第227回(5月1日)5月決着は絶望的 支持率急落赤信号
 新緑の5月。とはいえ政治への閉塞感は募るばかり。皐月の空は暗雲に覆われています。政府・民主党は政治主導確立を目指す政治改革3法案と郵政改革法案など重要法案を会期内に成立させて7月参院選を有利に戦う構えです。  しかし、東京第五検察審査会が27日、小沢一郎幹事長の「陸山会」事件で小沢氏を「起訴相当」と議決したため、自民党は連休明け国会で政権トップ2の「政治とカネ」問題を徹底攻撃します。 
 首相が公約した米軍普天間飛行場移設問題の5月決着は絶望的になり、鳩山政権は窮地に立たされています。元々首相が「国外か、最低でも県外」などと出来もしない公約を掲げた結果、八方塞がりに陥ったからです。6月から導入する高速道路の上限料金制度も、マニフェスト(政権公約)に謳った「原則無料化」どころか実質値上げの内容。料金割引原資3兆円のうち1・4兆円は高速道路の整備に回すと言うから「コンクリートから人へ」の公約も嘘っぱち。党サイドの横やりで、またも閣内が迷走するなど「政策決定の一元化」は完全に骨抜きです。ガソリン税の暫定税率廃止も取りやめ「羊頭狗肉の誇大広告」オンパレード。国民からは“選挙詐欺”との批判を浴び、内閣支持率は朝日が25%、時事通信23・7%と危険水域に急落しました。困ったことに自民党でも「たちあがれ日本」に次いで舛添要一氏の「新党改革」が旗揚げするなど核分裂が起きました。私は県連会長として天下分け目の参院選対策に没頭していますが自民党に最も望まれるのは団結です。どうかご支援下さるようお願い申し上げます。

上限料金は実質値上げで不評
 国土交通省が4月9日に発表した上限料金制度は、一定の走行距離を超えた料金を定額にする目的に沿って、6月から37路線の50区間で首都高速や阪神高速などを除き、軽自動車は1000円、普通車は2000円、トラックなどの中・大型車は5000円を上限とします。一部の高速道路無料化に合わせて実施、ETC(ノンストップ自動料金収受システム)の利用に関係なく、全ての車に適用します。首都・阪神高速は普通車で一律700円(東京線、阪神東線)などとしている定額料金制をやめ、走行距離に応じて500〜900円(普通車)を課金する方式に改めます。これは昨年3月に導入された土日・祝日の「上限1000円」の割引や、曜日や時間帯で異なる現行の割引制度に代わるもので、料金体系を単純にするのが狙いですが、現行割引が廃止される結果、多くのドライバーには実質的な値上げになります。例えば、これまで東京線の東京・高井戸―埼玉・三郷間は一律700円の範囲でしたが、新料金では900円と値上げになります。上限2000円にしても、サラリーマンには「平日の休みが取りにくい現状では意味がない」と不評です。

若者票釣る撒き餌の誇大広告
 「高速道路の原則無料化」と「ガソリン暫定税率の廃止」を宣伝した民主党の政権公約は、若者の票を釣り上げる撒き餌でしたが、6月から始める高速道路無料化は交通渋滞を生んで大量の温室効果ガスを出す恐れがあるとして全国2割(18%)の過疎地、料金収入では5%に過ぎない地域でしか試行的実施に入らず、残りの路線は割引の廃止で値上がりするケースが目立っています。税率維持でガソリンの値下げも見送られ、野党時代に「ガソリン値下げ隊」をリードした川内博史衆院国土交通委員長は「理解が得られず審議が出来ない」と反対、仙谷由人国家戦略相も「JRに配慮し本四連絡道路の料金を千円高くするなら観光客が減る。おかしい」と抗議しました。道路財政特措法改正案を審議する国交委の委員長が反対するとは前代未聞。21日の政府・民主党首脳会議では小沢幹事長が「選挙民に説明できない。値上げはまずい」と鶴の一声を発し、首相が再検討を約しました。ところが、前原誠司国交相は「首相、官房長官が了承し閣議決定した。現時点で見直しは行わない」と拒否し「(党は)高速道の建設促進を要望しながら値段が上がってはいかんという。二律背反だ」と小沢氏に猛反発。首相が「国会審議の場で見直す必要があれば結論を見出していく」と前言を撤回、またも指導力不足を露呈しました。

Wビーチなど2案を米側拒否
 最もひどい誇大広告が「国外、最低でも県外」と総選挙で公約した沖縄の米軍普天間飛行場移設問題です。政府は3月末、同県名護市の米軍キャンプ・シュワブ陸上部と、同県うるま市の米軍ホワイトビーチ沖を埋め立てる2案にヘリ部隊を訓練する移設先として鹿児島県徳之島や長崎県の海自大村航空基地などを絡ませる案を内示しましたが、首相は4月10日、岡田克也外相と同問題を協議した結果、米側との実務者協議入りを断念しました。外相が9日に行ったルース駐日米大使との会談で、大使は@移設受け入れ先の地元合意がないA米軍の運用面での実現可能性がないB移設実現の期限が不明――などの懸念を表明、実務者協議は「時期尚早だ。慎重に検討する」と直ちに拒否したからです。日本が希望した「核安全サミット」での日米首脳会談も拒否しました。首相は12日にワシントンで開かれたサミット夕食会でオバマ大統領の隣りに座り、10分間会談したものの、「日米同盟は極めて大事。5月末までに決着させる決意だ」と協力要請するのが精一杯でした。

最大の敗北者はいかれた首相
  「あなたは昨年、トラスト・ミーと言ったが何も進んでいない。きちんと最後まで実現できるのか」――と大統領は疑念を示し、確実に決着させるよう厳しく求めました。ワシントン・ポスト紙は「90分会談した胡錦濤・中国国家主席は勝者リストのトップの位置だが、(36人の各国首脳が競い合った)ショウの最大の敗北者は断然哀れで益々愚かな、いかれた日本の鳩山首相だった」と首相を酷評しました。徳之島地元3町長も政府関係者との会談を拒否、18日に1万5千人の反対集会を開きました。普天間移設は自民党が橋本龍太郎政権以来14年の歳月をかけ、名護市辺野古沖合の埋め立てやキャンプ・シュワブにV字型滑走路を建設するなど苦肉のメニューを出して中井真弘多県知事らがようやく容認、米側もテーブルについたもの。それを鳩山政権がテーブルごとひっくり返し、地元には選挙目当てに県外、国外のおいしい話をまき散らした末、収拾困難に陥ったものです。

徳之島移設が「腹案」の正体
 首相には政権の命運を左右しかねない事態であるとの認識が欠如。安全保障に対する見識も全くありません。側近の牧野聖修衆院議員(静岡1区)が沖縄本島から200キロの徳之島に目を付け、「地元の反対は少なく、奄美の振興に役立つ」と熱心に耳打ちすれば、すぐ飛びつき、「出来るだけ県外に」と徳之島を念頭に、普天間のヘリ部隊約60機の多くを沖縄県外に移設する案を指示しました。これが党首討論で谷垣禎一総裁に答えた「腹案」の正体です。徳之島空港には2000メートルの滑走路が海沿いに伸び干潟に囲まれて埋め立てにも最適。ここにサトウキビ特区でも作って政府が島起こしを支援すれば喜ばれると牧野氏らは伝えたようです。驚いた地元の徳之島、天城、伊仙3町は3月28日に4200人を集め反対集会を開き、18日の反対集会には島民の6割以上1万500人が参加するほど反対運動は盛り上がり、政府と沖縄地元の折衝は完全に暗礁に乗り上げました。

米側は「何かの冗談」と冷やか
 岡田外相、北沢俊美防衛相、平野博文官房長官がばらばらに発言するうえ、専門知識を持つ外務、防衛両省が深く関与していないから、米国に示す資料は手順、機能、期間などが欠落した「素人同然の内容」で、米側は「単なる『アイデア』か『構想』に過ぎず、安定的な基地運営は出来ない」と不信感を募らせています。読売は13日の紙面で、米側が日本政府の案を「some kind of a joke」(何かの冗談)と冷ややかに受け止めていると報じ、「首相が明言した5月決着は絶望的な状況だ。首相自身の見通しの甘さ、言葉の軽さが、問題を出口のない迷路に誘い込んだ」と解説しました。最終的には与党党首クラスの基本政策閣僚委員会に諮ることになりますが、福島瑞穂社民党党首は依然として「グアム、テニアンで頑張っている」と述べ、参院選を意識してあくまでも県外移設を主張し「県内移設なら連立離脱も辞さず」と強硬態度を堅持。確かに5月決着は困難な状況です。

修正案に反対運動さらに激化
 ワシントン・ポスト紙は24日、岡田外相とルース駐日米大使が23日に会談し「現行案修正で調整」に合意したと報道。首相は「辺野古の海の埋め立ては自然への冒ドクだ。現行案は受け入れられない」と述べ、岡田外相も否定しました。だが、マスコミは修正の具体案を明らかにしており、稲嶺進名護市長は「場当たり的なやり方で県民を愚弄するものだ」と厳しく批判。25日に沖縄県読谷村で開かれた「国外・県外への移設を求める県民大会」は9万人が参加して反対運動がさらに激化しました。27日に来日したキャンベル米国務次官補との日米会談も不調に終わりました。内閣支持率が軒並み33%以下に急落したため、首相は「まだ政府案を提示していないのにマスコミが書き立てるから」と地元の反対運動をマスコミのせいにしたり、仙谷氏が16日のテレビ番組で衆参同日選挙に言及、平野官房長官が記者会見で首相退陣を懸命に否定するなど閣内は混乱の極みです。

目立つ新党・政界再編の動き
 民主党の出自は旧社会、旧民社など労組支援の左派系政党に小沢氏率いる右派の自由党が合流した寄り合い所帯。それに社民、国民新両党との連立政権では水と油で、「日本は沈没する」と立ち上がったのが平沼赳夫・元経済産業相らの「たちあがれ日本」新党です。「打倒民主党」「日本復活」「政界再編」の3点が結党の趣旨で、経済政策は経済成長と消費税率引き上げを含む財政再建を両立させる方針です。鳩山政権批判の「第3極勢力」の中では、ひと味違った自治体首長による新党結成があります。山田宏東京都杉並区長、中田宏前横浜市長、斎藤弘前山形県知事ら現・前職の首長が4月18日、「日本創新党」を結成、山田氏が党首、中田氏が代表幹事に就任しました。3氏は月刊文春5月号に寄稿、「コスト意識、経営感覚のない民主党の政治を傍観できない」などと反民主党色を示し、国会・地方議員の半減、公務員の大幅削減、構造改革路線による財政転換、経済成長のための法人税引下げなどを主張。政策面では「経済成長と小さな政府実現による経済、財政の再建」「道州制導入」などを掲げ、他党との会派結成も視野に入れています。

反民主色の首長連合新党
 7月の参院選に選挙区、比例区合わせて10人以上の候補を擁立し5議席以上確保する構えで、来年4月に区長任期が満了する山田氏の出馬は白紙の状態ですが、中田、斎藤両氏が立候補を検討中です。新党の母体は、中田氏らが昨年10月に設立した政治団体「良い国作ろう! 日本志民会議」の首長経験者24人で作る政治委員会(山田宏委員長)で、「応援首長連合」として上田清司埼玉・松沢成文神奈川両県知事、河村たかし名古屋市長ら首長、首長経験者26人の名簿を発表しました。斎藤氏は日銀出身ですが山田、中田両氏は松下政経塾出身でともに日本新党に所属していた元衆院議員。民主党内にはかつての仲間が多いはずですが、今回は既成政党と一線を画すため、新党に現職国会議員の参加は見込まず政党助成法の政党要件も満たす考えはなさそうです。最も、山田、中田両氏は原口一博総務相に請われて総務省顧問に就任していましたが、2人は4月に辞任し「今の民主党では日本はダメになる」(山田氏)と新党の籏を振っているから皮肉なもの。山田、中田氏らが頼るのは昨年一緒に改革派首長による「首長連合」を結成した橋下徹大阪府知事の支援ですが、橋下氏は当面府政に専念する構えで支援要請には応じていません。

橋下氏は大阪維新の会設立
 むしろ、橋下氏は、舛添要一前厚労相が13日にインターネットで大阪府が税率や規制を自由に決定できる「大阪独立国構想」の政策提言を発表したことから、同日夜に東国原英夫宮崎県知事と大阪市で会食するなど、国民人気が高い者同士が新党を結成することも計算に入れて舛添氏との連携を模索していたようです。また、橋下氏は府と大阪市を解体・再編し「大阪都」とする構想実現のため、19日に政治団体「大阪維新の会」を設立しました。地域政党として来春の統一地方選に候補者を公募、擁立します。このように新党が乱立するのは世論の民主党離れと、それを取り込めない自民党の低迷により、無党派層が50%近くに急増、みんなの党(渡辺喜美代表)の支持率が急進していることが背景にあります。公選法に基づき参院選で政治団体の名称が保護される期限が5月2日に迫っているため、政権の受け皿となる「第3極」の結集を目指し、政局のキャスティングボートを握ろうと、駈け込み寺的に新党ブームを起こしているわけです。

全員改選期で舛添人気が狙い
 執行部批判を繰り返し、新党結成を匂わせていた舛添氏は、自民党の全議員懇談会で「離党勧告すべきだ」と名指しされ、若手からは「オオカミ少年と言うよりオオカミ中年だ」(後藤田正純議員)と揶揄されるなど孤立化を深めていましたが、矢野哲朗元外務副大臣と一緒に離党届けを提出、ついに23日、「新党改革」を立ち上げました。メンバーは既に自民を離党していた小池正勝氏と改革クラブの渡辺秀央代表、荒井広幸幹事長、山内俊夫氏のオール参院議員6人です。舛添氏以外はいずれも7月改選議員で矢野氏は栃木、小池氏は徳島の両選挙区で続投を目指しながら、自民党の公認漏れ。渡辺、荒井氏らも民主党を離脱し改革クを作ったものの弱小政党で苦戦が予想されるため、舛添氏の国民人気にあやかって当選を目指すものです。舛添氏ら3人はまず改革クラブに入党後、党名を「新党革新」に変更、舛添代表、渡辺最高顧問、荒井幹事長、小池政調会長で出発。比例選では1000万票、10議席取る目標です。解党―新党結成でなく改革クを継承したのは、年4回交付される政党交付金の2期分約3千万円を目当てに、党首婿入りの形にしたわけで、「カネの掛からぬ清潔政治」を掲げながら打算的な手口。これに不満の中村喜四郎元建設相と大江康弘衆院議員は改革クを離党。同時に改革クは自民党との統一会派を解消しました。

「党に議席戻せ」と大島幹事長
 新党改革は@企業・団体献金の廃止A国会議員の定数半減B憲法改正――などの政策を訴え、参院選後の政界再編を目指します。舛添氏が2月に自民党内に発足させた「経済戦略研究会」は22日、予定した「日本経済と郵政民営化」のシンポジウムを取りやめました。会員の山本有二元金融相は「民営化の会をキャンセルして郵政造反派の荒井議員と政党を作るとは」と呆れ顔。同会の菅義偉元総務相、塩崎恭久元官房長官らも「舛添新党」には冷ややかです。党内からは「比例選で当選した以上、議員辞職し党に議席を戻すべきだ」(大島理森幹事長)、「これでやっと膿が出た」(伊吹文明元幹事長)、「上ばかり見る、ヒラメのようだった」(谷川秀善参院幹事長)と、“反乱分子”の退場には悪評が堰を切ったように溢れ出ました。「追い込まれ新党」と揶揄する声もあります。それは「豚もおだてりゃ木に登る」式に、各紙世論調査で「総理にしたい候補NO1」に煽てられた舛添氏は高揚し、「オレが発信しなければ自民党はニュースにならない」と嘯くまで自信過剰になり、引き戻れず孤立し、追い込まれたとの見方からです。何はともあれ党の解党的出直しが必要です。

「保守本流で政権奪還」を決意
 我が古賀派の宏池会は池田勇人元首相が名付け親で保守本流の伝統ある派閥。団結が固く、政界再編には微動だにしません。4月20日に東京のグランドプリンスホテルで「宏池会と語る会」を開きました。古賀誠会長は「池田元首相に育てられた宏池会は53年目を迎えた。今その歴史と伝統の重みを噛み締めている。昨年の総選挙で多くの同志が議席を失ったことは痛恨の極みだが、政権交代後の8ヶ月は政権トップ2の政治とカネ疑惑、首相のブレ発言、閣僚のスタンドプレーによる閣内不統一で政治不信、景気対策の無策により雇用不安は増大した。日米同盟も不信感が高まって取り返しがつかない状態だ。保守本流の宏池会が取るべき道は参院選に勝利し、国民の信頼回復に全力を尽くすことだ」と述べ、保守政治の中核として政権を奪還する決意を表明しました。口から出任せ嘘をついても平然と恥じない首相のこと。 3月末に嘯いたと同様「何も5月末と法律で決まってはいない」と逃げる構えのようですが、 検察審査会の「起訴相当」議決も小沢氏を「絶対権力者」として「市民目線からは許し難い執拗な偽装工作」と決めつけていることから、民主党内部でも『小鳩体制では選挙を戦えない』との危機感が高まっています。7月参院選で稚拙・最低な内閣を退陣に追い込むことが我々の使命と心得、頑張っているところです。