第200回(3月16日)政権運営に自信 5月総選挙が浮上
 08年度第2次補正予算が4日に成立、09年度当初予算も年度内成立が確定したことで国会は後半戦に突入しました。支給開始の定額給付金が国民に好評を得ているうえ、第1,2次補正予算、当初予算の3段ロケットによる総額75兆円規模の緊急景気対策が軌道に乗ったことから、麻生首相は政権運営に自信を取り戻し、さらに20〜30兆円規模の追加経済対策を盛り込んだ09年度補正予算を編成、経済危機を脱しようとしています。小沢一郎民主党代表の公設第1秘書が準大手ゼネコン西松建設の“迂回政治献金”事件で逮捕された「敵失」もあり、内閣支持率はやや好転しました。首相は調整中の3月末訪中、4月2日のロンドン金融サミット出席、同10日の天皇・皇后ご成婚50周年記念式典など外交、慶事の主役を務めて人気を盛り上げ、4,5月にも衆院解散を断行、追加経済対策で信を問う構えです。しかし、自民党内には「麻生降ろし」の狼煙が上がり、政界再編の機運も高まっていて、解散・総選挙の日程は流動的です。いずれにせよ衆院任期はあと半年。寸前暗黒、薄氷を踏む政局です。より一層のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

西松建設事件で民社衝撃走る
 東京地検特捜部は3日、多額の裏金を国内外で作ったとされる西松建設の政治献金に絡み、小沢代表の大久保隆規・公設第1秘書を、同社OBが代表である2つのダミー政治団体から、計2100万円の寄付を受けたように装う虚偽記載をした「政治資金規正法違反」の疑いで逮捕しました。後半国会で利権の「かんぽの宿」などを徹底追及し、早期の解散・総選挙に追い込もうとした矢先の民主党内に衝撃が走り、鳩山由紀夫幹事長ら幹部は「国策捜査だ」「政府の陰謀」と抗議。翌日に記者会見した小沢代表は「(企業献金でなく)政治団体からの寄付との認識だから資金管理団体で受領した。やましいことはない。適法にきちんと処理した」と釈明、「衆院選が近い時期の異例の捜査は政治的にも、法律的にも不公正な国家権力、検察権力の行使だ」と批判、代表辞任を否定しました。小沢氏は恩師・田中角栄元首相のロッキード事件の公判を欠かさず傍聴、竹下登元首相のリクルート事件、金丸信元副総裁の佐川急便事件でも検察当局を厳しく批判してきた政治資金規正法の超ベテラン。釈明会見は検察当局への宣戦布告でもあったわけです。

二階経産相ら自民にも飛び火
 しかし、既に逮捕の国沢幹雄「西松建設」前社長らが調べに対し「小沢代表側への献金は胆沢ダム工事などを受注するためだった」と供述、代表側から献金請求書が出ていたり、献金総額は約3億円に達していることが報道されるなど、同党内の動揺は日増しに深刻化しています。小沢氏と元小沢氏秘書の石川知裕民主党衆院議員の参考人聴取は時間の問題とみられ、疑惑が相次いで発覚するなか、同党内では「(豪腕の)小沢氏でも持たず、乗り切れない」「進退問題に発展するのでは…」との不安が高まっている、とマスコミは報じています。小沢氏も10日の記者会見で国民に初めて陳謝、進退について「事件の行方や衆院選への影響を考慮して判断する」と発言、態度を変えました。一方、朝日新聞によると、04年〜06年まで3年間の政治資金収支報告書で、ダミーの2団体が小沢代表側以外にパーティ券の購入や献金をした政治団体は、二階俊博経済産業相の「新しい波」(パー券838万円)、藤野公孝元参院議員(献金400万円)、尾身幸次元財務相の「幸政会」(同400万円)、藤井孝男元運輸相「後援会」など2団体(同計400万円とパー券100万円)、森喜朗元首相の「春風会」(献金300万円とパー券100万円)――など約40政治団体を挙げ、自民党へも飛び火しています。献金した期間は不明ですがテレビ朝日の報道では、小沢氏4900万円、尾身氏1200万円と献金額が増えているほか、渡辺秀央元郵政相(改革クラブ代表)300万円、山岡賢次民主党国対委員長200万円、山口俊一首相補佐官200万円、林幹雄元沖縄・北方相200万円など新たな名前も挙がっています。

捜査情報漏らす政府高官追及
 共産、社民両党は6日の参院予算委で、パー券の返還を表明している二階経産相を「西松建設の献金ではないか」と追及しました。また、“政府高官”がこれらの献金に関連し、「自民党側は立件できない」とマスコミに漏らしたことについて、河村建夫官房長官は8日のテレビで、「政府高官は元警察庁長官の漆間巌官房副長官である」ことを明らかにしました。民主党は漆間発言が捜査情報を踏まえた発言であったとし、「総選挙前に野党のみを捜査対象にするのは意図的な国策捜査だ」と国会で追及しました。鳩山幹事長はテレビで「形式犯なら修正申告で済むはずなのに、権力陰謀的なものを感じる」と語っています。大久保容疑者は24日に起訴される見通しですが、その際、小沢氏が出処進退にどうけじめを付けるか。それによって政局の流れは大きく変わります。このように西松建設事件は、民主党の「敵失」で首相への逆風が緩和されるかに見えましたが、政府与党も少なからぬ返り血を浴びて内閣支持率は微増に過ぎず、必ずしも総選挙にプラスになるとは思えません。国民が政治不信感を強めており我々には政治資金規正法を改定する課題が残りました。

2割の4百市町村が月内支給
 さて、第2次補正予算は4日、衆院で再可決・成立しましたが、本会議では小泉純一郎元首相と元同首相秘書官の小野次郎氏が欠席し、採決を棄権しました。事前に欠席を届け出た小泉首相は党総裁の功績に鑑み処分せず、造反の意思濃厚な小野氏は戒告処分となりました。2次補正の成立で総額2兆円の定額給付金は直ちに支給、週末ならどこまで走っても1千円以下になる高速料金の値下げは28日から実施されます。北海道部興村と青森県西目屋村は翌5日に先陣争いをして給付金の支給を開始、全国22%の約400市町村が年度内(3月中)に、他町村も4月中に支給をほぼ完了しますが、横浜市のように約170万世帯(369万人)の巨大人口を抱える大都市は、支給が5月にずれ込みそうです。西目屋村では「振り込め詐欺」防止のため、村長が現金を熨斗袋に入れて直接手渡し、村民の喜ぶ表情が全国に中継されました。1人1万2千円、18歳未満と65歳以上に2万円が支給される給付金は、子供2人の4人家族で6万2千円、両親と子供の6人家族なら10万4千円が家計を潤し、進学シーズンには思わぬボーナスです。

 地方の振興、活性化に役立つ
 定額給付金の原点は公明党が提案した「定額減税」でしたが、納税額が少ない低所得者を救済できないとして、「給付金方式」に変更したもの。マスコミが「小渕政権が99年に実施した2大愚策の地域振興券の焼き直し」「ネットカフェ難民には渡らず、庶民も不況感に怯えて財布の紐を締めるから、消費拡大には繋がらない」などとけなしたため、世論調査では「評価しない」が70%も占めました。首相が「全世帯給付」としながら、「高額所得者が受け取るのはさもしい。矜持の問題だ」と所得制限を言い出し、「地方自治体の裁量に任せる」と地方に丸投げ発言した揚げ句、最終的には自らも受領を認めるなどブレたため、散々叩かれました。しかし、我が選挙区の佐世保市が商店街振興券(仮称)を発案したのが知れると、全国698市町村が競って5〜10%のプレミアムをつけた各種商品券を定額給付金と引き替えに売り出したほか、1万2千円の宿泊、ツアー、ステーキ会食などのタイアップ商品が目白押しで、地方の振興、活性化に大いに役立っています。

大型補正成立後の解散を進言
 マスコミも掌を返したように定額給付金の効能を書き出しました。全国支給が完了す5月頃には評価され内閣支持率は好転するでしょう。首相は先進国のトップを切って世界不況を脱却しようと学識経験者など民間の意見も聞き、大型補正予算の編成に着手しました。得意の外交にも活路を求め、3月末に訪中し胡錦濤主席との首脳会談を開く予定のほか、4月にはロンドンでの金融サミット、タイでの東アジア首脳会議、5月のプーチン露首相の来日など切れ目ない日程をこなしたうえ、絶好のタイミングで5月にも伝家の宝刀を抜く構えです。我が古賀派の古賀誠選挙対策委員長は1日、テレビ朝日の番組で、「今考えられる経済政策を全部やったら民意を問うのは憲政の王道。09年度予算の成立後に補正予算を組み、成立後が1つのタイミングだ。首相に進言する」と述べました。また、司会者が「今の票読みでは自民、民主ともに選挙区は150、比例区は民主が80,自民40だが…」と質問したのに対し、「自公両党で過半数の241議席を目指すが、自民は選挙区170前後、比例区で60前後欲しい。比較第1党を取るのが私の責任だ」と答えました。

上げ潮派「麻生降ろし」の狼煙
 菅義偉選対副委員長も同日、岩手県の講演で、「総選挙は間違いなく麻生首相でやる。首相が悔いのない景気対策をしっかりやり、国民に審判を受ける時が来る」と強調しました。古賀・菅両選対幹部の発言は、8領袖の会議などで「首相の支援・協力は予算成立まで」との空気が漂っていたり、党内に「麻生降ろし」の動きが出てきたのを牽制し、挙党態勢で選挙を戦う決意を促したものです。「新たなリーダーを立てて、新しい日本を創る。それが我々が取り組まなければならない喫緊の課題になった」――。09年度予算案が衆院を過過した2月27日、武部勤元幹事長は記者団にこう語り、「麻生降ろし」の狼煙を上げました。これには中川秀直元幹事長が「思いは同じだ。内閣支持率10%前後の世論が何を催促しているか…」と、すかさず呼応しました。武部氏は前日にも次期衆院選前に麻生首相が退陣するよう求めています。町村派で“降格人事”の憂き目に遭った中川氏も、首相の郵政を巡る軽率発言に対する「小泉の乱」の直後に、「予算案が衆院通過をした後、構造改革を旗印に新たな議員連盟を発足させる」と述べており、構造改革・上げ潮派の2人は連携プレーを行ったと見られます。西松事件の発覚で「麻生降ろし」はやや沈静化し、中川、武部両氏の「構造議連旗揚げ」も小休止し、模様眺めに移りました。

再編・ポスト麻生狙う動き活発
 とはいうものの、党内では政界再編や「ポスト麻生」を睨んだ動きが相次いでいます。石原伸晃幹事長を会長に、後期高齢者(長寿)医療制度の見直しを検討する議連が近く発足。茂木敏充前行革相を顧問格に中堅・若手40数人で結成した「速やかな政策実現を求める有志議員の会」が「自民党を刷新し、日本を再生する会」(仮称)に改め、再出発を図るなど活発です。さらには、「7月都議選とのダブリ選挙」が公明党の反対で出来ないなら、7月のイタリアG8サミットを花道に首相が退陣するか、あるいは9月の総裁選を前倒しして「看板」を代え、総選挙を戦う――など様々なシナリオが描かれています。2月中旬には森元首相、青木幹雄前参院議員会長、山崎拓元副総裁ら実力者に渡辺恒雄読売新聞グループ会長が加わって会食、与謝野馨財務・金融相を総裁候補に推す相談をしたという生臭い話も伝わってきます。だが、党則に国会議員と府県連代表の過半数で総裁をリコールする規定があっても、弱小派閥の長の「三木降ろし」すら出来なかったように、麻生首相を強引に引きずり下ろすことは容易ではありません。定額給付金支給の効果と西松建設事件で政局の行方は一層不透明になりました。与野党の天王山の攻防は今後も息詰まる日が続きそうです。
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