第179回(5月1日)ガソリン税元に復活 吹くか解散含み青嵐
ガソリン税の暫定税率を復活させる税制関連法案は、自公与党が4月30日の衆院本会議で再可決しました。さらに政府与党は5月13日にもガソリン税収を道路特定財源に充てる道路整備費財源特例法改正案を再可決し、地方財源の欠陥を修復する方針です。野党は4月27日の衆院山口2区補選の勝利で勢いに乗り、福田首相の問責決議案を参院に提出し、内閣総辞職か衆院解散・総選挙に追い込む構えです。しかし、国民新党が慎重論を唱えるなど足並みは乱れています。福田首相は国会が緊迫する中でも日韓(東京)、日露(モスクワ)両首脳会談を無事こなし、連休前に政府提出法案79本のうち18本が成立、27本が衆院通過し再可決が可能になるなど精力的に取り組んでいます。終盤国会の空転に備えて7月の洞爺湖サミットに支障を来さない範囲で短期間の会期延長も検討しています。そうした中で解散・総選挙を受けて立つ執行部の発言も出されました。新緑の5月、政界に青嵐が吹きそうですが、皆様のご支援、ご鞭撻を重ねてお願い申し上げます。

山口補選3点セットに敗れる
福田政権初の国政選挙である衆院山口2区補欠選挙は、山口県岩国市長に就任した福田良彦・前自民党衆院議員の議員辞職に伴うもので、自民党の山本繁太郎・元内閣審議官と民主党の平岡秀夫・前衆院議員の一騎打ちとなり、両党首脳が選挙区に繰り込み総力を結集する天王山の闘いでした。山本氏は地域活性化を軸に主張を展開、地元の安倍晋三前首相が長寿医療制度について「少子高齢化で医療費が増え、逆に人口が減る中では負担を公平に分かち合う制度」と仕組みの利点を訴えましたが、民主党3役は揃い踏みで現地入りし、長寿医療制度、ガソリン税、年金記録漏れの「3点セット」を強くアピールして政府与党を批判した結果、残念ながら敗れました。告示日の15日に、支給される年金から保険料の天引きが始まった長寿医療制度、ガソリン税一色の選挙戦の中で露見したカラオケセットや高額タクシーチケットなど道路特定財源から浪費した国交省の無駄遣い、公約違反と指摘された年金記録漏れの処理遅れ問題など、補選に悪条件が重なりました。

2法案を否決と見なし再可決
 しかし、民主党はガソリン代の一時的値下げと山口補選のため、道路に関連する法案の参院での審議を2ヶ月もサボタージュ。税制関連法案は4月8日から審議入りしても進まず、道路整備費財源特例法改正案は同24日に参院財政金融、国土交通両委員会の連合審査会でようやく審議が始まったばかり。
 道路特定財源制度の見直しに関する与野党協議会も2回開かれただけで、具体的議論には入っていません。国民は民主党の立法権放棄を「1日3億円もの国会経費の無駄遣い」と批判しています。
 暫定税率を含む税制法案を成立させ、失効した暫定税率を復活させないと、国、地方を合わせ年間2・6兆円の税収が失われます。道路整備費関連改正案が成立しなければ、今年度の自治体の道路関係事業に多大の支障が出ます。やむなく与党は60日間の「否決見なし」規定に沿って同30日に衆院で野党怠慢の税制関連法案を再可決、ガソリン暫定税率の復活だけでなく、土地売買の登録免許税、中小企業優遇税などの改正租税特別措置法を含む国税2法(所得税等)と地方関係3法(地方交付税等)を成立させました。5月13日にも道路整備費財源特例法案を同じく再可決する方針です。

一般財源化の議員立法を主張
道路整備財特法案は今後10年間のガソリン税収を道路特定財源に充てることを骨子としており、首相が先に示した@09年度から一般財源化するA中期計画は10年を5年に短縮する――との方針と矛盾していることから、自民党の中堅、若手議員が「道路特定財源の一般財源化を実現する会」を結成、法案修正の活動を始めました。これは改正案がそのまま再可決された場合、道路特定財源制度が10年間維持されるため、「道路族が一般財源化を先送りする動きに出る」との見方があるため、それをけん制する狙いから「実現する会」を発足させたものです。メンバーの中からは「改正案をそのまま衆院で再可決するなら造反する」(河野太郎氏)など過激な発言も出ています。同会は@09年度から実施の道路特定財源制度改革の工程表を明示した新法A同改正案のうち、10年間の規定を08年度の1年間に限定する修正案――の2案を準備し、一般財源化の議員立法を今国会に提出することを模索しています。このため、執行部は首相方針を担保する考えから、早ければ秋の臨時国会でも前倒し決着が図れるよう検討した結果、福田、太田自公両党首が28日に会談し、09年度からの一般財源化を閣議決定することで一致、@与党の協議会を設け、速やかな検討に着手A必要な法改正は年内に成案を得て国会で成立させる――の合意文書に署名しました。

造反で問責決議に民主及び腰
民主党は、衆院で税制関連法案が再可決した直後に首相問責決議案を参院に提出する予定でしたが、鳩山由紀夫幹事長は27日夜、補選勝利後の記者会見で「問責決議案を出さずに福田内閣を追い込む選択肢が広がった」と述べ、提出は早くても道路整備財源特例法改正案の再可決時の12日以降に先送りする考えを示唆しました。小沢一郎代表も「補選の結果、福田内閣はもう問責を受けたようなもの」と上機嫌。他の幹部も「決議案可決で長期の審議拒否に入れば、世論の批判は民主党に向く」と早期提出に及び腰です。慎重論は同25日の事前協議で国民新党の亀井久興幹事長が「問責決議は重い。単に再可決がけしからんというだけでなく(福田内閣の)政権運営全体の在り方に対して出すことでないといけない」と鳩山氏に述べた時から野党内に漂っており、共同提出の機運は盛り上がっていません。民主党にはほかに弱みがあります。4月9日の日銀総裁・副総裁人事の同意案件で渡辺秀央(元郵政相)、大江康弘、木俣佳丈の3氏が造反して賛成。棄権・欠席者も4人出し、造反の3氏は処分を受けました。それにも拘わらず、同25日の在日米軍駐留経費の「思いやり予算」に関する新特別協定の承認案件でも渡辺氏は棄権し、「外交を玩具にすべきではない」と党の否決方針を再び批判、大江、木俣両氏も欠席しました。民主党と統一会派を組む国民新党の4人も欠席し、同党の自見庄三郎副代表は「衆院で反対したが、私は米軍基地で働く沖縄の人たちの雇用状態を考えて欠席した」と語りました。

問責決議可決でも解散無視
小沢民主党代表の戦略は「首相であれ閣僚であれ、問責決議案を参院で可決すれば、その後一切参院では相手にしないということだから、審議には応じない」とテレビ番組で述べていますが、共産党は、仮に参院で問責決議案が可決されても、審議拒否は行わない構えを見せているため、問責では野党の足並みが乱れ、迫力に欠けるものとなりそうです。自民党内には問責決議が参院で可決されたら、内閣信任案を衆院に逆提出して対抗すべきだとの声が高まっています。伊吹文明幹事長は4月21日、札幌市の講演で、「ガソリン税(の暫定税率失効)で地方に迷惑を掛けておいて、(税率を)元に戻したら首相問責決議案で衆院解散に追い込むという小沢代表の手にだけは絶対に乗らない」と述べ、問責決議案が可決されても無視する考えを示しました。総選挙の時期については「洞爺湖サミットの前にはないと思う」としたうえで、サミット以降の年内解散は「神のみぞ知るだ」と思わせぶりに語りました。伊吹幹事長は同19日、奈良県橿原市の講演でも、衆参ねじれの打開策に関し「議員の任期を全うさせた方がいいという考えの人もいるが、時期を見ながら、経済(情勢)が大丈夫だという確信が持てる時に衆院を解散する(はずだ)。与党で過半数取れば、民主党は政権につけず、小沢代表のやり方ではまずいと思う人が(分裂の)行動に移すのではないか」と総選挙後の政界再編を想定し、年内解散の可能性を示唆しました。

幹部が続々年内解散匂わす
菅義偉選挙対策副委員長も同日、浜松市の講演で「任期満了が一番好いと言い続けるが、長引いても来年8月だ。1年4ヶ月しかない。解散・総選挙までの平均は2年8ヶ月で、(今は)もう適齢期だ」と指摘しました。前号で触れたように、我が派会長の古賀誠選挙対策委員長と小泉純一郎元首相が党神奈川県連のパーティで揃って、「そろそろ何とか風(解散風)が吹き出した」と年内解散を匂わせています。山口補選敗北の結果、早期解散は遠のいたとの見方もありますが、読売の4月世論調査では、ガソリン税の暫定税率失効後も、民主党の支持率は17・4%と横這い状態。自民党の支持率は30・6%と水をあけています。「内閣支持率が低くても党の支持率は高いから、衆院選は頑張れば勝ち残れる」(自民党4役の一人)との感触も強まってきました。生臭い青嵐が吹こうと吹くまいと、選挙準備はおさおさ怠りなくやっているつもりですが、次期総選挙は政権政党が生き残れるかどうかの天下分け目の戦いです。どうか一層のご支援を賜りたいとお願い申し上げます。