第175回(3月1日)ガソリン税で大詰め攻防 政界再編の動き活発
政府与党は08年度予算案と関連法案の年度内成立を目指し、一丸となって取り組んでいます。そうした中で、中国製冷凍餃子中毒事件や海自のイージス艦と漁船の衝突事件など国民の安全・安心に関わる予期せぬ事件に見舞われ、悪戦苦闘しています。野党はガソリン税の暫定税率撤廃闘争に加え,参院で石破茂防衛相の問責決議案を可決させようと攻勢を強めています。福田首相は2月25日、李明博大統領の就任式に出席するため韓国を訪問、日韓首脳会談では未来志向の「日韓新時代」を構築し、日韓経済連携協定(EPA)交渉と相互友好訪問のシャトル外交を再開することで合意しました。また、独自政策を打ち出すため、各種の諮問会議を設置し各地の実情を視察する地方行脚を精力的に続けるなど30%台に落ちた内閣支持率の回復に懸命です。しかし、低迷する支持率からの脱出は容易ではありません。政界では解散・総選挙への関心が依然高く、自民党選挙制度調査会が「HP選挙運動」解禁の公選法改正案を提示したり、超党派の「せんたく議連」に約70人が参加するなど、早くも総選挙後の政界再編への思惑を秘めた動きが活発化しています。私も「心の備え」を固めていますが、さらなるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。

参院段階の修正協議を確約
ガソリンの暫定税率を維持する租税特別措置法改正案などの税制関連法案は2月19日の衆院本会議でようやく審議入りし、21日の衆院予算委での道路問題集中審議をはじめ、衆院の財務金融委や総務委、国土交通委などで論戦を展開しています。与党は衆院予算委で審議中の08年度予算案と一括して2月中の衆院通過―今年度内成立を目指しましたが、10年間で総額59兆円を投じる道路整備中期計画を巡って野党は「法案は道路局、族議員に縛られ、積算根拠がでたらめだ」と食い下がり、審議引き延ばし作戦で抵抗しました。財務省は@当初65兆円だった原案を精査し、59兆円としたA59兆円は上限で具体的な事業は毎年査定する――などという資料を提出しましたが、民主党の岡田克也副代表は「一声であっという間に3兆円もコスト削減できるいい加減なものを出した」と批判、積算根拠の再提出を求めました。首相は「道路整備は多少長い期間が必要だという考えで提出した。その通りやるかどうかは情勢を踏まえて判断していく」と答弁し、計画途中で見直すこともあり得るとの考えを示しました。ソウル市内での記者懇談でも「議長裁定もあるし、修正し、年度内に予算案、関連法案を通すことを念頭に置いて審議する」と参院段階で修正に応じる考えを重ねて表明しています。

小泉氏、任期切れ解散を予言
「福田カラーを出して政権を浮揚させたい」――。首相は人気回復のため、内政では中国製冷凍餃子中毒事件を受けて消費者行政一元化のための消費者行政推進会議、年金記録照合問題などに対処し社会保障国民会議、地球温暖化問題懇談会などを発足させ、国民の目線に立った政策策定に本腰を入れ始めました。一方、野党の引き延ばし戦術に苛立つ伊吹文明幹事長は23日、「民主党は年度末が近づけば(採決について)四の五の言い出す。その時、(一定の結論を得る、との斡旋案をまとめた)議長がいかに権威を示すかだ。下手をしたら国権の最高機関の権威は地に落ちる。民主党は(自党選出の江田五月参院)議長を守って貰わねばならない」と同党をけん制しています。激しい攻防の中で小泉純一郎元首相は22日の講演で、「自民党内に一般財源化に同調する向きがある。私もその一人だった」と言ってにんまり笑い、「福田首相が一般財源化を前提に『野党の主張もよく聞いて譲るべきは譲って良い案をまとめよう』と言えば妥協の話は出てくる」と述べ、首相の修正協議路線を援護しました。また、「首相は解散を望んでいないのではないか。(今年の洞爺湖ではなく)来年のサミットに出席してからでも、解散は遅くないという雰囲気にだんだんなってきた」と語り、来夏以降の“衆院任期切れ総選挙”になると予言しました。中川秀直元幹事長も23日の講演で小泉氏に同調、「首相は一刻も早く民主党に対案を出して貰って、修正協議をしたいと望んでいるはずだ」と述べ、側近の立場で支援しました。

「せんたく」議連や超党派外遊
昨年秋の首相と小沢一郎民主党代表との「大連立」協議は同党内の大混乱で茶番劇に終わりましたが、緊迫政局の中で総選挙後の政界再編を目指した動きが活発化しています。前号で紹介したように学者、知事などで構成する新政治運動組織「せんたく」に呼応し、自公民三党の有志約70人参加の「せんたく議員連合」が2月20日、都内ホテルで16人が出席して発起人会を開き、代表世話人に河村健夫元文科相(自民)と野田佳彦元国対委員長(民主)を選び、「日本を丸洗いする」(野田氏)改革を進めることで一致しました。3月3日に合同総会を開き正式に発足、地方分権改革や国会審議の在り方を検討します。一方、加藤紘一元幹事長を団長とする超党派の国会議員団が10〜11日に訪韓、就任前の李明博大統領と北朝鮮問題などで意見を交換しました。かつて小泉氏とYKKの盟友関係にあった加藤氏と山崎拓前副総裁が計画したもので、一行は自・民・公・社民4党の、こちらも16人。民主党は仙谷由人、枝野幸男両元政調会長ら、同党の小沢代表と距離を置く議員が参加したことから、次期総選挙後の政界再編を睨んだ布石と見られています。

将来の麻・鳩連携狙う議連も
山崎氏は1月の講演で、衆参のねじれ解消に向け、「新しい軸を作らねばならない。政界再編の原動力はリベラルを含む新保守勢力だ」と強調。加藤団長も訪韓前に首相と会談し、「ねじれ国会の下では、国会の内外で与野党が率直に話し合うことが必要」と説明、ソウル現地での記者会見では「政策理念が一致し、コミュニケーションが取れるグループが党を超えて生まれていないと、ねじれ国会での国政をうまく進めていけない」と訴えました。このほか、総裁候補の一人である麻生太郎前幹事長や鳩山民主党幹事長らが5日、IT(情報技術)を活用して市民に便利な「電子自治体モデル」を作る目的で、超党派の「地方政府IT推進議員連盟」の設立準備会を開き、3月に設立することを決めました。50人以上の結集を目指し、IT担当総務相経験者の麻生氏が会長に就任する予定ですが、前・現幹事長の揃い踏みに、「将来の麻・鳩連携や政界再編を狙った動き」との見方も出ています。

超党派政策議連も続々誕生
与党内には「外交や社会保障など基本政策を進めるには、民主党の協力が欠かせない」として、政策テーマごとに超党派の連携を進める動きが強まっています。政策では地方政府IT議連のほかに尾辻秀久自民党参院議員会長(元厚労相)や仙谷民主党元政調会長らが地域医療に携わる医師の確保などを推進する「医療現場の危機打開と再建を目指す議員連盟」、長勢甚遠元法相(自民)や仙谷氏らの「協同組合法(仮称)を考える議員連盟」など超党派議連が続々登場しています。6日には河野太郎(自民)、細野豪志(民主)氏ら両党の若手衆院議員7人が、硬直化している国会の慣例を打破する提言をしました。問題意識を共有する議員の集まりも活発で、昨年末には中川昭一元政調会長らが郵政造反組のシンボルである平沼赳夫元経産相(無所属)とリベラル色の勉強会を結成し注目されました。伊吹幹事長は「それぞれの判断で勉強会や議連はやるわけだから、それは結構だが(野党を)取り込むつもりが取り込まれることもあるから注意して欲しい」と警告しています。

HP利用の選挙運動解禁へ
 大連立、政界再編の論議を契機にベテラン議員が中選挙区制への復活を目指す公選法改正の動きがありますが、自民党の選挙制度調査会(村田吉隆会長)は21日、とりあえずインターネットのホームページを利用した選挙運動の解禁などを盛り込んだ議員立法の公職選挙法見直し案を提示しました。公明党や野党にも協力を呼びかけ法案化を急ぐ方針です。現行の公選法では、政権公約(マニフェスト)や法定のビラなどを除いて「文書図画」の配布を禁止しており、HPも文書図画と見なされています。見直し案では、政党や政治家がHPを利用する機会が増えていることや、有権者が候補者の政策を知る手段を増やす必要があることを重視し、すべての選挙でHPを利用した選挙運動を認めることにしました。さらに、都道府県知事と政令市長の連続4選以上の多選禁止も盛り込んでいます。見直し法が成立すれば、余計な神経を使うことなくIT時代の選挙運動に専心できるので、私も歓迎しています。政務多忙で皆様と親しく懇談する機会が減り勝ちですが、今後も皆様とのコミュニケーション手段として、このHPを活用して頂きたくお願い申し上げます。