第224回(3月16日)3疑惑追及 与野党内で執行部批判
 10年度予算案が2日に衆院を通過、年度内成立が確定したことにより、通常国会は予算関連の子ども手当法案、高校授業料無償化法案など目玉法案の攻防に移りました。政府民主党はマニフェスト(政権公約)に掲げたバラマキ政策の支給開始を4月〜6月までに設定、7月参院選を優位に戦おうとしています。だが、自民党は首相実母の「マザコン」資金提供、小沢一郎幹事長の「ゼネコン」土地取得、女性議員の「北教組」裏献金――の民主党「3大献金疑惑」と3K問題追及の手を緩めず中盤国会に突入しました。米軍普天間飛行場の移設問題は迷走を続けていますが、大島理森幹事長が「5月末までに決着しない場合、首相は退陣せよ」と求めたのに対し、首相は「覚悟を持って臨む」と答え、退路を断ちました。この「5月危機」に加え、民主党内には長崎県知事選敗北後、政策調査会の復活を目指す会が発足するなど小沢独裁に不満が高まっています。一方、自民党でも主要地方選で3連勝したものの「敵失」を生かせず、審議拒否戦術が空振りに終わったことなどから、執行部の不手際に批判が生じ、「谷垣降ろし」の動きが散発的に起きています。長崎県知事選勝利の「上げ潮」に乗るべき最も大事な時に、団結が乱れることは残念でなりません。波乱含みの政局ですが、重ねて皆様のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

 参院選目指しバラマキ執行へ
 政府与党は年度内の予算成立がデフレ克服に向けた内需の本格回復に繋がると期待し、4月以降の「マニフェスト予算」の執行に全力を挙げ、予算関連の子ども手当法案、高校授業料無償化法案などが成立すれば、4月から公立高校では年間約12万円、私立校では年間約12万〜24万円の授業料を国が負担。コメの生産数量目標を守った米作農家に10アールあたり1万5千円を支給する個別所得補償制度の受け付けも始めます。さらに6月には、中学生以下の子ども手当(初年度は半額)を4,5月の2ヶ月分まとめて1人あたり2万6千円支給します。地方を中心に37路線(50区間)を対象とする高速道路の無料化も6月を目途に始める方針です。しかし、こうした選挙目当てのバラマキ政策の結果、国の財政悪化は深刻です。10年度予算は歳出規模が史上最大の92兆2992億円に膨らみ、税収が落ち込む中で新規国債発行額は過去最大の44兆3030億円にも上っています。国、地方の借金は900兆円に達するほど財政は破綻しかけています。しかも、11年度には、10年度まで財政投融資特別会計の積立金で賄う基礎年金の国庫負担の1部、約2兆5千億円や10年度は半額とした子ども手当の満額支給で5兆3千億円が新たに必要になってきます。

効果薄い「事業仕分け」第2弾
 そこで政府は11日、行政刷新会議(議長・鳩山首相)を開き、4月に行う「事業仕分け」第2弾の準備に入りました。今回の事業仕分けでは、民主党が野党時代に「政官業の癒着」「官僚の天下り先」「税金の無駄遣い」の温床として厳しく追及してきた98独立行政法人と、290ある政府系公益法人向けの支出を対象としており、抜本的見直しに関する提言を6月にまとめる方針です。また、財政再建の道筋を示す財政運営戦略を6月までに策定する作業も本格化させる構えです。しかし、先の総選挙で民主党は「予算全体の組み換えで、マニフェストに盛り込んだ新規政策7.1兆円の財源を捻出する」と豪語していましたが、実際の事業仕分けの結果は6,900億円しか捻出できず、すべてが中途半端に終わりました。無駄遣い削減のロードマップ(工程表)では初年度7・1兆円に次いで11年度は12・6兆円、12年度は16・8兆円を計画していますが、第2弾の事業仕分けをやっても財源は約束通り確保できないでしょう。ガソリン税の暫定税率廃止の公約は、昨年のガソリン代高騰期に法律期限が切れて、1ヶ月間だけ税率が廃止となり値下がりしたため、庶民が喜び廃止に期待を掛けていました。それが小沢一郎幹事長の「天の声」で暫定税率は存続されました。「ガソリン価格は安定している」ことが税率維持の理由ですが、ガソリン価格は総選挙の時と変わっておらず、国民をぬか喜びさせただけの詐欺的公約でした。前号のHPで触れた通り長崎県民が誇大広告のマニフェストに怒って政権民主党にNOを突きつけたように、国民はもう騙されません。


2O疑惑隠す目眩まし議論
 「鳩山首相、北教祖、小沢幹事長の頭文字をとって『濁ったH2O』と言える。政治とカネに関する民主党の体質を如実に物語る」――。谷垣総裁は4日の記者会見でこう批判しました。自公両党が要求した、小沢氏元秘書・石川知裕衆院議員(既逮捕)の辞職勧告決議案を採決しようとせず、小沢氏の証人喚問、首相実母関係者の参考人招致なども受け付けないまま、予算案の衆院通過を強行、「政治とカネ」問題は連立政権が企業・団体献金を禁止する政治資金規正法改正に向けた与野党協議期間設置で切り抜ける構えです。谷垣氏は「疑惑を隠すための目眩まし、議論のすり替えに過ぎない」と徹底追及を継続しています。確かに「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズですが「人よりゼネコン」が小沢献金疑惑の実態です。とりわけ、札幌地検か1日、民主党の小林千代美衆院議員の陣営に違法な政治資金1600万円を渡したとして、北教組幹部3人と小林陣営の資金管理責任者を政治資金規制法違反(企業・団体献金の禁止)で逮捕したことから、自民党は「日教組の政治活動、労組の選挙活動にメスを入れるべきだ」(大島幹事長)と力を入れています。

非小沢系7奉行が批判発言開始
 北教組は日教組の中でも戦闘的な組合で、教員の主任制度に反対し、道教委に一旦返還して突き返された主任手当(1人月5千円相当)を約50億円もプールするなど潤沢な資金を誇り、恐らくその利子の1部などが裏献金に使われたと見られています。小林議員の北海道5区は自民党の町村信孝元官房長官の地盤で、小沢幹事長が真っ先に選挙応援に駆けつけたほど同党の重点区でした。同党には小沢氏側近で党代表代行の輿石東参院議員会長ら日教組が母体の日政連出身議員が9人もいて、連合系議員の中でも一大勢力を築いています。このため、自民党は「小沢―輿石ライン」を叩くことが参院選対策の上からも重要であるとし、村田吉隆情報調査局長が組合の政治活動、政治活動に関わる調査を進めるなど攻勢を強めています。自浄能力を欠いた民主党に対する世論は厳しく、各紙の調査でも内閣支持率は40%前後に半減、「小沢幹事長は辞任すべきだ」も80%近くに達しています。同党内部でもトップ2が献金疑惑に翻弄され、説明責任を求める国民の要求が日増しに強まっていることから、小沢独裁に対する反発が強まり、仙石由人国家戦略相ら非小沢系「7奉行」が小沢氏の政治的・道義的責任に言及、批判的な発言を始めています。

反小沢派が「政調」復活要求
 反小沢陣営の生方幸夫副幹事長、玄葉光一郎財務金融、安住淳安保、筒井信隆農水の衆院3委員長、小宮山洋子衆院議員ら41人は4日、「政府・与党一元化の下での政策調査会(政調)の設置を目指す会」を結成、小沢氏が昨年廃止した党組織「政調」の復活のほか、@政調会長は重要閣僚が兼務A政調の下に各省庁に対応する部会と、中長期的な政策を立案する「基本政策委員会」を設置――などの要望をまとめ、提出しました。会を主催した生方氏は「幹事長案では党の活性化には遠い。幹事長に盾突く会ではないが政調を立て直して欲しい」と述べています。政調の復活は先に田中真紀子議員らが要請したのに対し、小沢氏が拒否したため、議員立法の土台となる政調の復活を唱えたものです。会合では「政策の議論が出来ない党なんか聞いたこともない」、「政策会議をいじっただけでは議論の場にならない」などの不満が続出しました。これを受けて、小沢執行部は8日、@首相がトップの参院選公約を作成する「マニフェスト企画委員会」を設置するA衆院の各委筆頭理事が運営する「質問研究会」を改組し、政府提出法案について政務3役から説明を受けて議論する「議員政策研究会」を新設するB各省副大臣主催の政策会議に党幹部が「コア(中核)メンバー」で加わる――ことを決めました。ただし、「政策決定の内閣一元化」方針は維持し、法案の事前審査機能は与えず、政調会長ポストも設けないことにしています。

ヤメ検候補が小沢批判し辞退
 民主党は11日までに、夏の参院選に選挙区49人と比例代表40人、計89人の公認候補(他に選挙区推薦2人)を発表、最終的には100人超を擁立する方針です。過去最多の80人を立てた07年参院選を上回る規模で、小沢氏は「2人区に2人」と選挙区で60人前後の擁立を目指し、比例選には連合の組織内候補10人や体操選手、女優などが含まれています。しかし、西松建設事件を含め検察の捜査を一貫して批判し、同党の比例選候補に要請されていた元検事の郷原信郎名城大教授は1日の記者会見で出馬辞退を表明。理由は、「検察と闘う」と宣言した小沢氏が「陸山会」の不動産取得事件で不起訴となったとたん「公平公正な検察の捜査の結果」と語ったことです。「石川知裕衆院議員らの逮捕を批判しながら、なぜ自分が不起訴になったからといって検察を持ち上げるのか。小沢氏は全く信用できない」と批判しました。「2人区2人」の方針についても2人区の地方組織や改選議員からは「内閣支持率低迷の中では共倒れになる」と反発が強まって、「選挙のプロ」小沢氏の神話と威信は急落しており、参院選前の執行部退陣論が盛んに囁かれています。

与謝野・舛添氏が谷垣降ろし
 自民党は「民主党に過半数を取らせないのが最低目標」(石破茂政調会長)とし、63人を公認、3月中に追加公認を決定しますが、「敵失」の割には民主党優位の政党支持率の格差が縮まらず、党内に焦りが生じています。与謝野馨元財務相は4月号の月刊「文藝春秋」に寄稿し、「この半年間、本気で鳩山政権を倒す気概が見えなかった」と執行部を批判、「谷垣総裁では党の再生はおぼつかない。夏の参院選も戦えない」 と総裁の辞任を求めたうえ、「現執行部を刷新して新生自民党で出直す道もある。駄目なら新党を含め新しい道を歩む決断をせざるを得ない」とまで明言。離党・新党結成に踏み切る姿勢を示しました。前号のHPで紹介したように、舛添要一厚労相が呼び掛けた構造改革派の「経済戦略研究会」が旗揚げし、舛添氏は1日、日本外国特派員協会で「民主党の支持率は自民党の2倍で致命的だ。この点を党内の良識派が考慮すれば、谷垣総裁を降ろす方向に動くだろう」と英語で講演しました。舛添氏は下野して以来、次期総裁選と来春都知事選に出馬の2段構えを意識してか、派閥解消や新党結成はもとより、「政界再編後は民主党から7閣僚を入れた連立政権を作っても良い」などと奔放な発言を繰り返し、マスコミ露出度を高めています。

ガス抜きより団結し選挙態勢
 これには谷垣氏と総裁選を争った河野太郎国際局長が6日付けのブログで「去年の総裁選に名乗りも上げなかった人が、いきなり総裁に辞めろと言うのを聞くと違和感がある」と与謝野、舛添両氏を批判し、総裁の進退よりも党内体制を一新するよう求めています。しかし、舛添氏と違って総裁選出馬の経験を持つ与謝野氏は、民主党トップ2の「政治とカネ」問題で政局の潮目が変わった時こそ、「徹底的に叩き潰さねば」との信念で2月の衆院予算委の質問に立ち、首相を「脱税王」と決めつけて辞任を迫りました。ところが、その直後の党首討論で、谷垣氏の追及には迫力がなく、退陣要求すらしないで終わりました。折角、長崎県知事選に勝利しても、3日間の審議拒否は空振りに終わり、本来は国会終盤の“決め球”として取っておくべき横路衆院議長不信任案を国会正常化の材料に使うなど、せっかちな国会運営に終始しました。執行部は3,4日の両日、衆院当選1〜4回と5回の「期別懇談会」を開き、中堅・若手と意見を交換しましたが、「お粗末な国会対策」との不満が強く出されました。こんな「ガス抜き」に気を使うより、予算組み替え案などは最終日の提出ではなく、冒頭から並行審議出来るよう早期に提出すべきでした。鳩山政権を退陣に追い込む参院選は100日余に迫っています。党内抗争どころではなく、国民が納得するマニフェストを早急に仕上げ、一丸となって選挙態勢を構築しなければなりません。