第193回(12月1日)補正・本予算編成へ 会期大幅延長
臨時国会は25日まで延長され、昨年同様、通年国会の様相を帯びてきました。これで、新テロ特措法と金融機能強化法の両改正案は成立が担保され、インド洋上の給油継続と中小企業などの金融危機対策が実現、国際信用も維持出来そうです。政府与党は挙げて08年度第2次補正予算と09年度本予算の編成作業に取り組む態勢が整いました。首相は米国での金融サミット、ペルーでのAPECなど相次ぐ首脳会議で活躍しましたが、定額給付金や道路特定財源の1兆円地方配分などを巡る“迷走”、マスコミが攻撃する「場当たり」「軽率」「読み間違い」など数々の麻生流発言や失言で外遊成果も帳消しにされ、首相の求心力が低下、内閣支持率も依然低迷しています。「これでは来年9月の任期満了まで戦えない」との声も高まっており、通常国会冒頭に解散があるのかどうか。不透明な政局が続いています。不況感の高まる師走をお過ごしでしょうが、どうぞよろしくご支援下さい。

解散迫り民社強硬路線転換
「総理は『選挙より景気対策だ』とあれだけ言ったではないか。2次補正は今国会に提出すべきだ」――。11月17日夜、官邸で開かれた初の党首会談で民主党の小沢一郎代表はこう繰り返しました。首相が「努力している」とだけ答えると、民主党は会談後幹部が協議し、翌18日に合意していた参院外交防衛委での新テロ対策特措法改正案の採決を拒否し、金融機能強化法改正案の採決にも当面応じない方針を確認、自民党に伝えました。この突然の強硬路線転換は、政府与党が定額給付金の扱いで所得制限を設けるかどうかを市町村に丸投げしたため、市町村が混乱し世論の評価も低くなるなど迷走が続いたからです。早期解散を迫る小沢氏らは、会期末に参院で首相問責決議案を出すよりも、給付金を盛り込んだ2次補正を提出させれば国会審議で叩き、出さなければ政府の無責任を徹底的に批判すればいいと判断したと見られます。そこで非公開の党首会談を求めたわけですが、与党は首相が求める党首討論に小沢氏が応じないことを逆批判し、他の野党は「党首会談なら官邸を使わず国会内でやるべきだ」「2党だけの闇談合だ」と厳しく批判しました。

首相発言のブレで与党混乱
参院で審議中の両法案は採決が行われない場合、憲法の規定の「60日ルール」を適用して衆院の3分の2以上で再可決が可能となるのは、新テロ法改正案が12月20日以降、金融機能強化法改正案は来年1月5日以降となるため、政府与党は国会を12月25日まで延長、金融強化法案が成立しないなら、さらに新春の松明けまで再延長することを決めました。しかし、定額給付金や、道路特定財源の一般財源化に伴う地方への1兆円配分、日本郵政グループの株式売却凍結などで首相の発言が二転、三転して与党内に混乱を招いており、野党は厳しく追及する構えです。総額2兆円の定額給付金は追加経済対策の目玉ですが、これはもともと公明党が主張し、財政規律を重視する福田康夫前首相が難色を示した「定額減税」でした。定額減税だと納税額の少ない低所得者を救済出来ないとして、給付金方式に変わりましたが、それだと高所得者にも支給することになり、低所得者の救済措置なのか、景気浮揚策なのかはっきりしません。首相は初め、「全所帯に給付」としながら、所得制限を言い出すなど発言が大きくブレました。

地方丸投げ迷走、国民評価せず
この扱いをめぐっては、閣僚や与党幹部がてんでんばらばらに発言したり、所得制限する場合の下限は1800万円としたものの、所得制限を設けるかどうかの判断は各市町村に委ね、辞退を促す形にするのかどうかも市町村任せにするなどで収拾がつかず、地方に丸投げする形になってしまいました。このような迷走は、緻密さを旨とする行政としては極めて異例の措置です。小渕内閣が実施した7000億円の地域振興券も公明党が強く主張したものです。あの時は自公連立政権誕生の結納金のような形で実現しましたが、自治体に手間をかけさせた割には地域振興に役立ったかどうか疑問でした。当時の堺屋太一経企庁長官は「消費に回ったのは3割程度だった」と答弁しており、今回も経済効果が期待できるのか、選挙対策に有効であるのかどうかも分かりません。国民が迷走に愛想を尽かしたのか、各紙の世論調査を見ても「評価する」との答えが少ないことが気に掛かります。

道路族、地方派の対立先鋭化
郵政株式凍結については、HP「北村の政治活動」欄に載せたのでご覧下さい。政府与党が迷走している追加景気対策は、ほかにもあります。道路特定財源の一般財源化に伴い地方に配分する1兆円が、既存の7000億円とは別枠なのかどうかで国土交通省と総務省の見解が対立しています。麻生首相は10月末、地方支援策として「地方への一兆円配分」を打ち出しましたが、選挙対策のアドバルーン的色彩が強く、十分詰めずに発表した結果、党内では「道路族」派と「地方財政重視」派の対立が先鋭化しました。道路族は「1兆円まるまる、自治体の裁量で使える地方交付税にしたら、借金返済や地方公務員給与などに使われてしまい、道路整備費が大幅に減る」と反発、金子一義国交相らは、使途を道路整備に限定した「地方道路整備臨時交付金」として地方に配分されている7000億円に3000億円を上乗せし、1兆円の「新臨時交付金」とする案を唱えました。

地方交付税削減の罪滅ぼし
これに対し、首相の盟友・鳩山邦夫総務相は「地方独自の判断で使え、自由度がある地方交付税がいい」と述べ、全国知事回(会長=麻生渡・福岡県知事)も1兆円は臨時交付金の7000億円の別枠で確保し、地方交付税として配分するよう求めました。これには、小泉政権が進めた三位一体改革の時の総務相だった麻生首相に、「地方交付税の大幅削減を防げなかったことへの罪滅ぼしの意識」があるとの見方もあります。こうした経過の末に首相は19日、1・3兆円を超す額を地方に配分する方針を改めて示しました。現在、国の道路特定財源(08年度は約3・3兆円)のうち、7000億円の「地方道路整備臨時交付金」と約6000億円の補助金が地方自治体に配分されていますが、首相は一般財源化後もこれらの合計額である「1・3兆円」以上を地方への配分額として維持した上で、このうち1兆円は地方の自由裁量で使える交付税にする考えを示したものです。

自動車団体は税率引き下げを
だが、「揮発油税」や「自動車重量税」など6つの税で構成される道路特定財源は道路整備の恩恵を受ける自動車利用者の受益者負担として収めてきたもの。一般財源化で道路以外に使われるなら、自動車利用者だけが税金を払うのは筋が通らないとして、日本自動車連盟(JAF)など自動車関係23団体は19日、都内で緊急総決起大会を開き、「一般財源化後は税率を引き下げるべきだ」との税率引き下げを求める決議を行いました。「休日の長距離利用は上限を1000円にする」という地方の高速道路料金の値下げ案についても、自動料金収受システム(ETC)利用車に限るということに不満があります。物流コストを下げて景気浮揚を図るなら、一律にしたほうが効果的でしょう。ETCカード制作費やETCで払った料金の一部は国土交通省の天下り機関の収入になっているとの批判もあります。民主党は「揮発油税暫定税率」自体の撤廃を主張していますが、首相の高速料金値下げ案も同党が提起した高速道路無料化案を意識したものであるとして、第2次補正案の早期提出を求め、延長国会で与党内部の混乱を多角的に質そうと手ぐすね引いてます。

選挙の顔なのに厭戦気分漂う
臨戦態勢の中で「総選挙の顔」として総裁選であれだけ支持を集めた首相ですが、失言、「場当たり」「間違い」「ブレ」の発言が続けば、指導力も発揮できず、党内には厭戦気分が漂ってきます。2次補正の今国会提出は民主党ばかりでなく、自民党内の中堅・若手有志も要求していました。塩崎恭久元官房長官や渡辺喜美元行政改革担当相ら中堅・若手の「速やかな政策実現を求める有志議員の会」は26日、17人を集めて会合を開き、社会保障や公務員制度改革などで幅広く政策提言を行う方針を確認しました。日本郵政株売却の凍結に言及した首相を批判する中川秀直元幹事長に近い存在で、党内批判勢力を形成しつつあり、ますます首相の求心力低下に拍車がかかっています。首相はそれには意を介さず、ワシントンで開かれた「金融サミット」(先進・新興の20か国・地域首脳会議)に続き、ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席し、「保護主義の広がりを防ぐためWTO新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の年内大枠合意を目指す強いメッセージを出すことを主張し、各国の賛同を得た。日本が表明したイニシアチブを全面的に実行し、経済を成長軌道に戻して国際社会への責任を果たす」と記者会見で述べ、「外交」、「経済」の麻生をしきりにアピールしています。

編成作業で不況感吹き飛ばす
民主党は年内採決を約束して第2次補正予算案の提出を求めましたが、同党は衆参両院議長の斡旋案を反故にした“前科”があり、政府与党は成立の担保が不確実と判断、2次補正案は1月の通常国会に提出する方針を決めました。民主党の小沢代表は28日の党首討論で「首相は景気対策重視と言いながら、2次補正予算案を臨時国会に提出しないのは公約違反だ」と追及し、年内解散を迫りました。同党は「中小企業いじめ防止法案」、中小企業への貸し渋りを防止する「金融アセス法案」など独自の経済対策法案を今国会に提出する方針です。こうした中で延長国会と並行して取り組む予算編成作業では、暗い不況感を吹き飛ばす良い枝振りの第2次補正と09年度本予算案を構築出来るかどうかが、解散時期をつかむ今後の政局の鍵となります。私はその使命を帯びてこの師走、新テロ特措法改正案の仕上げと、副大臣の公務に精一杯励む覚悟です。ご声援をお願い申し上げます。