第203回(5月1日)超大型補正予算 大車輪で成立解散へ
「農業(むら)・林業(もり)・水産業(はま)」に再び誇りを! 史上最大農水補正

政府は4月27日、総事業規模約57兆円の追加景気対策を盛り込んだ過去最大15・4兆円の09年度補正予算案と譲与税など関連減税法案を国会に提出しました。「むら・もり・はま」に再び誇りを!と謳った農水分野の補正は史上最大規模です。首相が補正予算の早期成立を指示したのを受け、自民党の細田博之幹事長は野党に協力を呼びかけて連休中も審議を進め、連休明けの5月中旬にも予算を成立させたい考えです。29,30の両日に中国を訪問し日中首脳会談を終えた首相は、5月連休中4日の日欧州(EU)定期首脳会議(チェコ)と独を訪問、続いて12日に来日するプーチン露首相と会談し北方領土交渉を加速させようとするなど、相変わらず得意の外交を積極的に推進しています。内閣支持率が30%台に回復した首相は、政局運営に自信を取り戻し、補正予算の成立を待って直ちに解散・総選挙を断行、追加景気対策と外交成果について国民に信を問う構えです。しかし、7月12日の都議選の前後1ヶ月は総選挙を避けたいとする公明党は「経済の底打ち感が出てくる8月中頃が解散のチャンス」として8月下旬の総選挙を望み、民主党も「選挙目当てのばらまき予算だ」と本予算並みの徹底審議を要求しています。このため、5月解散は遠のき、8月総選挙が強まってきました。いずれにせよ、衆院議員の任期満了は9月10日。緊張の4ヶ月が続きますが、一層のご支援、ご指導をお願い申し上げます。

国債発行額44兆円は最大
国会に提出した補正予算案の財政支出規模は約15・4兆円と過去最大です。財投特別会計(埋蔵金)から支出する分を除き14・7兆円を計上しますが、当初予算に計上した経済緊急対応予備費(1兆円)から8500億円を取り崩すことで最終的には実質約13兆9300億円になります。財源は赤字国債3兆4900億円、建設国債7兆3300億円、計10兆8200億円の新規国債を発行、09年度の新規国債発行額は44兆円の最高額となりました。また、企業の資金繰りを支援する政府系金融機関の財源確保のため、計7兆8400億円分の財投債を追加発行することにしています。項目別の支出では再就職支援など雇用対策に1兆2700億円。中小企業の資金繰り支援など金融対策に2兆9700億円。低燃料車への買い換える場合の車齢13年に25万円(それ以外は10万円)補助と太陽光発電設備普及の省エネ・エコ対策に1兆5800億円。女性のがん対策など地域医療、保育サービス充実や3歳から5歳までの未就学児童の子育て支援に年3・6万円を平成21年度に限り支給することに2兆200億円を充てる――などを決めています。

農水補正は1兆302億円
 とりわけ、私が前回まで水産部会長を務めた農水分野では、
@水田農業だけでなく畜産・酪農、野菜・畑作・果樹農業、林業、水産業のバランスの取れた振興を図る
A農山漁村はみんなが主役という立場を堅持
B20年度第1・2次補正、21年度当初予算をしっかり実施したうえ、1兆円超える措置をする――を基本に総額1兆302億円の補正予算を策定しました。これはウルグアイラウンド合意対策で措置した平成7年度の9499億円を大きく上回る史上最大の規模です。
 これまで日本を支えてきた農山漁村は、農産物価格や材価の低迷、肥料・燃料の高騰などで農産漁業者の収入が激減、後継者も減り生産の喜びを失っていました。
 そこで、真っ先に講じるべきは農林漁業対策であるとし、農業(むら)に5694億円、林業(もり)に2537億円、水産業(はま)に981億円の予算を組みました。
 24日に党本部で開いた水田農業振興議連(二田孝治会長)では「むら・もり・はま」に再び誇りを!――の宣言文と予算の詳細を、党広報誌「自由民主」の2頁(裏表)にまとめて国民にお配りすることを決めました。
 連休中に刷り上がるので1万部ほど用意しました。農漁業関係の皆様は必読です。是非、佐世保の北村事務所にお立ち寄り下さい。

09年予算100兆円突破
補正予算の税制改正では、住宅取得のための贈与税を21年1月1日から平成22年12月31日までの時限的な非課税措置として軽減、住宅取得に親から金銭の贈与を受ける場合、従来の110万円に500万円まで上乗せし非課税とします。中小企業の交際費課税は定額控除額を400万円から600万円に引き上げて課税を軽減します。研究開発税制は、平成21〜22年度の特例として、税額控除限度額の「法人税額×20%」を「法人税額×30%」に引き上げる優遇措置を拡充します。このように、定額給付金に続く“善政”の追加景気対策は総事業費約57兆円、財政支出約15・4兆円の補正予算で、93年度第3次補正予算の約7兆6380億円を倍近く上回る過去最大。当初予算の88・5兆円と合わせた09年度の予算規模は100兆円を軽く突破しました。野党は「選挙目当ての大盤振る舞い」(民主党)、「ばらまき、金持ち優遇政策」(社民)と猛反発しています。

小沢氏に6割反対の逆風続く
補正予算は提出した27日に衆院本会議で財政演説、28日に代表質問を行い、審議入りしました。自民党が、@5月1、7,8日に衆院予算委審議A8日中の衆院通過B5月中旬に成立――の日程を提示し協力を要請したのに対し、民主党の山岡賢次国対委員長は「規模も巨額で検討時間が必要。本予算並みに十分審議したい」と反発、連休明けの8日から衆院予算委で審議開始に応じると抵抗しています。当面は世論の動向を見つつ、与野党の国会駆け引きが続きそうです。民主党は26日の名古屋市長選に勝利し、世論調査の政党支持率も自民党を上回っていることから、同党の建前通り早期解散に追い込みたいところです。だが、小沢一郎代表の続投には世論調査で6割の反対票があるなど世論の逆風が吹いています。同党の渡部恒三最高顧問は、小沢氏の涙ぐんだ続投記者会見を見て、「泣き虫小沢じゃいかん」と自発的辞任を促し、岡田克也副代表も小沢氏に説明責任を迫り、友党の亀井静香国民新党代表代行が「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」と忠告。カーティス米コロンビア大教授までが「説明不足の小沢氏に総理の資格なし」と批判しました。それでもなお小沢氏は続投に意欲を示し、20日から地方行脚を復活させました。

夏解散なら任期満了に近づく
このように小沢氏の進退問題が揺れる中で、同党執行部は審議に協力して「5月解散」とするか、徹底抗戦して「夏解散」とするか国会戦術に迷いが生じているようです。このため、首相は重要法案が60日ルールを適用してでも確実に成立できるよう、6月3日の国会会期を大幅に延長し、土俵を広げて解散のタイミングを計り、7月8〜10日のイタリア・サミット出席後の解散を模索し始めたようです。ただし、7月3〜17日は天皇皇后両陛下のカナダ、米国訪問が予定されており、解散詔書手続きの関係からその期間は避けると見られ、夏解散は7月下旬となって総選挙は9月10日の衆院議員満了に近い8月中旬に持ち越す可能性が強まってきました。こうしたさなか、自民党町村派の総会や資金集めパーティに欠席を続けている中川秀直元幹事長は16日、菅義偉選対副委員長とともに中堅・若手に呼びかけ、計18人を集めて新たな勉強会を都内ホテルで開きました。 「反麻生」の急先鋒である中川氏と麻生氏側近の菅氏の組み合わせは異例です。

中川氏ら霞が関改革議員立法
また、中川氏は17日、国家公務員制度改革を推進するため、「士気の高い霞が関の再構築を実現するための研究会」を発足させました。政府が3月末に国会提出した公務員制度改革関連法案を補完する議員立法を提案しようとするもので、政府案にない幹部公務員を政府の判断で降任・降格できるような改革案の骨子を決め、早急に議論を始めるよう中馬弘毅党行革本部長に申し入れました。これは幹部公務員を国家公務員法や給与法の適用外となる「幹部職」と位置づけ、人事や給与面の硬直的な縛りを外す内容です。研究会には塩崎恭久元官房長官ら中堅・若手ら35人が出席しました。中馬氏は「政府案に異を唱えるような議論を行革本部でやるつもりはない」と拒否、甘利明行革担当相も記者会見で「中川氏案には国家公務員制度改革基本法の枠を超えている部分が多々ある」と批判しました。このように党内には中川氏らの改革案に批判的意見が多く聴かれますが、解散が遠ざかる気配になると、またぞろ中川氏らが動きだし、民主党と同一歩調で「霞が関改革」をテコに再び「麻生降ろし」を再開する可能性があります。党内では警戒感が高まってきました。