第235回(9月1日)菅・小沢一騎打ち 党分裂・総選挙か
  異常気象で残暑が続き、秋の味覚サンマが不漁で高騰。台風も多発するとの予想。まずは皆様のご健勝を祈り上げます。私は衆院農林水産委の調査団に参加して8月24日から31日まで、ベトナム、タイ、ラオスの農業・水産事情を視察してきました。いずれご報告いたします。さて、14日の民主党代表選は、続投を目指す菅首相と「反菅」グループが推す小沢一郎前幹事長の一騎打ちとなりました。首相が「3年先の衆参ダブル選挙」を示唆し、解散・総選挙に怯える新人議員の囲い込みに出れば、反菅Gが「菅続投だと追い込まれ解散だ」と訴えるなど激しいバトルを展開、党分裂一歩手前の権力闘争を繰り広げています。円高、株安の経済危機のさなか、政策論争を離れた低次元の党内抗争を続ける同党に、国民は失望と怒りを感じています。特に「政治とカネ」問題を抱える小沢氏出馬の背景には検察審査会の起訴を封じる狙いがあると見られ、「指揮権発動以上の暴挙だ」と批判されています。内閣支持率が若干持ち直した菅首相がやや有利のようですが、どちらに転んでも民主政権で日本の政治はよくなりません。仮に菅氏が敗れ小沢政権が誕生する場合は、国民がたらい回し政権を許さず、「直ちに総選挙で国民に信を問え」との声が起こり、自民党には政権奪回のチャンスが到来します。菅氏再選の場合も、9月末の臨時国会は郵政改革法案など重要法案を巡り与野党が激突します。民主党分裂か。あるいは早期解散か。  秋政局も波乱含みですが皆様の変わらぬご支援、ご叱正を切にお願い申し上げます。

外人参加で外交・安保に懸念
 8年ぶりに党員・サポーターが参加する本格的な民主党代表選は1日に告示され、14日に東京・芝公園の「ザ・プリンスパークタワー東京」ホテルで開く臨時党大会で実施されます。党員・サポーターは大会までに往復はがきで投票しますが、計算方法は@国会議員412人の1票は2ポイントに換算し824ポイントA地方議員2382人は全体で100ポイントとし、ドント方式で配分B党員・サポーターは全体で300ポイントとし、衆院小選挙区単位で集計し、選挙区内で最多得票の候補に1ポイント配分――で総ポイントは1224となります。問題は党員・サポーターの資格について、同党規約は「18歳以上の個人(在外邦人及び在日外国人を含む)」と明記し、「開かれた党」を掲げ登録の際に氏名、住所は必要だが、国籍は不問としている点です。自民党、共産党、みんなの党は日本国籍を党員の要件としていますが、民主党の代表選は事実上、首相を選ぶ選挙であるため、少数でも外国人の参加は、政権党として外交・安全保障上の懸念が生じることになります。そうでなくとも、小沢一郎前幹事長は「永住外国人地方参政権法案」の成立に意欲的。先の総選挙では在日韓国居留民団に選挙ポスター貼りの協力を依頼しました。また、党員の6千円に対しサポーターの年会費は2千円と安いため、特定団体が自らの所属メンバーを大量に登録することも可能です。同党執行部は3月、党組織の足腰を強くしようと「40万人以上」を目標に、国会議員に「目標登録数1000人以上」のノルマを課しましたが、5月末締め切りの登録数は党員約5万人、サポーター約29万人の計34万2493人。小沢幹事長当時に動員を掛けた関係で、サポーターは小沢支持が多いようです。

相次ぐ「反菅」の政策勉強会
 小沢氏出馬表明までの3週間は、激しいバトルと虚々実々の駆け引きがありました。経過をたどると、代表選では経済財政運営を巡る路線対立が激化、財政再建派の菅首相に対し、経済成長派の小沢グループが昨年夏の衆院選政権公約(マニフェスト)への「原点回帰」を唱える「反菅」勉強会を相次ぎ誕生させました。1つは衆院当選1回の小沢チルドレン約100人が8月6日、「真の政治主導を考える会」(村上史好会長)を発足させ、鳩山前首相を招いて国会内で初会合を開きました。鳩山氏は「今こそ(政権公約の)原点に返らないといけない」と訴え、村上会長も記者団に「我々は09年のマニフェストを国民に問い、政権交代が必要だと訴えた。原点を忘れてはいけない」と強調、17日も約40人が国会内で集まり、予算編成に厳しい注文を付けました。もう1つは小沢氏側近の山岡賢次副代表が6日、国会内で「09年政権マニフェストの原点に返り『国民の生活を守る』集い」を開いたことです。同会には小沢支持Gのほか、鳩山G、旧社会党系などを中心に約150人が参加。「消費税の増税を撤回しない限り次期衆院選も惨敗だ」、「財政出動路線へ復帰せよ」などの意見が続出、財政再建重視の菅政権に批判的意見が相次ぎました。

小鳩の大デモンストレーション
 「小沢一郎 鳩山由紀夫 気合いだ! 気合いだ!」――。長野県軽井沢の鳩山前首相別荘で19日に開かれた鳩山グループの研修会後の懇親会で、中山義活前首相補佐官がゲキを飛ばしました。研修会には鳩山、小沢両グループから130人、その後の懇親会には小沢氏をはじめ、輿石東参院議員会長、荒井聡国家戦略相、小沢鋭仁環境相、中井洽国家公安委員長、平野博文前官房長官、出馬に意欲的な海江田、樽床氏ら約120人が出席。双方に参加した国会議員は旧社会、旧民社党系も含め3分の1以上の計約150人に達する大デモンストレーションでした。若手の出席者からは「出る環境は整った」「出て貰いたい」「最後の勝負に挑んで頂きたい」など小沢氏の代表選出馬待望論が高まりました。だが、小沢氏は「お互いに力を合わせて一生懸命頑張って、国民の期待に応えよう」とにこやかに挨拶しただけで50分後に退席しました。小沢氏は研修会出席者を中心に幅広い支持が得られれば出馬してもよいと考え、その手応えを感じ取ったようです。記者団が「研修会出席議員は小沢支持に回るのか」と聞いたのに対し、側近の山岡氏は「99・9%、そうじゃないですか」と自信たっぷりで、「菅政権では追い込まれ解散になる」と強調しました。

鳩山氏、挙党態勢求め仲介役
 小沢氏は「陸山会」の収支報告書を巡る「政治とカネ」問題で東京第5検察審査会が東京地検の不起訴判断の是非を審議中で、2度目の議決次第では小沢氏が強制起訴されかねないとして当初は出馬に二の足を踏んでいました。だが、小沢陣営では、憲法75条は国務大臣の刑事訴追には首相の同意が必要との規定があり、首相本人に関しても自ら同意しなければ訴追は事実上不可能との解釈があるため、小沢氏が立候補し強行突破すべきだとの意見が高まりました。これに対し、渡部恒三前衆院副議長は、かつて吉田茂首相が犬養健法相に指揮権を発動させ、造船疑獄の佐藤栄作幹事長を救った例を挙げ、「免訴は法相の指揮権発動以上の暴挙だ」と批判し、藤井裕久元財務相も「本人は自分の立場を分かっている」と自重を促しました。そこへ登場したのが、代表選で自派が草刈り場にされるのを恐れた鳩山前首相です。「小沢首相が誕生し、僅か1年で3人も首相が交代するなら解散・総選挙を余儀なくされ、民主党は痛手を受ける」ことを理由に、輿石氏とも気脈を通じ、両氏は「挙党態勢構築を条件に首相続投を支持する」と明言、続投支持の見返りに人事面で反菅派を処遇するよう暗に要求しました。さらに軽井沢の別荘を「反菅」陣営の砦として開放、「小鳩連携」の結束を誇示したうえ、「小沢、菅の両氏は2人とも(個性が)強すぎる。そこで優しい私が仲介に入る」と述べ、党分裂回避のため仲介役を買って出ました。

1年生対象の懇談会で自己PR
 「1期生の声こそが1番国民に近い声だと思っている」――。一方の首相は秘書を総動員し、民主党の衆院当選1回生全員の144人と参院選で初当選した13人に案内状を配り、23日から3日間、6グループに分けて懇談、「政権公約実現のため3年間はしっかりやり、衆参ダブル選挙で信を問いたい」と決意表明。参院議員には「私の唐突な消費税発言で厳しい選挙になったことを改めてお詫びします」と謝罪しました。この懇談はわざと小沢一郎政治塾が開かれた期間にぶっつけましたが、小沢ガールズの参加は少なかったものの、懇談には88人の新人議員(約6割)が出席、「菅支持」を表明する議員もいて、囲い込みは成功、小沢陣営を慌てさせました。参院選敗北で求心力を失った菅首相でしたが、9日の長野県知事選で民主党推薦の阿部守一元副知事が当選したこと、読売、共同など各紙の世論調査で 内閣支持率が若干持ち直したことに再選の自信を深め、小沢氏の強い影響下にありながらも早期解散に怯えている1年生議員に任期一杯の解散を確約、小沢陣営の動きを牽制したものです。軽井沢で夏休みを取った首相は作家・辻井喬氏が大平正芳元首相の評伝を書いた「茜色の空」など伝記物を読みふけったそうです。大平氏は一般消費税導入に失敗しパーシャル連合を唱えた大先輩。その手法を大いに学んだようです。首相支持の前原誠司国交相Gは20日、菅Gも23日に会合を開き首相の支持固めをしました。

首相、脱小沢色鮮明に全面対決
 仲介役の鳩山氏は24日夕に小沢氏と都内ホテルで、25日夜に首相官邸で首相と1時間会談し、挙党態勢を築くために小沢氏の処遇策などを話し合ったが、不調に終わりました。読売などのマスコミ報道によると、24日の会談で小沢氏は「俺が幹事長のままでも48議席は取れた。44議席は(98年の参院選後に退陣した)橋龍と同じだ。『静かにしろ』と言うから静かにしたが、気分はよろしくない」と語り、参院選大敗後も「けじめ」をつけない菅執行部、とりわけ仙谷由人官房長官、枝野幸男幹事長ら「脱小沢」執行部に強い不満を述べたそうです。25日の会談では、鳩山氏が「小沢氏に協力を求めるなら真剣に求めることが必要」と小沢氏に要職を求めたのに対し、首相は「何度か協力を求めようとしたが、なかなか会えない。それ以降はコンタクトを取っていない」と開き直り、党最高顧問などの「名誉職」しか示さず、「小沢氏の了解なしに何も決められないのはよろしくない」と「脱小沢」色を鮮明にしたといいます。これで全面対決の構図は決まりました。

党二分して戦うゴング鳴る
 小沢氏は26日朝、「鳩山氏から『代表選出馬の決意をするなら、全面的に協力、支援していきたい』との話を頂いたので不肖の身だが出馬の決意をした」と記者団に語り、鳩山氏も「私の一存で(03年の民主党と旧自由党の民由合併の際には)民主党に入って頂いた。その経緯からして応援することが大義だ」と支援を表明しました。24日の小沢氏との対談では「1党員としては基本的に菅氏の再選を支持する」と述べた鳩山氏。それが舌の根が乾かぬうちに前言を翻し、相変わらず言葉はブレまくっています。菅首相もすかさず民主党1年生議員と面会し、「民主党は何回も代表選を繰り返してきたが、分裂したことは1度もない。正々堂々と、代表、首相になったときはこうすると、小沢先生も大いに国民や党に発言して頂き、私も改めて決意を国民に明らかにしていきたい。再選されたら命を懸ける覚悟だ」と決意を表明。これでマスコミが批判した「密室談合」の鳩山仲裁は消え、出馬に意欲的だった海江田万里衆院財務金融委員長、樽床伸二国対委員長や松本剛明衆院議運委院長の擁立話も消滅。党を二分して戦う一騎打ちのゴングが鳴り渡りました。

参院態勢固め政権奪還目指す
 菅陣営は、菅G60人、仙谷、枝野氏ら前原誠司国交相G60人、野田佳彦財務相G40人に岡田克也外相、玄葉光一郎政調会長ら。小沢陣営は、小沢G150人、鳩山G60人、輿石氏ら旧社会党系G30人、川端達夫文科相ら旧民社党系G30人、羽田孜元首相G20人で数の上では圧倒的に多数。小沢氏は羽田氏の支持を取り付けています。菅陣営は前原、野田両Gを交えた選対本部を31日に発足させ、旧社会、旧民社系の切り崩しを始めるなど、両陣営は深刻な経済危機を無視して多数派工作にしのぎを削っています。自民党は11日、初めて投票による参院議員会長選を行なった結果、同数の得票となり、異例にもくじ引きの決着で中曽根弘文前外相が選出されました。「派閥均衡や年功序列によらない人事」を公約に掲げ、伊吹派を離脱して会長選を戦った中曽根氏は19日、参院の幹事長に参院選で鞍替え出馬し当選したベテランの小坂憲次元文科相、政審会長に山本一太元外務副大臣、国対委員長に脇雅史国対副委員長を起用、副会長2人も復活させて林芳正元防衛相、川口順子元外相を充てました。参院の幹事長や国対委員長は「ねじれ国会」の中で他野党との調整を図り、野党全体の「司令塔」となる存在です。参院で戦う態勢を固めた自民党は、円高・デフレ、株安の経済危機の中で開幕する秋の臨時国会に向けて、無策の民主政権を厳しく追い詰め、政権奪還を目指します。ご支援をお願い申し上げます。