北村からのメッセージ

 

 (10月2日=第2回〜第3回) 第2回(9月中旬)


 1.北村からのメッセージ=ローマ発

 本格的な台風シーズンを迎えました。先日の東海地方を襲った集中豪雨で被害に遭われた方々に心よりお悔やみと、お見舞いを申し上げます。今年は台風多発イヤー。既に15号以上の台風が日本を襲っています。まずはご用心下さい。さて、今回は堅苦しい政治を離れ、文化のお話をしましょう。友人の新聞記者から、5月に日本記者クラブで行われた、加賀乙彦教授の「日本の夜明けとしてのキリシタン時代」と題する記念講演の冊子が送られてきました。 皆様ご存じの通り、加賀教授は、私の師匠の亡き白浜仁吉元郵政相と同様、医者でクリスチャンであります。東大医学部を卒業後、精神医学の研究のためフランスへ留学、帰国後は上智大で教鞭を取る傍ら作家活動を続け、「帰らざる夏」で谷崎潤一郎賞を受けるなど数々の話題作を残し、昨年は「高山右近」を出されました。講演は傾聴に値します。
 『日本で2000年問題といえば、マスコミはコンピューターが誤作動を起こすと不安をあおったが、日本のジャーナリズムの捕らえ方には違和感を覚える。西暦2000年とは、エルサレムに1人のユダヤ人、キリストが生まれてちょうど2000年ということです。日本にはキリスト教信者が 100万人いて、40万人がカトリックです。わずか人口の1%だが、キリスト教がなかったら、あの大航海時代はなかったし、日本の歴史はどうなっていたか』

 加賀教授はまずこう問い掛かけ、キリスト教の爆発的布教のエネルギーが日本にヨーロッパの文明をもたらしたと説明しています。講演の要旨は 1.大航海時代、強大な権力と航海術を持った二つの大国が協定を結び、ポルトガルは西から東へ、スペインは東から西へと大航海を開始した 2.スペインがメキシコをはじめ中南米の多くを占領、植民地化したのに対し、東回りのポルトガルは東洋の文明国が相手だったため布教のみに専念した 3.種子島に鉄砲を伝えたポルトガル人はさっさと帰ったが、1549年(以後よくなる年)に鹿児島に上陸したフランシスコ・ザビエルは布教だけでなく欧州で栄えている文明・文化を伝えた 4.ザビエルと一緒にきて21年間布教したコスメ・デ・トルレス神父が長崎湾の水深の深さに気づき、長崎の殿様・大村純忠に築港を進言した 5.港の周りには10以上の教会ができ最盛期には5万人の信者がいたが、太閤秀吉のバテレン迫害に継いで、1614年に徳川家康がキリスト禁教令を発し全国のキリシタンを長崎に集め、改心しないものはマカオとマニラに追放したーーなど。
 加賀講演は、隠れキリシタン弾圧の歴史にまで及び、日本の夜明けに果たしたキリシタンの役割と、日本がキリスト教を通じヨーロッパ文明を知ってわずか 450年しか経っていない点を強調、『2000年問題とザビエルを切り離してはおかしい』と論じています。
 今年はカトリックの大聖年に当たります。ローマ法王ヨハネ・パウロ・二世がエジプトからイスラエルへ旅したことを、マスコミは「ローマ法王の歴史的懺悔と反ユダヤ主義の精算」などと報道しました。懺悔はともかく、法王は冷戦崩壊後に世界で多発している宗教、民族の対立を憂慮され、歴史的な節目の年に中東和平を念頭に置いて、イスラム教、ユダヤ教など異教との関係改善に配慮されての旅であったと思います。
 佐世保にはカトリック信者の方々もいらっしゃいますので、21世紀を展望する前にキリスト教の多大な影響を受けた日本の20世紀を回顧することが重要と思い、加賀講演をご紹介しました。


 私は各党の国会対策委員会の訪欧メンバーに加わり、9月2日から15日まで初の議員外交を展開しております。ローマでは念願であるパウロ二世に謁見する機会を得ました。


 加賀乙彦氏(かが・おとひこ)1929年東京都生まれ、東大医学部卒。55年東京拘置所医務部技官。57年から60年まで精神医学、犯罪学研究のためフランス留学。69年から79年まで上智大教授。著書に「フランドルの夏」(芸術選奨文部大臣新人賞)「帰らざる夏」 (谷崎潤一郎賞)「永遠の都(芸術選奨文部大臣賞、井原西鶴賞)「高山右近」ほか多数 第2回(9月中旬)

 

 第3回(10月初旬)

 1.北村からのメッセージ

 9月は台風シーズンと老人福祉の月間。佐世保でも敬老の日(9月15日)を中心に、多彩な敬老行事が展開されたと思いますが、あいにく外遊中であり、この行事に参加できなかったことを残念に思っております。
 外遊では、デンマーク、スウェーデンなど北欧の長寿国を訪問、老人福祉の実態を視察してきましたが、日本は北欧を抜いて世界一の長寿国。悲観することはありません。
 とくに外遊中、福祉施設に安らぎを求めながらも、虚ろに暮らす北欧の老人たちを見聞して、強く思い出されたのが恩師、白浜仁吉代議士の智子未亡人のお幸せな姿でした。


 『北村さん。本当によかったわねぇ。白浜も天国でどんなに喜んでいるやら。おめでとう』ーー。智子未亡人は、車椅子から身を乗り出し、しっかり私の手を握り締め、涙を流して喜んで下さった。時は7月9日。場所は東京都練馬区早宮。白浜邸で開いて頂いた当選祝賀会の席のことでした。この日の祝宴は、ご子息で医師の圭吾氏が博士号を取得されたお祝いを兼ねていました。


 早宮は、北村が早大に通う頃から書生同様に可愛がられ、白浜代議士の秘書になってからも家族の一員のような処遇を受け、青春時代を過ごした思い出の地です。先生とご一緒に植えた庭の樹木も見事な枝振りに育っています。白浜一家は敬虔なクリスチャンらしく子宝に恵まれた3男2女の大家族。皆さんは立派に成長され、長女のあき子さんは医者に嫁がれ、長男の律雄氏は松下電送の、次男の友見氏は日本航空の幹部に就任され、3男の圭吾氏は慈恵大病院の医師。末っ子で次女の、さつきさんは宝石商に嫁がれています。

 法事や慶事の際にはご兄弟が家族を引き連れ、それぞれ得意料理を持ち寄り、大宴会となります。白浜先生のお孫さんは11人、全員が夏の夜は白浜邸の屋上に集まり、近くの豊島園から打ち上がる大輪の花火に歓声を上げます。このパーティに出される長崎チャンポンが秀逸。古いお付き合いで集まる新聞記者にも好評で、大変賑やかな宴です。


 智子未亡人は足が不自由となり、室内でも特性の車椅子を愛用されていますが、白浜家跡取りの律雄ご夫妻と、書生の頃から同居されているご親戚の白浜ゆいさんが全面介護に当たり、智子夫人の生活を支えておられます。主治医はあき子さんの御主人と圭吾氏の2医師がいて治療は万全。そのせいか智子夫人は安心し切って食欲はなおも旺盛。大家族集合の団欒の一時が最高の至福であるようです。心からご長寿を祈っております。 さて、日本は少子高齢化社会に突入し、老人介護や年金の在り方が大きな社会問題に発展しております。ご家族に温かく完全介護される白浜未亡人のようなお幸せな老後は極めてまれなケースといえましょう。高齢化社会をどう充実させるかが政治の最大課題です。
 日本の老齢人口は約3000万人。現在では若年層と高齢層の比率は4対1ですが、2025年は2対1となり、若年層の2人が1人の老人の生活を支えていくことになります。厄介なのは空洞化が進む年金問題です。「国民皆年金」といいながら自営業者や農民が入る国民年金は3人に1人が保険料を払っていません。不況下で企業も年金の企業負担金積み立てに難色を示しています。これらが年金財政を圧迫し、年金制度は崩壊の一歩手前です。

 政府は3月に年金法を改正し、4月から介護制度を発足させました。年金法改正は、1.年金支給額の5%減額 2.賃金スライド制の凍結 3.支給開始年齢の65歳への段階的引き上げーーなどを骨子としており、国民の目から見れば改悪とも映る内容でしょう。
 先の総選挙では野党が『働いている女性は保険料を払っているのにサラリーマンの妻は夫の保険料だけで年金を貰っている。税法式で不公平を解消すべきだ』と主張し、消費税を目的税化して基礎年金を税でみるよう提唱。これに与党が従来通り社会保険を中心に賄うと反論するなど、各党の争点になりました。
 折角の介護制度も「要介護度」を巡る自治体の判定で国民に不満が生じたり、「身体介護」「家事援助」の類型が複雑なため、訪問ヘルパーがどこまでを介護の範疇に含めてよいか、混乱をきたしています。お幸せな白浜ご一家を念頭に置きつつ、こうした老人福祉、少子化の問題についても積極的に取り組む決意です。ご支援下さい。
 今回は選挙区にご縁の深い白浜先生ご一家の近況報告を兼ねさせて頂きました。


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   2.北村発=政治の課題(10月2日=第2回〜第3回)

 第2回(9月中旬)  2.北村発=政治の課題  九州2位の校内暴力

 「校内暴力は3万件を超え、いじめも依然3万件台」ーー。8月12日の新聞に暗い記事が載った。公立小、中、高校の児童・生徒が1999年度に起こした暴力行為の報告数は 3万6577件と前年度を 3.8%上回り、過去最多を更新。いじめの報告数は4年連続で減少したが、なお 3万1400件に上ったという。長崎県は何と暴力行為 399件で、九州では福岡県の1576件に次いで2位、いじめは 724件で、福岡県の 319件を抜いて九州でトップだ。
 朝日新聞によると、暴力行為は中学校が最も多く、一見して普通の生徒がふとしたきっかけで突然暴力を振るうケースが目立つという。生徒間暴力51.6%、器物損壊29.3%、対教師暴力13.6%、自校以外の人への暴力など 5.5%の順である。ひと昔前は不良生徒が徒党を組んで暴れ回ったが、最近は“ムカつく、切れる”生徒が単独で何度も暴力を繰り返すケースが多いという。情緒不安定、病める心が校内暴力に走らせているのだろう。
 カトリック信者が多く、博愛心に満ちた長崎でどうして校内暴力やいじめが多発するのか。政治家はもとより、有権者の皆様も真剣に考えなければならない問題だ。校内暴力がやがては凄惨な刑事犯罪に発展しいく。この春、名古屋では5千4百万円の中学生恐喝事件が発生した。暴力団顔負けの少年たちは、途上国なら生涯の俸給にも相当する巨額を脅し取り、遊興費に充てていた。誤った民主教育の中で、高校生の犯罪も多発している。
 『殺す体験がしたかった』という愛知の主婦殺し、『殺人こそが正義』という佐賀のバスジャック、茨城の知人女性の両耳をそいだ全裸リンチ事件。岡山の高校野球部員が仲間と母親を金属バットで殴り殺した事件。最近の凶悪犯罪はいずれも17歳男女の犯行だった。新潟では誘拐された小4の女児が9年間も監禁された。まさに神を恐れぬ犯罪だ。
 これら犯罪心理の裏側には、いじめ、偏差値教育の落ち零れ、孤独で“オタッキー”なテレビゲーム遊び、核家族がもたらした躾の退廃など、様々な社会病理が潜んでいる。都会では茶髪、ピアス、顔黒、厚底の少年少女が街を闊歩し、平気で人を押しのけて車内に入り化粧直しや飲食は当たり前だ。援助交際など不純異性交遊の末、性感染症も急増した。 先の森首相の「神の国」発言は大きな波紋を呼んだが、少なくとも国民に別次元の二つの問題を提起したといえよう。一つは、首相が前段で『日本は天皇を中心とする神の国』と軍国主義回帰を思わす復古調的な国家観を示したこと。これはマスコミにアナクロニズムな発言と批判されても仕方がない。しかし、もう一つの首相が後段で述べた『日本の悠久の歴史と伝統の文化を堅持』のくだりは、現在の社会風潮を見れば納得できる発言だ。教育改革が緊急の課題であり、首相が改革断行の姿勢を示したことは評価できる。 開発で姿を消した歴史と伝統。コンクリート砂漠化した都会と過疎化の農村。そこでは、高度成長の過当競争に敗れた企業戦士がスピンアウトし、“ムカつく、切れる”の若者たちが、利己的本能の牙を剥き出す。“癒しの心”を求め、オウム、法の華など得体の知れないカルト宗教の犠牲にもなっている。イスラム教には日に数回のお祈り、キリスト教には日曜の礼拝、近隣諸国には大家族制と儒教が根づいており、各国は幼児から自然に徳育が備わっている。土俗の八百万神を信心してきた日本的な情操、優しい心はどこへ消えたのか。長崎県はカトリック信者を中心に宗教的情操や公徳心は健全である筈だ。校内暴力九州2位の汚名は返上しなければならない。徳育・智育・体育・慈愛の全人教育を真剣に考え、国会で教育改革の実現にも努力する覚悟です。よろしくご支援下さい。


 第3回(10月初旬)

 2.北村発=政治の課題  IT革命予算で攻防

 6月の総選挙で、自公保の連立政権は絶対安定多数を2議席上回る 271議席を獲得したが、自民党の単独過半数は望めず、解散前議席から38議席も落ち込み、公明、保守両党も激減した。とりわけ、東京、神奈川、愛知、兵庫などの都市部では民主党の風が吹き、自民党の大物や閣僚経験者が枕を並べて討ち死にした。総選挙で加藤紘一、山崎拓両氏らYKKの非主流派も議席を減らし、自民党内にしこりが生じた。総選挙の敗因は何か。
 バブル崩壊による政治、経済の低迷は「失われた10年」といわれる。この間にIT革命を起こした米国は好景気に恵まれている。日本はIT革命に5年の遅れをとったが、革命の余波は大企業のリストラを招き、終身雇用や年功序列型賃金が崩壊し、都会で働くサラリーマンの生活を直撃した。苛立つ都市住民が政権党批判の1票を投じたといえよう。
 公共事業推進派の地方選出議員と、首都圏で敗退した都市議員との間には、IT(情報技術)革命の対応を巡る政策の大きなギャップがある。そうした党内事情と世論の動向を素早く読み取り、森首相はIT戦略会議と担当相の設置、NTTの完全民営化、通信と放送の一体化などをぶち上げた。IT革命は九州・沖縄サミットの重要議題でもあった。
 『ITはドッグイヤー(犬の年齢)といって、1年が7年分のスピードで進む。10年経ったら70年の進歩。大容量通信が重なると、文字と音と映像が瞬時に送れるぐらいは分かるが、それで社会や教育や政府がどうなっていくのか。制度が技術の進歩に追いつけず、日本は政府や自治体が取り残される心配がある』ー。これは出井伸之ソニー会長の警告。 『日本には、グローバルな競争市場に開かれた「海の国」と、規制と保護に強く守られた厳然たる「山の国」がある。与党の有力政治家はことごとく山の国からの選出だ。山の国の代表者が銀行だが、相次ぎ破綻している』ー。政府の経済新生対策の下絵を描いた、かつての経済戦略会議メンバーの竹中平蔵慶大教授も、こう講演している。
 森首相は出井、竹中両氏を交えた森派幹部との5月以降の勉強会を踏まえ、IT革命を看板とする第二次森内閣を組閣した。IT担当相には腹心の中川秀直官房長官を兼任させ、出井氏を座長とするIT戦略会議を設置した。そして、8月末締めきりの来年度予算の概算要求は、一般歳出48兆4000億円の大枠を決めたが、首相が配分を決める「日本新生特別枠」に7000億円を計上している。特別枠はIT、環境、高齢化、都市基盤の新生プラン4分野に重点配分されるもので、4000億円は公共事業に、3000億円は非公共事業の「生活関連等重点化枠」としてIT関連に配分される。
 『私が実験台となり、8歳から80歳まで皆が使えるよう真のIT社会を実現したい』ー。森首相は、小渕前首相の「ブッチホン」に対抗して、「モリメール」を普及させようと、パソコンの研修を開始したという。幼児から高齢者までインターネットを自由に使いこなせるようにするネット・インフラの整備と、ネット銀行や電子商取引などEコマースを軌道に乗せるため、行政手続きの規制緩和など各種の法改正も検討している。肝心なのは、先進国と途上国のデジタル・デバイド(情報格差)の解消よりも、国内の都市部と地方で生じる通信インフラや世代別、収入別の情報格差をどうなくしていくかにある。
 しかし、予算の概算要求では『下水道を利用した光ファイバー網を各家庭に敷設する』との建設省案に対し、郵政省が『いや、光網は効率性の面からも民間主導で整備するのが原則。国は地方自治体に助成措置を講ずればよい』と反論するなど、鞘当てを演じている。これには、自民党建設族が『光網を公共事業として認め、建設国債を充当する』と建設省の後押しをし、大蔵省が『これ以上、後世代に借金のツケを払わすべきでない』と財政法を盾に反発するなどの騒ぎがあった。いずれにしても、情報格差の解消は緊急課題だ。
 報道によると、就任した直後の首相は真顔で『イット革命』と呼んだり、ITを『いわゆるIC(集積回路)』といったり、遊説先でPHS(簡易携帯)について電車の中で女子高生にとんちんかんな問い掛けをするなど、ITの本質については理解不足といわれる。 ネットを自在に操る皆さんの方が、IT革命の先駆者である。良い推進策があれば、21世紀クラブの政策に反映させたいので、是非とも北村にEメールでご教授願いたい。