第196回(1月16日)激突国会開幕 第1Rは与党ペース
5日に召集された通常国会は松の内の6日、早くも中川昭一財務相の財政演説に対する代表質問で論戦の火蓋が切られ、冒頭から与野党が激突しています。麻生首相は「安心、活力の日本。中福祉・中負担」の政策を唱え、「世界で最初に不況から脱出する」との決意を表明、09年度予算の年度内成立を目指し、解散のタイミングを計っています。これに対し、民主党は2兆円の定額給付金を08年度第2次補正予算案と関連法案から削除し、その2兆円の使途を雇用対策などに充当するよう求め、予算案審議前の早期解散・総選挙に追い込もうとしています。これに渡辺喜美元行革相が同調して離党するなど、自民党内では「麻生離れ」「政界再編」の動きが広がってきました。仮に17人の造反者が出れば、憲法の「否決見なしの60日ルール」で衆院再可決は出来ず、麻生政権は行き詰まります。首相は解散で危地を突破するのかどうか。危機的政局の中で、私は防衛副大臣として、精一杯、公務に励んでいます。どうかご支援、ご鞭撻下さるよう切にお願い申し上げます。

「安心 活力」書き初めに決意
「安心して暮らせる日本。活力ある日本。この思いを年始めの字に込めたい」――。首相は4日の年頭会見で、演台脇に用意された色紙に、「安心 活力」の4字を達筆に書き初めし、「予算と関連法案を早急に成立させる。それまで解散は考えない。解散は総理大臣、即ち麻生太郎が決断します」と述べ、当面は解散を封印して予算成立に全力を挙げる決意を表明しました。内閣支持率が20%前後に急落、「首相たる人物評」でも小沢一郎民主党代表に逆転された首相にしてみれば、第2次補正や09年度本予算を早急に成立させて実績を重ね上げ、支持率の回復を図って自ら解散できる環境を再構築したいと考えているからです。特に本予算の年度内成立の成否が政権を左右すると見て、衆参両院予算委での並行審議も辞さない構えです。野党側は第2次補正の衆院通過後、参院の審議を拒否しましたが、本予算の審議が始まれば連日、参院予算委へ全閣僚出席を要求、妨害する作戦です。

定額給付金と高速値下げが柱
政府与党は景気優先のため、「目玉公約」である総額2兆円の定額給付金を盛った08年度第2次補正予算案を13日に衆院通過させました。09年度予算案は年度内(3月)成立を図るため、26日には衆院予算委で審議入りし、参院送付30日後の自然成立を前提に、2月半ばに衆院を通過させる構えです。第2次補正は、定額給付金と「地域活性化」のための高速道路料金1年間引き下げなどを柱にしており、一般会計総額は約4・8兆円。昨年10月に成立した総額1兆円余の1次補正を遙かに上回っています。財源はいわゆる「埋蔵金」の財政投融資特別会計の準備金を約4・2兆円流用します。景気悪化の影響で税収見通しも約7・1兆円減額し、その穴埋めなどのために国債の追加発行額が約7・4兆円になります。民主党は定額給付金が高所得者にも支給される選挙目当てのバラマキ政策であるとして、2次補正から切り離し雇用対策の財源に充てるよう、野党3党で修正案を共同提出して抵抗、「埋蔵金」流用の特例法案など関連法案でも徹底審議を求めています。

人災解雇、給付は大愚作と民主
「定額給付金の毒饅頭と雇用や中小企業の肉饅頭が合わさっている。予算修正を考えないといけない」(菅直人代表代行)、「6,7日の代表質問にも応じない」(山岡賢次国対委員長)――。国会前に民主党は強硬姿勢を見せていましたが、公明党の主導で決まった給付金には自民党内にもバラマキ批判があることから、衆院本会議での採決時に自民党の造反者が出ることを期待し、造反を誘発する作戦に切り替え第2次補正の審議に入りました。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は6日の代表質問で、「総理は『政局より政策』と言うが、ホテルのバーでくつろぎ、うそぶいている間に解雇者は路頭にさまよい、中小企業は倒産を続けている。まさに人災、政治災害だ。定額給付金は究極の大愚策。その場限りのバラマキは税金の無駄遣いだ」と厳しく首相を批判、早急な解散を求めました。首相は「世界でも最大規模の経済対策をまとめた。効果的な経済対策、生活対策を迅速に打つことが出きるのは私の政府と与党だ」と切り返し、3年後の消費増税についても「大胆な財政出動をするには、中期の財政責任をきちんと示さなければならない。責任ある政府、与党の原点、矜持だ」とし、景気対策を前提に消費増税を目指すと強調、対決姿勢を鮮明にしました。
その勢いで与党は8、9日の衆院予算委を経て、「成人の日」の連休明けの13日に第2次補正と関連法案を同委で可決。衆院本会議の採決では離党した渡辺元行革相と松浪健太内閣府政務官が棄権、造反し松浪氏は同夜、政務官の辞表を提出、受理されましたが翌日罷免されました。第2次補正が同日、衆院を通過したことで、与党は無事、第一ラウンドの関門を突破しました。

道路財源一般化に造反の火種
政府は09年度予算案を19日に国会提出、直ちに首相の施政方針演説など政府4演説を行い、衆院予算委で第2ラウンドの論戦に入る段取りです。だが、本予算案の審議では道路特定財源の扱いなどを巡って与野党の対立が激化し、2月半ばに衆院通過を図っても昨年同様参院審議が長引き、年度末までに予算関連法案は成立しない事態も予想されます。首相が昨年10月末、「1兆円を地方に回す」との表明で始まった道路特定財源の一般財源化は、自民党道路族の強い抵抗を乗り越えられず、予算案ではほぼ温存されていますが、これに反発する中堅・若手議員が関連法案の採決での造反をちらつかせたため、火種がくすぶっています。道路特定財源の一般財源化問題は、公共事業に幅広く使える1兆円規模の「地域活力基盤創造交付金」創設などの形でようやく決着しましたが、交付金の使途の8割が道路に充てられる予定のため、「道路特定財源の一般財源化を抜本的に進める会」の棚橋泰文元科学技術相や河野太郎、水野賢一、柴山昌彦氏ら自民党の中堅、若手議員が「骨抜き」と反発、1月下旬にまとめる関連法案でも、「新交付金に縛りを掛けるなら賛成しがたい」と態度を硬化させています。同会の若手16人が開いた昨年12月2日の集まりでは、公共事業に使途を限る新型交付金に反対する方針を確認しています。

渡辺元行革相2度造反し離党
憲法の「否決見なし規定」で60日後に衆院で再可決する場合は、3分の2以上の多数決が条件とされ、本会議で自民党議員16人が反対投票すれば、衆院による再可決は出来なくなります。造反を懸念する細田博之幹事長ら執行部は若手の説得に努めており、造反議員が出た場合は衆院選の公認剥奪など厳正な処分で臨む強い態度です。しかし、昨年12月16日号のHPでも触れたように、「麻生離れ」に加え、離党や新党結成など分裂含みの動きが年明けから目立っています。渡辺喜美元行革相は昨年12月24日の臨時国会最後の衆院本会議で民主提案の衆院解散要求決議案に起立賛成しました。この後、テレビ番組に出ずっぱりで離党をほのめかしたあげく、早期の解散・総選挙や定額給付金の撤回、公務員制度改革など7項目を要求する文書を執行部に提出。これを黙殺されたとして13日に離党届を提出、受理されました。父親の故・美智雄元副総理は総裁選に2度チャレンジし、最後は細川内閣の後継を狙い、小沢一郎新生党代表幹事の誘いで離党を試みたことがあるだけに、本人は記者会見で「親のDNAがそうさせた」と述べ、今後は@官僚主導から政治主導へA中央集権から地域主権へ――を掲げ、無所属議員や自治体首長らと「国民運動」を展開すると語りました。だが、一匹狼の振る舞いに自民党内の視線は冷淡です。

加藤、山崎氏ら再編へ勉強会
加藤紘一元幹事長、山崎拓前副総裁らは総選挙前の新党結成を視野に1月中にも新たな勉強会を発足させる考えのようです。勉強会は「日本の国のかたち、在り方を考える」をテーマに自民党議員、学者、文化人を交えて5〜15人規模となる見通しで、構造改革路線を批判する見地から「行き過ぎた市場原理主義の是正」を旗印に勢力結集、民主党議員の一部を連携相手に模索しているとマスコミは報じています。山崎氏は4日、福岡市の支持者らの会合で政界再編に関し、「YKKK(山崎、加藤、菅直人、亀井静香の4氏)は再編の軸になりうる」としていた従来の発言を修正、「軸はYKKKでなく、自公連立体制だ」と述べ、「政界再編は選挙後、衆参ねじれ現象解消のために行われる」と記者団に語りました。中川秀直元幹事長も4日、選挙区の新年会で「1昨年の(幹事長として担当した)参院選敗北に伴う謹慎期間も昨年の大晦日で終了させて頂く。新しい旗を掲げ続けて政治変革につなげたい」と政界再編の意欲を表明、旗には環境、コミュニケーション、介護、教育の4分野を挙げました。首相が表明した11年度からの消費税増税にも反対しています。最大派閥の町村派も亀裂が浮き彫りにされてきました。

参院第1党の民主も薄氷国対
一方、ねじれ国会で参院勢力「第一党」を誇る民主党といえども、薄氷を踏む国会対策です。渡辺秀央氏らが革新クラブを作って離脱したため、民主党籍を持つ江田五月参院議長を除くと過半数(121人)を13人下回る108人でしかありません。同会派に属する国民新党(5人)、新党日本(1人)、無所属(4人)を合わせても118人で、社民党(5人)と連携しなければ過半数を確保できないからです。社民、国民新両党をつなぎ止めようとして先の臨時国会では、金融機能強化法改正案への修正案を参院で可決するため社民党に委員会の質問時間を譲渡したり、国民新党が熱心な郵政民営化見直し法案や中小企業金融対策の議員立法の共同提出者にならざるを得ませんでした。不況下で「蟹工船」や「資本論」を読む若者が増えたことから総選挙にプラスの手応えを感じている共産党は、国民受けする独自の国会対策を進めています。それを承知で与党幹部も、審議拒否に反対の共産党や参院の無所属議員に働きかけ、密かにねじれ国会の切り崩し工作を進めています。そうした国会対策が功を奏し年度内に本予算が首尾良く成立出来れば、私は麻生政権の求心力は回復し、自民党は堂々と総選挙に勝利し政権を維持できると確信しています。