第180回(5月16日)道路特例法を再可決 国会ヤマ超す
ガソリン税収を道路特定財源に充てる道路整備費財源特例法改正案は、参院で否決された後に与党が5月13日の衆院本会議で再可決、今国会はヤマ場を超えて会期末まで残り1ヶ月に迫りました。政府与党はねじれ国会の与野党対立で例年より大幅に少ない法案の成立を積み上げようと審議を促進、場合によっては会期を10日間程度延長する考えです。民主党は道路財源特例法案の再可決直後に首相問責決議案を提出する予定でしたが、問責決議案可決を理由に長期の審議拒否に入れば「世論の批判を浴びる恐れがある」と先送りし、長寿医療制度などで政府与党を徹底追及する戦術に変えました。従って問責決議案は終盤国会で参院に提出する構えです。ガソリン価格の乱高下、長寿医療制度導入の混乱もあって内閣支持率は低迷していますが、「アジア外交」に強い福田首相は6日来日した胡錦濤国家主席との日中首脳会談を成功させ、7月の洞爺湖サミットのホスト役にも自信を深めています。サミット後の内閣改造も噂され、首相が政権浮揚を図れば、一旦遠のいた年内解散も最浮上しそうです。13日には我が古賀派と谷垣派が合流し、党内第3位の勢力になりました。緊迫政局は続きますが、さらなるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

課題残すが「暖春の旅」成功
日中首脳会談は、両国の利益拡大と国際協調を目指す未来志向の「戦略的互恵関係」を歌った共同声明に署名、東シナ海のガス田開発にメドを付けるなどの成果を上げました。これは、国家の威信をかけて8月の北京五輪を成功させたい胡主席と、議長国として7月の洞爺湖サミットで温室効果ガスの排出大国である中国を取り込み、ホスト役を大過なく果たしたい首相の思惑が一致、五輪、サミットで協力の「暖春の旅」を演出したからです。5日の長期滞在でペア・パンダのプレゼントを約束した胡主席は、我が母校の早稲田大学で講演し「日本の円借款が中国の近代化建設に積極的役割を果たした」と謝意を表明、福田首相が観戦する中、卓球の福原愛選手を相手に強烈なスマッシュを披露して大サービス。しかし、会談では白樺(中国名・春暁)ガス田周辺海域での日本との共同開発に一定の歩み寄りを見せたものの、日本の国連安保理の常任国入り、中国製冷凍餃子中毒事件の真相究明、チベット問題など肝心な分野では具体的な解決策は示さず中国外交のしたたかさを見せつけ、「戦略的互恵関係」の中身をどう肉付けしていくか、今後に課題を残しました。

民主、論戦重視に方針転換
国会は道路整備費財源特例法改正案を9日の参院財政金融委員会、12日の参院本会議でともに野党が反対多数で否決した後、与党は13日の衆院本会議で同改正案を再可決、成立させました。与党はガソリン暫定税率を復活させた4月末の税制関連法案と同様、衆院可決後60日の「見なし否決」規定を適用して12日以降にいつでも再可決する考えでしたが、民主党は急遽、「論戦重視」に方針を転換、9日午後の委員会に首相を引っ張り出し、「09年度から一般財源化する首相の方針と今後10年間道路特定財源を維持する同改正案は矛盾している」と厳しく追及したうえ、採決に応じました。首相は「道路予算が執行出来ず、地方に迷惑をかけているので08年度は存続させるが、09年度は必ず実現する」と釈明。政府は衆院での再可決に先立ち、一般財源化の基本方針を閣議決定し国民に実現を担保しました。基本方針は@改正案の道路特定財源制度の規定は09年度以降、適用しないA地方財政に影響を及ぼさず、必要な道路は整備B道路関連公益法人などの無駄を排除するC道路整備中期計画を5年とし、新たに策定――などです。参院で否決した法案の再可決は、新テロ対策特措法に続き2度目、「見なし否決」を入れると3度目です。伊吹文明幹事長は「民主党は参院で50時間近くかけて審議した税制関連法案を『審議不足だ』と批判し採決しなかったが、衆院で20時間かけた道路特例法案をわずか6時間の審議で採決した。政局的な意図があったとしか思えない」と記者会見で首をかしげました。

問責先送りし3点セット追及
「首相問責決議案は3点セット(長寿医療制度、年金問題、道路特定財源問題)が終わってから考えよう。セレモニーで出すのは良くない」――。民主党が同決議案の提出を6月15日の会期末まで先送りすることに決めたのは、7日の幹部協議で山岡賢次国対委員長が述べたこの発言によるものです。小沢一郎代表や輿石東参院議員会長、鳩山由紀夫幹事長ら出席者から異論は出ず、山岡氏は直ちに大島理森自民党国対委員長と会談し、9日の委員会採決に合意しました。山岡氏は採決に応じた狙いを、「自民党は野党の審議拒否を口実に、見なし否決の60日規定で再可決する『3分の2グセ』をつけたがっている。野党が拒否しているイメージを使わせないことが大事だ」と幹部に説明しました。問責決議案を可決すれば首相答弁が求められず、審議拒否に入らざるを得なくなります。長期の審議拒否で国民の批判が高まるよりは3点セットの追及で終盤国会を盛り上げる方が得策と判断、問責決議案を“温存”したのが本音と言えましょう。同党の簗瀬進参院国対委員長は「最大にして最高のカード。そう簡単に切るわけにいかない」と記者会見で述べています。野党4党は後期高齢者医療制度廃止法案を月末に共同提出する方針で協議中す。

税制抜本改革争点に総選挙
自民党も大島国対委員長が11日のテレビ番組で、長寿医療制度の改善策を6月中にも取りまとめる意向を表明しましたが、政府与党としては国会閉幕時に、首相が税制抜本改革の基本方針を発表する方向で調整に入っています。伊吹幹事長は同日の山形講演で、「首相には『大胆にやるべきことはやる。その代わりこういうことを考えてください』と、国会閉会あたりに堂々と訴えたらどうかと申し上げている。国民がなるほどと思ってくれたら自然と衆院解散になる」と述べ、税制抜本改革の是非を争点に年内にも総選挙を戦う姿勢を示しました。税制改革の具体例として伊吹氏は@道路特定財源の一般財源化に伴うガソリン税の税率のあり方A基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げなどに伴う財源確保B高齢者との同居世帯や、子どもの教育費負担を抱える世帯への減税――を挙げましたが、消費税増税への言及は避けています。また、町村信孝官房長官は同日、札幌市の記者会見で北海道新幹線の札幌延伸に関連し、「道路予算を一般財源化するなら、その一部を(整備新幹線に)つぎ込めないか。いろんな可能性を模索し、財務省などと真剣な話し合いをしている」と述べました。実現すれ「諫早―長崎ルート」にも道路予算の注入が可能になるため大歓迎で、整備新幹線を抱える地元は共闘態勢を組みたいと考えています。

古賀、谷垣派合流で再編加速
さて、2月に予告しましたが、旧宮沢派の流れを汲む我が古賀派と谷垣派が合流し、13日に東京・赤坂のホテルで新派閥の政治資金パーティを開きました。古賀派(46人)と谷垣派(15人)は、宮沢派を継承した加藤派が2000年11月の森内閣不信任決議案の対応を巡り、いわゆる「加藤の乱」で分裂していましたが、合流で町村派(84人)、津島派(68人)に次ぐ第3派閥の61人の勢力になりました。同じく宮沢派を分裂した麻生派(旧河野派)を含む大宏池会の復活ではなく、中宏池会の結成です。新派閥の会長には古賀誠選挙対策委員長が、総裁選出馬経験者の谷垣禎一政調会長は、ナンバー2の代表世話人に、古賀派の太田誠一元総務庁長官が会長代行に、谷垣派の逢沢一郎衆院予算委員長が事務局長にそれぞれ就任しました。古賀氏はパーティで「福田政権を支え、日本政治のために汗をかいているが、時が来れば、宏池会を主軸とした政権を誕生させるため、結束していきたい」と挨拶。谷垣氏は「古賀氏を中心に団結し、国民を大事にする政治を追求したい」と語りました。来賓の麻生太郎前幹事長は「今回の合併に(麻生派は)入れて頂けなかった。大変うらやましく、お祝い申し上げる。今後とも力添えをお願いしたい」と皮肉混じりに挨拶。御手洗冨士夫経団連会長は「少子高齢化、国際環境の激化など山あり谷ありだが、経済成長が期待できる国民本位、国益優先の政治を推進、歴史を刻んで頂きたい」とエールを送りました。谷垣派は永田町の事務所から引っ越して赤坂の古賀派事務所が本拠地となりましたが、我が新生宏池会はリベラル勢力の中核として再出発します。

「保守第3極」作りが進行中
こうした中で民主党の小沢氏は4月末、郵政造反組で無所属の平沼赳夫元経済産業相と会食し、新党結成を促しました。平沼氏は「政界のキャスティングボートを握るため、ぶれない伝統保守の侍集団30人規模の新党を総選挙前にも立ち上げたい」と意欲を燃やし、8日夜、国民新党の綿貫民輔代表、亀井久興幹事長、新党大地の鈴木宗男代表、中村喜四郎元建設相らと会い、超党派の勉強会「野人の会」(仮称)結成を検討しました。このように「保守第3極」作りが進行中ですが、我が派合流を機に政界再編成は加速しそうです。

合同宏池会パーティでの古賀会長、谷垣代表世話人の挨拶要旨は次の通り。
 古賀会長 3月13日に同志一同の合意を得て再結集でき、万感こもごも感無量だ。昭和32年6月に池田勇人氏が1粒の種を蒔いて以来50年の間、保守本流の要として日本政治の責任を果たし、伝統を築いてきた。21世紀を迎え多くの混乱が生じ、政治は漂流しているが、残念ながら、未来に明確な国家像を見い出していない。保守党の原点に返り責任を担う覚悟を持つ政策集団として常に政治の王道を歩み、政権に責任を負う使命を達成していきたい。我々は福田政権を支え、日本政治のために汗をかいていく。時が来れば、宏池会を主軸とした政権を誕生させるため、同志一同、結束して手を携えていきたい。

 谷垣代表世話人 新生宏池会のスタートが切れることは感無量だ。7年半も分裂し、鈴木善幸、宮沢喜一両元総理が心配されていたが、分かれていてもDNAは共通と感じていた。51年前の原点を振り返ると、池田先生は@生活を大切にするA地方・地域を大切にするB外交、特にアジア外交を重視するC人造りを大事にする――の4つの大切を説かれていた。これは少しも色あせていない。古賀氏を中心に団結し、この旗を高く掲げ、危機にひんしている自民党と福田政権を支え、希望にあふれた政治を追求したい。