第205回(6月1日)大幅延長、最後の論戦 8月総選挙へ
 3日が会期末の国会は8月上旬まで約2ヶ月間大幅延長される見通しで、与野党最後の論戦に突入します。5月27日の党首討論では「官僚主導、選挙目当てのバラマキ補正予算」と鳩山由紀夫民主党代表が攻撃すれば、麻生首相は「民主党の政策は財源欠落、外交不一致で政権担当能力なし」と応酬、激しい舌戦を展開しました。双方の主張はそのまま総選挙の最大争点であり、国民の審判を仰ぐことになります。「剛腕」から「友愛」への鳩山新体制のご祝儀相場で、内閣支持率にやや翳りが見え早期解散は消えましたが、衆院議員の任期から見ても総選挙までは100日足らず。09年度補正予算は5月末に成立しましたが、首相は「60日ルール」による重要法案の衆院再可決や7月8〜10日のイタリアサミットの成果を踏まえ7月中旬に解散、8月2日か盆休み後の30日に総選挙を行う決意を固めたようです。それまでに政府与党の景気対策を浸透させ、高齢化社会の老後不安、格差社会に悩む若年層の雇用不安を解消し、無党派層をいかに引きつけるかが選挙勝敗の鍵を握ります。延長国会でも公務多忙ですが、ご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

小沢氏傀儡、二重権力構造
「友愛・包容力」の鳩山か、「脱小沢・原理主義者」の岡田か――5月16日の民主党代表選は、29票差で鳩山氏を「選挙の顔」に選出、岡田克也副代表は幹事長に、小沢一郎代表は選挙担当の代表代行に就任しました。小沢、鳩山、菅のトロイカ体制は鳩山、岡田に小沢、菅直人、輿石東(参院議員会長)氏の3代表代行を含めた5人の集団指導体制に変わりました。中堅、若手、地方支部の支持が多かった岡田氏が敗れたのは、短期決戦で党員・サポーター不参加の国会議員だけの代表選であったこと、最多の小沢グループや輿石氏率いる参院議員が鳩山支持に回ったことなどが挙げられます。各紙の世論調査では麻生内閣の支持率が30%台に止まったのに対し、政党支持率は民主党が自民党を追い越して30%台に急進、「首相にしたい人物」でも鳩山支持が多いなど、ご祝儀相場が示されました。しかし、自民党の菅義偉選対副委員長がすかさず、「小沢氏の傀儡、二重権力構造だ。大事な選挙も全て牛耳る。岡田幹事長は全くのお飾りだ」と民主党を酷評したように、政府与党内では「小沢氏とは『一蓮托生』と言って寄り添ってきた鳩山氏のことだ。『小沢院政』が続き、説得力のある脱小沢の岡田氏よりは戦いやすい」と多くが受け止めています。

首相、小沢氏の説明責任追及
首相は党首討論で、小沢氏を巡る政治資金規正法違反事件の説明責任を果たすよう求め、「国民の関心事は西松事件。(小沢氏が)代表代行になったのが責任の取り方か」と厳しく追及しました。対する鳩山氏は代表選当日と同じ金じまの「勝負タイ」を締めて現れ、「めちゃくちゃな補正予算、官僚任せの弊害だ。アニメの殿堂、(首相の)アニメ好きは分かるが117億円をハコモノに使う必要があるのか」と反撃、官僚主導の中央集権でなく地域主権、業界中心のタテ社会でなく市民大事のヨコ社会作りを強調しました。民主党が掲げる政策は@年金制度の一元化A農家への戸別補償制度B子供手当の創設C高校教育の無償化――など小沢代表時代のメニューが並び、いずれも恒久的政策でありながら財源が曖昧なものばかりです。鳩山氏は「霞が関改革で特殊法人をなくし、天下りを廃止するなど税金の無駄遣いを止めれば、一般・特別会計合わせて210兆円の国家予算のうち、1割の21兆円ぐらいの財源は捻出でき、4年間は消費税論議をしなくて済む」と述べています。

マクロ経済を2%嵩上げへ
旧社会・民社両党系も含む寄り合い所帯であるため、米軍再編を巡る日米協定や海賊対処法案に反対するなど外交政策も党内バラバラです。この点、岡田氏は「具体的な財源のめどを立て優先順位を決めて重視する政策から実現していく。消費税アップも論議は逃げない。官僚目線の自民、国民目線の民主の戦いだ」と説得力ある主張をしており鳩山氏より強敵です。政府与党は延長国会で民主党の政策矛盾を徹底糾明する方針です。世界同時不況の影響で09年1〜3月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で15・2%減の戦後最悪を記録しました。政府与党は、マクロ経済をGDP2%嵩上げするため、過去最大15・4兆円規模の緊急景気対策を盛り込んだ09年度補正関連税制法案と重要法案の成立に全力を挙げています。緊急対策は雇用対策、金融対策、低炭素革命の省エネ・エコ対策、地域医療・子育て対策が柱です。企業の多くは6月、記録的な赤字決算を発表しますが、雇用や賃金が劇的に縮小し官民ともに夏のボーナスが大幅にカットされました。

夏休み高速料金下げ内需喚起
麻生内閣は「政局よりも政策」の既定路線で解散よりも延長国会の審議を促進しますが、国民は格差や貧困が深刻さを増す中で、緊急対策に大きな期待を寄せています。世論を気にする民主党は審議引き延ばしを止めて29日、消費者庁設置法案の成立に協力、補正予算も同日、参院で否決後「衆院審議優位」の規定により成立しました。同党は延長国会で与党に総選挙の攻勢をかけるため、企業・団体の政治献金やパーティー券購入を3年後に禁止する政治資金規正法改正案を1日に提出します。憲法規定の「60日ルール」により、国民年金法改正案は遅くとも6月16日に、海賊対処法案は同22日に、補正関連税制法案は7月12日にそれぞれ衆院で再可決・成立します。定額給付金はほぼ全国で支給手続きを終え、週末の高速料金千円への値下げは各地で好評でした。低燃料車への買い換えなどを補助する補正予算の成立を待たず、エコカー、家電量販店のエコポイントに人気が集まり、ハイブリット車やエアコン、薄型テレビ、冷蔵庫などが不況下でもよく売れています。これらの“善政”に加え、政府は8月の盆休み、あるいは夏休み期間中の高速料金を値下げし観光地・商店街での内需を喚起する方針です。

因縁試合は大安の8月30日
逮捕・起訴された小沢前代表の公設秘書の公判が6月中旬にも始まれば、小沢氏の「金権体質」と民主党に潜む自浄能力、ガバナンス(統治能力)の欠如が浮き彫りにされ、国民の多くが「“若葉マーク”の民主党には政権担当の能力なし」と判定を下し、世論も大きく変わると期待されます。「60日ルール」で重要法案の全てを成立させるため、国会を大幅延長する首相は、信頼の回復と内閣支持率の好転を待ちつつ、前哨戦の都議選(7月12日)を勝利し、イタリア・サミット(同8〜10日)で成果を上げ、天皇・皇后両陛下がカナダ・ハワイ訪問から帰国(同18日)されるのを待って衆院を解散する構えです。総選挙は解散後40日以内に実施されますが、吉田茂VS鳩山一郎という祖父同士が政敵であった因縁の戦いは、約60余年ぶりに麻生太郎VS鳩山由紀夫の3世同士の対決となって再開されます。投票日は日曜日ですが、8月9日の長崎原爆忌と盆休みの同16日は避け、いずれも大安吉日の同月2日か盆休み明けの30日となる見通しが強まっています。