第201回(4月1日)小沢続投に反転攻勢 大型補正で勝負
9月10日の衆院議員任期満了まで残り半年足らず。解散・総選挙は秒読み段階です。麻生政権は半年が経ち、相変わらずの低支持率ですが、09年度予算が年度内に成立。違法献金事件で秘書が逮捕された民主党の小沢一郎代表が当面の続投を表明したことで、首相は総選挙を有利に戦えると判断、反転攻勢に転じています。3段ロケットと称する75兆円(真水は12兆円)の緊急景気対策は4月から軌道に乗り、定額給付金もほぼ全国で支給されます。加えて、首相はオールジャパン84人の意見を聴取。20〜30兆円規模の追加経済対策の補正予算案を編成、5月連休明けの国会へ提出します。得意の外交も4月2日の英国サミット、同月下旬のタイでの東アジア首脳会議をこなし、10日の天皇皇后ご成婚50周年記念式典も大過なく終える頃には、支持率も好転が期待されます。5月のプーチン露首相来日で北方領土交渉を加速させ政権を浮揚できれば「伝家の宝刀」を抜く機運は高まってきます。西松事件は自民党も返り血を浴び国民の政治不信を高めただけ。両陣営とも選挙にはマイナス作用でしたが、自民党内の「麻生降ろし」も小休止した形です。春を迎えても依然不透明な政局ですが、さらにご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

経済危機配慮し年度内成立
経済危機の猛吹雪に襲われた結果、前にも書いた通り昨年10〜12月期の実質経済成長率は12・1%(0・6%上方修正)減を記録。今年1〜3月期も同様と見られます。株価も3月3日、12年ぶりにバブル後最安値の7162円を割り込みました。自動車、家電製品など輸出の急減が設備投資や雇用の削減を招き、消費が冷え込み、金融が収縮しているからです。今春闘は賃上げどころか、製造業大手の定期昇給の凍結が続出、事実上の賃下げが多く労働側の惨敗に終わりました。雇用も労使双方で雇用維持に向けた明確な展望は描けず、「内需拡大」を掲げた労組の要求が経営側に一蹴され、消費がさらに冷え込む恐れが出てきました。民主党の参院幹部は西松事件のマイナス要因も考慮してか、「100年に1度の経済危機という状況で予算が滞るのは良くない」とし経済対策としての予算の早期執行に配慮し、予算と関連法案審議を引き延ばさず、同月27日の参院本会議で採決(野党多数で否決)し、同日中に衆院本会議で与党3分の2の多数により成立しました。

オールジャパンの意見徴収
 与謝野馨経済財政・財務金融相は金融危機を「蜂の一刺し程度」と軽く見ていましたが、先進国中最低の12・1%のマイナス成長と知るや、直ちに「戦後最悪、最大の危機」と言い直し、「私は規律財政派の宗旨替えをする」と宣言、健全財政から積極財政に舵を切り、大幅予算編成に取り組んでいます。与謝野氏が発案し、首相が「霞が関や永田町の発想を超えた意見を聞きたい」と号令を掛けて開催した政府の「経済危機克服のための有識者会合」は16〜21日まで5日間、計13時間にわたり開かれ、オールジャパンの84人が意見を述べました。会合では@予算は雇用創出中心でなく、雇用維持に軸足を置けA地方分権や公務員制度改革、地方の税財政改革など思い切った政策を打ち出せB消費税を20%に引き上げる代わりに、定額給付金を国民1人20万円支給し、日本社会の格差に歯止めを掛けろC日本経済全体の受給ギャップは約20兆円だが、これを財政出動で埋めよD確実な成長分野である医療・介護、子育て、環境、雇用などに重点投入せよ――などの意見が多く出されました。自民党内にも「日本経済再生戦略会議」(会長・町村信孝前官房長官)を設置、環境や教育、社会福祉を重点分野とし、省エネルギー促進や新エネルギー普及に繋がる起業や研究開発の支援など、今後3年程度の緊急経済対策を検討中です。麻生政権が既に確立した緊急経済対策は08年度第1次、2次補正予算と09年度当初予算を合わせ75兆円(真水12兆円)という大規模なものですが、これに20〜30兆円規模(真水10兆円)の追加対策を上乗せし、総選挙で国民の信を問う考えです。

世論次第で改めて進退判断
東京地検特捜部は3月24日、西松建設から民主党の小沢代表の資金管理団体「陸山会」への違法献金事件で、公設第1秘書兼会計責任者の大久保隆規容疑者が、同社の献金計3500万円を収支報告書に虚偽記載したとして、政治資金規正法違反罪で起訴しました。小沢氏は党緊急役員会などで、当面は代表を続ける意向を表明、記者会見では国民に迷惑を掛けたと謝罪しながらも、「政権交代に向け、頑張っていきたい」と強調しました。しかし、「私が代表を続けることがプラスかマイナスか、すべて国民の受け取り方次第だ」と述べ、世論次第で改めて進退を判断する考えを示唆しました。同党内では当面の続投を容認したものの、今回の説明では国民の理解は得られないとの声が公然と出ており、最終的には辞任に追い込まれる可能性が強まっています。偽メール問題で3年前に辞任した前原誠司副代表は常任幹事会で、自らの辞任経験を引き合いに出し、「国民の疑念が残る中、(続投が)果たして好い決断かというと、意見を言わざるを得ない。ただ、代表の決断を覆せという立場に私はない。出処進退は自ら決め、全ての責任はトップが負うもの」と述べ、枝野幸男元政調会長も「説明責任を果たしていない」と小沢氏の会見を批判しました。

5月解散6月選挙の大合唱
翌25日には仙石由人元政調会長が小沢氏の自発的辞任を求め、参院議員総会でも女性議員が「政官業の癒着を断ち切ると我々は訴えてきたが、政治とカネの問題で国民に懸念を持たれた」と述べるなど、執行部に対する不満をぶちまけました。さらに、27日の代議士会、参院議員総会でも批判が噴き上がり、「小沢降ろし」が表面化しました。こうした「敵失」による国民への悪影響が29日投開票の千葉県知事選にも影響を与えたと見られ、各紙の世論調査の結果次第で小沢氏は退陣を余儀なくされそうです。一方、西松建設が、二階俊博経産相が代表を務める政党支部に対し、個人献金に見せかけて06,07年に計600万円を献金、事務所を事実上無償提供していたと見られる問題が浮上、自民党にも飛び火してきました。それでも与党執行部は、小沢氏の続投期間は反転攻勢の好機と捕らえ、民主党を揺さぶる構えです。古賀誠選対委員長は「5月は緊張せねばならない」と述べ、菅義偉選対副委員長も「5月は総選挙の1つの大きなヤマになる」とし、山崎拓元副総裁は「小沢さんはもう1度、出処進退を考えざるを得ないだろう。4月中に定額給付金が支給され、与党に追い風が吹く」と講演で語り、5月解散―6月選挙を唱えています。

中川・前原氏ら連携し再編
「麻生降ろし」の中核である中川秀直元幹事長も25日、日本記者クラブの講演で、「5月ぐらいに国民の審判を仰ぎ、政局の膠着状態を打破すべきだ。この春に衆院解散を決断して欲しい」と首相に「春解散」を促し、「与野党とも無党派層を掴めていない。第3の道の改革派がどれだけ次の選挙で生き残れるかだ」と強調しました。中川氏は、親交のある前原氏らが小沢代表の責任追及を始めたことから、総選挙後に前原氏ら民主党の反小沢勢力と呼応して、政界再編への活路を見出そうと期待しています。中川氏は「霞が関改革」を再編の旗印に掲げ、各省庁の幹部を政治家の裁量で交代できるようにする議員立法を準備中ですが、民主党の「100人程度の国会議員を公職に就け、文字通りの議員内閣を目指す」という「霞が関政治の改革・官僚政治解体」と共通点があります。中川氏は講演で、与党が立案中の大型補正予算の早期成立に前原氏らが協力姿勢を見せていることを指摘し、「話し合い解散がある」ことにも言及しました。

半年以内に解散4ケース想定
総選挙はいよいよ半年以内。高速料金値下げも好評です。再び解散のケースを想定してみます。「今考えられる経済政策を全部やったら民意を問うのが憲政の王道」と古賀選対委員長がテレビ番組で述べ、公明党幹部らも賛同しているように、09年度補正予算の成立後が解散のタイミングです。野党の出方次第では6月3日の会期末に解散し、7月12日の東京都議選との「ダブル選挙」も考えられますが、公明党が「中選挙区制の都議選と小選挙区制の衆院選がダブれば自公の選挙協力がうまくいかない」と難色を示していて困難でしょう。次に検討されているのが8月総選挙です。野党が対決姿勢を強めるなら、60日の「否決見なし規定」により、補正予算関連法案を衆院で再可決することを考え、7月下旬まで国会を大幅延長。首相が7月8〜10日のイタリアサミット出席後、都議選を待って解散し、8月のお盆を避けて7月21日公示―8月2日投票が有力となります。

麻生降ろし耐え任期満了選も
その際、今よりも首相の求心力が低下していれば、9月の党総裁選の前倒し論が一層強まってきます。既に党内の1部ではサミット花道引退論が囁かれていますが、総裁選を繰り上げるなら、「衆院選を経ない4人目の首相を国会で首相に指名できない」と野党が騒ぎ、早期解散は避けられません。閉会中なら臨時国会を召集し、新首相を選出した直後の解散で9日か16日投票となるでしょう。森喜朗元首相らが唱えているのが任期満了選挙。三木武夫元首相が「三木降ろし」に耐えたように、首相も頑張って総辞職しないケースです。公選法は任期満了前30日以内と定めてあり、8月30日か9月6日になりそうです。




<お知らせ>
 「ロコモティ」「ロコチェック」「ロコトレ」って知ってますか?
NHKが3月29日に放映した「日曜フォーラム」の「急増する変形性膝関節症」が好評だったので、1ヶ月後の4月29日(水)の「ためしてガッテン」で再放送します。
「ロコモティブシンドローム」とは(運動器症候群=略して「ロコモ」)のことですが、骨、関節、筋肉などの運動器の衰えにより、要介護状態となる危険性が高まった状態を言います。「ロコモティ」該当者を早期発見「ロコチェック」し、適切な運動「ロコトレ」を行うことで、要介護となる者を大幅に減少させる――という予防活動です。
自民党は平成18年10月、「運動器の健康を増進させ健康寿命を延伸させる議員連盟」(尾辻秀久会長=元厚生労働相、鴨下一郎幹事長=元環境相、葉梨康弘事務局長)を結成。現在衆院議員44人、参院議員10人が加盟して活動中ですが、整形外科医政協議会(藤野圭司委員長)が1月8日に開いたシンポジウムにNHKが興味を示し、教育局の「日曜フォーラム」で取り上げました。4月4日と11日の土曜日(午後8時〜9時)は「名医にQ」の番組名で、4月6日(月)〜8日(水)の午後8時半〜8時45分までは「今日の健康」の番組名で放映します。これらの再放送は4月13日(月)〜15日(水)までです。4月29日の「ためしてガッテン」は午後8時〜8時45分までです。
私は高校時代にラガーの1員で運動器には関心を持ち、最初から運動器議連のメンバーですが、為になる番組と思います。どうぞお楽しみ下さい。