第212回(9月16日)政治主導鳩山内閣 衆参同時選挙へ
 民主党の鳩山由紀夫代表は16日召集の特別国会で首相に指名された後、直ちに組閣を完了、同日から新政権が船出します。総選挙で惨敗した自民党は、麻生首相の退陣表明を受け28日の党大会で後継総裁を選出、党再生に乗り出します。鳩山氏は総選挙の最大功労者・小沢一郎代表代行を幹事長に据えて人事を含めた党務と国会対策を一任。菅直人代表代行を副総理兼国家戦略局の担当相に起用、「政治主導」内閣の司令塔とするなど政府と党の役割分担を明確にし、本年度補正予算の組み替えや来年度予算編成に取り組みます。同党は圧勝した308議席の財産を保有するため任期一杯の4年間は解散せず、マニフェスト(政権公約)を実現して2013年夏の衆参同時選挙を狙っています。だが、民主党への追い風はなおも続くと期待し、自民党をさらに壊滅させようと、公約の子ども手当などを盛んにPRして来年6月に解散、衆参同時選挙を打つ構えもあります。我々は健全野党として、財源なきバラマキ予算の成立を断固阻止し、鳩山政権打倒の戦いを始めます。お陰様で生還できた我々は少数精鋭。倍旧のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

国会論戦が出来る新総裁選出
 自民党の総裁選は、国会議員200人、47都道府県連代表(各3人計141人)を含む地方代表300人の計5百人で争われ、総裁任期は3年間です。総裁候補者は国民人気の高い舛添要一厚生労働相が早々と不出馬を宣言。前回立候補した小池百合子元防衛相と石原伸晃幹事長代理も出馬を辞退した中で、我が古賀派の谷垣禎一元財務相が13日、「党再生の捨て石になる」と2度目の出馬を表明。新たに町村信孝元官房長官、石破茂農相も2回目のチャレンジに意欲的です。中堅・若手は河野太郎氏らを推す動きを示していますが、20人の推薦人確保は難しそうです。18日公示、28日投票と決まったのは、これまでの総裁選は国民に人気がある候補を有力派閥が推薦する傾向にあったため、地方の組識・党員感覚から遊離した候補が選ばれるとの不満が強く、多少は時間を掛けても今後は野党党首として迫力のある国会論戦を展開できる総裁を選出することにしたものです。しかし、16日の首相指名選挙で麻生現総裁に投票するのには抵抗があり、さりとて白紙投票では「国会議員の権限と責任の放棄だ」として中堅・若手から反対論が噴出。8日の両院議員総会は紛糾し、両院議員総会長の若林正俊元農水相に投票することを決定。また、「総裁選の立候補に必要な国会議員の推薦枠を10人に引き下げる」動議は否決されました。

役割分担ならず二重権力・院政
 太田昭宏代表と北側一雄幹事長が落選した公明党は、山口那津男政調会長を後任の代表に、井上義久副代表を幹事長に選出。自公連立に終止符を打ち、独自路線に転じました。民主党の鳩山代表は小沢、菅両代表代行を枢要のポストに就けたほか、輿石東参院議員会長は留任、岡田克也幹事長を外相、側近の平野博文役員室長を官房長官に内定。藤井裕久党最高顧問の財務相起用を検討するなど重厚な布陣とし、社民、国民新党との連立で福島瑞穂、亀井静香両党首に入閣を求めました。入閣候補には川端健夫、前原誠司の両副代表、、直嶋正行政調会長、仙谷由人元政調会長、「年金男」の長妻昭、原口一博氏らの名が上がっています。鳩山氏は「役割分担」と釈明しましたが、かつて新進党を率いた小沢氏は非自民の8会派を束ねて細川政権を樹立した際、さきがけ出身の武村正義官房長官には相談もなく、旧大蔵官僚に指示して「消費税を国民福祉税に改め、3%から7%に引き上げる」ことを深夜近くに細川首相に発表させ、「二重権力」の象徴と騒がれて法制化できず、結果的に細川政権を崩壊に招いた“前科”があります。その前に47歳の若さで海部内閣ナンバー2の幹事長に就任した際は、宮沢喜一、三塚博氏ら総裁候補を呼びつけ個別に面接するなど豪腕ぶりを発揮しました。今回も二重権力となり、角さん同様の「闇将軍」「院政」「小沢傀儡政権」にならないか、との懸念が党内外から噴き上がっています。

自公数上回る小沢チルドレン
 「数とカネは力なり」を信奉した田中角栄氏は「権力を握るには、政党がまず国会議席の過半数を制し、次ぎに党内で半数以上の最大派閥になることだ」と主張し、100人前後の田中軍団を絶えず擁立、あるいは大平派と提携することで権力を維持してきました。現在の勢力で言えば480議席の過半数241議席が権力掌握の分岐点。その半分以上の121人を小沢派で占めれば天下を取ったことになります。ところが、角さん愛弟子の小沢氏は07年の参院選で民主党を109議席の第1党に伸ばし、今回の総選挙では308議席の圧勝に導きました。小沢チルドレンと呼ばれる新人だけでも143人で、自民119、公明21の合計140議席を軽く上回っており、参院を併せ小沢派の総数は200人を超す勢いです。衆院の議長、各常任委員長を独占できる絶対安定多数を得た民主党は、かさに掛かって「60日ルール」を駆使してでもあらゆる法案を成立させようとハッスルし、さらに来年7月の参院選も勝利して「ねじれ国会」を解消する構えです。自民党が挫折感に陥り、再生にもたつけば、容赦なく来夏には衆参同時選挙を仕掛けてくるでしょう。

「政権交代・変革」で民主圧勝
 西松事件の前社長判決で、小沢氏の秘書が公共工事の談合に強い影響力を持っていた事実が認定されたことから、小沢氏が仮に入閣すれば、今秋の秘書の公判が進展するにつれ、小沢氏は巨額献金の背景について、自民党から厳しく説明責任を追及されることになります。それよりも党務に籠もり、腹心の山岡賢次国対委員長を続投させ、参院選に備えて政治資金の配分などで大きな権限を掌握出来るならば、小沢氏にとってこれに優る処遇はありません。党の実権を握る小沢氏に対し、同党内では「参院戦に向けて独断専行で強引な党務を進め、やがては政権を牛耳ってしまうのではないか」との警戒心が高まっています。それはともかく、自民党の惨敗は、@民主党が米国の民主党にあやかり、オバマ大統領のチェンジ(変革)と同様、分かりやすく「政権交代」を唱え、「国民生活第一」で国民の共感を得たA麻生首相は国民への謝罪に始まり、「責任力」などと抽象的な表現で民主党の政策にネガティブ・キャンペーンを張るだけだったB小泉政権が「郵政民営化は改革の本丸」と訴えておきながら、安倍、福田、麻生の3後継者ともに改革が挫折、地域と貧富の格差増大で国民の政治に対する閉塞感が一気に高まった――などが原因として上げられます。

少数精鋭で対決、早期政権奪還
 マスコミ人は「もともと単一民族の日本人は没個性的でユニホーム(統一)に惹かれてきた。戦前は封建時代400年の残滓が消えず、軍部が言論を封じ、全体主義で「一億一心・火の玉だ」「鬼畜米英」「撃ちてし止まん」と唱えるまま、飢餓戦場のガタルカナル・インパール作戦、特攻隊に若い命を捧げ、やがては本土決戦まで決意した。戦後の民主教育が進んでも、『流行に後れまい』と外国ブランドに憧れ、選挙でも報道陣が誘導する世論に押され、『長いものに巻かれろ』『勝ち馬に乗る』意識が絶えず投票行為に現れてきた」と評しています。この特性に加え、小選挙区比例代表並立制は、51対49のわずか2%の差でも、当落が逆転するオール・オア・ナッシングの厳しい選挙制度です。それゆえ、郵政選挙で勝ち取った自民党の300議席は、オセロゲームのように一瞬で民主党に奪い返されました。だが、前にも述べた通り、国民が「民主党に1度試させてみるか」と気分転換を図っただけで、同党の目玉政策の子ども手当、高速料金無料化も評価せず、自民党再生を期待する世論が強まっています。民・社・国連立政権も外交・安保で政策調整が手間取り、前途は多難です。有能なベテラン先輩議員が討ち死にしたのは残念至極ですが、幸い生き残った我々は少数ながら精鋭ばかりです。早晩、馬脚を現す鳩山政権と徹底的に対決し、総辞職に追い込みたいと念じています。重ねて厚いご支援をお願い申し上げます。