彦財務相ら5閣僚を留任させ、総務相に前鳥取県知事の片山善博慶大教授を抜擢するなど12ポストを新たに選任しました。初入閣の大畑章宏経済産業相(鳩山G)と海江田万里経済財政相(同)、高木義明文科相(旧民社党系)の3氏は小沢氏への投票を明言していましたが、これは別格扱いとし、党内最大の小沢グループは完全に干し上げられました。小沢氏には「代表代行」ポストを提示して断られていますが、首相は記者会見で「小沢氏から『体力的に消耗した。しっかり支えるからポストは勘弁してほしい』といわれた。適材適所で選考したが、小沢Gは年次が若すぎるので副大臣などで処遇する」と説明しました。何の権限もない棚上げポストを小沢氏が受けるはずがないことを見越して提示するあたり、首相もしたたかですが、ねじれ国会を意識して参院から4人も入閣させ、副大臣、政務官には約束通り小沢Gも起用してバランスに留意。旧社会党系4人、民社党系を2人、旧日本新党系3人など革新系を多く起用しています。「脱小沢」路線を明確にしたため、各紙世論調査の内閣支持率は65%前後にV字回復し、まずまずの再出発となりました。

影の内閣設置し政府揺さぶる
 自民党の谷垣禎一総裁は内閣支持率の上昇について、「政権がコロコロと代わったらたまらないという国民感情の表れで、積極支持ではない消極支持だ」と指摘、「政治とカネ」問題などを通じ政府与党を揺さぶる方針を固めました。まず14日に組織を改編し、政府党提出法案への賛否決定や対案を作成するため、谷垣総裁を首相、石破茂政調会長を官房長官、政調の各部会長を閣僚とする「影の内閣」(シャドーキャビネット)を設置したほか、@中長期施策を立案する「国家戦略本部」(本部長・谷垣総裁)の設置A衆参の国会対応と連携強化を目的とする幹事長室、政調、国対委幹部による「国会戦略調整会議」の新設B幹事長の下にあった報道局を広報本部へ移管――などを行いました。6日召集で調整していた臨時国会は、自民党が円高対策の審議などを理由に早期召集を求めた結果、1日に開会し首相の所信表明演説、6日から3日間の衆参両院本会議での代表質問、12日から2日間ずつの両院予算委で質疑を行う段取りです。代表質問は4日からの予定でしたが、首相が4,5日にブリュッセルで開催するアジア欧州会議(ASEM)首脳会議へ出席するため遅らせました。首相の同会議出席は当初、野党の早期召集の要求を受けて取りやめていましたが、中国の温家宝首相や東南アジア、欧州各国首脳が会議に出席するため、尖閣諸島漁船衝突事件で日本の立場を国際社会に強く訴える必要性から、野党も了承しました。

法案絞りパーシャル連合模索
 会期は年内予算編成の都合上、12月3日までの64日間です。政府提出法案は10年度補正予算案と通常国会で廃案になった郵政改革法案、継続審議の労働者派遣法改正案、国家公務員のボーナスを2年連続引き下げる給与法改正案などを柱に、継続17本と新規を合わせ最大40本の法案を予定しました。しかし、来年度予算案編成が大詰めを迎えることと、民主党が先の参院選で敗北し、与党が参院の過半数を確保できない「ねじれ国会」になったことから、対決法案は先送りし35本程度に絞り込む方針です。鉢呂吉雄民主党国対委員長は激しい攻防を予想し、「個別政策ごとに野党と協力する『パーシャル連合』を模索し、法案修正も辞さない」と記者団に語っています。公明党の協力で参院は過半数に達するし、社民党の協力があれば、衆院での再可決に必要な「3分の1」議席が確保できるため、盛んに両党に秋波を送り、社民党の1部はこれに呼応する動きを見せています。

尖閣で最高検幹部の証人喚問
 しかし、与野党論戦は会期前から戦端が切られ、国会での激突が予想されます。9月28日の参院外交防衛委員会、30日の衆院予算委集中審議など閉会中審査では、早くも沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で逮捕した中国人船長を那覇地検が処分保留のまま釈放した件について、野党は政府の「弱腰外交」を厳しく追及しました。船長釈放について自民党内では安倍晋三元首相が「釈放は那覇地検というより管政権の判断で、極めて愚かな判断だ。領海侵犯は明々白々で、中国の圧力に政府が屈した」と語り、谷垣総裁も「小泉政権の時は尖閣に上陸した者を国外退去とした。そういう処理もあり得た」と指摘。27日に緊急の外交・法務合同部会を開いて政府、検察の対応を検証し、臨時国家での追及に備えました。石原伸晃幹事長は26日のNHK番組で「菅政権の外交音痴、稚拙外交が、辺野古基地移設に次いで歴史に残る最大の汚点を残し、大失態を演じた。しかも、検察に責任をなすりつけている」と批判、那覇地検が「政治的配慮」を加えて船長を釈放したことと、大阪地検がフロッピーデスク改ざんした「証拠隠滅事件」について、最高検幹部を国会に証人喚問し、徹底追及する方針です。

野党弱腰外交糾弾、与党も批判
 みんなの党の渡辺喜美代表は「明白な外向的敗北だ。菅内閣の弱腰外交を糾弾する」と述べ、たちあがれ日本の平沼赳夫代表も「遺憾だ。中国の(尖閣)領有権を日本が暗に認めたことにもなりかねない」と語りました。仙谷由人官房長官は「那覇地検の判断なので、それを了としたい。私自身は粛々と国内法に基づいて手続きを進めた結果、ここに至ったという理解だ」と司法の独立を強調していますが、与党内でも菅政権に批判が続出。小沢Gの松原仁、中津川博郷衆院議員ら有志5人は「我が国の法秩序を蹂躙するもので容認できない」として、検察当局宛に釈放撤回の抗議文を発表したのを手始めに、尖閣列島への自衛隊常駐を求める声明を12人の連名で発表。さらに松原氏ら73人連名による「那覇地検の対応は検察の権限を大きく逸脱した極めて遺憾な判断だ」とする緊急声明を発表しました。小沢Gに限らず、吉良州司前外務政務官、長島昭久前防衛政務官らは27日、「総合的安保体制の確立」、「日中関係の根本的見直し」など8項目を盛り込んだ「建白書」に同党議員43人の署名を添え、仙谷官房長官に提出。その中で「検察の判断だと繰り返すのは責任転嫁だ」と指摘しています。国民新党の亀井亞紀子政調会長も「釈放には政治的判断が働いたと考えざるを得ないが、検察の仕事でなくおかしなことだ」と批判しました。刑事処分の判断基準を厳正な「法と証拠」に求めるべき「法のしもべ」検察のスキャンダルは戦前の思想警察、特高警察を想わせる不気味なもので、検察の威信低下は歴然です。

本末転倒・厚顔無恥の中国談話
 衆参両院の予算委や外務、安保委員会、とりわけ私が委員長を務める衆院沖縄・北方問題特別委では冒頭から、普天間基地移設、尖閣諸島衝突事件を巡って激論が戦われるでしょう。中国は沖縄の基地移設で日米同盟が揺らいだ間隙を突いて、日本の弱腰に執拗な圧力を掛け、米主要紙が日本の「屈辱的退却」と報じたように、日本が外交的に敗北したことは明白です。しかも、中国外務省は傘に掛かって「中国の領土主権と国民の人権を深刻に侵害した行為に対し、強烈な抗議を表明する」と明記し、「釣魚島(中国名)と付属する島嶼は、古来、中国固有の領土であり、争うことの出来ない主権を有している」と改めて領有権を主張した上で、「日本は中国に対し、必ず謝罪と賠償をしなければならない」との談話を船長釈放直後に発表しました。本来なら日本の外務省が船長逮捕時にこの主語の「中国を日本」に置き換えて発表すべき談話。中国の本末転倒、厚顔無恥は極まった感じです。

圧力掛け既成事実化は常套手段
 弱みに付け入り、圧力で海洋権益を理不尽に拡大し、それを既成事実化するのは中国の常套手段。中国の言う「戦略的互恵関係」は「独善的支配関係」であり、民主党が目指す日米中が正三角形の「北東アジア共同体構想」などは絵に描いた餅に過ぎません。差し迫った南西諸島・離島防衛のため、超党派で外交・安保政策を構築すべき時だと私は考えています。尖閣問題はHP別項「政治活動」でも詳しく取り上げました。是非お読み下さい。