第202回(4月16日)補正予算は過去最大 5月解散濃厚
09年度予算が首尾良く年度内に成立したことで、国会は後半の攻防に入りました。西松建設の違法献金事件以来、民主党の国会戦略がブレ、与党ペースで進んできた平穏な前半国会でしたが、国民年金法改正案、消費者庁設置関連法案、海賊対処法案など重要法案が残されており、野党の反転攻勢が強まると予想されます。政府与党は過去最大15兆円の新経済対策を策定、09年度補正予算案を27日に国会に提出します。首相は補正成立後に解散・総選挙を断行する腹を固め、野党が抵抗して審議を引き延ばす気配があれば、直ちに解散して国民に信を問う構えです。早ければ5月24日(大安)か6月7日(先勝)の投開票日が想定されます。幸い自民党内では、首相に批判を強めてきた中川秀直、武部勤両元幹事長らの「麻生降ろし」が封印され、「5月臨戦態勢」が整ってきました。しかし、内閣支持率は回復の兆しにあるものの依然低迷、世論眺めの小沢一郎民主党代表の進退問題もくすぶり続けており、総選挙勝敗の行方は不透明です。その中で私は防衛副大臣として衆院の外務委や安保委で答弁に立たされるなど、海兵隊グアム移転日米協定、海賊対処法案の成立に日夜務めているところです。一層のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

世界経済回復の下支え役自認
首相は09年度予算が成立した3月末、補正予算案の編成も含む新経済対策を4月中旬までにまとめるよう政府与党幹部に指示、これを土産に4月2日開催のロンドン金融サミット(G20首脳会議)に臨みました。首相はサミットで、日本が景気対策に力を注ぎ、真水の財政支出で計12兆円、事業規模で08年度第1、2次補正、09年度本予算合わせて計75兆円の景気対策を決定したうえ、追加経済対策の策定を指示し、「全治3年間」に世界経済を回復させる下支え役となる意欲をアピールしました。途上国向けには、2年間で総額220億ドル(約2・2兆円)以上の金融支援を行う考えを表明。政府の途上国援助(ODA)の積み増しやアジア開銀の増資の必要性にも触れ、国際金融の安定に貢献する姿勢を打ち出しました。首相の先導効果で、サミットは2010年末までに計5兆ドル(約500兆円)の協調した財政出動で世界の成長率を4%押し上げることなどをG20首脳宣言に盛り込み、成長と雇用の確保への道筋をつけました。議長国のブラウン英国首相やベルルスコーニ伊首相から「次期金融サミットは日本で開いてほしい」と要請を受けるほどでしたが、サルコジ仏大統領から「米国発の金融危機だから米国で開くべきだ」と横やりが入り、首相は「9月国連総会の最中にニューヨークで開けばよい」と述べて米国に譲るなど存在感を示し、外交得意の首相はサミットでかなりの点数を稼いだようです。

民主牽制しつつ解散時期探る
首相はサミット出発前の3月31日、第1弾の記者会見で初めて麻生内閣の基本戦略を明らかにしました。失言、読み間違いの多い首相は、用心深くプロンプター(原稿映写装置)を使い、当面の政策を具体的に説明、「5月解散」の決意を表明しました。それは「政局よりも政策」を強調しつつも、民主党が国会審議で抵抗した場合は解散の可能性に言及、「景気対策で実績を積み重ねた上で解散のタイミングを探る」との趣旨でした。首相は、各紙の世論調査で小沢民主党代表の続投に7割近くが反対し、内閣支持率が20%台半ばに持ち直したこと、中川秀直、武部勤両元幹事長らが「麻生降ろし」を小休止し、「首相の手による5月解散」に同意したこと、3月29日の千葉県知事選で民主党の推す候補が敗れたこと、などで政局運営に自信を取り戻し、国民に民主党との政策の違いを克明に訴え、同党を牽制しつつ解散・総選挙のタイミングを計る姿勢を示したものと見られます。

住宅建設に5百万円譲与減税
会見の要旨は【追加景気対策】景気対策の3段ロケットは完成したが経済危機は変わらない。新しい経済対策、財政出動が求められているので大胆な発想で最大限の努力をしたい【9年度補正予算案】4月中旬までの早い時期に経済対策をまとめ補正予算を提出するが、出来るだけ速やかに成立させる努力をする【基礎的財政収支】2011年度の財政均衡を目指すことは掲げ続けるが、極めて厳しい状況になってきているのは否めない事実だ【贈与税減免】個人金融資産は1430兆円もあり、多くは高齢者が保有している。その活用は極めて重要【消費税引き上げ】大胆な財政出動を行うからには、財政への中期的な責任を果たすことが政府与党の原点であり矜持だ【解散・総選挙】政局より政策。解散は然るべき時期に私が判断する。(民主党が)補正予算案に減税を含めて同調するか、反対するか。反対なら60日間を要してでもやるか、打ち切ってでも選挙すべきか、その時点で判断する【北朝鮮ミサイル】北東アジアの平和と安定を損ない、国連安保理決議にも反する。発射強行の場合、(制裁)決議の可能性も念頭に議論するのは当然だ【後半国会】海賊対処法案、消費者庁の法案、年金の財源を安定的にする法案など重要法案の早期成立に全力を挙げたい――の8項目。譲与税減税は住宅建設に500万円減税等を打ち出しました。

太陽光発電、地域医療等5点
北朝鮮は5日、長距離弾道ミサイル「テポドン2」の改良型を発射しましたが、防衛省が万全の危機管理で対処、政府が経済制裁を1年延長したため、国民の信頼は一層高まったと思われます。首相はこれを政権浮揚の好機と見てすかさず6日、検討中の新経済対策について、国内総生産(GDP)約500兆円の2%を上回る規模の補正予算案編成を指示。とくに与謝野馨財務相には@非正規労働者のための新たな安全網作りA政府系金融機関を活用した企業の資金繰り対策B太陽光発電の抜本拡大C介護・地域医療に対する国民の不安除去D地方活性化のための自治体支援――の5点を指示しました。政府与党は10日、財政支出15・4兆円、事業規模57兆円の補正予算案を正式決定しました。真水15兆円超の国費投入は、「世界一の借金王」と自嘲した小渕内閣の98年度3次補正(7・6兆円)の2倍に相当します。「GDP比2%」は、ガイドナー米財務長官が、3月にロンドンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議で、主要各国が取る財政刺激策の数値目標として実現を呼びかけたものです。首相は「日本の経済成長の見込みが先進諸国中で一番落ちている。ロンドンサミットの国際協調でも、みんなで財政出動しようとの結論が出ている」と会見で述べており、補正予算は最終的にGDP3%の超大型となりました。

21世紀「新三種の神器」普及
首相は9日、日本記者クラブで第2弾の記者会見をし「新たな成長に向けて」と題する2020年までの日本とアジアの成長戦略を発表。@低炭素革命A安心・元気な長寿社会B日本の魅力発揮――などの政策を通じ、日本の国内総生産を120兆円押し上げ、400万人の雇用を創出、アジアの経済規模を倍増する構想を打ち出しました。この中では、低炭素革命は太陽電池、電気自動車、省エネ家電が21世紀の「新三種の神器」と指摘、電力会社が家庭で生まれる太陽光電力を現在の2倍で買い取る制度や太陽光発電規模を20年に20倍にする「太陽光世界一プラン」などを示しました。10日も第3弾の会見を行い、政策の解説をする念の入れようでした。党幹部の多くは一連の記者会見を「首相が遂に腹を固めた」と受け止め、党内にも5月解散のムードが高まってきました。我が古賀派が8日に開いた政治資金パーティ「宏池会と語る会」で古賀誠会長は「新しい経済対策も骨格が固まり、今考えられる限りの経済対策を国民に間もなく明らかに出来る。それはまた一大決戦である解散・総選挙の“足音”が間近に聞こえてきたということにも繋がる」と述べ、党選対委員長発言が与える影響に配慮しながらも、解散近しの感触を伝えました。

揺らいだ民主のトロイカ体制
一方、小沢代表は進退問題について3月末の記者会見で、「次期衆院選で政権を交代する。そのことを全ての判断基準にして考える」と総選挙への影響を考慮して判断する考えを繰り返し強調しました。民主党内では小沢代表の続投を巡り、鳩山由紀夫幹事長と菅直人代表代行との姿勢の違いが目立ってきて、小沢、鳩山、菅の「トロイカ体制」が揺らぎ、「ポスト小沢」の至近距離にある岡田克也副代表が沈黙を守る中で、党の結束が乱れ始めているようです。トロイカの3氏が会食した20日夜、菅氏は「選挙対策本部長をやったらどうですか?」と小沢氏に、それとなく代表辞任を持ちかけ、小沢氏秘書が起訴された24日も、菅氏は続投発表直前に小沢氏と2人だけで党本部の1室に籠もり、「少し時間を掛けて判断する方がいい」と進言、事実上の「辞任」を促したとされています。これとは対照的に鳩山氏は「きちんと支える」と小沢氏に忠誠を誓った上で、「政権交代が難しいとなった時にはお互いに責任を取ろうじゃないですか」と連帯責任を申し入れています。

鍵は選挙調査、世論動向、捜査、
しかし、小沢氏の続投は、3月の千葉県知事選に次いで4月12日の秋田県知事選でも民主党が支持し、優位と見られていた候補が敗れるなど裏目に出ました。26日には同党の河村たかし衆院議員(愛知1区)が辞任して立候補した政令指定都市の名古屋市長選と兵庫・淡路市、和歌山・田辺市など13市長選が行われます。このほか、4月中は既に終わった12日の秋田市、東京・日野市、山梨市、兵庫・伊丹市など35市長選と、19日の青森市、富山市、兵庫・宝塚市、鳥取・松江市など28市長選など、計135の首長選が「ミニ統一地方選」として行われます。ここで、民主党系候補の苦戦が相次げば、当然ながら小沢氏の責任が問われます。このため、小沢氏は、@ミニ統一地方選の成績A党独自で18,19両日に実施する衆院選挙区情勢調査の結果B各紙世論調査の動向C党内「岡田待望論」の実態と今後の変化D西松建設違法献金事件の捜査の進展具合――を十分見極め、総選挙で勝てないと判断すれば辞任する腹を固めているようです。同党は2日の幹部会で、天下り、年金、雇用、貸し渋り、定額給付金の5分野に加え、企業・団体献金の規制強化などでも政府与党を追及し、海賊対処法案や基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる国民年金法改正案など重要法案で対決し、反転攻勢を強める方針を決めました。

5,6月か、8月お盆明け後
その一方で、09年度から道路特定財源の一般財源化を定める道路整備事業財政特措法改正案の衆院通過に賛成、消費者行政一元化を目指す消費者庁設置関連法案の与野党協議に柔軟姿勢を見せ、かつての「対案路線」への回帰も示しています。これらは小沢代表の求心力に陰りが見えてきたこと、解散機運の高まる中で経済対策などでゴネた印象を与えて国民の反発を買うことは得策でないとの判断が働いているからでしょう。その意味で「話し合い解散」も十分あり得ます。7月12日の都議選を大事にする公明党は1ヶ月以上前か、後の総選挙を望んでいることから、都議選前なら、5月連休明けから衆院予算委で補正予算案の審議に入って、成立後の解散・総選挙。民主党が協力姿勢を見せない場合は直ちに解散となり、投開票日は早ければ5月24日(大安吉日)か6月7日(先勝)が予想されます。これを外すなら、補正予算関連の減税法案を含め、ことごとくの重要法案を「60日ルール」の衆院3分の2議席で成立させるため、国会の会期を大幅に延長して7月中旬以降解散、8月お盆休み明け後の総選挙になるとみられます。