北村からのメッセージ

 

 第19回(6月1日) 米国便り 東のシリコンバレー

 ジューンブライドのシーズンですね。国会でも党派を超えて白亜の恋が実り、自民党の野田聖子元郵政相(40)<衆院岐阜1区>と自由党の鶴保庸介参院議員(34)<和歌山選挙区>がこの夏、めでたく結婚されます。どうやら姉さま女房のようですが、二人の馴れ初めはこの1月下旬、与党3党の米国物流・IT(情報技術)調査団に参加してワシントン郊外のIT 施設を見学した時であったとか。“ITが結んだ恋”といえましょう。

 e―japan計画

 政府は新IT戦略本部が策定したIT政策の指針「e?japan重点計画」に基づき、世界最高水準の高速インターネット網を形成するため、今国会にNTT会社法、電気通信事業法など通信関連5法改正案を提出しました。公正な競争条件を整備することを重点に、NTTやNTTドコモなど市場支配力を持つ通信事業者の反競争的行為を防止、除去するための新たな規制を導入しています。政府の重点計画では、01年から5年間で@世界最高水準の高度情報ネットワークの形成A教育・学習の振興B電子商取引の促進C行政の情報化(電子政府)――などを集中的に実行する目標を掲げています。

 友人子息からの手紙

 e―japan重点計画で、日本も米国のようなITブームの好景気が到来すると期待されます。野田氏らの調査団が訪米した際、IT企業視察の下働きをした友人の息子さんから手紙が届きました。その人はナショナルキャリア(国際通信会社)の中堅で米国勤務。手紙には米国のIT 事情、アメリカンライフが描写されているので、参考までにご紹介します。


  ワシントン郊外

 北村先生お元気ですか。”日本を変える“小泉政権のもと、国会で日夜ご活躍のことと、まずはお喜び申し上げます。私もワシントンに赴任して早3年、家族ともども楽しく暮らしております。1月にはIT 視察の国会議員団が来訪しました。自民党のマドンナ「聖子ちゃん」こと野田元郵政相と小渕元首相令嬢の優子代議士、公明党の若松謙維代議士、自由党の鶴保庸介参院議員の4人です。帰国後、野田、鶴保両氏の間には恋が芽生えたと聞いています。

 リスや鹿が裏庭に

 ダレス国際空港から車で30分の至近距離に住んでいますが、当地はIT産業のメッカです。それでいてリスが庭先を駆け巡り、夫婦の鹿が子連れで裏の林からそっと顔を覗かせる軽井沢のような閑静な居住地です。先生はIT問題の専門家であると父から聞いています。IT施設のご視察など、訪米の際には是非我が家にもお立ちより下さい。
 
 ルート267

 ダレス空港を降りて直ぐに乗る道路は正式名ルート267で、一般的にはダレスアクセスと呼ばれています。道路の両側にはIT産業の代名詞である有名企業が文字通り林立しています。西海岸のシリコンバレーとの比較で、ワシントン隣接のノーザン・ヴァージニアのこの地域は第二、あるいは東のシリコンバレーと言われています。(ちなみに同じくIT関係の産業が栄えているニューヨークはいまシリコンアレーと呼ばれています)

 プロバイダー集結

 しかし、実際は西海岸のシリコンバレーのように半導体チップを製造するような製造業者は少なく、むしろ、通信会社やISP(インターネット・サービス・プロバイダー)、データセンタービジネスといったサービス・プロバイダーが多くひしめいているのがこの地の大きな特徴です。

 ITコリドー

 その結果、ダレスアクセスもITコリドー(街道)とか、インターネット・ドミニオンとかいう名前で、もっと知名度をあげようとしています。(米国内での知名度は高いものの、外国では技術系の人間以外にはあまり馴染みがありません)しからば、何故この地域でISPやそれを支える通信産業が伸びたのか。諸説ありますが、@もともとインターネット自体の前身がノーザン・ヴァージニアを本拠とする国防省や、学術関係のネットワーク(ARPAネット)を母体としており、安定した需要が以前からあったA最近タイムワーナーとの合併を発表したAOL(アメリカン・オンライン社)の本拠地もこの地にあったBそのAOLがワシントンで電子政府のインフラ整備を受託した――などを背景に、優秀な技術者を中心に旺盛な労働力の移動があったと思われます。

 ケーブルモデム

 さらに、1996年通信法の改正に伴って地域電話市場への参入が容易になったことに加え、一般家庭へのインターネット利用も急速に進歩し、DSLや「ケーブルモデム」などを提供する会社も雨後の筍のように乱立したというのが、少なくとも昨年末までの状況でしょう。CATVの回線にインタ−ネット疎通用のモデムを配備し、CATVに併せてインターネットも利用できるようにした技術、これがケーブルモデムです。当然タイムワーナー配下のケーブルシステムオペレーターが市場シェアも一番高いわけで、コンシューマ(消費者)へのインターネット販売に力を入れるAOLが興味を示したのは当然です。

 セントカンパニー

 ところで今現在はどうなっているか? 新聞紙上で賑わせている通り、一時のドットコムブームも去り、これらの新興ISP、新興テレコム会社(CLEC=Competitive Local Exchange Carrier)とかの株価も急落、一気に株価が1ドル台、もしくは1ドル未満のセントカンパニーへと没落してしまっています。

 伝統キャリアが勝つ

 今後どうなるかを予見すれば、インターネットの需要は今後も爆発的に伸びるのは間違いなく、資金力や他社に比べた競争優位のない会社はどんどん淘汰されるものの、ISP事業、産業自体が落ち目になることにはならないので、徐々に盛り返すと思います。
しかし、1996年通信法の改正にともなってできた新興のテレコムキャリアは、結局、物理的に設備を保有する伝統的なキャリア(ILEC=Incumbent Local Excahnge Carrier)の前には所詮、太刀打ちできない。というよりも、これらの狡猾な設備運営などによって、いずれは競争力を持ち得ないまま、やがてフェイドアウトせざるを得なくなってしまうようです。

 ベル系は資金潤沢

 一例あげれば、CLECはこれらのILECの中央局レベルで相互接続し、光ファイバー網を企業顧客や集合住宅にまで引き込むことで積極的な顧客開拓をしたものの、伝統的なベル系のローカル電話会社はより顧客に近い場所にノードを置いてより効率的なファイバーを設置したため、価格競争力等の面でも比較にならなかったという事例もあります。
もとよりキャシュが潤沢にある伝統的なベル系に対して、一定規模の採算ベースに乗せるだけでも時間との戦いを余儀なくされたCLECがキャッシュクランチ(現金不足)で駄目になるというのは、日本のDSL事業(高速インターネット接続のデジタル加入者線)に対する警鐘としても深刻に受け止めるべきなのでしょう。

 マクリーン近辺

 ダレス空港を西端に、ワシントンDCを東端に南北をポトマックリバーで囲まれた地域をフェアファックス・カウンティ(群)とよびますが、聞いた話では全米で最も平均所得が高い群だそうです。その中でも最も裕福な人が住むといわれているのがマクリーンです。残念ながら拙宅はマクリーンではなく、そこに隣接するフォールズ・チャーチです。

 活発な不動産市況

 マクリーン地域に住む人々は確かに政府関係の高官、弁護士、軍関係者、そして、外交官などが多く、レント費も非常に高い区域です。税制の変更に伴い、持ち家が有利になったこともあり、貸家はほとんどなく、空家をこの地域で見つけるのは非常に難しいのですが、クリントン政権からブッシュ政権に変ったとたんに売り家、貸し家が一時急増しました。しかし、それも3日も経たないうちに買い手が見つかるという不動産市況です。

 気取り屋社会

 住む人々も教育熱心な家庭が多いのか、地元のマクリーンハイスクール、ラングレーハイスクールは全米でも1位、2位を争っています。近くのポトマックハイスクールというのもJFケネディが卒業したことで一種独特なスノッブ(気取り屋)な社会を作っています。

 アレキサンドリア

 アーリントン墓地のさらに南、ポトマック川沿いに広がる港町がアレキサンドリアです。
クラブシェル、オイスター、巨大ハマグリなど魚介類の美味しい店はここの目抜き通りにあり、中世風アンチークの店が並んでいます。もともとスコットランド商人が入植して作った街だそうで、オールドタウンと言われています。古いアメリカというよりヨーロッパを偲ばせるゆったりと落ち着いた雰囲気の街並みで、たまに出張者を連れていくと喜ばれます。ここから6マイルほど離れたマウント・バーノンに米国初代大統領のワシントンの住居がありました。 生家ではありませんが、ワシントンが若かりし頃は、アレキサンドリアまで馬車を飛ばして一杯ひっかけに行ったのだそうです。

 シェナンドー国立公園

 ♪♪ Almost heaven West Virginia, Blue Ridge Mountain, Shenandoah River♪♪
ご存知でないかも知れませんが、飛行機事故で亡くなったカントリーシンガー・ジョンデンバーの有名なカントリーロードという曲の出だしです。 シェナンド−リバーといえば、アメリカのフォークソングには何度も謡われた風光明媚な川ですが、この川の流れるシェナンド−国立公園は、ヴァージニア州の西部とヴァージニア州に隣接するウェスト・ヴァージニア州の南部に位置します。かつてインディアン・コロニーのあったアパラチア山脈と並行した峰峰の山並みハイウエー全体が公園で、世界でも1,2位を争う巨大なローレイ洞窟などがあります。新興のIT産業がひしめくダレスアクセスから僅か100kmほど走っただけで、こんなに広々とした大自然があるというのは特筆すべきことでしょう。

 英女王に捧げた土地

 ヴァージニアという州名自体がヴァージン・クィーンと呼ばれたエリザベス女王に捧げた土地であることに由来します。実際は女王の愛人がこの地に入植し、それを献上したとされています。多分間違いないでしょう。ヴァージニア州は、かつて南北戦争で北軍、南軍入り乱れて最も激しい戦いを繰り広げた土地でもあり、独特のヴァージニア気質みたいなものがあるそうです。 実際にちょっと南の方に下がれば、依然として昔の南軍の旗(シール)を車に貼って走る車も見られることすらあります。

 大鱒釣れるポトマック

 もっともこれはKKKと同じ人種偏見者であることを物語っていますが、いずれにせよ、もともと豊かな自然に恵まれた保守的な土地柄。されど政治の中心であり、いまは先端産業の最も発展している土地として複雑な要素の絡みあった土地というのがVAの特徴でしょうか。緑滴るVAは最高の季節。拙宅から15分も走ればポトマック川支流の名もない多層の滝があり、作家の故・開高健が喜びそうな、大きな鱒が釣れる清流が流れています。

 核シェルター地下壕

 拙宅は中南米に赴任している女性大使の所有物で平屋。地下を合わせ14部屋あります。
この程度の住宅は日本円換算で5、6千万円も出せば買えるようです。どの住宅にも煉瓦造りの地下壕がありますが、これは核シェルターを兼ねたものでしょう。米国はNMD(米本土ミサイル防衛)など核兵器の攻撃に敏感ですが、米国民は自立自助の精神で自らの安全を守る国防体制を築き上げているようです。

 首都周辺はフリーウエイ

 ワシントン周辺の道路は全て無料のフリーウエイで渋滞も少なく.快適。スピードを出し過ぎるため鹿との衝突が多く、至る所に「鹿に注意」のマークが表示されています。渋滞で二酸化炭素を撒き散らす日本の首都高速道路がフリーウエイになるのは何時のことでしょうか。都市再生が小泉政権の目玉のようですが、北村先生のお力で政治・経済の遅れを一刻も早く取り戻し、構造改革を推進してくださるよう、末筆ながら祈念申し上げます。