第197回(2月1日)本予算で攻防第2R 消費税政局沈静
首相の施政方針演説など政府4演説は1月28日に行われ、これに対する代表質問が衆参両院本会議で2日までに終了、国会は第2ラウンドに入りました。08年度第2次補正予算が27日に成立したことで、目玉の定額給付金は地方自治体が年度内支給に向けての準備に入り、麻生政権は解散・総選挙のハードルを1つ乗り越えました。政局を揺さぶった自民党内の消費税問題も、増税時期に玉虫色の表現を取り入れることで決着、党内対立はひとまず鎮静しました。政府与党は2月第1週から始まる09年度予算案の審議に全力を挙げ、中旬にも衆院を通過、年度内成立を図りたいとしています。首相は施政方針演説で、「中福祉・中負担の『安心と活力ある社会』を目指す」との決意を表明しました。20日に就任したオバマ米大統領は、「新たな責任の時代」を訴え、アメリカ再生(リメイク)の仕事に国民の義務と協力を呼びかけました。「チェンジ」(変革)の言葉を封印、建国以来の米国の伝統的な価値観への回帰を叫んでいます。我々も自由と民主主義の理想・理念のもと伝統的保守政権を守り、日本を再生させる覚悟です。寄り合い所帯の亜流政党に断じて政権を渡してはなりません。さらなるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

「2段階方式」の玉虫色決着
政府は消費増税への道筋を示す09年度税制改正関連法案の付則案を自民党財務金融部会に示し、党政調の了承を得、1月23日に閣議決定しました。「消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」とする一方、党内の増税反対派に配慮し、実際の税率引き上げ時期は景気動向などを見極めて別の法律で定めるとの「2段階方式」を採用。11年度からの引き上げにこだわる首相と増税時期明示に慎重な議員ら双方の主張を取り入れた玉虫色の決着です。これにより、法案の採決で造反も辞さないと同月14日に「政局宣言」をした中川秀直元幹事長や「増税が一人歩きし、景気の足を引っ張る」「行革や無駄の排除を優先する」などと抵抗した中堅・若手議員ら増税反対派も政府案を容認し、「消費税政局」はどうやら回避されました。党崩壊の危機を感じた8派閥の領袖が20日に都内のホテルで協議、伊吹文明元幹事長が町村信孝前官房長官と練った「2段階方式」論を披露すれば、高村正彦元外相も「11年度以降に機が熟せばいつでも消費税を上げられるという文言にすればいい」と提案、各領袖の同調が得られました。各領袖は官邸の調整力不足に不満を感じており、古賀誠選対委員長は古賀派の総会で「政権を支えることには間違いないが、あまり骨の折れる支え方にならないように。官邸も丁寧な根回しをしていただかないと。なかなか厄介だ」と官邸にクギを刺しました。

憲法の精神踏みにじる暴挙
09年度予算案と関連法案は、野党が参院で否決するか、憲法規定の「否決と見なす60日ルール」を適用して衆院で再可決する場合、自民党の16人が造反すれば3分の2以上の多数決が出来なくなります。民主党は消費税増税の是非よりも自民党の混乱を待望しましたが、自民内造反が不発に終わると見るや2次補正の採決に応じました。しかし、26日の参院予算委、参院本会議は、2次補正から給付金を切り離す野党3党の修正案を可決。衆参で異なる議決となったため同日夜に両院協議会を開きましたが、衆参の主張が折り合わず、くじ引きで議長に就いた民主党の北沢俊美副代表が散会を宣し、同夜開く予定の衆参両院本会議を阻止しました。与党が「両院協議会で意見が一致しない時は衆院の議決を国会の議決とする」と定めた憲法60条の「衆院の優遇」規定をもとに協議打ち切りを主張したのに対し、野党は給付金を削除した修正案の妥当性を主張して譲らず、成立を27日に持ち越し首相の施政方針演説を遅らせました。憲法の精神を踏みにじる暴挙です。

生活重要な関連法案審議せず
成立した2次補正の一般会計総額は4兆7858億円で、給付金(約2兆円)のほか、中小企業資金繰り対策(4905億円)、高速料金千円引き下げ(5000億円)、地域活性化対策(6000億円)、介護従事者の処遇改善(1491億円)、雇用創出事業(1500億円)、医療対策(118億円)など国民に密接な施策が含まれています。しかし、その財源を確保するため、財政投融資特別会計の積立金(いわゆる埋蔵金)から財源に繰り入れる特例法案など関連法案は、民主党が一切審議せず参院採決を当面先送りしました。この結果、60日ルールの適用で関連法が3月下旬に成立する場合も予想され、国民生活に重要な景気浮揚策は、財源問題でその間停滞します。総務省は2次補正成立と同時に市区町村に「交付要綱」を通知、地方自治体が年度内に給付金を支給することになりましたが、地域によっては4,5月に遅れる恐れが出てきました。こうした国会駆け引きによる審議の遅れは、09年度本予算案の審議にも大きな影響が出ると見られ、与党は3月末で期限が切れる離島振興や関税の軽減措置を延長する「繋ぎ法案」の提出を検討しています。

「責任の時代」訴えるオバマ氏
「私たちは自らを奮い立たせ、ほこりを払い落として、アメリカ再生の仕事をもう一度始めなければならない」――。オバマ氏は20日、凍てつく連邦議会議事堂前に集まった史上最高の約200万人の大群衆を前に就任演説をしました。大統領選で「チェンジ」「イエス ウィ キャン」を連発し、国民を魅了した「演説の名手」は、これらのキャッチフレーズを封印、現実主義者らしく「今私たちに求められているのは新たな『責任の時代』だ」と訴え、自らの目指す米国像を明確に示しました。オバマ新政権の主な公約は@イラク駐留米軍戦闘部隊の16ヶ月以内に撤退Aアフガニスタン駐留米軍の増派B北朝鮮、イランなど敵対国家との対話C日米同盟重視D環境・エネルギー対策と400万人の雇用創出を絡めた「グリーン・ニューディール(緑の内需)」政策E中低所得層の減税など生活底上げF医療保険の拡充――で、世界同時不況を乗り切る景気対策の主軸に温暖化防止に繋がる環境対策を掲げ、景気刺激策には8250億ドル(約74兆円)の財政出動を決めました。

ネット草の根民主主義の寵児
米国史上初の黒人大統領は、得票率が52・7%、投票総数は6676万票という史上最高の得票数を獲得して世界のリーダーになりました。しかも、米国の全候補が貰える8400万ドルの公的支援金は一切受け取らず、インターネットを駆使して小口の献金を集めることに成功。予備選以来6億5千万〜11億ドル(最高1千億円)もの金を使って選挙を戦ったと言われます。個人撮影ビデオなど動画投稿サイトの「Uチューブ」やSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の「フェースブック」、「マイスペース」などといったサイトで数百万人単位の支持者や活動家を募り、1500万人規模のネットワーク(メールのデータベース)を築いたと言われています。私よりも一回り若い気鋭のリーダーですが、まさに「ネット・草の根民主主義」を定着させ、ネット時代の「新しい風」を吹かせた寵児です。この手法と説得力のある弁舌は大いに見習いたいと思っています。

日本版グリーンニューディール
首相は環境対策でオバマ氏に先を越された形ですが、日本版グリーン・ニューディール政策を経済財政諮問会議でも取り上げ、3月までにまとめる方針です。斉藤鉄夫環境相が1月6日、電気自動車普及や環境志向への企業への優遇策などで市場規模100億円、新たに220万人の雇用を生み出す素案を首相官邸に持ち込みましたが、首相は「もっと大胆に、各省庁と連絡し、数字を大きくするように」と突き返し、経済産業省や農水省など関係省庁で練り直すことになりました。首相は23日、大田昭宏公明党代表との会談で、「日本の世界一の環境技術で経済をリードする役割を果たさなければならない」と強調しています。首相は施政方針演説で、「異常な経済には、異例な対応が必要。大胆な対策を打つことで、世界で最初にこの不況から脱出する」として、09年度予算案など総額75兆円規模の経済対策を着実に進める重要性を訴えました。特に「必要な負担を求め、消費税を含む税制改革を行うため、11年度までに必要な法制上の措置を講じる」と明言。国民負担の増大を求める前提に「不断の行政改革」を掲げ、省庁による「天下りの押しつけ的斡旋」の根絶を約束しました。2次補正の成立で「衆参並行審議」が回避されたことから、民主党は29,30日の衆院本会議での代表質問には鳩山由紀夫幹事長と民主党会派所属の田中真紀子元外相(無所属)を立て首相を手厳しく批判しました。攻防は一段と激化しそうです。