第229回(6月1日)福島氏罷免・連立離脱  3点セット・不信任案で追及
 6月16日の会期末まで2週間足らず。自民党は終盤国会で「政治とカネ」「米軍普天間飛行場移設」「口蹄疫」の3点セットに絞り、農水相、郵政改革相の不信任決議案を提出したほか、近く内閣不信任案も提出、衆院政治倫理審査会では小沢一郎民主党幹事長を厳しく追及する構えです。郵政改革法案など多くの重要法案が未成立のため、会期延長を巡る駆け引きも活発化していますが、与党は傷口を広げることは避け、延長を見送る方針です。延長しなければ参院選の投・開票日は7月11日、2週間延長なら17〜19日の3連休後の25日と予想されます。政局は参院選勝敗の一点に絞られており、自民党や各党が公認候補とマニフェスト(政権公約)を発表、実質的には選挙戦に突入しています。鳩山内閣は支持率20%以下の危険水域にあり、連立与党の過半数獲得はあり得ない見通しです。だが、政党支持率では民主党が急落した半面、残念ながら自民党の回復も芳しくなく、50%に達したとされる無党派層が草刈り場。林立した「第三極」の新党を含め、票の争奪戦が始まりました。首相は普天間移設問題で福島瑞穂消費者相を罷免、社民党が連立を離脱したため民主党内に「鳩山降ろし」の動きが出ています。英国の総選挙は保守党が労働党を破り、第三党の自由民主党と連立し保守政権を奪回しました。日本も参院選で崩壊間近の民主党政権を徹底的に叩き、近い総選挙で政権を奪還しなければなりません。連立内閣の失政で日本丸は沈没寸前ですが、私は県連会長として長崎選挙区の金子原二郎候補の選対本部長を務め、必勝を期しています。さらなるご支援、ご叱正をお願い申し上げます。

延長せず、不起訴が錦の御旗
  小沢氏の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で東京第5検察審査会が小沢氏を「起訴相当」と議決したため、東京地検は5月15日夜、小沢氏から3度目の事情聴取を行いました。小沢氏は政治資金収支報告書への不記載について、改めて関与を否定。東京地検も21日、再度、不起訴(嫌疑不十分)を決定しました。これを受けて第5検察審は第2幕の審査に入りましたが、再び「起訴すべきだ」との議決が出た場合、検察判断とは逆に小沢氏は裁判所指定の弁護士により強制的に起訴されます。小沢氏は「検察当局が再び不起訴と判断したことは、私の関与や疑惑がないという事実を明確にしたものと受け止めている」とのコメントを出し、不起訴を錦の御旗に、検察審の2度目の議決前に参院選を済ませようと国会の会期延長は見合わせ、参院選の陣頭指揮に総力を挙げています。そこで、自民、公明、共産、みんな、たちあがれ日本――の野党5党は、衆院予算委での虚偽証言罪が問われる証人喚問を要求しましたが、小沢氏は拒否し「政倫審ならいつでも出る」との姿勢で、政倫審で自発的に潔白を証明する考えです。ただ、政倫審は原則非公開であるため、小沢氏に距離を置く仙谷由人国家戦略相が「人数限定で報道陣に公開すべきだ」と主張、小沢氏もこれを受けて公開政倫審に応じる構えですが、小沢氏は「もう禊ぎを終えた」とし、連合首脳と地方行脚に繰り出しました。

「辺野古沿岸に滑走路」だけ合意
  首相が5月末決着を公約した米軍普天間飛行場移設問題は、@日米が2006年に合意した沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる現行計画を修正、滑走路は「杭打ち桟橋方式」とするA鹿児島県徳之島の空港にヘリコプター部隊の一部か訓練を移転B普天間や嘉手納基地でのヘリや航空機訓練を全国の米軍、自衛隊基地に分散移転C沖縄県鳥島と久米島の両射爆撃場返還、沖縄本島東部の米軍訓練水域の一部解除・訓練期間の縮小――を政府の最終案とすることを外務、防衛など担当閣僚間で合意しました。だが、社民党党首の福島消費者相が「県内移設の内容なら閣議決定には応じない」と連立解消含みで反対し、連立与党首脳が協議する基本政策閣僚委員会で議論するよう要求、国民新党代表の亀井静香金融相も与党内調整に時間を掛けるよう求めました。米国は「杭打ち方式はテロ攻撃に遭う」と難色を示し、移設が大幅に遅れる事態を避けるため、現行計画に基づく環境影響評価(アセスメント)の範囲内で建設位置を決めるよう求めました。この結果、日米政府は22日の実務者協議で「米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に滑走路を建設する」との移設案だけに合意、「滑走路の具体的な建設位置や工法の決定は8月末まで先送りし、基地機能の国外・県外分散移転は今後検討する」ことになりました。

福島消費者相罷免・連立離脱
 首相は23日に沖縄を再訪、仲井真弘多知事、稲嶺進名護市長らに説明、陳謝しましたが、地元は激しく抗議し、首相の裏切りに強い怒りを示しました。27日の全国知事会議でも沖縄の基地負担軽減策を訴えましたが異論続出で協力を得られぬまま散会。社民党の抵抗では閣議了解も難しいとして、一時は@日米合意とは別に「辺野古」の地名抜きの政府対処方針を閣議決定するA「首相発言」のペーパーを出す形で5月末決着の体裁を整える――など窮余の策が検討されましたが、「ダブルスタンダード(二重基準)の対処方針には署名できない」と福島氏が反発。「二枚舌の姑息な手段だ」とマスコミにも叩かれて断念。結局、首相は28日夜、辺野古移設を明記した対処方針に反対した福島氏を罷免、ようやく閣議決定に持ち込みました。首相は記者会見で社民党の別の議員を入閣させる考えを表明しましたが、福島氏は「私を罷免したことは、社民党自身を切り捨てたのだと理解する」と述べ、30日の常任幹事会、全国幹事長会議で正式に連立離脱を決定しました。

迷走の揚げ句元の計画逆戻り
 福島氏後任の消費者・少子化相は当面、平野博文官房長官の兼務と決まりました。首相は、麻生政権とは全く逆コースを辿って国民の喝采を得ようと、総選挙では「最低でも県外移設」を公約し、最近まで「米国、沖縄、連立与党」3者の全てが合意しての5月決着を「職を賭して」実現すると豪語してきました。しかし、地元の期待感を煽っただけで米国は一歩も引かず、散々迷走した揚げ句、袋小路に迷い込み、結局、首相が「自然への冒涜」と反対してきた埋め立て方式の“元の木阿弥”に戻りました。迷走の原因は@国政根幹の安全保障に対する首相の常識と基本戦略の欠如A内閣をまとめる司令塔の不在B官僚の意見を排除した「政治主導」の空回り――などが挙げられます。北朝鮮の魚雷攻撃で北東アジアが緊迫する中で米国の信頼を大きく失墜、国民からは指導力不足と政治責任が厳しく問われています。民主党は同日、どさくさに紛れ郵政改革法案を強行採決、衆院通過させましたが、連立政権が崩壊したまま小鳩体制で参院選を戦うことに党内は「玉砕覚悟の楠木正成が討ち死にした湊川の戦いと同じだ」と危機感を高め、鳩山降ろしが始まっています。

政策全て自民政権へと後戻り
 前原誠司国交相が目指した、普通車を上限2000円などとする高速道路の新料金制度の6月実施も見送られました。前号のHPで詳報したように、前原氏が「党の要望を入れて閣議決定したものを変えるのはガバナンス(統治能力)を問われる」と、民主党の見直し要求を拒否したのに対し、小沢幹事長が猛反発し、4月13日の衆院本会議での趣旨説明以来、関連法案審議の目途が立たないからです。これも結局、麻生政権の善政である土日祝日の「上限1000円」などの現行料金割引が継続されることになり、全ての政策は自民党前政権ヘと後戻りを始めています。宮崎県の家畜伝染病・口蹄疫は猛威を振るい、10キロ圏内の牛、豚20万頭を殺処分にすると決定しましたが、自民党は内閣の初動態勢が遅れたため被害が拡大したとして、赤松広隆農相の不信任決議案を国会に提出しました。赤松氏は感染発覚の4月20日に「大騒ぎするな」と言って、10日後の30日から5月8日まで、メキシコ、キューバなどを訪問してゴルフに興じ、初めて宮崎県に入ったのは帰国後10日目でした。10年前に英国が口蹄疫感染で600万頭を殺処分にしたことを想記すれば、初動態勢がいかに重要であるかは小学生にも分かること。長年にわたり野党ボケしていたとしても、政府民主党の政策音痴と生命・財産に対する危機管理能力の無さは言語道断で、恐るべきことです。

財政再建掲げ反小沢G旗揚げ
 民主党内で小沢氏と距離を置く玄葉光一郎氏ら衆院議員115人、代理秘書65人は、財政再建を旗印に「国家財政を考える会」を26日に旗揚げしました。参院選公約に消費税率引き上げを明記することを目的に掲げています。菅直人副総理兼財務相は2011年度の新規国債発行額を今年度当初予算と同じ「44・3兆円」以内に抑える考えを表明、仙谷由人国家戦略相もこれに同調しています。この3氏はともに旧民主党以来の同志で、「増税に慎重・バラマキ路線」の小沢氏とは一線を画しており、党内では「反小沢グループの旗揚げ」との見方が強まっています。民主党のマニフェスト企画委員会(委員長=仙谷国家戦略相)が4月10日にまとめた参院選公約の原案は、野党時代と違って政権政党として現実路線にやや近づいた内容になっています。原案を取りまとめた高嶋良充筆頭副幹事長は、「昨年の総選挙当時作ったマニフェストは、一度も与党を経験しない野党時代のもの。実際に政権を運営している以上、信頼される公約を示さないといけない」と述べ、古川元久内閣府副大臣も「財政規律に対する信頼が失われないような政策を出さなければならない」と強調、財政上の裏付けを重視して、控え目で地味な政策や制度新設を掲げています。中でも公約に掲げた子ども手当を11年度から満額支給するかどうかが、同党の参院選公約の焦点で、菅財務相や仙谷国家戦略相らは、財政規律を重視し、総選挙マニフェストの大幅修正を唱えています。これに対し小沢幹事長は「半年で(公約の)基本が変わるのは、とても国民に納得されない」と選挙最優先の立場から修正に反対しています。

バラマキから子育て支援へ
 一方、自民党は5月14日、参院選公約の原案を発表しました。その要旨は【憲法】2005年公表の自民党新憲法草案を踏まえ、新憲法を制定【成長戦略】法人税実効税率(現40%)を20%台に減税▽地方移転した企業の法人事業税を優遇▽デフレ脱却へ物価目標設定【財政規律】財政均衡条項を憲法に追加▽消費税の引き上げを含む税制を抜本改革【頑張る人が報われる社会へ】バラマキから子育て支援サービスへ=保育所の整備・拡充、幼児教育の無償化、子どもの医療費無料化▽1000人体制の「県境なき「医師団」を結成し、医師不足地域に派遣▽高齢者医療制度の対象年齢を75歳から65歳に【手当より仕事】農業に「経営所得安定制度」を導入▽高速道路の現行割引制度の維持と料金見直し▽道州制基本法を早期制定【緑の地球と豊かな自然を守る】温暖化ガス排出量を2020年までに05年比15%削減【外交・国防】地元負担軽減を実現する在日米軍再編▽「国際協力基本法」を早期制定▽インド洋の補給支援活動を再開【教育立国日本の創造】土曜授業、全員参加型の全国学力テスト復活▽「平成の学制大改革」を断行し、6・3・3・4制を改める【政治・行政への信頼】国会議員定数を大幅削減▽政治家の違法行為を秘書の責任に出来ないよう監督責任を明確化▽公務員の天下り根絶、人件費2割削減【我が国の形を守る】外国人地方参政権の導入反対▽夫婦別姓法案に反対――など、民主党との違いが浮き彫りです。

国壊す民主政権の暴走止める
 原案は、冒頭で「実現可能な責任ある政策を提案・実行する。国を壊そうとしている民主党政権の暴走を止める」と対抗姿勢を鮮明にし、民主党がマニフェスト(政権公約)の看板に掲げた子ども手当、米作農家の個別所得補償制度などバラマキ政策を厳しく批判。各種の政策転換を図る内容を盛り込んだほか、消費税を引き上げ社会保障費の財源に全額を充てるなど、財政規律重視の路線を明確に打ち出しています。これは日本経済が低迷し、国・地方の長期債務残高は860兆円を超えるという財政破綻の危機に直面している今こそ、一刻も早い経済再生を図る必要があるとの認識に基づくものです。14日の党政調全体会議では「消費税率は10%台に――と書いても、国民の理解は得られる」との指摘がありましたが、鳩山政権が6月にまとめる「中期財政フレーム」を見極めるべきだとの意見や、参院選前の数字の独り歩きを警戒する声も出され、原案での税率は「政権復帰時点で国民の理解を得ながら決定する」と付記しただけで、6月4日に決定する予定の最終版まで具体的数値の記入は先送りしました。参院選は、いよいよ目前に迫っています。